日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


QED ~flumen~月夜見 (講談社ノベルス)高田崇史さんのQEDシリーズ、「QED ~flumen~月夜見」を読み終えました。

QEDシリーズは本編が完結したので、もう続編はないと思っていたので、外伝という形にせよ続編が発売されて驚きました。今回は、珍しく2人きりで京都旅行に出かけた崇と奈々が、現地で起きた不可解な連続殺人事件に関わることになるお話でした。

今回もう1つの語り手となったのは、事件に巻き込まれた馬関桃子です。フリーのイラストレーターで、月をテーマにした作品を好む桃子は、夜に月読神社へと出かけました。そこで桃子は、友人の望月桂が絞殺されている現場に出くわしました。すぐに警察に知らせようとした桃子でしたが、犯人に石段から突き落とされて意識不明となり、救急病院に搬送されたのでした。

桃子が意識を取り戻すと、さらに驚くことが起きていました。桂には望月観というカメラマンの兄がいました。その兄も、同じ日の同時刻に松尾大社で殺害されていたのでした。犯人の偽装工作により、桃子は2人を殺害した犯人ではないかと警察から疑われることになるのでした。

その少し前、奈々はお盆休みに崇と2人きりで京都旅行をする予定になっていました。いつものように、崇の趣味全開の旅行内容ですが^^;、それでも奈々は旅行を楽しみにしていました。そして早朝に新幹線で出発した2人は、京都へと向かいました。そこに、事件の取材をしていた小松崎から連絡が入りました。崇に、事件の捜査に協力して欲しいと言うのです。

こうして崇と奈々は、いつものように事件に巻き込まれることになりました。物語が進展するにつれて、月読命に関わる謎が解明されていくことになります。その解釈の部分は、それなりに面白かったですが、犯人が殺害にいたる動機はとってつけたようなというか、私には理解不能でした。(^^;

今回の事件に登場する京都府警の刑事は、以前の事件で崇たちと面識がある村田と中新井田が捜査に当たっていました。
貴船の事件解決に協力したようですが、著者の他の作品にも貴船が出てきますし、QEDシリーズのどの作品に登場したのか思い出せませんでした。(^^;

シリーズ第2作の「QED 六歌仙の暗号」に出てきたようです。私がこの作品を読んだのが、2008年でした。さすがに10年近く前に一度だけ読んだ本の、ゲストキャラまで覚えてられません。(^^;
神の時空 ―五色不動の猛火― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ第7巻、「神の時空 五色不動の猛火」を読み終えました。

ようやく東京の自宅へと帰ってきた彩音たち。しかし、ゆっくりと休息する間もなく、再び事件が起こります。
今回は都内の各所で、放火事件が発生しました。その場所は、いずれも五色不動に関わる場所でした。さらに、放火事件と共に碑文谷女子大付属高校の女子高生が殺害される事件も起きていました。

事件の鍵となるのは、明暦の大火と呼ばれる江戸時代の出来事でした。今回、彩音たちとは別の語り手となったのは、碑文谷女子大で歴史を学ぶ、榊原すみれという女子大生です。彼女の妹の同級生が、今回の事件に巻き込まれていたのです。被害者がいずれも16歳の女子高生だと気づいたすみれは、卒論のテーマとして選んだ明暦の大火から、事件と五色不動とのつながりに気づくのでした。

一方、消えた摩季の遺体を捜査する警視庁の華岡と久野は、辻曲家の不審な行動に目をつけていました。辻曲家の長男・了は、今回の事件以前にも遺体消失事件に関わっていました。同じ人間が2回も遺体の消失に関わる不自然さが、華岡は気になっていたのでした。

そんな華岡たちに尾行されつつ、彩音たちは都内で起きている不穏な事件を解決するため、五色不動に関わりのある場所を巡ります。そして彩音たちは、その過程で吉原の女たちの悲劇、歌舞伎とのつながり、人として扱われなかった者たちの悲しみを知ることになりました。

次々と広がる事件を解決しようとする彩音たちが、警察に目をつけられている緊張感もあって、五色不動にまつわる謎の部分は面白かったです。ただ、今回明らかになったヌリカベの陽一の秘密や摩季の生い立ちには、今頃こんな重要な設定を持ち出しますか〜と^^;、ずるさを感じてしまいました。
また、すみれが巻き込まれた事件の動機と結末も、あまりに雑で説明不足で、かなり物足りなかったです。

そして摩季を救うために残された時間は、あと1日です。辻曲家の人々は、摩季を蘇らせることができるのでしょうか。
また今回は今ひとつ影が薄かった高村皇は、次はどう動くのかも気になります。
神の時空 ―伏見稲荷の轟雷― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ第6巻、「神の時空 伏見稲荷の轟雷」を読み終えました。

前巻の終わりで予告されていたように、今回は伏見稲荷にまつわる謎に辻曲家の人々が挑みます。物語のもう1つの視点となるのは、伏見稲荷の氏子で狐憑きの家系の樒祈美子(しきみ・きみこ)です。事件の発端となったのは、伏見稲荷の鳥居に4人の遺体が吊されたことです。それ以来、伏見稲荷では異変が続いていたのでした。

そして、これまでの物語で死んだかと思われた磯笛が、再び復活して事件の背後で暗躍しています。鎮女池に落ちた時、磯笛は十種の神宝の1つ道反玉を手にしていました。それに加えて吒枳尼天(だきにてん)の力を借りることで、磯笛は生き延びることができたのでした。しかし、吒枳尼天の力を借りたために、その代償として磯笛は左目の視力を失っていました。

伏見稲荷で起きる異変を少しでも鎮めようと、祈美子は婚約者の光昭と共に神社のお詣りをします。しかし、伏見稲荷の神は鎮まるどころか、ますますあらぶります。そして有名な、千本鳥居までが次々と倒れていきます。さらに空には雷鳴がとどろき、稲荷山のあちこちに落雷しています。

その頃、彩音、巳雨、陽一、グリは、傀儡使いの佐助の力を借りて、この事態を収拾しようとしていました。しかし、伏見稲荷に向かった彩音たちは、その神様から拒絶されてしまいました。自分たちが何か大きな考え違いをしていることに気づいた彩音たちは、地縛霊の火地晋の力を借りることになるのでした。

しかし毎回、火地の知恵が必要になるたびに、東京の喫茶店にいる火地のところまで陽一が向かうんだからたいへんですね。いっそのこと、誰かが常に火地の側にいて、必要な時に協力してもらった方が効率が良さそうな気もします。(^^;
とはいえ、火地はかなり気むずかしい地縛霊なので、うまくご機嫌を取りつつ情報を聞き出すのはたいへんそうです。

火地の情報と、陽一の助けを得て、彩音と途中から彩音に合流した祈美子たちは、何とか伏見稲荷の危機を終息させることができました。そして、ようやく彩音たちは東京へと帰還しようとしています。今回の事件を通して、彩音たちは十種の神宝の1つ、八握剣(やつかのつるぎ)を手にすることができました。さらに、以前の事件で関わった観音崎栞から連絡が入り、辺津鏡(へつかがみ)を手にすることもできそうな雰囲気です。

