日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


明日の子供たち有川浩さんの「明日の子供たち」を読み終えました。この作品では、児童養護施設が舞台となっています。

物語は、新米職員の三田村が出勤するところから始まります。施設に到着早々、散らかっている下駄箱を見つけた三田村は、それを整理し始めました。すると、そんな三田村を叱る女性が現れました。それが三田村の先輩である和泉でした。そして物語は和泉の先輩である猪俣。そして施設の子供である奏子と久志の視点から語られていきます。

物語などで読んだことはあっても、実際の児童養護施設など知らなかった私には、目から鱗な内容が多くて驚きでした。特に奏子が語った、「私たちはかわいそうじゃない」という言葉が衝撃的でした。奏子は児童養護施設に来たことで、学校にも通わせず家事を手伝わせたり叱ったりする母親から救われていたのです。

その後も、物語という形で児童養護施設が抱えるさまざまな問題が浮き彫りになります。その中でも最も重要なのは、施設を出た後の子供たちの面倒をみることは、もう施設にはできないということでした。限られた人員、限られた予算でやりくりしている施設には、そこまでの余裕がないのでした。

そんな中、施設の近くに「日だまり」という児童支援施設の存在が明らかになりました。その施設は、施設で暮らす子供たちが利用できるだけでなく、施設を卒業した後の子供の相談相手となることを期待して設立された施設でした。しかし、その施設はその必要性を行政にうまく説明できず、閉鎖の危機に陥っていました。

それを知った奏子たちは、施設の存続のために動きます。そして、その施設の必要性を公開の場で訴える機会を得たのでした。この第5章の奏子の演説が、とても説得力と迫真性にあふれていて心を打たれました。

正直、この章を読むまでは、面白い作品だけれど舞台を児童養護施設に変えただけで、登場人物はいつもの有川作品に登場する典型的なキャラばかりだと、ちょっとしらけた気分になっていました。それがこの章を読んだことで吹き飛びました。この章を読むためだけにも、この作品を読む価値があると思いました!

この本を読んでいる間、児童養護施設の現状が障害者と重なる部分があることに驚かされました。障害者福祉の世界でも、やはり少ない予算、限られた人材で関係者は苦労しています。そして、サービスを利用する当事者である障害者の声が、やはり行政に届きにくいのです。

この本の中では、障害者には選挙権があるからまだいいと読める箇所がありましたが、それは児童養護施設より幾分恵まれているだけで、厳しい現状は同じです。また就労という点では、障害者は健常者である施設の出身者よりも大きなハンディを負っています。
旅猫リポート有川浩さんの「旅猫リポート」を読み終えました。

宮脇悟は、いつも自分の車で昼寝している猫を可愛がっていました。ある日、その猫は車にはねられてケガをしてしまいました。それを助けたことから、その猫はナナと名付けられて悟と一緒に暮らすようになったのでした。
ところが、とある理由で悟はナナを飼い続けることができなくなってしまいました。新しい飼い主を探すために、悟はナナを連れてかっての友人たちのところを巡り歩くのでした。

そうして悟とナナの旅が語られつつ、悟やその友人たちの生い立ちも明らかになっていきます。これまでの有川さんの作品と比べると、かなりほのぼのしていて和めるのですが、やがて悲しい事実が明らかになります。

この作品を読んで思ったのは、あまりに悟が不幸な境遇過ぎることでした。悟本人は、それを不幸だとは感じていないようですが、客観的に見るとここまで不幸を連鎖させなくてもと思ってしまいました。悟とナナが一緒に旅をする、それだけでもちょっとファンタジックで魅力的なのに、悟が不幸すぎてお涙ちょうだい物語になってしまっているのがちょっと残念でした。
三匹のおっさん ふたたび先に発表された「三匹のおっさん」の続編、「三匹のおっさん ふたたび」を読み終えました。

前作は、3人のおっさんが無闇に正義の味方きどりで暴力をふるう部分があまり好きになれませんでしたが、2作目となる今作では、そういった部分が薄まってかなり読みやすい内容になっていました。

全6話が収録されていますが、第1話では清一の息子の嫁・貴子がパートに出るお話です。お嬢さん育ちだった貴子ですが、パートに出たことで少しだけ人間的に成長できたようです。第2話では、書店の万引きの話が描かれました。「あとがき」にもありましたが、本を売るということは単に商売というだけではなく、文化を育てるという一面もあるのだと気づかされるお話でした。

第3話では、3匹の1人則夫に再婚の話が持ち上がるお話でした。それを知った娘の早苗は動揺してしまい、付き合っている祐希との関係もギクシャクしてしまいます。第4話では、ゴミの不法投棄の問題が描かれました。若者のマナーもなってないですが、それ以上に常識をわきまえないお年寄りの存在が悲しいお話でした。

第5話では、商店街が中心となって、これまで中止されていたお祭りを復活させようとするお話です。重雄の息子・康生が奮闘しますが、寄付が思うように集まらず苦労することになりました。このお話では、今の生活では失われがちな地域のつながりについて考えさせられました。
最後の第6話では、なんと偽3匹のおっさんが登場します。偽とはいっても悪いことをしているわけではなく、本物と同じく町内の見回りをしているのですが、態度が横柄でかなり危なっかしい3人組です。

そして巻末には、「植物図鑑」の日下部の幼い頃が描かれるエピソードが収録されていました。どこか「三匹のおっさん」とつながりがあったのかもしれませんが、私にはどこがつながっているのか、さっぱりわかりませんでした。どうしてここに収録されたのかわかりませんが、余計な付け足しだったような気がしました。
ヒア・カムズ・ザ・サン有川浩さんの「ヒア・カムズ・ザ・サン」を読み終えました。

