日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


大藪春彦さんの「沈黙の刺客」を読み終えました。

主人公の信原邦夫は、各国語を自由に操ることができる刺客です。信原は、新富国銀行から20億円を詐欺でだまし取った金(キム)という男を追って香港にやって来ています。香港の暗黒街に潜入した信原は、そこの大物・黄から金の行方を知ろうとしていたのでした。

信原は愛用の銃ベレッタ・ピューマと錐刀を武器に、黄の部下たちと戦い、黄の居所を突き止めます。そして、金がフランスにいるらしいという情報をつかむのでした。フランスへと飛んだ信原、そこでキムの部下たちと戦いつつ、ついに金を追い詰めます。

200ページほどの中編なので、物語はとんとん拍子に進んでいきます。銃撃戦と殺戮が繰り広げられるのは、いつもの大藪作品通りですが、主人公が常に右手に錐刀という隠し武器を持っているのが珍しかったです。
信原のキャラに深みがなく、物語の結末もあっけなかったのが残念でした。
復讐の弾道 光文社文庫大藪春彦さんの「復讐の弾道」を読み終えました。

久々の大藪作品は、復讐者を主人公とした「蘇る金狼」といった雰囲気の作品でした。
物語は、主人公の羽山貴次が刑務所から出所してくるところから始まります。とはいえ、彼は羽山貴次として刑に服していたわけではなく、北川という別人として服役していたのでした。羽山はホームレスの男から、北川の戸籍を買い取っていたのでした。

羽山は、ある復讐心を抱いて刑務所から出てきました。東和自動車の役員だった兄が、東和自動車の不祥事の責任を被されて自殺していたのです。羽山は、この自殺は兄の意思によるものではないと確信していました。事件の真相を探るために、羽山は動き始めました。

活動資金を得るために、羽山は闇の売春グループの売上金を狙いました。こうして資金を得た羽山は、次は東和自動車の給与を乗せた現金輸送車の強奪を計画します。それにも成功した羽山は、次は兄の妻であり、兄の殺害に荷担していた洋子に接触するのでした。

この洋子が、これまでの大藪作品の女性には見られないほど、なかなかしたたかな女でした。羽山に真相を知られた洋子は、自らの父を羽山に売り、自分だけは助かろうとするのでした。そして、そんな洋子と羽山は結婚することになるのでした。しかし、洋子は殺し屋を雇って羽山を殺そうとします。そんな洋子を、羽山は返り討ちにするのでした。

この時点で羽山個人の復讐はほぼ完結しているのですが、それでも羽山の怒りはおさまりません。羽山はさらに、東和自動車の上層部をターゲットに選ぶのでした。

最初は個人的な動機から復讐していた羽山が、やがて復讐と破壊そのものを目的とした悪霊のようになっていくところが恐ろしくて悲しいお話でした。
作品が発表されたのが、1967年ということもあり、今読むと時代を感じさせられたり、突っ込みどころはたくさんありますが^^;、羽山の生き様は大藪ヒーローそのものだと思いました。
ベトナム秘密指令 新装版 (徳間文庫)大藪春彦さんの「ベトナム秘密指令」を読み終えました。この本には、表題作の中編「ベトナム秘密指令」と短編「拳銃稼業」の2作が収録されています。

時代はベトナム戦争中。前線から日本へと帰ってきた米兵が持ち込んだ仏像の中から、大量のヘロインが発見されました。その背後にある組織は、ヘロインを日本で売りさばき、その金でベトコンに提供する武器を購入しているのでした。
警察は必死の捜査を続けますが、捜査は暗礁に乗り上げてしまうのでした。

そして、内閣調査室の秘密捜査官・水野が動きました。表向きは戦場カメラマンである水野の任務は、ベトナムに潜入して密輸ルートを解明することです。現地に飛んだ水野は、危険な任務へと飛び込んでいくのでした。

この作品では、大藪作品には珍しく、主人公である水野がお話の1/3を過ぎるまで登場しません。巻末のあとがきを読むと、どうやら執筆の途中で創作意図が変更されてこのような形の作品になったようです。

そして「拳銃稼業」は、とある会社に雇われた殺し屋のお話です。主人公の三島の所属する会社は、暴力を背景にしてのし上がった組織です。この会社は、今とある問題を抱えていました。ライバル会社の社長が暴力に屈せず、ボディーガードを雇って対抗してきたのです。

三島たちの会社は、何度か殺し屋を派遣しますが、全て返り討ちにあってしまいました。そこで社長の皆川は、今は大幹部であるものの凄腕の拳銃使いである三島に仕事を依頼するのでした。
こちらは、大藪作品の短編によく見られるようなヤクザ同士の抗争といった感じのお話でした。
ヘッド・ハンター (徳間文庫)久しぶりの大藪作品です。以前にも読んだことがありますが、「ヘッド・ハンター」を読み終えました。

大藪作品の多くでは、銃器やメカの描写と共に力が入っているものがあります。それがハンティングです。野生の動物を倒して、立派なトロフィーを手にする。最初、私はその魅力がちっともわかりませんでした。その見方を変えるきっかけとなったのが、この作品でした。

この作品は、他の大藪作品とは違い、基本的にほぼハンティング描写ばかりが続く作品です。主人公の杉田淳は、上司を殴って自衛隊を辞めて、その後アフリカで戦う傭兵となりました。そんな彼の現在の最大の目的は、レコードクラスのトロフィーを手に入れることです。そのために杉田は、アラスカ、ニュージーランド、オーストラリアでハンティングを繰り広げます。

ハンティングなんて、鉄砲を撃って無抵抗な動物を殺すだけと思っていた私ですが、この本を読んでその意識が変わりました。杉田はどんな獲物でも手当たり次第に殺しているわけではありません。彼が狙うのは、真のレコードクラスの獲物ばかりです。それ以外の獲物は、彼はパスするのです。そして、トロフィーに迫るためには、杉田はどんな困難にも立ち向かいます。極寒の雪の中、険しい山岳地帯にも分け入ります。またあるときは、熱帯のジャングルで豪雨に見舞われることもあります。それでも杉田は、決して獲物を狙うことをやめようとはしません。そこには鋼鉄よりも固い、意志があったのでした。

そんなストイックに獲物を追い求める杉田の姿が、とにかく格好いいです。そして極限状況を生きる杉田の生活は、サバイバルの連続です。それを支えるのは、杉田の肉体と知恵、そして猟場に持ち込んださまざまな器具です。他の大藪作品でもそうですが、この作品でも杉田がどんな道具を使っているのかがメーカー名まで含めて、事細かに描写されています。プロだからこそ一流の道具にこだわる。そんな意志を道具の描写からも感じました。