ここまでで物語内の時間は5日経過しています。死んだ摩季を蘇らせるチャンスは、あと1日か2日しかありません。果たして、彩音たちは摩季を生き返らせることができるのでしょうか。そして、いまだに何がしたいのかよくわからない^^;、高村皇は次は何を企んでくるのでしょうか。

今回も例によって殺人事件が起きますが、超常現象が当たり前の物語なので、いつものごとく・・・というか、今回はいつも以上に殺人事件がおまけでしたね。(^^; こんな世界で刑事としての使命を果たそうとしている瀨口警部補が気の毒に思えてきました。
そして復活した磯笛ですが、詰めの甘さは相変わらずでした。途中で自分の計画の異常に疑問を持ちながらも、それを高村皇に確認しなかったばっかりに・・・。(^^;
神の時空 ―嚴島の烈風― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ、第5巻「神の時空 嚴島の烈風」を読み終えました。

今回は、安芸の宮島の嚴島神社にまつわるお話でした。本の裏表紙に、"クライマックスへ!"とあったので、そろそろこのお話も完結なのかと思ったら、まだまだ続きがありそうです。(^^;

いつもは辻曲家の人々が中心に物語が描かれますが、今回は宮島に住む女子大生・観音崎栞の視点をメインに物語が進みました。そして、なんだかよくわからない高村皇が、ついに自ら動きました。・・・もっとも動いただけで、たいした活躍はしてないのですが・・・。(^^;

高村皇の一味の今回のターゲットが、嚴島神社でした。彼らは神社に封印されている神を解き放つために、各所に設けられた結界を次々と破壊していきます。そして、その合間に例によって殺人事件が発生します。
いつも事件の解決はとってつけたような感じですが、今回は物語全体が終盤でものすごく駆け足になったので、余計にその感が強くなりました。

嚴島神社を巡る謎の部分は面白かったですが、栞と武彦、創太の微妙な関係などに伏線らしきものを感じましたが、それを活かしきれない間に物語が終了してしまいました。辻曲家からは、彩音とヌリカベの陽一が宮島に向かいました。彩音は栞に封印を守るために協力を頼むのですが、事態が逼迫していたので彩音の説明も不十分で強引で、栞がどん引きしてしまうのもわかる気がしました。(^^;

それでも何とか、事態は終息しました。これで終わりかと思いきや、京都の伏見稲荷で何やら事件が起きているようです。彩音たちは、その足で京都に向かうことになるのでした。というわけで、次回は京都の伏見稲荷のお話になりそうですね。

今回、陽一が彩音に同行していたので、偏屈な地縛霊・火地の元には巳雨とグリ、了が向かいました。陽一には手厳しい火地ですが、今回は巳雨が相手だったせいか、いつもほどの毒舌がなくて安心したような、ちょっと寂しいような・・・。
神の時空 -三輪の山祇- (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ、第4巻「神の時空 三輪の山祇」を読み終えました。

前回の貴船の事件の後、辻曲家の彩音たちは東京へと帰宅しようとしていました。その途中で、またしても事件に巻き込まれるのでした。事の起こりは、奈良の高校生・田村暁と早見淳一が三輪山へと登ったことから始まりました。三輪山への登拝は明治時代以後に許可されるようになりましたが、登るにあたっては様々な決まり事がありました。その1つが、山から石や木や草などを持ち帰らないことでした。しかし、暁の友人の淳一は奥津磐座にあった石を友人の分も含めて3つも持ち帰ったのでした。

決まり事を破った者には、神罰が下るという話を聞いていたこともあり、暁は石を持ち帰ったことを後悔していました。
そんな時、淳一が何者かに首を絞められた上、毒蛇にかまれて命を落としたのです。それを知った暁は、神罰だと信じて怯えました。そして石を山に返そうとしますが、その時には高村皇の指示により、三輪山へと入り込んだ磯笛と鳴石の手によって、三輪山の社が破壊されていたのでした。

自らの持つ力によって、彩音たちは三輪山に異変が起きていることを知りました。そして、神の怒りを静めようとします。しかし、大神神社に封じられた怨霊の怒りを鎮めることができません。その理由は、一般に知られている大物主大神=大国主神という認識の誤りにあったのでした。神の怒りを鎮めるため、ヌリカベである福来陽一は地縛霊となった作家の火地晋の知恵を借りることになるのでした。

今回の事件では、またしても陽一の生きていた時の恋人であり、弟橘姫の血を引く涙川紗也も事件に巻き込まれます。
最初に神の時空シリーズの1巻が発売されてから何年も経過しているのに、作中ではまだ3日くらいしか時が経っていないのが凄いですね。(^^;

一応、暁の友人が殺害される事件は起きますが、物語の主眼はそこにはなく、三輪山や大神神社に本当に祀られているのは誰なのか!?という謎を追う展開が面白かったです。
そうそう。この本を読んでいる時に、「WORKING!!」を見たせいかもしれませんが、ヌリカベの福来陽一君のイメージが、小鳥遊宗太と結びついてしまいました。(^^; 陽一のセリフがある箇所を読むと、セリフが福山潤さんの声で脳内再生されるんですよね。この作品がアニメ化されることはないと思いますが、もしそんなことがあったら陽一の声は福山潤さんでお願いしたいです。(笑)
毒草師 パンドラの鳥籠カンナや神の時空シリーズに気を取られていて、毒草師シリーズの続編を忘れていました。というわけで、今頃ですが「毒草師 パンドラの鳥籠」を読み終えました。

今回は、御名形史紋たちが浦島太郎伝説の真相に迫ります。事件は、魔女の館と呼ばれる謎の屋敷に住む祝(ほふり)という女性のお話と、行方不明になった叔父の捜索を西田が依頼されるお話が平行して進みます。西田は星川涼花という女医から、生薬学者の叔父を探すために、御名形史紋の力を借りたいと頼まれました。珍しく事件に関心を持った史紋と、その助手である神凪百合と共に、西田も捜索に乗り出すのでした。

その過程で、浦島太郎伝説に隠された謎が明らかになってきます。七夕や羽衣伝説との関わり、そして物語という形に隠されている天皇家の暗部が正体を現します。最初に失踪事件や殺人事件が語られてたので、推理小説になるのかと思ったら、歴史推理小説としての色合いが濃い作品でした。ノリとしては、QEDシリーズのような雰囲気でした。

後半で怒濤のように明らかになる真実に、なんだか読んでいて頭がクラクラしてしまいました。(^^;
よくわからない部分も多かったのですが、作品としては意外と面白かったです。パンドラの箱がらみで、日本の神話だけでなく、ギリシア神話が登場してきたのも新鮮で面白かったです。
神の時空 ―貴船の沢鬼― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ、第3巻「神の時空 貴船の沢鬼」を読み終えました。