出版社で編集者をしている真也には、品物や場所に残された人間の記憶を見ることができる力がありました。
ある日、真也は同僚のカオルと一緒にアメリカにいたカオルの父親を迎えに行くことになります。その父親は、ハリウッドで映画の仕事をしていたらしいのですが、真也は力のせいでそれとは異なる記憶を見てしまいます。

この本は、そんなあらすじから有川浩が新しい物語を作り出すことに挑戦したものです。結果的に、2つの作品が本書には収録されることになりました。1つ目のお話では、カオルは父親から捨てられたと思い込んでいます。しかし、読み進んでいくうちに、意外な真相が明らかになるのでした。どこか推理小説っぽい内容でしたが、こういう形式の物語は有川さんはあまり得意ではないのでしょうか!? 謎が唐突でちょっとわかりにくかったです。

2つ目は、真也とカオルは結婚間近の恋人という設定になっています。同じように、ある日父親が帰ってくることになりましたが、カオルは気が重そうです。この父親、自意識ばかり過剰で、実力が伴わないというかなり痛い人でした。そんな父親とカオルの間を取り持つために、真也は苦労することになるのでした。
有川さん得意の恋愛要素もありましたし、カオルや父親の複雑な感情がうまく描かれていて、こちらの方が作品の出来は上だと思いました。

この本には、なぜかいつも有川さんの本の巻末にあるあとがきがありませんでした。どうして、こういう企画の本に参加することになったのか、そのあたりの裏事情とか語ってくれると楽しかったのになあ。
県庁おもてなし課このところ体調が不安定で、なかなか読書がはかどりませんでした。それでも、ようやく有川浩さんの新作、「県庁おもてなし課」を読み終えることができました。

今回の本でターゲットになったのは、高知県に実在する県庁の組織、おもてなし課でした。観光事業推進のため、何か独創的なことをしようという名目で作られた部署なのですが、悲しいくらいお役所体質から抜け出せません。手始めにと、他の県でもやっているように観光特使を作ってはみたものの、名刺を配っていただくということが決まっただけで、何も具体的に着手できません。

そんな時、おもてなし課の職員・掛水のところに、特使の1人である作家・吉門から連絡が入りました。そこで吉門から手厳しい指摘を受けたことをきっかけに、おもてなし課は少しずつ変わろうとし始めます。その手始めとして手をつけたのが、かって県庁に在職して高知県の動物園にパンダを誘致しようという提案をぶち上げた清遠を味方に引き込むことでした。

清遠本人は、それが原因で県庁を退職することになったことを根に持っていませんでしたが、その娘が障害となってなかなか清遠とコンタクトを取ることができません。それでも、ようやく清遠をアドバイザーとして力を貸してもらうことになりました。ここから、掛水たちの部署は一気に忙しくなりました。

これまで、何かをやろうにもお金がないとマイナス面ばかり見ていた掛水でしたが、清遠はそんなおもてなし課の面々に全く違った視点をみせました。掛水たちの予想を超えて、各所を探せば高知は意外とアウトドアスポーツなどを楽しんだり、ふんだんに残っている自然を満喫できる場所だったのでした。

そして清遠に加えて、作家の吉門もアドバイス役に加わり、徐々におもてなし課は民間の視点を取り入れた部署へと進化していきます。ところが・・・というのが後半のストーリーです。

この本を読んでいて気になったのは、地域色を出すために登場人物の会話やモノローグに土佐弁が使われていることです。テレビの番組などで方言を聞かされるのはそれほど苦になりませんが、文章として土佐弁が使われるととても読みにくかったです。なので途中からは、文章を全部読むのではなく、何を言おうとしているか理解できればOKと気持ちを切り替えました。

そして、お堅い役所がメインのお話ではありますが、有川さんの物語の特色である恋バナは健在です。(^^;
主人公の掛水とアルバイトの多紀、作家の吉門と清遠の娘と2つの恋愛模様を楽しむことができます。にやにやシーンもそれなりあって楽しめましたが、物語のメインは観光推進なので、ベタベタな恋バナとまではいきませんが・・・。

でも恋人としては、掛水×吉門の組み合わせが実は最強かもしれません。(笑)
シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)有川浩さんの新刊、「シアター!2」を読み終えました。

前作で完結かと思っていたのですが、内容的にはまだ続けられそうなのにもったいないなあと思っていたら、まさかの続刊の発売でうれしかったです。前巻では、鉄血宰相こと春川司、その弟の巧、そして声優としてのキャリアがありながら劇団に飛び込んできた羽田千歳あたりが物語を動かしていましたが、今回は前回影が薄かった他のメンバーが前面に出てきました。

そこそこ売れる劇団になったシアターフラッグですが、まだまだ300万円返済への道のりは遠いようです。
そんな時、劇団の公式HPに千歳のことを批判する書き込みが投稿されるという事件が発生しました。掲示板の運営規定に従って、発言を削除したものの、陰湿な嫌がらせは何度も続いたのでした。
それが原因で、千歳はちょっとへこむことになりましたが、意外にも牧子に相談を持ちかけたのでした。

さらに、その事件が解決したかと思いきや、今度は劇団のなにわっ子・大野ゆかりにチャンスが舞い込みます。
連続ドラマの端役に出演することが決まったのです。ところが、この頃劇団は司がいなくなった時を想定して動き始めているところでした。これまで司に頼っていた部分を、団員が勉強しながら補う形になっていたのです。
しかし、急に仕事が忙しくなってしまったゆかりは、この劇団の制作業務で苦労することになるのでした。

そして、ゆかりの事件が落着したと思いきや、今度はちょっとしたことから千歳とスズがケンカすることになってしまいました。どじっ子のスズは、裏方の仕事をしてもいつも失敗ばかりで周囲に迷惑をかけています。しかし、それを千歳が庇ってくれたことでカチンときてしまったのです。そして、ついつい余計なことまで言ってしまい、スズと千歳はお互いに悩むことになるのでした。