個人的にはハンティング描写だけでも楽しかったのですが、一応この他に杉田が得たトロフィーを狙うユニオン・ウラニウム・カンパニーのハンターも登場します。彼らは軍用ヘリを使って猟場に現れて、獲物を乱射します。そこには、ターゲットとなる獲物への敬意は全く感じられません。また彼らは、自分たちでトロフィーを得るだけでなく、杉田のトロフィーを狙って攻撃を仕掛けてきます。

物語の後半、そんなユニオンへの杉田の怒りが爆発します。このあたりの展開は、いつもの大藪作品っぽいですね。でも、その部分はこの作品ではほんのおまけみたいなものです。真の面白さは、一歩間違えば杉田自身が死にかねない状況でのハンティング描写に尽きると思います。
アスファルトの虎(タイガー)〈PART14〉伝説への終曲(フィナーレ) (角川文庫)かなり間があいてしまいましたが、大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第14巻を読み終えました。大藪作品で最大の長さを持つ作品だけに、とても読み応えがありました。

ドライバーズポイントで同僚のニキ・ウラダに迫られた高見沢。ニキを突き放すべく挑んだ第12戦オーストリアGPでしたが、フリープラクチスからトラブルに巻き込まれ、レース本番でもライバル車の事故に巻き込まれる不運に遭いました。こうしてレースをリタイアした高見沢は、ポイントトップの座をニキに明け渡したのでした。

続くオランダGPでは、高見沢は前回の雪辱を果たします。レースをトップで終えて、ポイント首位のニキに迫ったのです。そしてレースは、イタリアGPへと続きます。イタリアGPを前にマスコミと行われたドライバーズレースで、高見沢は最速ラップをマークしました。その賞品として、高見沢はベレッタ・ジャガー拳銃を手に入れたのでした。

拳銃を手に入れた高見沢は、愛人のブルックやマネージャの浅見と共に射撃を楽しみます。そして高見沢は、フェラーリびいきのイタリアでのGPに挑みます。レース前に行われたラジオ番組での高見沢人気は悪いものではありませんでした。しかし、実際にレースが始まってみると、フェラーリがらみのドライバー以外には観客席から酷いヤジが飛ばされます。おまけに高見沢のマシンはトラブルに見舞われて、レースを途中でリタイアせざるを得ませんでした。そのレース、ニキは優勝を決めて、高見沢との差をますます広げたのでした。

ホームグランドであるイギリスに帰った高見沢は、イタリアで手に入れた拳銃を正式に所持するため射撃クラブへと入会しました。そのおかげで、他の拳銃も購入できる資格を得た高見沢は、ベレッタ以外にSIGザウエルP226とコルト・ガヴァメントを手に入れて射撃を楽しみます。

そんな高見沢に別れの時がやって来ました。夏休みが終わったブルックが、アメリカに帰国することになったのでした。ブルックと深く愛を交わして別れた高見沢は、その後もレース活動を続けます。そして高見沢は、浅見と共に西ドイツで行われるF1ヨーロッパ選手権に挑みます。ブルックがいなくなった後、早速マールボロガールズのエリーゼと高見沢はベッドを共にします。

西ドイツ、ニュルブルクリンク・サーキットで行われたレースは、雨に降られての決戦となりました。そのレースで高見沢は優勝を決めました。ポイントトップのニケは、4位に終わり、高見沢はニキとの差を詰めることができたのでした。そしてレースはいよいよ、最終戦ポルトガルGPを迎えました。そのレースで高見沢はトップになるしかニキに勝つ方法はありません。そしてニキは、2位になれば0.5ポイント差で高見沢に勝つことができるのです。

そして、いよいよ運命のレースが始まりました。絶好調の高見沢は、マシンの好調にも助けられて、レースの優勝を決めました。一方のニキは、マシントラブルに悩まされていました。しかしレース本番、ニキは決死の走りをみせて、2位入賞を決めました。こうして84年のドライバーズチャンピオンは、ニキ・ラウダが獲得したのでした。

その後も高見沢はレース活動を続けます。そんな高見沢のライバルとなってきたのは、アイルトン・セナでした。
引退までに4度のチャンピオンを獲得した高見沢は、各シーズンでセナと激闘を繰り広げることになったのでした。こうして高見沢の長い長い物語は、ついに終わりを迎えたのでした。

再読してみて思いましたが、この物語はやはり前半の高見沢がF1ドライバーとなるために手段を選ばずのし上がってゆくところが一番面白いですね。F1ドライバーとなってからは、レース活動だけでなく、ハンティングの描写にも力が入れられました。終盤はなんだか同じ展開の繰り返しばかりでしたが、無事に物語が完結できて本当によかったと思います。大藪春彦さんが生み出したヒーローは数多くいますが、その中では私はこの作品の主人公・高見沢優に一番憧れを感じますね。
アスファルトの虎(タイガー) (Part 13) (角川文庫)大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第13巻を読み終えました。

ダイアナ・スノーの別荘でスポーツ・フィッシングを楽しんだ高見沢は、次々と記録破りの大物を釣り上げたのでした。そして休暇は終わり、第9戦のダラスGPを迎えました。予選でまずまずの位置を確保した高見沢でしたが、本戦では路面の浮き砂にタイヤを取られるというアクシデントが発生して、残念ながらリタイヤとなってしまいました。
そしてこのダラスGPを終えた後、撮影に向かうダイアナと高見沢は別れたのでした。

ロンドンに帰った高見沢の前に、今度はハリウッドスターのブルック・ウォーラスが現れました。大学の卒論のためにロンドンにやって来ていたブルックを、高見沢は日本料理店に連れて行ったりしてもてなすのでした。そして、夜にはもちろんブルックと一夜を共にすることになりました。

そして第10戦のイギリスGPが始まりました。予選では高見沢は2位という好位置につけました。そして本戦でもトップを奪います。ところがレース中盤でギアボックスにトラブルが発生しました。このトラブルのため、高見沢はやむなくレースをリタイヤすることになったのでした。

このレースで高見沢がリタイヤしてノーポイントに終わったことで、マクラーレンのNo.1ドライバーであるニキがドライバーズポイントで高見沢まであと1.5ポイントまで迫ってきました。
しかし、イギリスGPの途中で資産家のジェームズ・ゴールドスミスと出会った高見沢は、彼を通じてレース本番でニキと競り合いになった時にトップを譲るという条項を取り消させたのでした。

続く第11戦は、西ドイツGPです。予選から好調の高見沢の前に、ビッグスポンサーが現れました。ウォークメンを開発したトニーが、高見沢を自社のイメージキャラクターにしたいと申し入れてきたのです。この契約によって、高見沢は5億円の契約金を手に入れることになったのでした。

そして高見沢は、予選でポールポジションを獲得しました。そして本戦では、フォーメーションラップの時にマシントラブルに見舞われましたが、スペアカーに乗り換えて奮戦。そして本戦では、トップが高見沢。二番手がニキとマクラーレン勢がワンツーフィニッシュを決めたのでした。