次女の摩季を蘇らせるために、辻曲家では死反術を行おうとしていました。摩季が死んで既に3日、あまり時間が過ぎると蘇らせることができなくなってしまいます。そして術を行うためには、霊力の高い水が必要でした。その水を手に入れるために、彩音と巳雨、猫のグリ、そして幽霊の陽一は貴船へと向かうことになるのでした。

その頃、京都では不可解な事件が起きていました。恋人の高舘淳子と暮らしていた金子学は、突然般若のような女性に襲われて重体に陥りました。さらに別の場所では、女子高生の中村理奈が殺人事件の現場を目撃していました。しかし、被害者を殺したのは、死んだはずの理奈の父にそっくりな男だったのでした。

それから、毎回なんだよくわからない^^;、高村皇は今回もまた陰謀をすすめています。今回は貴船の怨霊を利用して、自らの目的を遂げようとしていたのでした。そのために猿太と、死んだ人間を操ることができる傀儡師の佐助が貴船で行動を起こします。

今回のキーとなるのは、宇治の橋姫の伝説です。帰らぬ夫を待ち続けたとされる橋姫の伝説には、悲しい真実が隠されていたのでした。今回その真相は明らかになりませんでしたが、伊勢神宮に奉られている天照大神が、実は1人ではなく、天照という男の神と天照大神という女性の神という展開は面白かったです。

物語は、彩音たちの視点と事件を捜査する警部補と部下の女性刑事の視点から語られます。悪役となる高村皇側の動きがあまり描かれなかったせいか、今回は今までの中で一番物語としてまとまっていたと思います。
最後に一応事件は解決しますが、よくよく考えてみると京都各所で目撃されたとされる、他の般若や鬼は何だったのでしょうか!?(^^;

というわけで、毎回いろいろと文句を言いつつも、新作が発表されるとつい手に取ってしまいます。
今回どうしても気になったのは、物語の中で陽一の考えとして、「怪異は世界各地で見られる→特定の地域だけの現象ではない→だから怪異は実際に存在する」という説が語られます。でも、この前提条件から怪異が存在すると断定するのは、飛躍がありすぎる気がします。
逆の理屈で、「人間は思いこみや勘違いをする→それは特定の地域だけでなく全世界である→だから人間は世界各地で見間違えや勘違いで怪異があると信じてしまう」とも言えるからです。(^^;
神の時空 ―倭の水霊― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空・シリーズ第2巻、「神の時空 倭の水霊」を読み終えました。

今回メインとなったのは、OLの涙川紗也でした。彼女は横浜で男性の死体を発見しました。その男は、ストーカーとして彼女にまとわりついていた男でした。ところが、彼女の他に周囲にいた人たちは、紗也が男を殺したのだと誤解してしまいました。追い詰められた紗也は、そのまま現場から走り去ってしまうのでした。

そんな紗也に、見知らぬ女性が声をかけてきました。彼女は男性を殺害したのは紗也ではなく、別人だったと証言してくれると言いました。そんな彼女に言われるまま、紗也は逃亡を続けるのでした。ところが、途中で彼女の姿が見えなくなってしまいました。仕方なく紗也は、1人で逃亡を続けます。

その後も、紗也は多くの人間から狙われることになりました。その背後には、彼女も知らなかった出生の秘密が絡んでいたのでした。そして事件の背後には、日本武尊と弟橘媛の伝説が深く関わっていたのでした。弟橘媛は、伝説では我が身を犠牲にして日本武尊を救ったことになっています。しかし、その解釈が誤っていることが明らかになっていくのでした。

今回は日本武尊の謎がメインかと思いきや、本命は弟橘媛の方でした。その歴史解釈はそれなりに面白いと思いましたが、それを利用して陰謀を企む者たちの描写が陳腐なのが残念です。今回、前巻で登場した陽一はほとんど登場しませんでしたが、お話の流れ的に見ると今回のお話は前回のお話より前のエピソードになるのでしょうか!?
神の時空 ―鎌倉の地龍― (講談社ノベルス)高田崇史さんの「神の時空」を読み終えました。QED、カンナに続く新シリーズらしいです。

お話の舞台となっているのは鎌倉でした。そこで由比ヶ浜女学院に通う女子高生・辻曲摩季が不思議な事件に巻き込まれました。突然意識を失って倒れ、由比ヶ浜で発見されたのです。摩季の家族である了、彩音、巳雨、そして友人の陽一は病院へと駆けつけるのでした。

時を同じくして、鶴岡八幡宮の鳥居が倒れる事件が起きました。表面上は地震の影響と考えられましたが、その裏では何者かの意思が働いていて、そのために鳥居は破壊されたのでした。さらに修禅寺では、保管されていた頼家のお面が盗まれていました。そして事件の背後には、源頼朝を巡る陰謀が隠されていたのでした。

カンナが今ひとつだったので、それなりに期待して読んだ作品でした。でも、主な登場人物である陽一や辻曲家の面々についてろくに描写がないのに物語が進んでしまい、置いてきぼりにされてしまった感じでした。
辻曲家と全くの他人である陽一が、どうしてここまで深く辻曲家に協力するのか。その謎は一応最後に明かされましたが、このような構成にしたせいでとても感情移入しにくい作品になってしまったと思いました。

それから、相変わらず物語のメインは、ストーリーを楽しむことではなく、歴史の謎を解き明かしたり、これまでとは異なる解釈を提示することだと思えました。それならば、いっそのこそ"小説"としてではなく、歴史解釈本という形で作品を発表されてはどうかと思いました。
QED ~flumen~ ホームズの真実 (講談社ノベルス)完結したはずのQEDシリーズが出ていてびっくり、と思ったら書き残したネタを1つの作品にしたものと、シリーズのガイドブックを合わせたような本でした。

ホームズの真実、ということで「ベーカー街の問題」にも登場した緑川友紀子が再登場です。イギリスに行っていた友紀子から久しぶりに連絡をもらった奈々は、崇と共にシャーロキアンの展覧会に参加することになりました。その最中に、参加者の1人がベランダから転落するという事故が起こりました。ここで再び崇が、事件の真相を解き明かすことになるのでした。

とはいえ、そこはQEDシリーズのこと、単なるホームズネタでは終わりません。それに加えて、紫式部の謎を絡めてきました。そして警察関係者が嫌な顔をするのも構わず^^;、崇が例によって自らの説を延々と語り始めるのでした。でも、そのおかげで事件の真相が明らかになっていくのでした。

いつものシリーズなら、これでエピローグがあっておしまいです。ところが、この番外編ではここからが面白かったです。現実とフィクションが交錯する不思議な気分を味わうことができました。

それからガイドブックの方は、各作品と舞台の紹介。取材についての座談会があったり、ファンならそれなりに楽しめるものでした。でもその一方で、こういうガイドはいらないので、もう1つ中編を収録してくれればいいのに、という気持ちもありました。(^^;