その事件も無事解決と思ったら、今度は巧が突然家出してしまいました。
借金返済のために、より動員客数を増やしたいシアターフラッグでしたが、適当な規模の劇場がなかなか借りられません。それが返済の足を引っ張っていると思った巧は、気むずかしいことで有名な劇場をなんとか借りようとします。しかし、自分たちの芝居を支配人に批判されて、怒って契約を蹴ってしまったのでした。
それに責任を感じた巧は、みんなに合わす顔がなくて神戸まで家出することになったのでした。

しかし、そんな劇場問題も兄・司の登場で光明が見えました。ここで物語は、いったん終了となりましたが、次巻で完結の予定らしいので、どんな結末を迎えるのか楽しみです。(^^)
ストーリー・セラー有川浩さんの最新刊、「ストーリー・セラー」を読み終わりました。

この物語は、Side AとSide B、2つで対となっていました。先にSide Aの方がアンソロジーに収録されたらしいですが、それは未読でした。作中でも語られていますが、AとB対になったことで1つの形としてまとまった作品になったと思います。

Side Aでは、作家の妻が突然奇病に冒されます。考えることで寿命が縮んでしまうという病気なのだそうです。
そこからお話はさかのぼって、彼女と夫との出会いが描かれます。同じデザイン会社に勤めていた2人でしたが、最初はそれぞれお互いが気になる相手ではありませんでした。ところが、彼女が自作の小説が入ったUSBメモリを置き忘れ、それを彼が読んでしまったことから2人のつきあいが始まりました。

最初は自分の小説を他人に見られることをかたくなに拒否していた彼女でしたが、次第に彼に心を許して最初の読者になってくれるようにお願いすることになります。彼女がここまで頑なだったのは、学生時代に所属した文芸部で自作を手厳しく酷評されたからでした。

しかし、そんな彼女の作品を、彼は褒め称えました。そして、他の人にもその感動を与えるために、新人賞に応募することを勧めるのでした。そこで大賞を受賞した彼女は、作家としての道を歩むことになりました。ところが、学生時代に彼女の作品を酷評した者たちが、フリーのライターとして彼女の作品をけなしてまわります。
それをきっかけに、彼女は心の病を患うようになってしまったのでした。

さらに彼女の不運は続きます。彼女の実家は、彼女の作品に理解がないばかりでなく、面倒なことは全て彼女に押しつけてくるのです。老人性痴呆で廃人同様になっていた祖母を介護施設に入れた彼女は、ついに決定的に心のバランスを崩して、原因不明の奇病を患ってしまったのでした。
そんな彼女が、死の前に彼に残したメッセージにはほろりとさせられてしまいました。(/_;)

Side Bでは、夫の方が死ぬ話が書かれることになりました。
Side Aとは違う状況の彼と彼女。そんな彼は、ある日自分が大好きな本を書いているのが、彼女だということを知ってしまいました。それを機会にじょじょに関係が深まり、ついに2人は結婚することになったのでした。

彼は会社員を続けながら彼女をサポートし、彼女は彼に助けられながら専業作家生活を送ります。そんな日常がずっと続くのだと思っていたのに、ある日彼が交通事故にあったという連絡が入りました。幸い、自己では一命を取り留めた彼でしたが、その時の検査で膵臓に異常が見つかりました。それは彼の命に関わるものでした。

彼と彼女は、残された時間を大切に、大切に生きていきます。そして、ついに彼が最期を迎える日がやって来てしまうのでした。

どちらも死を扱っているだけに重さはありますが、基本ラブラブなのは有川さんらしいと思いました。
そして気になるのは、この小説で書かれている彼と彼女です。これって、やはりモデルは有川さん本人と旦那さんですよね!?

どのくらい物語の中に事実が織り込まれているのかわかりませんが、Side Aを読んでは有川さんが昔文芸部に所属して辛い目にあったことがあるのではないか!?とか、実家との関係がうまくいってないのか!?とか、あとがきにSideBと同じように旦那さんが事故にあったと書かれていたり、有川さんや旦那さんは大丈夫なの!?と心配になりました。(^^;
キケン全作品読んでいる数少ない作家・有川浩さんの新刊、「キケン」を読み終えました。けっこうハイペースで新刊が発売される有川さんですが、ペースが速い割に作品の質が落ちてないのが凄いです!

この物語は、成南電気工科大学の機械制御研究部、通称・キケンに集まった面々を主役に、彼らの楽しい学生生活を描いたお話です。メインとなる登場人物は、爆弾魔の部長・上野。大魔神と恐れられる副部長・大神。新入生の元山と池谷の4人です。そんな彼らの活躍が、6話に渡って描かれました。

第1話は、1回生として入学してきた元山と池谷が、部長の上野に誘われてキケンに入部することになります。そこで2人は、部長のとんでもないはっちゃけぶりを知ることになるのでした。
第2話では、副部長・大神の思いがけない恋の行方が描かれました。第3話と第4話では、学祭でラーメン屋を営むキケンの活動ぶりが描かれました。
第5話では、ロボット相撲に出場することになったキケンの活躍が描かれました。そして、第6話では社会人の視点から、そんなキケンの素晴らしさが語られるのでした。

この作品の楽しさはいろいろとありますが、現在社会人になった方ならキケンの面々と方法や手段は違っても、同じように学生時代にはバカやったよな~と懐かさを感じることができると思います。バカバカしいことに真剣になってしまうキケンの面々。その姿には、若き日の自分の姿が重なったりもしました。