トニーからの巨額の資金を得た高見沢は、税金対策のためにジャージー島のロスチャイルド銀行に口座を開きました。さらに、ジャージー島にチーム・マジクリーンのペーパーカンパニーを設立して、そこをチーム・マジクリーンの本社としました。東京の事務所は支店扱いにすることにして、そちらにプールしてあった資金をジャージー島にある本社へと移したのでした。

そして高見沢は、第12戦のオーストリアGPへ向けて動き始めました。このレースでも高見沢は好成績をおさめることができるのでしょうか!?
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第12巻を読み終えました。

シリーズ第5戦は、フランスGPです。事前の予想では、高見沢は優勝候補と考えられていましたが、いざコースにはいって練習を開始したら、次々とピストンが割れてしまうというトラブルが起こりました。チームは急遽改良型のエンジンをドイツから空輸しました。そのおかげで、ようやくトラブルは解消されたのでした。
そしてレース本戦、高見沢は快調に飛ばして首位に立ちます。しかし、運悪くハブ・トラブルに遭遇して、7位という不本意な結果に終わったのでした。

続く第6戦は、モナコGPです。高見沢にとっては、初の公道レースです。高見沢は、事前にコースを下見するなど、準備に余念がありません。レース本番はあいにくの雨。高見沢はレース中に、ディスクブレーキに水がたまる症状に苦しめられることになりました。トップに立った高見沢は、途中からセナに追い詰められます。しかし、雨で路面の状態が悪かったため、高見沢が首位のままレースは終了となり、高見沢は優勝したのでした。

第7戦は、カナダGPです。このレースでは、BMWのネルソン・ピケが首位に立ちます。それを高見沢は追いますが、ブレーキトラブルに苦しめられることになりました。おまけに途中から、チームのナンバーワン・ドライバーのニキが高見沢に追いつき、高見沢は契約に従って泣く泣くニキに2位を譲り渡すことになりました。
結局、トップはネルソン、2位がニキ、3位が高見沢という結果に終わったのでした。

カナダGPを終えた高見沢は、空港でハリウッド女優のダイアナ・スノーと出会いました。ダイアナと意気投合した高見沢は、彼女の山荘に招待されることになったのでした。山荘では、高見沢とダイアナは馬で遠乗りに出かけて、さまざまな野生動物を観察して楽しみました。もちろん、ダイアナとも何度もベッドインしたことは言うまでもありません。(^^;

第8戦のデトロイトGPに向かう高見沢に、ダイアナも同行することになりました。今回も公道レースです。
このレースではクラッシュするマシンが続出して、サバイバルレースとなりました。このレースでは、優勝したのは再びネルソン・ピケ。高見沢は途中までトップを独走していましたが、タイヤトラブルで5位に終わりました。

そんな中、好成績をあげ続ける高見沢に、他のチームから引き抜きの声がかかります。一応話は聞いたものの、チーム・マクラーレンの優位を信じている高見沢は、引き続きマクラーレンと契約することを決めたのでした。
契約金などは他のチームと変わりありませんが、来シーズンはニキにトップを譲らなくてもいいという条件を引き出しました。

次のダラスGPまで時間のできた高見沢は、ダイアナの別荘へと向かいました。そこで2人はマリーン・スポーツを楽しむことにしたのでした。高見沢はそこで巨大マグロやカジキを狙うトローリング漁に挑戦することにしたのでした。
ダイアナの知り合いの素晴らしいクルーに恵まれた高見沢は、連日大物を釣り上げて充実した休日を過ごすのでした。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第11巻を読み終えました。

いよいよブラジルGPの本戦の開始です。予選で好位置につけた高見沢でしたが、スタートでミスして順位を落としてしまいました。しかし、周を重ねるごとに順位を上げましたが、その行く手をチームのナンバーワン・ドライバー、ニキ・ラウダが阻みます。高見沢はチームとの契約で、ニキが先行している場合は、そのマシンを抜くことができないのです。

悔しさをこらえてニキの後についた高見沢でしたが、39周目にニキのマシンがトラブルを起こしました。それが原因でニキがリタイヤしたことで、高見沢は首位に立つことができました。そして、そのままゴールして、F1初参戦を初優勝で飾ったのでした。

第2戦は、南アフリカで行われます。早めに現地入りした高見沢は、そこでフォト・サファリに参加します。これはハンティングとは違い、国立公園に放し飼いにされている動物たちを写真やビデオにおさめるというツアーです。ハンティングよりも身近に動物に接することができて、高見沢は充実した時間を過ごしたのでした。

そして、南アフリカGPが開幕しました。予選では5位につけた高見沢でしたが、いざ本戦のフォーメーションラップになったらエンジンがかかりません。やむなく別のマシンに乗り換えた高見沢でしたが、ピットスタートになってしまいました。怒濤の追い上げをみせる高見沢でしたが、先行しているニキが好調だったため、高見沢はニキを抜くこともできず、2位に甘んじることになりました。

続く第3戦、ベルギーGPでは予選はフェラーリ勢が健闘して、高見沢は7位からのスタートです。レース本戦では、燃費に強いマクラーレンチームが有利かと思われましたが、本戦の途中でマシンがトラブルを起こし、レースからリタイアすることを余儀なくされたのでした。

第4戦、サンマリノGPでは、高見沢は予選2位という好位置につけることができました。レース本戦でも高見沢はその優位を守って首位を独走します。しかし、途中でブレーキのききがわるくなるというトラブルが発生しました。必死にマシンを操った高見沢は、なんとか首位を維持して2度目の優勝を決めたのでした。

レースを終えた高見沢は、今度はニュージーランドへとハンティングに出かけました。そこでも幸運に恵まれた高見沢は、レコードクラスの獲物を獲得することに成功したのでした。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」、第10巻を読み終えました。

南アフリカ、キャラミ・サーキットでのマシーンテストが始まりました。高見沢のマシンは、220リッターの制限の中でレースに必要な距離を走り抜きました。しかし、エンジンの回転数を上げてテストを続けると、エンジンは次々にブローしてしまったのでした。エンジンの弱点を調べるため、高見沢はブローを覚悟でのテストを繰り返します。

そして夜には、高見沢はマールボロガールズにグルーピーの娘たちも加えて毎晩乱交が続きます。(^^;
以前の高見沢はマシーンテスト中には性交を控えていましたが、アフリカへ来てからというもの、昼は激しいドライビング、夜は乱交と大忙しです。

こうして持参したエンジン全てが壊れて、マシーンテストは終了しました。その後、高見沢と浅見はサイン会のために日本へと戻りました。F1レースへの正式なデビューはもう少し先ですが、どこへいっても高見沢は大人気です。

そして、ついにF1グランプリ第1戦がブラジルで開催されることになりました。高見沢たちマクラーレンチームの一行は、リオのジャカレパグアサーキットへと再びやって来ました。そこで開始された公式予選に、ようやく新型マシンが間に合いました。このマシンは、以前のマシンよりもパワーアップしています。