最後に、2014年から「神の時空(仮)」という新シリーズがスタートするみたいです。どんな方向性のお話になるのかわかりませんが、QEDシリーズ初期のような面白い作品になってくれればと思います。
カンナ 京都の霊前 (講談社ノベルス)高田崇史さんのカンナ・シリーズ最終巻、「カンナ 京都の霊前」を読み終えました。

カンナ・シリーズもこの巻でいよいよ完結です。甲斐をかばって命を落としたと思った聡美ですが、なんとか一命をとりとめていました。しかし、毒に犯されていまだに生死の境をさまよっていたのでした。

その頃、諒司と竜之介は、玉兎の本拠地である京都を目指していました。そんな時、竜之介の祖母が何者かに暗殺されました。しかし、そのことを竜之介は知らず、諒司と共に旅を続けていたのでした。そんな竜之介たちと同様、甲斐と貴湖も京都を目指します。

そして京都において、ついに玉兎と波多野村雲流が激突することになったのでした。玉兎の元を目指していた竜之介は、波多野村雲流の一団に命を狙われることになってしまったのでした。絶体絶命の竜之介を救ったのは、甲斐たちでした。

そして甲斐たちもまた、波多野村雲流と対峙することになりました。その戦いの中、甲斐はこれまで追い求めていた蘇我大臣馬子傳暦を、自らの手で火の中に投じて燃やしてしまったのでした。かくして傳暦の内容は、誰も知ることができなくなったのでした。

ということでカンナ・シリーズも完結したわけですが、これまでにない作品を描こうとした作者の心意気は評価しますが、内容的にはかなり残念なものでした。隠された歴史と、物語がうまくかみ合っていない気がしましたし、忍者や裏の天皇をめぐる争いは、物語としてあまりに古くさすぎる気がしました。
QED 伊勢の曙光 (講談社ノベルス)QEDシリーズも、いよいよこの巻で完結を迎えました。最後を飾るお話では、伊勢の謎が取り上げられることになりました。

三重県から「海の雫」という秘宝を公開するために東京にやって来ていた男性が、何者かに殺害されました。男性の両手の親指は、鋭利な刃物で切り取られていました。この事件を取材していた小松崎からの以来で、崇は奈々と一緒に伊勢へと向かうことになりました。

2人が伊勢に向かう間にも、さらに次の犠牲者が出ただけでなく、謎の調査のために訪れた神社で崇と奈々も危機に陥ることになりました。その背後には、例によって日本の歴史の暗部が関わっていたのでした。崇たちは事件の謎を解くと共に、伊勢の謎を解き明かすことになります。

前巻が発売されてから時間が経っていたので、これまでの経過を思い出すのに苦労しました。今回は完結編ということもあり、これまでに登場した主要なキャラが次々と登場してくるだけでなく、これまでに訪れて謎を解き明かしてきた歴史も関わっていたりして、読み進むのがなかなかたいへんでした。

事件の謎は、例によって歴史がらみで真相が明かされることになります。メインとなるのは、伊勢神宮の謎です。こちらは興味深くはありましたが、ややこしくて読み解くのがたいへんでした。知的好奇心は刺激されましたが、これを正面から理解するには、絶対的に私の知識が不足しすぎている気だけはしました。(^^;

このシリーズ、謎解きよりも気になっていたのが崇と奈々の関係です。完結編ということで、今回それにも一応の決着がつきました。でも、はっきりとした描かれ方ではなく、崇が奈々にどんなセリフを言ったのかは不明だったのはちょっと不満です。
まあ、いまだに崇に奈々はもったいないと思い続けていますので、余計にそう思うのかもしれませんが。(^^;

これでシリーズは完結しましたが、いくつか謎は残っていますね。それについては、番外編という形で解決されるのでしょうか!? それとも、カンナシリーズとかでその謎について触れるつもりなんでしょうかね!?
カンナ 出雲の顕在 (講談社ノベルス)高田崇史さんのカンナ・シリーズ第8弾、「カンナ 出雲の顕在」を読み終えました。

出賀茂神社から社伝を奪って逃走している諒司は、甲斐の友人である柏木竜之介を密かに出雲へと呼び出しました。
これまで単に、脇役の1人と思っていた竜之介ですが、彼の家系には大きな秘密があったのでした。なんと竜之介の家は、現在の天皇家に滅ぼされた真実の天皇家につながる家柄だったのです。
諒司が竜之介を呼び出したのは、竜之介を次の天皇として祭り上げようとするためでした。

そんな諒司が属して、そして前巻で丹波たちを襲ったのは玉兎と呼ばれる裏の集団でした。彼らは裏の天皇家に使える存在として、現代でも大きな力を持っているようです。そして諒司は、そんな玉兎を自らの野望のために利用しようとしていたのでした。

突然消息を絶った竜之介を探して、甲斐も出雲へと向かうことになりました。普段なら貴湖が同行するところですが、傷ついた丹波の側から離れることができません。1人で出雲へ向かおうとする甲斐と行動を共にするのは、なんと甲斐の婚約者である聡美でした。

2人は出雲へと向かい、竜之介の姿を探しつつ、出雲の謎について語り合います。そして、甲斐たちは村雲流の男たちに襲われている竜之介と合流することができました。ここで甲斐は、超人的な力を発揮して、凄腕の使い手をあっという間に叩き伏せたのでした。

ようやく竜之介と再会できたものの、諒司から自分の出自について聞かされていた竜之介は、自らの意思で甲斐の前から立ち去ってしまいました。そればかりか、玉兎のメンバーであり、海棠の私設秘書である楯丘に襲われて、聡美は命を落としてしまうのでした。

敵の正体が見えてきて、アクション物語としてはそれなりに面白くなってきました。今回は竜之介にかなりスポットが当たっていましたが、裏の天皇家という設定はちょっと古くさいというか、説得力不足な感じがしました。もう少し彼らが現天皇家を転覆させることでどんなメリットがあるのかわからないと、陳腐な悪の組織に見えてしまいますね。

今回驚いたのは、甲斐を巡って貴湖と恋のライバルになるかもしれないと思われた聡美があっさりと殺されてしまったことです。しかも殺したのは、海棠の家に雇われていた楯丘。溺愛していた孫娘を殺されて、このまま祖父の鍬次郎が黙っているとも思えません。次巻以降の展開が楽しみです。
カンナ 天満の葬列 (講談社ノベルス)高田崇史さんのカンナ・シリーズ第7弾、「カンナ 天満の葬列」を読み終えました。

今回は、冒頭から丹波が襲われたりと、推理小説ではなくアクション小説といった雰囲気の展開でした。そして活劇の合間に菅原道真にまつわる謎が絡んできます。

出賀茂神社の丹波は、夜間に何者かが神社に忍び込もうとしていることに気づきました。賊を迎え撃った丹波でしたが、賊に逆襲されて囚われの身となってしまいました。賊たちを率いる謎の女性は、冷酷にも縄で縛り上げた丹波を海に突き落とすように命じました。