全体に軽い感じのノリなので、肩が凝らずに読めるのがいいです。そして、有川作品といえば恋バナですが、それは第2話の大神のエピソードや、各話の終わりと第6話のエピソードで甘酸っぱい気分になることができます。
そうそう。第6話では、ちょっとしたサプライズもありますので、それも読んでいて楽しいですよ。(^^)
シアター! (メディアワークス文庫)有川浩さんの新刊、「シアター!」を読み終えました。いつもはハードカバーで出版されることが多い有川さんの本ですが、今回は珍しく文庫書き下ろしで発売されたおかげで、図書館のお世話にならずに読むことができました。(^^;

今回の物語は、借金を抱えた小劇団のお話です。劇団の主宰者である巧は、300万円の借金の肩代わりを兄の司にお願いしました。そんな巧に司が出した条件は、2年間で300万円を返済できる劇団になれ!という厳しいものでした。
巧は結局それを受け入れて、これまでとは違う黒字の出せる劇団を目指して奮闘することになりました。そんな巧の背中を押したのは、兄の条件だけではありませんでした。時を同じくして、劇団に新人が入団していたのです。

彼女、羽田千歳はプロの声優として子供の頃からキャリアを重ねてきました。しかし、声優として自分が築き上げてきたものに不安を感じて、劇団の門を叩いたのでした。そんな千歳の存在、それが巧を動かしました。これまでは、好きだからだけで続けてきた演劇が、千歳というプロに認められたからです。
そんな千歳を加えて、シアターフラッグは借金返済、そして黒字の出せる劇団としての道のりを歩き始めたのでした。

この物語を読んでいて、一番共感したのは巧の兄で鉄血宰相こと司でした。劇団の他のメンバーは、とかく理想が先に立って、お金というシビアな現実を知りません。そんな劇団員を冷たく滅多切りにしつつ、シアターフラッグを変えるために司が采配を振るうのがとても魅力的でした。

そんな司に共感したのは、私が学生時代にサークルの会計係をしていたからかもしれません。学生のサークルにありがちですが、とかく精神論ばかりが先走って、先立つものが欠けていました。当時は口は出すけれど、金は出さない先輩に辟易させられましたが、この小説を読んでいてその当時の鬱憤が晴れる思いがしました。(^^;
物語は、一応シアターフラッグの今後に希望が見えたところで終わっていますが、有川さん得意の恋愛成分は薄かったですし、ぜひ続編を執筆して欲しいと思います。

それにしても、このところ有川さんの作品はどれも面白いですね。初めて図書館戦争を読んだ時は、文章がはっちゃけすぎている気がしましたが、このところそれも落ち着いて、内容的な面白さがより際だってきた気がします。
この作品は、図書館戦争がアニメ化されたことで、声優の沢城みゆきさんと知り合ったことがきっかけで生まれてきたようです。よい出会いが、よい作品を生み出す原動力となっているのがいいですね。(^^)
フリーター、家を買う。有川浩さんの新作、「フリーター、家を買う。」を読み終えました。

読む前から、とにかく最初が暗く重い話だと知っていたので、少し緊張しながら読みました。主人公の武 誠治は、そこそこの大学を卒業してようやく就職したのに、その会社を3ヶ月で辞めてしまいました。それ以来、誠治はフリーターとしてだらだらと暮らしてきました。そんな時、母親の様子に異変が!
なんと20年来に渡るご近所のいじめが原因で、母親が重度の鬱病になってしまったのです。これまでずっと母とご近所の関係に気づかなかった誠治は、姉に叱られてようやく現実を認識しました。

これまでの自分の生活を恥じた誠治は、心機一転して就職活動に力を入れて、母親のことを気遣うにようになったのでした。しかし、エリート社員の父親は、母の看護にも非協力的です。そんな中、誠治は懸命に努力して、壊れてしまった家族を再生しようと奮闘するのでした。
そんな彼の努力が認められて、バイトしていた土建屋の事務職として採用されることが決まったのでした。

前作の「植物図鑑」はベタベタの恋愛ストーリーでしたが、この作品には恋愛成分は少なめでしたが、いろいろと考えさせられることがありました。私自身、現在うつ病の療養中ですので、同じような境遇の人物が登場する作品を読めるのか!?という危機感がありましたが、逆に「心が折れるまでがんばった人間を、心が弱いと言えるのか」といったセリフに救われる気持ちがしました。

そして、就職した誠治は、それこそ何でも屋的に仕事でがんばります。このあたりの誠治のがんばりは、仕事をしていて自分でも感じたやりがいを思い出して懐かしい気持ちになりました。何でも屋的な仕事はたいへんですが、それだけに自分の仕事の成果がダイレクトに反映されるのが楽しいんですよね。

こうしてがんばった誠治は、とうとうまとまったお金を貯めて、母親のストレスの原因である家を引っ越すことができたのでした。その家には、会社の近くで拾って助けた子猫が一緒に暮らしています。その世話をすることが、母親の精神状態によい影響を与えているようです。
この展開も、同じく私がうつ病でどん底だった時に子猫を拾って育て始めた経験と重なりました。子猫が側にいてくれたことで、どんなに心が安らいだことか・・・。

ということで、主人公の誠治を通しては、自分自身の甘さやずるさを指摘される思いで共感することができました。また、うつ病の母親を抱えての家族の様子は、私自身が発病した時の家族の姿と重なるものがあって、涙なしには読めませんでした。この作品を読んだおかげで、今私がこうして生きているのは、温かい家族のサポートがあったからだと感謝の気持ちでいっぱいです。
植物図鑑有川浩さんの新刊、「植物図鑑」を読み終えました。

前作の「三匹のおっさん」は、それなりに楽しいお話でしたが、有川さんの作品にしては恋愛成分が少なめだったのがちょっと不満でした。

今回の「植物図鑑」は、その不満を一気に晴らしてくれるような、ラブラブで爽やかな物語でした。(^^)
会社員で一人暮らしをしている河野さやかは、ある日一人のイケメンを拾いました。行き倒れていた青年を助けて、彼を自分の部屋で一緒に生活させることになったのです。この彼、イツキという名前以外は謎だらけなのですが、世間で雑草と呼ばれてあまり注目されない草花に詳しい上に、家事が得意。