そのマシンで予選を走った高見沢は、予選専用のエンジンを持たないハンディを抱えながらも、3位に食い込むという快挙をみせたのでした。本戦では、燃費に優れた高見沢のマシンは、他のチームに対して優位に立つことができます。果たして、高見沢はF1デビュー戦でどんな成績を出すことができるのでしょうか!?
病院というところは、待ち時間だけは豊富にあります。おかげで、大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第9巻を読み終えることができました。

高見沢のカナディアン・ロッキーでの狩猟が続いています。抜群の角を持ったストーン・シープを手に入れることができた高見沢は、それに続いてクマ猟に挑みます。最初にブラック・ベア、そして凶暴なグリズリーを仕留めて、いよいよ高見沢のカナダでの猟も終わりを迎えたのでした。

ハンティングを終えた高見沢には、F1ドライバーとしての仕事が待っています。マシンのテスト走行のために、今度は高見沢たちは、フランスのポール・リカール・サーキットへとやって来ました。そこでは運悪く、高見沢たちは悪天候の中でテストを行うことになりましたが、悪条件にもかかわらず高見沢は次々と素晴らしいラップタイムを出すのでした。

そんな時、高見沢は新聞で田口元首相が脳梗塞で倒れて再起不能になったことを知りました。田口が倒れたことで、暗殺者という高見沢の裏の仕事がバレるのではないかと心配しましたが、幸い高見沢の名前は表に出てないようです。そして高見沢は、昼は過酷なマシーンテスト、夜はマールボロガールズの美女と乱交というハードな生活を送るのでした。

そしてテストを終えた高見沢は、ロンドンへと帰宅しました。ところが、ロンドンの高見沢のマンションに、田口のボディーガード軍団の杉原がやって来たのです。杉原は田口が倒れて、ボディーガード軍団は解散することが決まったことを告げました。しかし、今後の資金を得るために、高見沢に最後の仕事をして欲しいというのです。

やむなくその依頼を受けた高見沢は、韓国の金突貫大統領が日本に隠している、一千億円近い裏金を狙う計画に参加することになりました。用意周到な事前の下調べと準備のおかげで、高見沢たちの襲撃は成功して、一千億円を超える大金を手にすることができました。
その中から、高見沢は分け前として300億円という大金を手に入れたのでした。

裏の仕事を終えた高見沢は、再びロンドンへと戻ります。もう次のマシーンテストが近づいていたのです。
今度のテスト地は、以前高見沢がハンティングで訪れた南アフリカです。この地に到着して早々、新たなマールボロガールズの選抜に関わった高見沢は、早速2人の美女を口説いてものにするのでした。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」、第8巻を読み終えました。

灼熱のブラジルでは、来期のためのF1マシーンテストが続いています。燃料の混合比を変えることで、レースの規定周回数をこなすことができるようになった高見沢は、次々とマシンのテストを続けていきます。しかし、チームが持ってきたエンジンが全て壊れてしまい、高見沢たちチームの面々はブラジルから引き揚げることになったのでした。

一時、ロンドンの本拠地に帰った高見沢でしたが、すぐさま今度はカナディアン・ロッキーへの山岳猟へと出発したのでした。それまでのブラジルと違い、カナダは厳冬の最中でした。そんな中で高見沢は、レコードブレーカーの枝角を持つ獲物を求めてハンティングガイドたちと雪の中を進むのでした。
幸い高見沢は、ここでも幸運に恵まれて、レコードブックで上位に位置する獲物を手に入れることができたのでした。

そして高見沢は、今度はストーン・シープを求めて、険しいロッキー山脈へと出猟するのでした。
この巻では、高見沢たちが抜群の角を持ったシープを見つけたところでお話が終わり、実際にそのシープにアタックするのは次巻になるようです。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」、第7巻を読み終えました。

モンゴル猟から帰国した高見沢に、田口元首相のボディーガード軍団から声がかかりました。今回は政治的な目的ではなく、自分たちの利益のために世界幸福教会の金庫を襲って300億円を盗み出そうというのです。高見沢の報酬は、50億です。大金を得るため、高見沢はボディーガード軍団と共に襲撃計画に参加するのでした。

そうして大金を得た高見沢は、再びジゴロ稼業に精を出します。そして年が明けて、いよいよF1のタイヤテストがブラジルで行われました。それに参加した高見沢は、高温なサーキットで過酷なテストをこなすのでした。その一方で、チーム・マクラーレンのマスコットガールであるマールボロガールの1人・アンジェラといい関係になった高見沢は、アンジェラの友人のヴェロニカと共に激しいセックスもこなすのでした。(^^;

テストでは、例によって何度もマシーントラブルに襲われました。どのチームも220リッター規制に苦しむ中、燃料の混合比を変更できるレバーを装備した高見沢のマシンは、ようやく制限の中で規定周回数をこなすことに成功するのでした。
それに気をよくした高見沢は、今度はカナダのロッキー山脈にハンティングに行くことを思い立つのでした。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」、第6巻を読み終えました。

念願のF1ドライバーとなった高見沢は、チーム・マクラーレンのメンバーとして来シーズンのためのテストに参加するためにフランスへとやって来ていました。そこで高見沢は、チームのNo.1ドライバーであるニキ・ラウダと共に、マシンのテスト走行に挑みます。

しかし、テストしたマシンは来期のガソリン220リッター規制に向けての開発がまだ不十分なものでした。高見沢は必死でマシンを操りますが、高見沢の予想に反してポルシェのエンジンはすぐに故障してしまうのでした。
テストは結局、高見沢にとっては不本意なものとなりました。それでも高見沢は、来期に向けてロンドンにも事務所を構えることにしました。その準備が一段落した高見沢は、再びハンティングへと向かうのでした。

今回の目的地は、モンゴルです。ソ連経由でモンゴルへと入った高見沢は、ハイ・アルタイ山脈でレコードクラスのアルガリ・シープとアイベックスを狙います。険しい山岳地帯にハンティング・ガイドや通訳と共に入り込んだ高見沢は、そこでレコードブレーカーとなる大きな角を持った獲物を獲得することに成功したのでした。

こうしてハンティングを終えた高見沢は、東京へと向かいます。その頃、東京のチーム・マジクリーンの事務所では、高見沢たちが留守の間の連絡役として松本由紀が採用されていました。彼女は以前はF3ドライバーでしたが、今ではケガでレースから退いています。レースに詳しく、英語にも堪能ということで、浅見は由紀を採用したのでした。

今回は、前半はレース、後半はハンティングを楽しむことができました。最初に読んだ時は、ハンティング部分の面白さがわからなくて、この前アフリカでハンティングしたばかりなのに、また高見沢はハンティングに出かけるのか~と少しうんざりしましたが^^;、改めて読み返してみるとモンゴル・ハンティングは日数は少ないものの、なかなか過酷で読み応えがありました。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」、第5巻を読み終えました。