忍者としての鍛錬のおかげで、丹波は一命を取り留めて救急病院へと運び込まれました。甲斐と東大に復学していた貴湖は、丹波の災難を知って病院へと駆けつけたのでした。その頃、雑誌社に勤める竜之介は、菅原道真にまつわる仕事を任されていました。道真のことを調べていた竜之介は、なぜ道真が大怨霊と呼ばれるのか疑問を持つのでした。

丹波が退院してからも、甲斐たちのまわりには怪しげな者たちが跋扈します。そして再び襲われた丹波は負傷して入院、一緒にいた貴湖も軽傷を負ってしまいました。さらに甲斐の身辺には、甲斐の婚約者である海棠鍬次郎が彼を試すために刺客を送り込みます。そして竜之介にもまた危険が迫り、そこを諒司に救われるのでした。

戦いが繰り広げられる中、甲斐は社伝と道真の関連に気がつきました。直接的な関わりはないものの、道真もまた蘇我氏のようにその業績を歴史の中に葬り去られてしまった者だったのでした。

そして丹波を襲った黒幕の正体が明らかになりました。それはなんと、諒司の妻である志乃芙の娘・澪に取り憑いた志乃芙の亡き妹・冴子の仕業だったのでした。

QEDシリーズと比べると、今ひとつ感があるカンナ・シリーズですが、今回はアクション中心で意外と面白かったです。ただ、その分歴史ミステリー色が薄れてしまい、菅原道真にまつわる謎が付け足しのようになってしまっていたのが残念でした。
カンナ 鎌倉の血陣 (講談社ノベルス)高田崇史さんのカンナ・シリーズ第6弾、「カンナ 鎌倉の血陣」を読み終えました。

今回は珍しく、甲斐は貴湖とではなく、婚約者の聡美と一緒に鎌倉で行われるお茶会に出席することになりました。とはいえ、後から貴湖と竜之介も合流して、例によって事件に巻き込まれることになるのですが・・・。

お茶会に招かれた甲斐たちでしたが、そこで主催者である加賀美宗朝が殺されてしまいました。さらに続けて、その息子である範夫までもが毒殺されてしまいました。相変わらず、推理小説としては今ひとつでしたが、今回はアクションシーンがそれなりに面白かったです。
甲斐、貴湖、竜之介には何か重大な役割がありそうですし、逃亡中の諒司の目的もいまだに不明ですし、最終巻までにこのあたりがどう謎解きされるのか、楽しみです。

そして、今回の最大のサプライズは、QEDシリーズのヒロインである棚旗奈々が登場したことです。奈々と出会って、毒草師の御名形史紋の存在を知った貴湖は、それをきっかけに休学していた東大に復学することを決めたのでした。
別の小説の重要な登場人物が、カンナ・シリーズでも重要な役割を果たすのは、意外性があって面白かったです!

今回の歴史の謎は、鎌倉幕府の源頼朝、頼家、実朝の死にまつわるものでしたが、これは以前QEDでも鎌倉を取り上げたことがあったので、なんとなく新鮮みに欠けました。
カンナ 戸隠の殺皆 (講談社ノベルス)カンナ・シリーズ第5弾、「カンナ 戸隠の殺皆」を読み終えました。

相変わらずQEDシリーズとは違い、歴史色はオマケ程度でした。
今回は、甲斐たちが諒司の残した言葉を頼りに、長野県の戸隠へと向かうお話でした。そこで車のトラブルに巻き込まれた甲斐たちは、隠岩戸宮へとたどり着きました。そこで例によって、甲斐たちは事件に巻き込まれるのでした。
今回から新たに、甲斐の婚約者である海棠聡美の祖父・鍬次郎が登場しました。表向きはごく普通のお祖父さんといった感じの鍬次郎ですが、どうやら裏の世界では大きな力を持っているようです。

事件に巻き込まれながらも、甲斐は今回の戸隠への旅を通じて天照大神の天岩戸伝説に対する1つの疑問を抱くことになりました。それはそれで興味深くはあるのですが、物語本編との繋がりが薄いのが残念でした。
相変わらずダメダメな甲斐ですが、この巻からは何やら常人よりも優れた視力や聴力を発揮するようになりました。甲斐自身にも、何か隠された秘密があるのでしょうか!?
QED 出雲神伝説 (講談社ノベルス)QEDシリーズ第16弾、「QED 出雲神伝説」を読み終えました。このところ作者がカンナ・シリーズばかり力を入れているのが気がかりですが、ようやくQEDシリーズの新刊が出てうれしかったです。やはりこのQEDシリーズの方が、カンナと比べるとはるかに各キャラが立っていますね。久々のシリーズなのに、主な登場人物がちゃんと記憶に残っているんですよね。

今回は、奈良で独身OLが殺害されるという事件が起こりました。その背後には、遙か昔から実在したらしい出雲神流という忍者集団が関係しているようです。小松崎から事件のことを聞かされた崇は、珍しく自分の意思で事件の捜査へと乗り出したのでした。どうやら事件には、出雲が深く関わっているようです。

そんな崇たちと、学薬旅行で奈良へとやって来た奈々が合流。例によって、一緒に真相の探求を開始しました。
今回の事件では事件現場に出雲神流の紋様が残されていたのです。ところが、紋様が残されていた事件は、この殺人事件だけではありませんでした。この事件の1週間前に起きたひき逃げ事件でも、事件現場に同じ紋様が残されていたのです。さらに、事件の関係者の娘が失踪するという事件も起きていました。事件の犯人は、現場に残された紋様が示すように、出雲神流の関係者なのでしょうか!?

例によって、事件の解決はかなり強引な気がしましたが、奈良と島根にある出雲についての説明は面白かったです。
そして、今回の事件では「QED -flumen- 九段坂の春」に登場したキャラが再登場したのにはニヤリとさせられました。ちょっと気になったのは、崇たちがカンナの登場人物である鴨志田の神社に出かけていることです。今回のお話の謎は忍びに関わるものでしたし、QEDもだんだんカンナ化してゆくのではないかと心配になりました。

そして今回は、本編以外にQED -flumen- として、短編がもう1つ収録されていました。このお話は、なんと本編の事件が起こってから9年後の出来事でした。40代になった崇と小松崎は、今度は島根県の出雲大社へ出かけるのでした。
本編とは違い、殺人事件に巻き込まれたりはしませんが、崇の解説で出雲大社の謎が解き明かされました。
しかし、それ以上に驚いたのは、小松崎が既に結婚していた(それも相手は、夫を亡くした子連れの女性らしいです)ことでした。崇と奈々の関係がどうなったのかは明かされませんでしたが、どうやら作者の中では既に登場人物たちの行く末も決まっていそうですね。それがこの先のシリーズで明らかになるのが、今から楽しみです。(^^)
カンナ 奥州の覇者 (講談社ノベルス)カンナ・シリーズ第4弾、「カンナ 奥州の覇者」を読み終えました。