そこで家事を引き受けることを条件に、さやかはイツキと共同生活を始めたのでした。そんなイツキに惹かれて、いつしかさやかもイツキと一緒に山菜採りに出かけるようになっていました。食事も、それまでの外食中心だったものから、イツキが作ってくれたヘルシーな山菜料理に囲まれる毎日です。
そこで紹介されるイツキの料理の数々が本当においしそうなんですよね。巻末にレシピも掲載されていましたが、食べてみたい~と本気で思いました。(^^;

最初はさやかとイツキの関係をにやにやと見守っていましたが、2人の気持ちがどんどん近づいてゆき、とうとう2人は結ばれるのでした。しかし、そんなさやかの前から、突然イツキは姿を消してしまったのでした。
最終的に物語は収まるべきところに収まるのですが、イツキがいなくなってからのさやかの心の動きが好きですね。誰かを好きになるのは、その人の名前や出身地、職業、経歴、そんなものを好きになるんじゃなくて、その人の人柄そのものを好きになることなんだと、とても自然に納得できました。

そして、連想したのが日々のブログを通してのネットでのお付き合い。ニックネームを名乗られている方が多いですし、どこに住んでいるのかとか年齢さえもよくわからないことしばしばです。それでも、いつしか仲良くして下さる方が現れて・・・。この関係って、ネットでの人付き合いと本当に似ているなあと思いました。
三匹のおっさん有川浩さんの新作、「三匹のおっさん」を読み終えました。

還暦を迎えた元3匹の悪ガキが、ご町内の平和を守る三匹のおっさんとして活躍する連作短編集でした。剣道の達人のキヨ、柔道家のシゲ、メカいじりの達人ノリ、そしてキヨの孫・祐希とノリの娘・早苗が主要な登場人物です。この本には、三匹が活躍する6本の作品が収録されていました。

第1話では、悪質な恐喝。第2話は強姦犯。第3話は詐欺師。第4話は、動物虐待。第5話は、脅迫犯、第6話は、悪徳商法と三匹が戦うことになりました。現代を舞台にした作品なのですが、三匹の活躍ぶりの雰囲気は、時代劇がかったものを感じました。

ちょっと不満だったのは、今回は有村さんの作品にしては恋愛成分が少なめだったことです。一応、祐希と早苗の恋も描かれるのですが、2人の関係は初々しくて、ベタ甘までいかなかったのが残念でした。

それなりに楽しく最後まで読み終えましたが、これまでの有村作品と比べると、ちょっと不満が残る物語でした。それが何か考えてみたら、一般市民であるおっさんたちが活躍しすぎているせいだと感じました。確かに、この世代が元気なことは認めますが、自分たちで犯人に制裁を加えてしまうのはどうかと思いました。自衛隊シリーズや図書館シリーズでもそうでしたが、有村さんの作品の魅力の1つは、主人公の側であってもも絶対的な正義ではないという部分にあると思いますので。
ラブコメ今昔気がつけば何のかんので有川浩さんの本で、書店や図書館で手に入る本は全て読み終えていました。ということで13冊目の有川さんの本、「ラブコメ今昔」を読み終えました。

この本は自衛官を題材にした短編集でした。「クジラの彼」とは違って、これまでに書かれた自衛隊三部作との繋がりはありませんので、単独の短編集としても楽しむことができます。
この本には、「ラブコメ今昔」、「軍事とオタクと彼」、「広報官、走る!」、「青い衝撃」、「秘め事」、「ダンディ・ライオン」の6本の作品が収録されています。

最初に収録されている「ラブコメ今昔」と「ダンディ・ライオン」には、共通する登場人物が出てきます。
最近の有川さんの作品に共通していることですが、どの作品もベタ甘なラブラブ話で、読んでいて思わず「ごちそうさま」という気分になれます。(^^;

表題作「ラブコメ今昔」は、有川さんの作品には珍しく熟年カップルの馴れ初めが語られるお話でした。今時の開放的な恋愛も楽しいですが、昔ながらの奥ゆかしい恋愛もいいものですね。
「軍事とオタクと彼」は、読んでいてこんな自衛官いるのかぁ!とのけぞってしまいました。考えてみれば、自衛官だって人間ですからオタクがいても不思議はないのですが、私の中の自衛官のイメージとオタクが繋がらなくて、そのギャップに戸惑いました。

「広報官、走る!」では、主人公の自衛官よりもその恋人となるテレビ局のADさんが心配になりました。テレビ局関係者の知り合いとかいないですが、テレビ局関係者ってそんなに時間にルーズなんでしょうか!?
恋愛物として一番楽しめたのは、「青い衝撃」と「秘め事」でした。どちらも自衛官というのは、一歩間違えば死と向かい合うことになるたいへんな仕事なんだなあと痛感させられるお話でした。

そういえばこの本を読んでいる時、ちょうど青森で断水して給水活動のために自衛隊が出動したニュースを見かけました。ニュースでは自衛官に対する感謝の言葉は聞かれませんでしたが、この正月に休日返上で活躍していた自衛官の方たちもいたんだなあと思うと、頭が下がる思いでした。
今まで何となく助けてくれるのが当たり前のように見過ごしていたニュースを、少し違う視点から見られるようになった分だけ、有川さんの作品と出会えて良かったと思います。(^^)
クジラの彼有川浩さんの「クジラの彼」を読み終えました。自衛隊三部作の「空の中」「海の底」の番外編も収録されている、自衛隊をネタにした短編集でした。

