日々の記録

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還らざる城 (中学生・高校生必読名作シリーズ)眉村卓さんの「還らざる城」を読み終えました。

この作品は眉村さんの「とらえられたスクールバス」などと同じく、20世紀に生きる少年が戦国時代にタイムスリップしてしまうお話です。

高井敏夫は父が計画に参加している、タイムカプセルを見学させてもらうことになりました。20世紀の技術を詰め込んだ大きなカプセルを、敏夫は父の部下である稲田青年に案内してもらいます。ところが、その途中で誰もいないはずのカプセルの中に、不思議な女の子が現れました。カラリンコというその少女は、40世紀の未来からやって来たというのです。

カラリンコは、20世紀のタイムカプセルに興味を持って、それが開けられる前に中を見てみようとしたのです。ところが、カラリンコが乗ってきたタイムマシンのトラブルで、敏夫たちはタイムカプセルごと戦国時代へと飛ばされてしまったのでした。

カプセルの中に入っていた20世紀の道具を使い、敏夫たちは襲ってくる武士たちを撃退しました。そして敏夫は、その時に知り合った、シノという女の子に心惹かれるのでした。そんな敏夫に、カラリンコが焼き餅を焼くのが面白かったです。

限られた材料を使い、カラリンコはタイムマシンを修復しようとしています。そんな中、敏夫と一緒にやって来た稲田青年の様子がおかしくなりました。戦国時代で生活するうちに、稲田青年は20世紀の技術を使って、自分が日本を支配する大名になろうとしていたのです。

そんな稲田青年に、敏夫は反発します。しかし、稲田に協力しないことには、当面生き抜くことさえできません。違和感を覚えつつも、敏夫は稲田と共に来たるべき北条軍との戦いに備えます。果たして稲田青年は、その野望を実現することができるのでしょうか。そして敏夫は、どういう道を選ぶのでしょうか。

20世紀の豊富な道具に、稲田青年は剣道五段の腕前と、いろいろと都合のいい設定がそろっていますが^^;、登場人物の心の動きや、先の読めない展開が面白かったです。主人公の敏夫は優等生的な感じですが、未来から来た少女カラリンコの言動が面白かったです。
思いあがりの夏 (角川文庫 緑 357-10)眉村卓さんの「思いあがりの夏」を読み終えました。

眉村さんの作品で、昔読んだんだけれど、作品のタイトルを忘れてしまった作品がありました。幕末にタイムスリップしてしまった青年が、新撰組の一員になる話なのですが・・・。それをようやく、この本の中に見つけました。
「名残の雪」という作品でした!(^^)

この本には、「名残の雪」以外に表題作の「思いあがりの夏」、「島から来た男」、「"あした"のために」、「子供ばんざい」の5作の短編が収録されています。「名残の雪」以外の作品は、サラリーマンが主人公ですが、会社生活への疲れが感じられます。眉村さん自身、サラリーマン生活の経験があるそうですので、その経験がにじみ出ているのかもしれませんね。

5作の中では、記憶に残っていた「名残の雪」が一番面白かったです。いっけん眉村さんの他の作品にも見られるタイムスリップものなのですが、最後のオチのひねりが凄いです。作品の概要は覚えていたのに、オチを忘れていたおかげで、より楽しむことができました。(^^;

他の作品は怖さが感じられる内容でしたが、眉村さんの文体で物語が描かれると、生々しさがなく怖いんだけれど、どこか安心感がある雰囲気になりますね。この雰囲気は他の作家でも感じたことがあると思ったら、藤子・F・不二雄さんのSF短編に通じるものがあることに気づきました。
いいかげんワールド眉村卓さんの「いいかげんワールド」を読み終えました。

作家で大学の講師もしていた福井一男(以下、著者)は、かって大学の教え子であった若葉快児から手紙をもらいました。その手紙には、異世界に行く方法を見つけたから協力して欲しいと書かれていました。半信半疑のまま快児に必要なお金を貸して、異世界に行くことに協力した著者は、なぜか快児と一緒に異世界に行ってしまったのでした。