高見沢のアフリカでのハンティングが続いています。オカヴァンゴでの狩猟を終えた高見沢は、次はカラハリ砂漠での狩猟に向かいました。そこでまたライオンや他の獲物を狙います。ライオンに逆襲されそうになったり、ヒヤリとする場面も何度かありましたが、高見沢は無事にアフリカでのハンティングを終えたのでした。

そうして高見沢は、東京へと帰ってきました。高見沢がF1ドライバーになったことで、スポンサー獲得の話が順調に進んでいただけでなく、雑誌や新聞といったメディアも高見沢のことを記事にしていたのでした。
そして高見沢は、昼間はスポンサーまわりや取材、夜はジゴロ商売を再開したのでした。

そんな時、再び田口のボディガード軍団から仕事の依頼が入りました。今度のターゲットは、田口の不正をネタに、田口に脅しをかけてきた暴力団の栄光会です。彼らはこれまでの相手とは違い、構成員の全員が拳銃の名手という戦闘集団です。

その殺しを30億円で引き受けた高見沢は、栄光会の会長の誕生パーティーが行われるという別荘に事前に潜り込みました。そして構成員たちが集まったところを、高見沢は機関銃で彼らを皆殺しにしたのでした。そして高見沢は現場からの逃走をはかりますが、運悪く酔っぱらい運転の車と事故になってしまい、それをきっかけに警官隊や暴走族、自警団などと壮絶な戦闘を繰り広げることになったのでした。

5巻の一番の見所は、やはりこの逃走する高見沢の激闘なのですが、現代の日本を戦場に変えるようなすさまじい戦いぶりでした。
無事に仕事を終えた高見沢は、30億円という大金を手にします。そして高見沢は再び、F1レーサーの世界に戻っていくのでした。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」、第4巻を読み終えました。

高見沢は、マネージャーの浅見と共に南アフリカにやって来ていました。そこで行われる、F1の今シーズン最後のレースを見学しながら、内々に話を進めてきたマクラーレンチームのマネージャーであるロン・デニスに、高見沢をチームのドライバーとして使ってくれるように交渉します。
高見沢がF1で実績を上げれば、チームから契約金が支払われますが、まだ実績のない高見沢は5億円のパッケージ料金を支払って、チームに参加することを希望していたのでした。

ロンとの交渉の後、高見沢は浅見を伴って南アフリカでハンティングを行いました。そこで白サイ、ケープ・バッファローなどのレコードクラスの大物を狩ることに高見沢は成功したのでした。
そして、高見沢のチーム・マクラーレンへの加入をテストするための試験が行われることになりました。そこで好成績を出した高見沢は、ようやく来期から念願のF1ドライバーになることができたのでした。

F1ドライバーへの道が開けた高見沢は、再びアフリカでのハンティングに向かいました。今度はボツワナでライオンや豹を狙うのです。狙っていたはずのライオンに逆に追われることになったり、密猟者に傷つけられて暴れているケープ・バッファローを退治したりと、今回の猟でも高見沢は充実した時間を過ごしています。

この第4巻では、いよいよ高見沢にF1ドライバーとしての道が開けました。しかし、それ以上に力を入れて描かれているのが、高見沢のアフリカでのハンティングです。著者の大藪春彦さん自身がこの地でハンティングを行っているせいか、細部にわたった描写に迫力があって、読んでいて自分自身もアフリカでハンティングをしているような気分になれました。
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第3巻を読み終えました。

政界の黒幕・田口元首相の暗殺者となった高見沢は、田口の指示で田口の敵をライフルの超長距離射撃で狙撃。暗殺することに成功したのでした。それで大金を得た高見沢ですが、休む間もなく今度はレースが待っています。F2、グランチャン、どちらのレースでも好成績をあげた高見沢は、見事に年間チャンピオンの座を勝ち取るのでした。

この巻では、レースの合間に田口の指示で次々と殺しを行う高見沢の姿が描かれました。田口を脅す暴力団を牽制するために暴力団の支部を襲撃したり、田口に刃向かった政敵を暗殺したり、田口を脅迫した沖元首相を暗殺したりと、レースの合間も高見沢には常に危険が隣り合わせです。

それ以外にも、自動車系のスポーツライターとしての仕事をこなしたり、新車のテスト、ジゴロ商売もしなければなりませんので、高見沢の毎日は多忙です。そんな中、再び田口から呼び出された高見沢は、これまで田口を脅し続けてきた大阪の暴力団・関西連合の会長、武山をついに暗殺するのでした。

殺しの仕事の最中には、高見沢の命が危ない場面も何度かありましたが、高見沢はそれをなんとか切り抜けました。こうして田口の依頼で何度も殺しを行ううちに、高見沢は殺し屋としても超一流の腕前を持つようになってきました。その裏にはもちろん、田口の私設ボディガード軍団のバックアップがあるのですが、今のところ高見沢の殺しの成功率は100%という凄さです!
大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第2巻を再読しました。

第1巻の終わりでFPレースで優勝した高見沢は、その後も順調に勝ち続けます。そして、第1位だったライバルの高木を抜いて、総合ポイントで1位となったのでした。そのまま総合優勝を決めた高見沢でしたが、高木はFP最終戦で高見沢と同型の新型マシンを投入してきました。それに不安を感じた高見沢でしたが、高木は新型マシンをうまく使いこなせずに自滅。高見沢はマシンの性能ではなく、実力で高木に勝ったと示すことができたのでした。

次の高見沢の目標は、F2のグランチャンで好成績を上げてF1にステップアップすることです。新たなレースに備えて、高見沢はマシンの発注、スポンサーとの契約金の交渉、そして裏の家業であるジゴロなど忙しい日々を過ごすのでした。さらに高見沢は体力アップのために、かねてからの仲間と共にイノシシ狩りにも出かけます。

ここまでの高見沢は順調すぎるほどに順調でしたが、思いがけないトラブルが高見沢を襲います。ジゴロ商売で高見沢は、首相夫人の中根崎恵子から政界の裏情報を仕入れます。それを後から何かに利用できるかと、テープに録音していたことを、政界の黒幕である田口に知られてしまいました。
田口は自らの私設ボディガードを使って、高見沢を拉致して録音テープを没収させました。その上で、高見沢は命を取られるかと思いきや、かって高見沢が軍隊に所属していたことを知った田口は、高見沢を殺し屋として雇うと言い出したのでした。

危険が大きい殺し屋など高見沢はやりたくありませんでしたが、それを拒否すれば命がありません。やむなく田口の申し入れを飲んだ高見沢は、その手始めとして田口を恐喝していた暴力団の動きを封じるために、暴力団同士の抗争を仕組むことになってしまったのでした。