自衛隊がらみのお話ですが、どれも基本的にベタ甘なお話のオンパレードでした。図書館シリーズで有川さんの作品を読み始めたばかりの時には、「うわ~、このベタ甘にはついていけない」とあまりのラブラブ展開に恥ずかしくて、読書中に転げ回りたくなることが何度もありましたが^^;、このところ立て続けに有川さんの作品を読んでいたので、そんな甘さにも体が慣れてしまいました。(笑)

表題作「クジラの彼」は、「海の底」に登場する自衛官・冬原の彼女を主人公にしたお話でした。潜水艦乗りの宿命として、長期間の任務で何ヶ月も連絡さえ取ることができなくなる日々があって、気持ちが揺れながらも冬原のことを好きで居続ける聡子の健気さに思わずほろりとさせられる作品でした。

そして「有能な彼女」は、「海の底」でめでたくカップルとなった夏木と望のお話でした。夏木の口の悪さ、望の強情っぱりは相変わらずでした。でも、そんな2人だからこそ上手くいってしまう恋愛もあるんですねえ。

「ロールアウト」と「国防レンアイ」、「脱柵エレジー」はオリジナル作品です。「ロールアウト」は、自衛隊機のトイレを巡る問題を描いたお話ですが、笑いながらも自衛官だって人間だという当たり前のことに気づかされるお話でした。
「国防レンアイ」と「脱柵エレジー」は、どちらも自衛官の恋愛の難しさを、笑いを交えて描いたお話でした。「国防レンアイ」の泥酔した時の三池のはっちゃけぶりには、大爆笑させてもらいました。

そして「ファイターパイロットの君」は、「空の中」でめでたくカップリングが成立した光稀と高巳のその後を描いたお話です。光稀の天然でツンデレっぷりが無茶苦茶可愛いんですけど!(^^;
ラブラブを描きながらも、自衛官の日常の厳しさも垣間見えて、思わずほろっとさせられるいいお話でした。
海の底有川さんの自衛隊三部作、第3弾「海の底」を読み終えました。

横須賀基地で基地を市民に開放するイベントを開催していた時に、突如として海から巨大なザリガニが襲いかかってきました。町内の仲間たちとイベントに来ていた子供たちも、その襲撃に巻き込まれてしまいました。彼らはたまたま港に停泊していた、自衛隊の潜水艦に一時的に避難することになりました。
物語はザリガニを阻止しようとする機動隊の活躍と、艦内に閉じこめられてしまった子供たちの2つの視点から描かれます。

個人的には、お話の構成の巧みさ、物語の緊迫感は自衛隊三部作の中でも一番だと思いました。
最終的に現場を自衛隊に譲り渡すことを想定しつつ、その中で最大限の活躍を見せる機動隊。艦内の子供たちの歪んだ町内会の人間関係がじょじょに明らかになってきて、2つの視点から物語を楽しむことができました。

この物語のポイントは、艦内に残された子供たちの中に女の子がいたという点ですね。作者が女性ということもあって、そうした極限状況に女性が置かれた時の心理描写が秀逸だと思いました。
そして閉塞された状況の中で、子供たちを守ろうとする自衛官と、それに反発してしまう中学生の対立も読み応えがありました。
それなりに重い内容を持った作品ですが、ラストの爽やかさが印象的でした。
空の中このところ有川さんの小説をいくつか読んでいたので、この機会に自衛隊三部作も読んじゃえ!と勢いで第2作の「空の中」に手を出してしまいました。(^^;

高度2万メートルで起こった2度の飛行機事故。その原因はなんと、2万メートルの上空を住み家にしていた人類にとって未知の生物が原因だったのでした。物語は、その事故の原因を調査しようとする大人側の視点と、偶然未知の生物の片割れを拾った中学生の男の子の視点から描かれます。

あとがきで作者も書いていましたが、これは本当に怪獣小説ですねえ。クラゲのように空中を浮遊する"白鯨"と呼ばれる生物に、思考能力があって人間とコミュニケーションを取れるという設定が面白かったです。
そして第1作の「塩の街」では陸上自衛隊がメインでしたが、今回は空が舞台ということで航空自衛隊が絡むお話になっていました。

最初に戸惑ったのは、その文体でした。中学生の少年が高知に暮らしているということで、土佐弁が頻繁に出てくるのです、どういうイントネーションや言い回しでしゃべられるのか想像がつかない台詞もあって、慣れるまでかなり読みづらかったです。・・・慣れてからは、その方言が逆に暖かみがあっていいなあと思えましたが。

おおむね楽しんで読むことができましたが、1つだけ気になったのは"白鯨"を撲滅しようとする団体のリーダーで高校生の真帆のキャラ設定だけは違和感がありました。頭が切れるのはいいとして、大人を相手にあまりにもしたたかに振る舞いすぎているような気がしました。もちろん、そうなるだけの事情があるのですが、それを理解した上でもあまりに大人びすぎている気がしました。

ということで、作者のデビューから2作目ということで拙さも見られますが、その部分にちょっと目をつむれば、かなりSFしていて楽しめる作品だと思います。

空の中 (角川文庫)そうそう。今回私が読んだのはハードカバー版でしたが、最近発売された文庫版では番外編の短編が収録されているようなので、これから読まれる方にはそちらをお勧めしておきます。
阪急電車先日、図書館戦争シリーズを読み終えたばかりなのに、再び有川さんの本に手を出してしまいました。

関西のことは全然わからないのですが、阪急電車の今津線を舞台にした連作短編形式の物語です。
いつも図書館で顔を合わせる男女が電車で出会うお話をスタートに、次の物語はその時に脇役で登場した人物の視点から物語が進んで行く形式でお話が続きます。

電車の往路と帰路の組み合わせで1つの物語になっているのですが、図書館からの恋の始まり、恋人を寝取られた女性の復讐、お祖母さんと犬好きの孫、彼氏から暴力を受けている女の子、元気な女子高生とその彼氏、軍オタの男の子と名前コンプレックスの女の子、とさまざまなシチュエーションで楽しませてもらいました。