失踪していた諒司から、甲斐たちに連絡が入りました。諒司は何者かに襲われて、社伝を奪われてしまったというのです。助けを求める諒司の要請に応えて、甲斐と貴湖、ほうろくは岩手へと向かうことになるのでした。

今回は、甲斐たちが殺人事件に巻き込まれることはなく、彼らと対立する対抗勢力との戦いが描かれました。何となく冒険小説っぽい感じでした。その展開に、蝦夷の指導者アテルイに関する謎が平行して語られます。・・・が、この謎は結局本当のところは何なのかよくわからないというあたりに決着しました。(^^;

今回驚きだったのは、諒司の妻・志乃芙が、甲斐たちの対抗勢力である波多野村雲流の関係者だったことです。それが原因で、今回の甲斐たちの行動は、敵方に筒抜けになっていたのでした。
さらに、甲斐たちの味方だと思っていた諒司も、社伝を手に入れた途端に甲斐の前から姿を消してしまいました。どうやら諒司には何か独自の目論見があるようです。

このシリーズ、QEDシリーズと違い連続性が高い物語なのですが、前巻までのあらすじや登場人物紹介が用意されていないのが不親切だと思いました。刊行のペースは速いですが、それでも前巻の発売からけっこう時間が経過しているわけですから、もう少し読者に対する配慮があってもいいのではないでしょうか!?

今回ちょっと気になったのは、エピローグで出賀茂神社を訪れた男女です。QEDシリーズの崇と奈々のような気がしたのですが、気のせいでしょうか!?
カンナ 吉野の暗闘 (講談社ノベルス)カンナ・シリーズ第3弾、「カンナ 吉野の暗闘」を読み終えました。

今回は、甲斐たちが失踪した諒司を探しに、吉野へと出かけることになりました。そんな彼らに宿題として与えられたのは、役行者・小角に関する謎解きをすることでした。しかし、例によって彼らの行く先では殺人事件が発生していて、甲斐は事件に巻き込まれることになってしまったのでした。

前作も低調だったこのシリーズですが、今作にもあまりよいイメージは持てませんでした。特に、甲斐たちが竜之介に言われるままに冬山へと分け入り、そこで貴湖が崖から滑り落ちてケガをしてしまう展開には呆れました。
忍者は準備万端でなければいけないといいつつ、ろくな装備もないまま土地勘のない冬山に入り込むのは無謀としか言いようがありません。

さらに、登場人物が少なかったこともあり、殺人事件の犯人もお話の中盤くらいからバレバレなんですよね。犯人と甲斐との対決も、ちょっと都合がよすぎる気がしましたし、歴史ミステリーと殺人事件とのからみもほとんどなく、どちらも中途半端になってしまっているような気がします。

結構速いペースで刊行されているこのシリーズですが、シリーズを通しての謎や登場人物もありますし、そろそろ巻頭に基本的なあらすじや登場人物紹介をつけて欲しいですね。数ヶ月ぶりに新刊が発売された時、毎回誰が誰だったか思い出すのが一苦労ですので。
カンナ 天草の神兵 (講談社ノベルス)高田崇史さんのカンナ・シリーズ第2弾「カンナ 天草の神兵」を読み終えました。

消えた社伝と失踪した早乙女諒司を追って、今回は鴨志田甲斐と巫女の貴湖(たかこ)、雑誌記者の柏木竜之介は、天草へと向かうことになりました。ところが、その天草の地では、児童養護施設・ロザリオ園のシスターである園長・谷地藍子が殺害されるという事件が起こっていました。
天草へ向かった甲斐たちは、そこでその事件に巻き込まれてしまうことになるのでした。

前作「飛鳥の光臨」からの続きなのですが、前巻から間が空いているわりには状況説明が不十分で、作品の設定を思い出すまで戸惑いを感じました。前巻を読んだ時にも感じたのですが、甲斐たちが忍者の末裔という設定がどうも嘘くさいんですよね。しかも、それが都合良くしか利用されてない気がします。

今回は天草が舞台ということで、天草四郎の謎解きなど楽しみな要素が多かったのですが、中盤以降甲斐たちが事件に巻き込まれてからは、歴史ミステリー色がほとんどなくなってしまったのが残念でした。また、平行して描かれている殺人事件も、何だか陳腐な感じで歴史ミステリーとしても、推理小説としても中途半端な内容だったと思います。

このシリーズで気になるのは、主人公の甲斐を中心として登場人物に今ひとつ魅力を感じないことです。主人公の甲斐は無個性な感じですし、ヒロイン役の貴湖は知識をひけらかす嫌な女というイメージが強いです。
このところ作者はこちらのシリーズに力を入れているようですが、こちらは打ち切ってQEDシリーズをもっと充実させた方がいいのではないかと思いました。
カンナ 飛鳥の光臨 (講談社ノベルス)QEDシリーズでお馴染みの高田崇史さんの新シリーズです。とはいえ、主人公の鴨志田は「QED -flumen- 九段坂の春」に登場していたような・・・。

物語は、「月刊歴史探究」という出版社からスタートします。そこの会議室と応接室で、編集部員の男女が死んでいるのが発見されたのです。しかも、男の部屋には女性の部屋の、女性の部屋には男性の部屋の鍵があって、相互に密室状態になっていたのでした。

主人公の鴨志田甲斐は、実家である出賀茂神社の跡取りとして、のんきな生活を送っていました。彼の実家は神社ですが、その上に彼は伊賀忍者の末裔なのでした。そんな神社に密かに伝えられてきた社伝が盗まれました。さらに兄同然に慕ってきた諒司が失踪したことを、諒司の妻から相談されたのでした。

社伝の盗難と諒司の失踪、2つの事件の手がかりを求めて、甲斐は現役東大生で巫女をしている貴湖(たかこ)と共に、飛鳥の地へと向かったのでした。そこで旧友である柏木と再会した甲斐は、彼が「月刊歴史探究」で働いていることを知ります。そして、甲斐は不思議な密室事件とも関わることになってしまったのでした。

お話のメインとなっているのは、聖徳太子の謎ですが、QEDシリーズと比べて蘊蓄が少なかったので読みやすかったです。甲斐の家系が、いまだに忍者としての技能を継承しているという設定はどうかと思いますが、QEDシリーズにはないアクションシーンもあって、なかなか楽しむことができました。

お話のメインとなる謎解きはありましたが、甲斐たちを狙ってきた組織については謎が残ったままで、引き続きのシリーズでそのあたりがどう解き明かされるのかも楽しみです。
QED 諏訪の神霊 (講談社ノベルス タS- 22)QEDシリーズ第15弾、「諏訪の神霊」を読み終えました。これでようやくQEDシリーズの最新刊まで追いつくことができました。