その世界は、若葉快児が自分のイメージで作り出したカイジ・ワールドと呼ばれる世界でした。カイジは、その世界を統一するために動き始めました。最初は著者も一緒に行動していたのですが、あるとき洪水に巻き込まれてカイジと離ればなれになってしまいました。

しかし著者は、それはそれと諦めて、空を飛ぶ不思議な猫・サンカクと著者が魔法で生み出したらしいロボット1号と共に生活を始めるのでした。平和な日々が続いたある日、著者たちのところに反カイジ軍がやって来ました。彼らの住んでいる砦を、反カイジ軍に差し出せというのです。これを受け入れられない著者たちは、反カイジ軍と戦うことにしたのでした。

一応異世界を舞台にした作品なのですが、著者の性格もあってか、かなり大ざっぱな世界観の作品です。そして作品の根底には、老人の達観が感じられました。著者は何度かカイジ・ワールドについて考えようとしますが、判断するための材料が何もないため考えることができません。それ以来、著者は何か異常なものを目にしても、そういうものだと受け入れるようにしたのでした。

作品の雰囲気は、かって親しんだ紛れもない眉村ワールドなのですが、主人公の視点は現在の眉村さん自身の心情を濃厚に感じさせられるものでした。なので読んでいて何度も、ああ眉村さんは年を取られたんだなあと感じました。
眉村卓さんの「まぼろしのペンフレンド」を読み終えました。

この本には、表題作「まぼろしのペンフレンド」、「テスト」、「時間戦士」の3つの作品が収録されています。
どの作品も当時の小学生や中学生くらいの読者を対象に書かれたものですが、今読んでもけっこう面白いです。

「まぼろしのペンフレンド」は、主人公の渡辺明彦のところに不思議な手紙が届くところから始まります。本郷令子という名前の差出人は、一方的に明彦の周囲の状況を聞きまくる手紙を送ってきたのです。おまけに、その手紙には調査費として1万円札まで同封されていました。その手紙を気味悪く思ったものの、興味を持った明彦はその女の子と文通を始めました。

そんな時、明彦は同じクラスの伊原久美子も同じような手紙をもらっていることを知りました。久美子のところに送られてきた手紙にも、やはり1万円札と周囲の様子を教えて欲しいと書かれた手紙が入っていました。それを知った明彦は、これは何か大がかりな陰謀が背後で動いているのではないかと疑うのでした。

不思議な事件はさらに続きます。学校帰りの明彦は、突然校門前で同じような顔をした男たちに取り囲まれて、写真のようなものを撮られました。その男たちも、明彦には今回の事件と関係があるように思えてなりません。そんな時、本郷令子から手紙が来て、東京にやって来るから出迎えて欲しいと言ってきました。

一方的に要求ばかりして、失礼な相手だと思ったものの、明彦は令子の出迎えに駅に向かいました。そして、この時から明彦は思いがけぬ危機に直面することになりました。駅で明彦は誘拐されそうになったばかりか、家へ帰ると明彦そっくりの少年がそこにはいたのです。誰が何の目的で何を企んでいるのか。その謎が次第に明らかになっていきます。そして明彦は、事件の背後に別次元の無機生命が絡んでいることを知るのでした。

「テスト」は、文芸部の部長を務める村尾良作を主人公とした物語です。良作は、秀でた文芸の才能は持っているものの、その他では劣等感にさいなまされている少年です。そんな彼の元に、不思議な男が現れて、彼を別の世界へと連れて行くのでした。男は、良作の文芸の才能を見込んで、ある依頼をしてくるのですが・・・。

「時間戦士」は、人類がザグバンダと呼ばれる謎の存在に侵略されている時代の物語です。その時代、人類は大きなドーム都市の中で暮らしていました。都市は栄えましたが、その周囲は深い森として放置されていました。そんな時、突然ザグバンダが人類の都市を次々と襲い始めたのです。人類は必死で戦いますが、人類の武器はザグバンダには通じません。そこで人類は、最後の望みをかけて3千年先の未来へと時間移動して生き延びる道を選んだのでした。