どうにかその仕事をやり終えた高見沢は、再びレース活動に向けて動き始めました。チームマジクリーンのマネージャとして、他のチームの監督などで実績のある浅見を雇い入れ、タイヤメーカーのブリヂストンと契約して、隊やテストに協力する代わりに、F2レースなどでのタイヤ供給を受けることになったのでした。

こうして着々と高見沢は自分の野望を達成するために動きますが、またしても田口から連絡が入りました。田口に逆らった政敵をライフルで狙撃しろというのです。依頼を断るという選択肢を持たない高見沢は、またしても田口のために狙撃を引き受けることになるのでした。

第2巻では、高見沢は順調にレースで実績を上げる一方、裏の世界ともつながることになってしまいました。
田口に力を貸せば高額な報酬を手にすることができますが、逆に常に命の危険と背中合わせです。これまでのジゴロとレーサー稼業に加えて、暗殺者としての顔も持つことになった高見沢は、ますます危険な光を放つ野獣のようになってきましたね。
以前にも読んだことがある、大藪春彦さんの「アスファルトの虎」第1巻を再読しました。

以前読んだ時も面白いと思いましたが、再読してもやはり面白かったです。これまでに多くの大藪作品を読んできましたが、最長の長さを持つこの作品は全作品の集大成的な内容を持っていると思います。

主人公は、かってアメリカ軍に在籍してベトナム戦争で戦ったこともある高見沢優です。学生時代はボディービルで体を鍛え、コンクールでも何度も優勝の経験があります。しかし、今の高見沢の最大の目的は、F1のチャンピオンになって、それを少なくとも3シーズン維持することです。

その目的のためには、高見沢は手段を選びません。裏の家業であるジゴロで荒稼ぎして、金持ちの女性から大金を巻き上げて、それをレースにつぎ込んでいます。そうして得た金で高性能のマシンを手に入れた高見沢は、FPレースでの優勝を勝ち取るのでした。

読んでいて感心するのは、細部のディティールの細かさです。車や銃などのメカニック、アスレチックトレーニング、薬品、食事などこれでもかというくらい緻密に描き込まれています。それが時には物語の進行を妨げているはずなのに、読んでいるとそれが全く苦にならないのが不思議です。逆にその具体的な描写のおかげで、作品にとんでもない説得力が生まれていると思います。

以前感想を書いた時は、2巻以降はまとめ感想にしてしまいましたが、今回の再読では個別に感想を書いていけたらいいなあと思います。
血の罠 (光文社文庫)大藪春彦さんの「血の罠」を読み終えました。

この物語では、大藪さんの作品にしては珍しく、主人公は2人の男です。1人は、汚職事件で警視庁から左遷されて、高杉市へとやって来た警部補の新田です。そして、もう1人は戦場で戦った経験もある元ボクサーの田島です。

物語は、新田が高杉市の弱小勢力である斎藤興業の社長から声をかけられるところから始まります。斎藤は、現在市を牛耳っている村井組の壊滅を新田に依頼します。それを受けた新田は、村井の愛人であり、田島の妻である美知子を利用して、市の第2勢力と村井組の間に抗争を勃発させるのでした。

出かけていた田島は、帰宅して妻が殺されたことを知ります。妻を殺された復讐を果たすため、田島は新田に言われるままに村井組との戦いを開始したのでした。

著者がまだデビューして間もない作品だけに、ストーリー展開に荒さが目立つ部分もありますが、クールな殺人機械・新田と、凶暴な野獣のような田島という2人の対照的なキャラが、とても魅力でした。
大藪春彦さんの「復讐の弾道」を読み終えました。

物語は、主人公の羽山貴次が刑務所から出所してくるところから始まります。彼は闇で戸籍を買って、それからは北川守と名乗って生きてきたのでした。しかし、仲間と共に現金強盗を実行した直後に事故を起こして、刑務所に服役していたのでした。服役中に羽山は、自分の兄が自殺したことを知りました。兄は東和自動車という大企業に関わっていたのですが、どうやら謀殺されてしまったようです。

出所した羽山は、兄の復讐を果たすため行動を開始するのでした。手初めてに現金輸送車を襲撃して資金を作った羽山は、兄の嫁である洋子に近づきます。そして洋子と結婚して、まんまとその遺産を手に入れることに成功したのでした。
しかし、それくらいで羽山の復讐は終わりません。秘密を知る弁護士、そして東和自動車の副社長、さらには東和自動車の社長と次々と復讐を果てして行くのでした。しかし、そんな羽山には、思いもよらない結末が待っていたのでした。

大藪さんの作品といえば、暴力と銃、車の力を借りて実力行使して状況を打破してゆく主人公が多いですが、この作品では珍しく暴力描写は控えめでした。その代わりに、羽山は肉体の美しさを武器に、結婚という手段でのし上がって行くのが珍しい作品でした。
奴に手錠を… (光文社文庫)大藪春彦さんの「奴に手錠(ワッパ)を…」を読み終えました。

主人公の白鳥雅也は、インターポール日本支局の秘密捜査官です。彼はドイツのハンブルグで起こった日本人女性の腐乱死体を調査するために現地へ向かったのでした。そこで白鳥は、事件の背後に巨大な犯罪組織が関わっていることを知るのでした。
インターポール内の裏切り者とも戦いつつ、白鳥は単身で巨大組織と対決するのでした。

この作品では、主人公は一匹狼ではなく、インターポールの一員です。しかし、大藪さんの主人公らしいのは、組織を利用すべきところは利用しても、完全にその飼い犬にはなってしまわないところです。
事件捜査の合間に手に入れた現金やダイヤなどを、ちゃっかりと白鳥は自分のスイス銀行の口座に預けたりしています。

事件の謎を追って、白鳥はドイツからオランダ、そしてフランスのパリへと飛び回ります。そうして白鳥は、ついに巨大組織のヘロイン精製工場に殴り込みをかけるのでした。
お話的にはまだ続きが書けそうですが、白鳥が完全に巨大組織を叩きのめす前に物語が終了してしまったのが残念でした。
血の挑戦 (徳間文庫)大藪春彦さんの「血の挑戦」を読み終えました。

4年前に、北見は兄貴分の三井と一緒に進藤組のヘロインを強奪しました。しかし、その直後に彼は何者かに襲われて、ヘロインを奪われてしまいました。その後、北見は逮捕されて網走刑務所に送り込まれたのでした。しかし、復讐の機会を窺っていた北見は、出所してすぐに再び元いた街へと舞い戻ってきたのでした。

そんな北見を執拗に狙う進藤組の刺客。そんな敵を、刑務所時代に鍛え上げた体と、拳銃の腕で北見は次々と切り抜けてゆくのでした。兄貴分である三井のところに身を寄せた北見でしたが、何度も北見は危機にさらされることになりました。
そして、北見は進藤組と対立する高島組に雇われて、進藤組と激突することになるのでした。