今回は、崇と奈々が諏訪大社の御柱祭の謎に挑戦することになりました。例によって、彼らの行く先では殺人事件が発生していて、2人は事件に巻き込まれることになりました。
今回の旅では、沙織と小松崎が崇と奈々に気を遣って、珍しく2人きりでの旅行となりました。この作品の登場人物たちは、何が何でも奈々と崇をくっつけたいみたいですね。(^^;
以前にも書きましたが、崇に奈々は絶対にもったいないと思います。崇には、悠々自適の独身生活を続けていただき、奈々には変人奇人でない素敵な男性が現れてくれるといいなあと思います。

今回のお話では、「九段坂の春」に登場した崇の同級生・鴨志田が登場しました。新たな登場人物を得て、これまでとは少し違った物語展開になっていたような気がします。作者はQEDシリーズに毒草師シリーズを取り込もうとしているようですが、それぞれに魅力が異なるシリーズなので、あまり関連性を持たせすぎないで欲しいです。

御柱祭の謎解き、事件の謎解きは、例によって何だか納得できないものでした。特に事件の犯人と動機があまりに杜撰な気がします。ただ、今回の事件発生から現在までの流れと、崇たちが諏訪に到着して過ごす日々が徐々にリンクしてゆく構成は面白かったです。

最後に、今回一番気になったのは、崇のセリフにあった、崇の過去に愛する人がいたらしいということ、崇が死にかけたことがある事件があったことです。これは、この先のシリーズで語られるのでしょうか。ちょっと楽しみです。
QED  河童伝説 (講談社ノベルス)読みのがしていたQEDシリーズ第13弾、「河童伝説」をようやく読み終えました。

今回は、奈々たちは相馬の野馬追祭へと出かけることになりました。しかし、一緒に出かけるはずだった崇が寝坊してしまい、崇だけ途中まで別行動となってしまいました。別行動で遠野まで出かけた崇は、そこで河童に関する情報をいろいろと仕入れました。
その頃、神山禮子は「御霊将門」で登場したストーカー男に狙われていました。しかし、その男は何らかの事件に巻き込まれて殺害されてしまいました。さらに、その男の兄、兄の仕事上のライバルと次々と殺人事件が発生しました。

今回はお話の推理小説部分の出来が特に悪かったです。一応、崇は御名形史紋から情報を得て、犯人がどうして死体の腕を切ったのかという謎の答えを得ますが、事件は勝手に終息してしまったのにはがっくりしました。
また、崇が説明する河童にまつわる説明も、文章が寸断されていて読みづらかったです。

個人的に贔屓にしている^^;神山禮子が登場するということで、今回のお話は楽しみにしていたのですが、内容が今ひとつ・・・今ふたつか今みっつくらいで残念でした。
QEDシリーズの第14弾「QED -flumen- 九段坂の春」を読み終えました。本当は第13弾の「河童伝説」の方が読みたかったのですが、運悪く入手できませんでしたので、先にこちらを読んでしまいました。

今回は、シリーズ初となる連作短編の形で物語が進行しました。春夏秋冬の4つの時期に起こった事件が、1つのラインでつながるという構成は面白かったです。
いつものQEDシリーズと違って、今回はお馴染みの登場人物たちの過去の物語という、どちらかというとシリーズファンのためのファンサービス的な内容だと思いました。

最初の春の物語は、QEDシリーズの探偵役・桑原崇が中学生として登場します。その頃から、既に奇人変人でしたが^^;、それに拍車をかけたのは1人の女教師との出会いが影響していました。その女教師に崇が淡い恋心を抱くというのが、いつもの崇らしからぬ初々しさがあってよかったです。

夏の物語では、女子校時代の棚旗奈々が登場しました。いつものシリーズでも、周囲に個性的なメンバーが多すぎて印象が薄い奈々ですが、女子高生の奈々には少し違和感がありました。何となく奈々らしくないというか、全く別のキャラになってしまっている気がしました。

秋の物語では、大学1年生の小松崎良平が登場しました。このお話では、小松崎の登場する場面はあまり多くなくて、それよりも出雲谷というお爺さんがお話のメインになっていました。この出雲谷と、崇の中学時代の同級生・鴨志田がかなり存在感がありましたが、毒草師のようにこの2人を主人公にした物語を作者は考えているのでしょうか!?

最後の冬の物語では、大学生の御名形史紋が登場します。大学生ではありますが、史紋は昔も今もほとんど変わってないですね。お話自体はそれ程興味深いものではありませんでしたが、史紋が毒草師になったのに伯母さんが関わっていそうなのが気になりました。
毒草師 白蛇の洗礼毒草師・御名形史紋が探偵役をつとめるシリーズの第2弾です。前回さんざんな目に遭った医療雑誌の編集者・西田君が今回も登場しています。

今回は茶道の世界を舞台に殺人事件が起こりました。裏千家の茶道教室でお茶を点てていた時、その先生の次男が毒殺されてしまいました。警察は毒物の特定を進めますが、その成分に蛇毒が混じっていたことしかわかりません。
そうするうちに、第2の殺人事件が発生しました。今度は同じ先生の長男が、やはり同じ毒で毒殺されてしまいました。さらに事件は、第3、第4の被害者をうんでしまいます。

事件と平行して語られる、今回の歴史ミステリーは千利休はキリスト教徒だったのではないか!?という謎です。それとからめて、史紋の意外な生い立ちが明かされたのには驚きました。

お話としては、前作の毒草師の物語の方が面白かったです。殺人事件の謎と千利休の謎との絡みが薄かったこともありますし、犯人の殺害方法にも意外性が感じられませんでした。
このシリーズもQEDのように続いてゆくのかもしれませんが、次回作ではもう少し推理小説として楽しめる内容にして欲しいですね。
毒草師「QED 神器封殺」に登場した毒草師・御名形史紋(みなかた・しもん)を探偵役にした、QEDとは別シリーズのお話でした。

医療業界向けの情報誌の編集者・西田の隣室に、和歌山からやって来た毒草師と自称する御名形史紋がやって来ました。QEDに登場した時は、崇よりまともな感じがした史紋ですが、このお話では主人公ということもあってか、奇人変人で傲岸不遜ぶりを披露しています。

今回、史紋が挑むのは鬼田山家という旧家で起こった密室からの失踪と殺人事件です。QEDと同じく謎の解決の糸口となるのは、伊勢物語や1つ目の妖怪です。しかし、QEDシリーズと比べると歴史ミステリー色は薄くて、純粋に推理小説として楽しむことができました。

密室トリックの謎解きは今ひとつでしたが、犯人の意外な正体には驚かされました。QEDシリーズと繋がりはありますが、独立した物語になっていますので、単独の作品としても十分に楽しむことができると思います。