そんな中、ザグバンダと戦う戦士たちが組織されました。それが時間戦士です。時間戦士は、一気に3千年先の未来へと飛ぶのではなく、100年ごとに時間旅行をしてザグバンダにゲリラ攻撃を仕掛けるのです。主人公のタキタも、そんな戦士の1人です。そして最初の時間跳躍をしたタキタたちは、その時代の偵察を始めました。ところが、タキタを偵察に送り出した母船は、どこかへ姿を消してしまいました。たった1人、100年後の未来に取り残されたタキタは、そこで驚くべき事実と遭遇するのでした。

どの作品も時代を感じさせますが、その中でも「まぼろしのペンフレンド」が一番現代との違いを感じさせられました。コンピュータ・ネットワークが発達した現代では廃れてしまいましたが、かっては雑誌の文通コーナーで見知らぬ人とやり取りをするのを楽しむ人たちが大勢いました。郵便でのやり取りですので、今のメールのようにすぐに返事が来たりしませんが、このくらいの時間の余裕があった方が人間らしい気がしました。
長かったイシター・ロウの物語も、とうとうこの「不定期エスパー(8)」で完結します。

ようやくカイヤツ軍団の集合地点へと到達したイシター・ロウでしたが、思わぬ事態が彼を待っていました。軍団の中で戦う意思がある者は、既に戦いへと赴き、そこに残っていたのは戦う意思のない者やけが人・病人だけだったのです。

思いがけない事態に戸惑うイシター・ロウでしたが、けが人の中に軍団での先輩ラタックとエレスコブ家で親しかったヤスバがいるのを見つけました。戦う道を閉ざされた今、イシター・ロウはシェーラたちに2人の治療をお願いします。しかし、ヤスバはシェーラたちの手当を受ける前に息を引き取ってしまったのでした。

ヤスバを埋葬したイシター・ロウは、ラタックと共にシェーラたちと合流しました。そこでイシター・ロウは、エレン・エレスコブがネプトの第1市にいることを知らされました。ネプトーダ連邦の上層部は、既に戦いを放棄することを決定していました。しかし、第1市に駐留するダンコール軍団は、あくまで戦いを続けることを主張して上層部に反逆したのでした。

そんな不穏な情勢の中、イシター・ロウはエレンたちを救出に向かいます。エレンも平和工作を行おうとするメンバーの1人として、反乱軍に命を狙われていたのです。
シェーラたちの手助けもあり、イシター・ロウはエレンたちの救出に成功しました。助けられたエレンたちは、あくまで平和工作を行い、ネプトーダ連邦の今後を見守るために、一時別の世界に身を隠すことにしました。

しかし、既にエレスコブ家の一員ではないイシター・ロウは、エレンたちと同行する必要も意志もありませんでした。迷った末に、イシター・ロウはシェーラたちが実現しようとしている、全ての人間がエスパーになり争いのない世界を実現するために、シェーラたちの世界で常時エスパーになるための教育を受ける決意をしたのでした。
イシター・ロウたちの目的は遠大で、それが実現する日が来るのか誰にもわかりませんが、その日が来ることを信じて、イシター・ロウは新しい世界へと旅立ってゆくのでした。

全8巻に及ぶ長い物語を読み終えて、1つのことをやり遂げた達成感とこれでイシター・ロウの物語が終わってしまった寂しさの両方を感じました。
物語的には、ずっとイシター・ロウの視点で物語が進んできたので、イシター・ロウと一緒に冒険して考えて、成長してゆく気分を味わうことができました。
ただ、物語の中で戦争が描かれるようになってからは、視点がイシター・ロウだけで全体が見えないという不満も感じました。複数の視点から物語が進行していたら、もっとスケールの大きな物語になったかもしれないと考えると、それが少し残念でした。
少し間隔が空いてしまいましたが、眉村卓さんの「不定期エスパー(7)」を読み終えました。