北見を裏切った人間の正体はバレバレのような気がしましたが、ちょっとひねりが加えられていて、誰が本当の犯人かが最後までわからないようになっていたのが面白かったです。
大藪春彦さんのウエポン・ハンター・シリーズ第7弾、「砂漠の狩人」を読み終えました。

前作、「アウトバーン0号作戦」でネオ・ナチスの陰謀と関わった星島は、しばらく日本の隠れ家に身を潜めていました。しかし、カメラマンとしてミュンヘンを取材する依頼を受けて、再びドイツへと赴いたのでした。そこでは、先に星島によって陰謀を潰されたネオ・ナチスの新たな陰謀が進行していたのでした。

ミュンヘンにやって来た星島は、そこで友人のビュルガーと再会しました。ビュルガーはロンメルが残した隠し財宝を追っていたのでした。そして時を同じくして、ネオ・ナチスの連中も同じ財宝を資金源として狙っていたのでした。さらに、以前に陰謀を阻止されたネオ・ナチスは、その実行犯候補としてビュルガーを狙っていました。

この物語では、星島たちの視点と敵であるネオ・ナチスの視点とが入り乱れて、緊張感のある物語が展開しました。とはいえ、大藪さんの小説らしくそれだけでは終わらず、ドイツ各地の様子、ドイツのロケット開発の歴史、ロンメルの戦いの記録と様々な情報が盛り込まれていて読み応えがありました。

今回も星島とビュルガーはネオ・ナチスの企みを阻止しましたが、その背後にいる一番の大物の正体が最後まで謎だったのが少し不満でした。このシリーズは続刊は出ていないようですが、もしかして大藪さんはこの続きも考えられていたのでしょうか!?
大藪春彦さんのウエポン・ハンター・シリーズ第6弾、「アウトバーン0号作戦」を読み終えました。

星島のカメラマン時代の友人が何者かに惨殺されました。その友人から星島の元へ、最後に1通の手紙が届けられていました。その中に入っていたのは、ベルリンで撮影したと思われるスライドだけ。その友人は星島に何を伝えたかったのか!?

その頃、星島の裏の顔である武器商アームズ・インターナショナルにも重大な出来事が起こっていました。アームズ・インターナショナルのデュッセルドルフ支社が何者かによって爆破されたのです。しかも、その以前にはデュッセルドルフ支社が関わった武器が、数度にわたって強奪されるという事件も起きていました。

事件の謎を調べるため、星島はオーストリア、ドイツと飛び回り、数々の危機をくぐり抜けることになるのでした。そして、星島の前に恐るべきナチスの亡霊が姿を現すのでした。
この物語は、この1冊で完結かと思ったら、続刊である「砂漠の狩人」へと続く物語となっているようです。

この物語でも、大藪春彦さんらしい細部のディティールにこだわった作品作りが、とても魅力的でした。その中でも特に印象的だったのは、星島の命を救ってくれたジッポー・ライターに関する描写でした。私はタバコを吸わないので、これまでライターには全く関心がなかったのですが、星島のような男がジッポーを愛用しているのを見ると、こういった小道具は男性のアクセサリーとして魅力的だなあと感じました。
大藪春彦さんのウエポン・ハンター・シリーズ第5弾、「オメガ・ワン破壊指令」を読み終えました。

星島は、かってフランス外人部隊に所属していた時に命を救われたステファンと再会しました。ステファンの娘が、何者かに掠われて行方不明になったのを探して欲しいというのです。星島がその調査を始めようとした矢先、ステファンは何者かに惨殺されてしまいました。
友人の意志を継ぎ娘を救出し、その復讐を果たすために星島の戦いが始まるのでした。

今回のウエポン・ハンター・シリーズでは、大藪作品にしては珍しくUFOにまつわるミステリーがいろいろと登場します。さらに、初期のパソコン通信BBSまで登場したのには驚きました。
しかし、こういった方面は大藪作品と相性がよくなかったようで、UFOマニアのオタクぶり、パソコン通信などに星島が当惑する様子が印象的でした。

そのせいか、いつもの星島らしいタフな戦いぶりはあまり見られず、誘拐事件やUFO騒動の裏側にあった背後の組織も今ひとつ何が何だかよくわからないものだったのが残念でした。
香港破壊作戦―ウェポン・ハンター (角川文庫)大藪春彦さんのウエポン・ハンター・シリーズ第4弾、「香港破壊作戦」を読み終えました。

前作でフレッド・サッターの裏切りにあった星島は、その後の調査でサッターがアームズ・インターナショナルの武器を香港に横流ししていたことを知りました。その清算をしつつ、さらに星島はA-2フライトジャケットにまつわる財宝の秘密に関わることになってしまったのでした。

今回の星島の戦いは、ちょっと都合が良すぎる展開だったような気がします。上手い具合に、過去に関わった新聞記者の情報提供者が現れたり、都合良く武器が出に入ったり・・・。
でも、2着のA-2フライトジャケットにまつわる物語は、歴史の影に埋もれていた闇が掘り出されたような感じのエピソードで、なかなか面白かったです。
地獄からの生還(ザ・サヴァイヴァル)―ウェポン・ハンター (角川文庫)大藪春彦さんのウェポン・ハンター・シリーズ第3弾、「地獄からの生還」を読み終えました。

このお話では、主人公の星島弘はいきなり絶体絶命の状況から物語がスタートします。周期的に四肢が麻痺して体が動かなくなってしまう奇病に、星島は冒されていたのです。しかも、そんな状況にも関わらず、星島からアームズ・インターナショナルの支配権を奪い取ろうと、フレッド・サッターが雇った殺し屋たちが星島に襲いかかってくるのです。

最小限の装備で、何とか窮地を切り抜けた星島は、拉致した女医と共に山にこもって体力の回復を図ります。なぜ、星島はこんなトラブルに巻き込まれたのか。そのきっかけは、彼がヴェトナム戦争で亡くなった戦友の墓碑銘を確認しに行ったところまで遡ります。
星島自身の手によって、死体を確認したはずの戦友ジョン・ロイの墓碑銘が削り取られて、裏切り者と刻み込まれていたのです。

その謎を追った星島は、MIAのジャック・コッチからジョン・ロイが生きていることを知らされます。ロイはいまだヴェトナムにいて、捕虜収容所に収容されているらしいのです。そして、そんなロイを救出する仕事を星島は引き受けることになりました。
そんな最中、アームズ・インターナショナルをまかせてあったフレッド・サッターの裏切りが星島を襲います。サッターに毒物を飲まされた星島は、それ以来奇病に悩まされるようになってしまったのでした。

このような絶望的な状況にあっても、星島は全てを諦めませんでした。体力が回復すると、米軍のサバイバル・コースへと参加して、サバイバルの訓練を受け直し、ジョン・ロイを救出するためにヴェトナムへと侵入するのでした。
そこでようやくジョン・ロイと再会した星島は、ロイがCIAがらみのヘロイン密輸に関わったことを知りました。MIAやCIAがロイを執拗に追っていたのは、その時にロイが強奪したヘロインを手に入れようとしていたからだったのでした。