こちらのシリーズも続編が出ているようですが、QEDシリーズの時のように、今度は毒草師のシリーズに桑原崇や奈々たちが、そして個人的に贔屓の神山禮子が^^;、登場してくれるとうれしいんですけどね。
QED ventus 御霊将門 (講談社ノベルス)QEDシリーズ、第12弾では崇や奈々、沙織が大怨霊と呼ばれる将門の謎に挑戦します。

前回で和歌山の事件に決着がついたので、もう神山禮子は登場しないかと少し残念に思っていたら、このお話では成田の病院で薬剤師をすることになって、再び顔を見せてくれてうれしかったです。そして禮子は、崇たちが神社巡りをする裏側でストーカーに狙われて大ピンチです。
しかし、禮子の関わる男性は、桑原崇といい御名形史紋といい、今回のストーカーといい、どうも変人奇人ばかりのような・・・。(^^;

一方、奈々たちは沙織の計らいで最初はお花見をする予定だったのが、そこに崇を誘ったばっかりに平将門にまつわる史跡巡りになってしまいました。そして、相変わらず自分の得意分野になると、ヲタな崇がしゃべるわしゃべるわ。(笑)
結局、東京都内を巡っただけでは足りずに、奈々たちは崇に誘われて茨城まで繰り出すことになってしまいました。

今回は将門をめぐる謎解きは面白かったですが、神山禮子がらみの事件は今ひとつでした。
しかし、次巻ではまた禮子が事件に巻き込まれそうですので、どんなお話になるのか楽しみです。
QED 神器封殺 (講談社ノベルス)QEDシリーズ、第11弾です。前巻で熊野に出かけた崇と奈々ですが、沙織と小松崎が合流して、またしても殺人事件に関わることになってしまいました。

前巻で崇のことを酷評してくれた神山禮子ですが、今回は彼女の視点からの記述がなくて残念でした。そして、禮子の知人として毒草師と名乗る御名形史紋(みなかた・しもん)が登場しました。この史紋も崇に劣らぬ、神社仏閣ヲタクのようですが、単刀直入に物を言うところはありますが、崇ほど蘊蓄をひけらかすことがなくて、同じ変人でも史紋の方が好印象でした。(^^;

小松崎と沙織は、和歌山で起こった大病院の経営者・熱田光明が殺害された事件を取材しています。その最中に、同じ病院の事務長が毒殺されるという事件が発生しました。最初は事件に無関心だった崇でしたが、史紋と出会ったことで珍しく事件の解決へと乗り出しました。

今回は、最終章に入る前に著者から読者への挑戦状めいたものが用意されていました。なので、さぞ込み入ったトリックや謎が用意されているんだろうと期待しましたが、肝心の殺人事件の方は途中で犯人が判明してしまいがっかりしました。
作者が提示した謎は、歴史ミステリーの部分だったようですが、それは1つの説としては面白いと思いましたが、わざわざ袋とじにするほどの内容ではないような気がしました。

作者も、そして奈々の妹の沙織も、崇と奈々のカップリングを推し進めようとしていますが、個人的には崇には奈々はもったいなさすぎると思います。(^^; 崇はこのまま独身のまま、好きな神社仏閣研究に励んでもらって、奈々には素敵な彼氏を用意してあげて欲しいなあ。

またカップリングでいえば、それよりも沙織と小松崎の方がいい感じですね。この2人、気も合うみたいですし、このまま関係が続けば、自然とゴールインしてくれそうで楽しみです。
QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)QEDシリーズ第10弾では、崇や奈々が学校薬剤師会の旅行で熊野に出かけることになるお話でした。

今回は今までとは視点を変えて、奈々たちと同じ薬剤師の神山禮子(みわやまれいこ)の視点から物語が描かれました。奈々は崇のやり方に慣れているので、彼の奇矯な言動も温かい目で見守ってくれますが、部外者から見たらやはり崇は変人だということが非常によくわかりました。(^^;

熊野を旅行するにあたって、崇は今回もここぞとばかりに蘊蓄を披露します。その様子を神山さんが冷たい視線で眺めているのが、実に爽快でした!(笑)
崇のような男性は愛想を振りまくと誤解して気があると思い込まれるとか、ああいうタイプはストーカーになるとか^^;、崇のことを滅多切りにしてくれたのには大笑いしました。まさかQEDでこんなに大笑いできるとは思いませんでした。

ただ、今回は崇の説明だけでは熊野の謎を理解するのは、かなり厳しかったです。というか、次々に古の覚えにくい神様の名前が登場するので、それを次に登場する時まで覚えておくのもたいへんでした。このシリーズの読者は、歴史の専門家ではないのですから、もう少し読みやすくする配慮が欲しかったです。

今回は珍しく、崇や奈々は殺人事件に巻き込まれませんでした。その代わりに展開したのが、語り手である神山さんの過去でした。果たして彼女は過去に殺人を犯したことがあるのか、それが物語のもう1つのキーポイントになっていました。
こちらもなかなか凝った構成で、今までのシリーズの中でも面白かったです。(^^)
QED 鬼の城伝説 (講談社ノベルス)QEDシリーズ第9弾。今回は、小松崎の取材旅行に同行して、奈々と妹の沙織が中心となって吉備津神社などの名所を巡り歩きました。しかし、単に観光だけでお話が終わるはずもなく、小松崎が取材していた事件に進展があって、奈々たちはまたしても事件に巻き込まれることになったのでした。

神社巡りというと、いつもなら崇が延々と蘊蓄をしゃべりまくるのですが、今回は彼は仕事の都合で奈々たちより遅れて岡山に到着することになり、その間の解説は沙織や小松崎の知り合いの娘さんたちが行ってくれました。
これがとてもわかりやすくて、取っつきやすかったです。崇の蘊蓄は凄いのですが、様々な文献や出来事を詰め込んで話をされるので、これまでにもその説明を読んでいて辛くなることが多々ありましたので。(^^;

今回、奈々たちが巻き込まれたのは、鬼野辺家で起こった殺人事件です。鬼野辺家の長男と市役所の観光課に勤める女性の婚約が決まりました。その挨拶に鬼野辺家を訪れた時、婚約相手の長男が屋敷の土蔵の中で後頭部の打撲で死亡した上、首を切り取られるという殺人事件が起こりました。しかも、その時の土蔵の扉には、内と外から鍵がかかっていて密室状態だったのです。

さらに、奈々たちが岡山を訪れる直前に、婚約者の女性のお兄さんが死体で発見されるという事態が発生しました。しかもそれに続いて、鬼野辺家の次男までが遺書を残して自殺してしまいました。
そこへ、ようやく到着した崇が、探偵役として登場。複雑に絡み合った謎を、鳴釜神事や桃太郎伝説とあわせて、見事に解き明かしたのでした。

今回は、殺人事件の進展と吉備津神社などの紹介のバランスがよくて、なかなか楽しめるお話でした。ただ欲を言うなら、崇が現地に到着してからの展開があまりに早すぎることでしょうか。奈々たちから事件のあらましを聞いただけにしては、崇があまりに事件の詳細まで知りすぎているように感じました。