カイヤツ軍団からはぐれてしまったイシター・ロウは、それでも2人のダンコール人ザコー・ニャクルとボズトニ・カルカースと共に、軍団の集結地点であるネプトを目指します。
ようやくネプトまでたどり着いたイシター・ロウたちでしたが、そこは周囲を敵に包囲されて、敵の艦艇が市民に降伏を勧めるビラをばらまいていたのでした。

第1市にカイヤツ軍団がいないことを知ったイシター・ロウは、ザコー・ニャクルやボズトニ・カルカースと別れて、1人でカイヤツ軍団を求めて第2市へと入り込みました。そこでイシター・ロウには意外な出会いが待っていたのです。

これまでも度々イシター・ロウを励ましてくれ、デヌイベと共に力を貸してくれたシェーラと再会したのです。そして、ついにシェーラは自らの目的をイシター・ロウに語りました。

シェーラたちデヌイベやドゥニネなどは、他の星系からこの星系にやってきた工作員だったのです。シェーラたちの世界では、全ての人間が超能力を持っていて、互いに共存しています。そして、超能力を使える人々を増やすために、シェーラたちはイシター・ロウたちの世界やウス帝国、ボートリュート共和国などに入り込み、活動をしていたのでした。

シェーラたちが使っている超能力は、イシター・ロウが知っている超能力を遙かに超えたものでした。力のレベルはもちろん、場合によっては超能力を全く持たない状態になることさえできるのです。

シェーラたちの正体を知って驚いたものの、イシター・ロウは連邦軍の兵士として、あくまでカイヤツ軍団と合流することを目指しました。そんなイシター・ロウに、シェーラたちはいざという時に短時間だけ超能力を使える力をイシター・ロウに与えたのでした。

さらにシェーラたちは、カイヤツ軍団が第3市にいるらしいこと、そしてエレン・エレスコブもネプトに潜んでいることを知らせました。それらの情報を得て、イシター・ロウは再びカイヤツ軍団との合流を目指して歩き始めました。
そして、数多くの苦労をくぐり抜けて、ようやくイシター・ロウはカイヤツ軍団がいる場所までやって来たのでした。

第7巻では、これまでの謎が一気に解き明かされました。ただ、シェーラたちの目的は見えたものの、彼女たちが安易にイシター・ロウに力を貸しすぎるような気もしました。
この長い物語も、いよいよ次の第8巻で完結を迎えます。絶望的な状況の中であくまで戦い続けようとするイシター・ロウに、どんな運命が待っているのでしょうか。
消滅の光輪〈3〉「消滅の光輪」も、とうとうこの巻で完結です。第3巻では、事態が予想外の方向に動き始めて、最終的に物語が到達した場所のスケールの大きさには呆然となりました。

小さな暴動が頻発する中、それでもマセは最善を尽くしてラクザーンからの退避計画を進めます。暴動の背後に連邦軍が絡んでいるらしいことを知ったマセでしたが、その真意をつかむ前にとうとう大規模な反乱が発生してしまいました。

最初は辺境を中心に起こった反乱を鎮圧するため、マセは制圧部隊を各地へ送り込みました。しかし、それは司政庁を狙った大規模な反乱を実行するための布石だったのでした。
戦力を分散させてしまったために、マセは残されたロボット官僚を中心とした戦力で反乱を鎮圧することを強いられます。

しかし、そんなマセの手の内を読んだかのように、反乱勢力は司政庁を着実に陥落させようと迫ります。反乱勢力は、ついには司政官への協力者を人質として、マセに降伏を迫ります。
それを受け入れて、反乱勢力のリーダーたちと対峙したマセを救ったのは、反乱勢力に力を貸していると思われた連邦軍でした。裏では繋がっていたはずの、連邦軍が今度は反乱勢力を情け容赦なく駆逐したのです。