この作品では、これまでの大藪作品でなかったほど、主人公は絶対的な窮地に追い込まれています。星島は、周期的に起こる発作によって、いつ体の自由がきかなくなるかわからないのです。
それでも星島は決して屈しません。知恵を絞り、極限まで体力を絞り抜き、絶対に生き残るという強靱な精神力を発揮して、何度も窮地を脱するのでした。

私自身、現在体がこわばる病を抱えているのですが、どんな時でも絶対に諦めない星島の姿にはとても勇気づけられました。特に、星島が超人だから危機を克服できたのではなく、人間としての弱さを認めた上で、あえて困難と戦ってゆく姿勢が印象的でした。
復讐に明日はない (光文社文庫)大藪春彦さんの「復讐に明日はない」を読み終えました。

実業家の鳥羽崇は、不審な自動車事故で両親を失いました。おまけに、父親の会社の財産は、いつの間にか別の名義へと書き換えられていたのでした。そして鳥羽自身にも危機が及びます。謎の襲撃者が鳥羽の自宅を襲い、愛する妻の命さえ奪ってしまったのです。

復讐を誓った鳥羽は、事件の背後に東関東会という韓国系の暴力団がいることを知ったのでした。父親の財産を奪ったのも、妻を殺害したのも、全てはその東関東会が実行部隊となって行われたことでした。東関東会のヤクザを締め上げた鳥羽は、黒幕として組長の柳と首相の沖山がいることを知りました。

さらにヤクザたちの尋問を続けた鳥羽は、鳥羽の父親が沖山や柳の秘密を握ったために殺害されたのだということを突き止めたのでした。鳥羽の父親も、かなりあくどい手段でのし上がったようです。そんな父と沖山たちは手を組んでいたこともあったのでした。しかし、鳥羽の父はサディストの沖山たちが外人タレントを何人も殺害していること、そして自分たちがもうけるために行った悪事の証拠を隠していたのです。

沖山たちの指令を受けた東関東会は、その証拠を隠滅するために鳥羽の家族を襲ってきたのでした。やがて、その証拠が異母兄弟である弟の手にあることを知った鳥羽は、東関東会に狙われていた弟からその証拠品を手に入れたのでした。
そして、沖田たちへの復讐の決意を固めた鳥羽は、彼らに対して単独で戦いを挑むのでした。

この物語も、何度も大藪さんの小説で描かれたのと同じ、復讐小説です。大藪春彦さんの小説を読み慣れていれば、目次をざっと見ただけで、およそのストーリー展開までわかってしまうのですが^^;、それでも実際に読んでみると面白い作品に仕上がっているのが凄いです。
謀略の滑走路―ウェポン・ハンター (角川文庫)大藪春彦さんのウェポン・ハンター・シリーズ第2弾、「謀略の滑走路」を読み終えました。

戦争カメラマンであり、裏の商売として武器を売りつける死の商人アームズ・インターナショナルの社長になった星島は、朝鮮戦争時代に大量のダイヤを搭載したMIG15が北朝鮮と韓国の間の非武装地帯に残っているという情報を得ました。

ダイヤを手に入れるため、星島は韓国の情報部KNSPから依頼された北朝鮮が密かに購入した武装ヘリの破壊と韓国でのオリンピック開催を阻止するために、空港の滑走路に北朝鮮の工作員が設置した爆薬を発見する仕事を請け負うのでした。

北朝鮮の特殊部隊員と死闘を繰り広げた星島は、滑走路に設置された爆薬の在処と、それを爆発させるための手段を知りました。さらに、韓国軍の特殊部隊から選りすぐりの隊員を選び抜いた星島は、彼らと共に北朝鮮の武装ヘリを破壊に向かうのでした。

ヘリの破壊は順調に進み、非武装地帯の司令官を脅迫した星島は、いよいよダイヤの回収に乗り出しました。しかし、そのダイヤは北朝鮮の特殊部隊も回収を行おうと、地中に何本も掘り進めた地下トンネルを利用した回収計画を実行していたのでした。
すんでのところでそれを阻止した星島は、ようやくダイヤを手に入れることができました。

しかし、星島を待っていたのは味方につけたはずの司令官の裏切りでした。司令官に監禁された星島でしたが、手持ちのサバイバル・キットを使って牢獄から脱出。司令官に復讐を果たし、無事にダイヤを回収することができたのでした。

ここまで苦労して手に入れたダイヤでしたが、最後に星島に待っていた運命には笑ってしまいました。大胆不敵で行動力のある星島ですが、変なところで詰めが甘いところがありますね。(^^;

今回のお話も、朝鮮戦争時代の様子や今なお続く北朝鮮と韓国の対立など、数多くの軍事情報が盛り込まれていて興味深いものでした。しかし前巻と同様、その分小説としては今ひとつな面白さなのは残念です。
戦場の狩人―ウェポン・ハンター (角川文庫)大藪春彦さんのウェポン・ハンター・シリーズ第1弾、「戦場の狩人」を読み終えました。

主人公の星島弘は、戦争カメラマンとして名をあげるために、単身アメリカへと渡り、そこで海兵隊へと志願してヴェトナムで特殊部隊員として活動しつつ、ヴェトナムの現状をスクープしたのでした。軍を除隊した後も、戦争カメラマンとして活動を続けた星島は、アメリカの最新兵器に日本製の機器が使われていることを発見しました。それを暴いてスクープをものにしようとした星島でしたが、死の商人アームズ・インターナショナルのゴールドスミスに、恋人を掠われてスクープを阻止されたのでした。

ゴールドスミスの手下に恋人をなぶり殺しにされた星島は、軍隊時代の経験を生かして復讐を果たしました。しかし、不思議なことにいつまでたってもゴールドスミスの報復はありませんでした。
そんな星島に、再びゴールドスミスが近づいてきました。彼の才能を見込んで、これからは星島に彼らの仲間として力を貸して欲しいというのです。

恋人の復讐という目的を秘めた星島は、自分の本心を隠して、次々とゴールドスミスの元で功績をあげました。そしてゴールドスミスに信頼された星島は、ついにアームズ・インターナショナルの副社長の座を手に入れたのでした。

その直後、星島のゴールドスミスへの復讐が行われました。新兵器のデモンストレーションを利用してゴールドスミスを殺害した星島は、そのままアームズ・インターナショナルの新社長へと就任したのでした。

これまでの大藪さんの作品と比べると、ウェポン・ハンター・シリーズというだけあって軍事情報がふんだんに盛り込まれた作品でした。特に星島の行動と重ね合わせたヴェトナム戦争の推移は、興味深いものがありました。
残念なのは、当時の軍事情報を駆使した面白さはある一方で、小説としては物語があまりにご都合主義的な展開だったことです。