その中でも特にお勧めが、女子高生のえっちゃんが語るアホな彼氏の物語「甲東園駅」です。
作者が実際に電車の中で聞いた、女子高生のやり取りを物語にしたものらしいのですが、彼氏のアホぶりとえっちゃんの話術の巧みさ、それを聞いている友達の絶妙の突っ込みに何度も大笑いさせられました。
この物語を読むためだけでも、この本を読む価値があるというくらいお勧めの一編です。
別冊 図書館戦争〈2〉図書館戦争シリーズの別冊も、とうとう2冊目です。

2作目となった今回は、意外にも本編では影が薄かった緒方副隊長にスポットが当たるお話から始まりました。大学時代に緒方が知り合った女性との切ない恋の物語なのですが、最後に少しだけ希望が見える終わり方だったのが上手いなあと思いました。

そして2本目は、堂上と小牧の若かりし頃のお話でした。今では完璧で頼れる上司としか見えない二人ですが、若い頃にはいろいろと失敗することもあったというお話です。エピソードとしては興味深いですが、お話としては今ひとつな感じでした。

そして、メインとなる柴崎と手塚のゴールインのお話は、何と柴崎へのストーキングという重苦しい内容の物語となりました。ストーカーに狙われることの恐ろしさが、柴崎の経験を通して重苦しく胃が痛くなるような苦しさで描かれていて、ちょっと引きそうになりました。
でも、最後は犯人探しの推理小説のような面白さもありましたし、無事に柴崎と手塚の結婚式まで見ることができて、それまでの重苦しさから一気に解放されたような感じでした。

有川さんの作品の文体にはいまだに馴染めない部分もあるのですが^^;、それでも図書館戦争シリーズ以外にも手を出してしまったことを考えると、基本的に物語作りがとても上手い作家さんだなあと思います。
アニメがきっかけになって読み始めた作品でしたが、アニメだけ見られた方には、ぜひ原作も読んでみてとお勧めしたいです。アニメでは描かれなかった組織の内面や、登場人物たちのその後も描かれていて、とても楽しめる内容になってますよ!
別冊図書館戦争 1 (1)図書館シリーズの番外編とでもいうべき、「別冊 図書館戦争I」を読み終えました。

ベタ甘の恋愛仕様ということで覚悟はしていましたが、まさか郁と堂上がここまでベタベタしてみせてくれるとは思いませんでした。2人の関係だけに絞ると、キスから愛撫、セックス、同棲というお話の流れで、愛撫、セックスあたりは微妙にエロかったりもしてますねえ。(^^;

そんな2人よりも気になったのは、柴崎と手塚です。2人はかなりいい雰囲気ではあるのですが、公式に彼氏彼女になるには、もう1つ大きな壁を乗り越えないといけないかなという感じです。
この別冊 図書館戦争は続きも出るようなので、ぜひ2冊目ではラブラブな柴崎と手塚を見せて欲しいですね。

例によって、甘々展開の裏側では、きちんと図書隊ならではの事件も発生しています。それぞれのエピソードでいろいろと考えさせられる部分もあって面白かったですが、最後の「シアワセになりましょう」は図書隊への情報提供者が不明なままで、少し物足りなさが残ったエピソードでした。
塩の街図書館シリーズ以来気になっている、有川浩さんのデビュー作を読んでみました。

突如宇宙から飛来した塩の柱の影響で、世界は塩害と呼ばれる崩壊の時を迎えていました。人間が塩の固まりになって次々と死んでゆくのです。多くの人が塩の柱になって死に、社会システムも崩壊寸前、弱い者が強い者の犠牲になってゆく社会へと世界は変貌していました。

最初のエピソードを読んだ時は、ファンタジー系のお話かと思ったのですが、読み進むにつれてベタベタの恋愛話になっていったのには驚きました。(^^;
これまで、作者はハードな設定の中にサービスで恋愛を入れた物語を書く人だと思っていたのですが、むしろハードな設定の方がおまけで、ベタベタの恋愛が作者の本質だったんですね。

恋愛ものとしては王道をいっている作品だと思いますが、私自身はこういった恋愛ものがあまり得意ではないので、読んでいて何度も恥ずかしくて転げ回りたくなりました。
10代の時だったら、こういうお話を読んでも素直に感激できたのでしょうが、さすがにこの年になってこういうお話を読むのはこっぱずかしいです。

そういう意味では、この物語は若い読者にこそ読まれる作品なのかもしれませんね。
ただその点で少し気になるのは、有川さんの作品の多くがハードカバーで発売されていることです。
自分の学生時代もそうでしたが、若い世代の懐事情ではハードカバーはやはり敷居が高いと思います。図書館シリーズもそうですが、どんどん文庫化して若い世代に読んでもらいたい作品ですね。
図書館革命図書館シリーズも、いよいよ「図書館革命」で最終巻となりました。

今回は、これまでのように1話で1エピソードではなく、1巻通してのお話となりました。
敦賀の原発にヘリが突っ込むというテロが発生しました。最初は図書隊とは関わりのない話かと思いましたが、そのテロの手口が作家・当麻蔵人の書いた小説と酷似していたことから、良化委員会が当麻を拉致して執筆活動に制限を加えようとする動きがありました。

郁たちはそんな当麻を守って、とうとう図書隊と良化委員会の裁判での全面的な戦いが始まってしまうのでした。しかし、最高裁の判決は、良化委員会側に有利な判決となり、当麻は起死回生の手段として海外への亡命という作戦に出ることになってしまいました。
そんな当麻を護衛して、珍しく(笑)郁が大活躍することになるのでした。