ようやく反乱が一段落したところに、マセに思いがけない指令が伝えられました。マセは巡察官によって告発されて、司政官としての権力を奪われて、後任の司政は新たに着任したマセが尊敬するベテランの司政官カデットに委ねられたのです。

待命司政官という名ばかりの地位に追われたマセは、地方に左遷されて一切の情報からも切り離されてしまいました。そんな境遇の中で、彼はこれまで自分が絶対に正しいと信じて行ってきた司政官としての仕事も、見方が変われば横暴なものであったと悟りました。

そんな中、ランと再会したマセは、再び先住者の住居を訪れて、それまで人類が知ることができなかった先住者の伝承に隠された真実を知ることになるのでした。
やがて職務の凍結が解かれて、司政官へと戻ったマセは、今回の退避計画の背後にあった連邦軍や連邦直轄事業体、そして連邦経営機構の行動の真相の一部を知ることになりました。

これまで自分の意思で考え行動してきたと思っていたマセでしたが、全ては連邦によって事前に仕組まれたものだったのです。
そして、現在の人類には受け入れがたいものではありますが、マセはこの宇宙の真理と直面することになるのでした。

最初は退避計画を遂行する司政官の苦闘を描く物語かと思いましたが、後半に入って今後の人類の運命さえも左右する大いなる真理とマセが直面することになるとは思いもしませんでした。70年代後半に、こんなにもスケールの大きなSFが書かれていたことに、あらためて驚きました。
また、最初は司政官としての使命感に燃えて、機械のように使命を遂行しようとしていたマセが、お話が進むに従ってどんどん人間的になっていったのも興味深かったです。

現在では絶版になってしまっていますので、ちょっと入手しにくい作品ですが、図書館なら置いてあるところもあるでしょうし、ぜひ一読していただきたい作品です。(^^)
消滅の光輪〈2〉いよいよラクザーンからの退避計画が動き始めました。

緊急指揮権を発動したマセは、様々な意見が噴出する中で、かねてから準備を進めてきた計画を実行に移しました。退避計画が進行する中、マセは先住者の意外な行動に直面しました。
マセは先住者であろうとも、一緒に別の星へと退避させるつもりでしたが、そのために必要な住民登録に先住者たちは1人も顔を出しませんでした。

先住者たちの真意を探るマセは、先住者たちと会見を行い、そこで驚くべき事実を知ることになるのでした。先住者の一部、チェンと呼ばれる者たちには予知能力があるというのです。その力を使って、先住者たちは太陽が新星化することを事前に察知していたのです。
その事実を知った上で、先住者たちはラクザーンと一緒に滅ぶことを選択したのです。

それでも先住者たちを切り捨てられないマセは、さらに調査を進めた結果、先住者たちに伝わる伝承の中に、この星から離れたら彼らは滅んでしまうという言い伝えがあることを知ったのでした。

先住者の件以外にも、マセの前には問題が山積みになっています。
司政官のやり方や高額な税金に反発して暴動も何度も起こりますし、連邦直轄事業体や有力企業は少しでも自分たちの有利に事を運ぼうと、いろいろと画策してきます。
それらを、マセは時に懐柔して、時に力で押しつぶして、ラクザーンを離れるできるだけ多く人々が有利になる道を選択しようとするのでした。

そして、ついに第1陣がラクザーンを離れるところまで持ち込みました。しかし、新天地での資金源として当てにしていた海藻に異変が起きたり、マセの進める計画の困難さは時間が経過するほど高まっています。
このような状況の中で、マセは無事に全ての計画を完遂することができるのでしょうか!?