物語全体はけっこうハードなのですが、時折挟まれる郁と堂上のおのろけバカップルぶり、いつの間にか柴崎の尻にひかれている手塚、小牧と毬江ちゃんのラブラブぶりには、読んでいて恥ずかしくなってしまいました。(^^;

先日終了したアニメの続きが読めたのはよかったですが、やはり最後まで作品の抱えるテーマの重さと郁たちのお気楽さのギャップに違和感がありました。銃でドンパチやっている世界のわりには、登場人物たちに緊張感が足りないような気がするんですよね。
そのあたりのバランスがもう少しよかったら、もっとお気に入りの作品になったと思います。
図書館危機図書館シリーズ第3弾、「図書館危機」を読み終えました。

アニメでは既に放映された、郁が憧れの王子様から卒業するお話から、茨城県の美術館の県展での戦いが描かれました。郁と堂上は相変わらずというか、恋愛なんだけれどコメディで今ひとつ感情移入しきれないものがあります。一応、体育会系出身なのに、郁が上下関係に無頓着すぎるのも何だか気に入らないですし・・・。

そんな中で、引きつけられるのは毬江と小牧教官のやり取り、そしてだんだん親密度が上がってきた柴崎と手塚の関係でした。
小牧教官は、普段はへらへらしているイメージがありますが、事が毬江ちゃんに及ぶと途端に男らしくなるのが格好いいですね。
柴崎と手塚は、まだ未知数の部分も大きいですが、優等生同士の理想的なカップリングという気がしました。

今回はアニメを先に見ていたのですが、毬江のエピソードとか折口さんがらみの差別用語問題などはアニメでは完全にスルーされていたんですね。アニメの図書館戦争、そこそこいい作品に仕上がっているとは思いますが、原作と比べると一番肝心な骨の部分が抜け落ちているのに物足りなさを感じてしまいました。
レインツリーの国有川浩さんの「図書館内乱」に登場する「レインツリーの国」、それを現実の本にしてしまったのが、この物語です。

大阪から上京してきた向坂伸行は、学生時代に読んで以来、ずっと結末が納得できなかった本の感想をネットで探しました。そこで出会ったのが、ひとみという女性が作ったブログに書かれていた感想でした。その感想に興味を持った伸行は、ひとみにメールで自分の感想を伝えます。
そこから2人の付き合いははじまりましたが、ひとみさんは聴力に障害がある難聴者だったのです。そんな2人のすれ違いとケンカ、そして恋愛を描いたお話でした。

図書館シリーズでは、その文体が気になっていましたが、こちらは普通の小説としてとても楽しく読むことができました。図書館シリーズでも、妙に崩した文体を使わずに、この本と同じ文体で書いてくれた方がより共感できるのになあと思いました。

あまり分量がない本だったこともあって、面白くて一気に読み終えてしまいました。
障害があることで周囲から理解されずに、様々な辛い思いをしてきたひとみさん。それは悲しいことだし酷いことだと思うけれど、逆に障害があることを理由にしてひとみさんが甘えていた部分もあることをきちんと指摘した内容だったのが、とてもよかったです。

障害があろうがなかろうが、無神経な人、意地の悪い人はたくさんいます。人は誰でもある人にとってはいい人で、ある人にとってはイヤな人でありうる。この当たり前のことに気づかせてもらっただけでも、この本を読んだ価値はあったと思います。
図書館内乱有川浩さんの図書館シリーズ、第2弾です。今回は良化委員会との戦いよりも、図書館内部の原則派と行政派の争いがメインになっていました。

最初は、既にアニメにもなった、郁の両親が図書館に見学にやって来るお話です。コメディタッチで笑わせながら、最後にちょっとほろりとさせられるいいお話でした。
続いては、これまで脇役だった小牧教官にスポットが当たります。さらに柴崎、手塚と郁の周辺にいる人たちに次々とスポットが当たってゆきます。その中では、特に小牧教官と難聴の少女が登場するエピソードがよかったです。

いっけんバラバラに見えたお話でしたが、それが最後の郁が査問会から呼び出されるお話で1つにまとまって全体が見える構成には驚かされました。
この物語の世界、郁の周りはほのぼのとしていますが、その背後はもの凄くドロドロとした駆け引きが行われていますね。こんな世界で郁が生き延びて行けるのか、ちょっとだけ心配になりました。

作者の文体にもようやく慣れてきましたが、やはり読んでいる途中でこれ誰の心理描写!?と思うことが数回ありました。(^^;
恋愛物語としてもお話は進行しているのですが、どちらかといえばそちらは読んでいて気恥ずかしい感じで、それよりも図書館内部の争いを扱った部分の方が骨太で読み応えがありました。極端な話、郁たちの恋愛がらみの展開はない方が面白いんじゃないかと思ったり・・・。
図書館戦争アニメの「図書館戦争」が面白かったので、原作にも手を出してみました。

基本的なストーリーの流れはアニメと一緒ですが、図書館内部でも法律を遵守することを優先する原則派と、教育委員会などと繋がりのある行政派との確執があるという部分で、原作の方が深みがありました。

おおむねアニメの第1話から第4話までの内容でしたが、アニメにならなかった中学生の子供たちが「子供の健全な成長を考える会」とフォーラムで意見を戦わせるお話が面白かったです。
また、犯罪捜査のために、図書館の利用履歴を警察に開示を迫られるお話では、基本的人権や犯罪の容疑者に対するメディアの報道のあり方を考えさせられました。

いろいろといい部分がある作品でしたが、どうしても気になったのが、その文体でした。郁たちの話し言葉が、そのまま文章になっているのが、とても読みづらかったです。
また、登場人物の視点がころころと変わって、郁の心情が描かれているのかと思ったら手塚だったりと、キャラクターの視点の書き分けをもう少しきちんとして欲しいと思いました。