困難な仕事に振り回されているマセですが、第2巻ではマセと科学センターの研究員ランとのほのかな交流が印象的でした。普段はロボットのように振る舞っているマセですが、そのうちには意外に人間的な面が隠されているようですね。
消滅の光輪〈1〉眉村卓さんの司政官シリーズの長編「消滅の光輪」を、ようやく入手することができました。

司政官の物語としては、司政官制度が終焉を迎えようとしている次期のお話です。そんな時に惑星ラクザーンの司政官を務めることになったマセは、ラクザーンの太陽が新星化を迎えようとしていることを知らされます。
ラクザーンでの生存が不可能となる事態を前に、マセは植民者、先住者などできる限り多くの人々を救うために知恵を絞るのでした。

マセの仕事は、司政官が絶大な権力を持っていた時期なら比較的容易だったかもしれません。しかし、今では司政官は連邦軍や連邦直轄事業体の思惑を無視して動くことは困難です。そんな中、自分たちだけの利益を確保しようとする連邦と、マセがどう渡り合ってゆくのかが読み応えがあります。

第1巻では、マセがそのための下準備を終え、いよいよ緊急指揮権を得て、できる限り多くのラクザーンの住人の利益となるために動き出すところまでが描かれました。
そこに至るまででも、各種団体との駆け引き、司政官を監視する巡察官とのやり取りなど、お互いの腹の探り合いがあって、司政官としてのマセのたいへんさが感じられます。

テーマは地味ですが、ラクザーンの退避計画がどのように実行されるのか、全てをマセの思惑通りに進めることができるのか、この先の展開が楽しみです。(^^)
前巻を読み終えてから間隔が空いてしまいましたが、ようやく眉村卓さんの「不定期エスパー(6)」を読み終えました。

圧倒的な敵を前に、イシター・ロウたちはネイト・ダンコールの首都ネプトを防衛するために、決死の戦いを行おうとしていました。しかし、夜間に繰り返される砲撃と闇に慣れた敵の急襲を受けて、部隊は壊滅的な打撃を受けてしまいました。
しかしそれでも、イシター・ロウたちはネプトを守るために、絶望的な戦いを続けるのでした。

そんな戦いの中、イシター・ロウはネイト・ダンコールでドゥニネと呼ばれる不思議な一団と出会いました。彼らの持つ雰囲気は、かってシェーラが一緒にいたデヌイベと通じるものがありました。

激しい敵の攻撃を受けて、イシター・ロウの仲間たちは次々と倒れてゆきます。それでもイシター・ロウは、ネプトを防衛するという最初の使命を果たすべく、敵に圧倒されながらもネプトを目指すのでした。
その戦いの最中、傷ついたイシター・ロウたちを助けてくれたのは、ドゥニネの集団でした。彼らはイシター・ロウが以前シェーラからもらった手紙に、特別な意味があるのだと教えました。

今のイシター・ロウにそれが何なのかわかりませんが、ドゥニネの助けを得て、イシター・ロウはようやくネプトを目前とするところまでたどり着きました。しかし、その時彼らの頭上に現れたのは、ウス帝国の巨大な艦艇でした。
ドゥニネに救われ一息ついたものの、イシター・ロウたちが絶望的な状況にあることは変わっていません。この苦境をイシター・ロウは、どう切り抜けるのでしょうか!?
新年最初に読み終えたのは、眉村卓さんの「不定期エスパー(5)」でした。

5巻では、とうとうイシター・ロウたちネイト・カイヤツ軍団は、輸送艦で前線へと赴きました。その艦内で、イシター・ロウはライゼラ・ゼイという女性観察要員と出会いました。彼女はイシター・ロウがエレスコブ家の出身だと知って、その後のエレスコブ家の情報を教えてくれるのでした。

ネイト・カイヤツの反乱分子と見なされたエレスコブ家は、もはや家としての体裁をなしてない状態にあるようです。そして、かってイシター・ロウが護衛していたエレン・エレスコブは行方不明になってしまいました。
エレスコブ家のことが気にかかりつつも、イシター・ロウにはどうすることもできず、兵士としての毎日が待っています。

兵士として前線の陣地に到着したイシター・ロウは、戦争というものが多くの人的・物的資源を必要とすることに気づかされました。兵士1人をとって考えてみても、その装備だけでなく、眠る場所や食料、水など、人間1人が生きてゆくためには多くのものが必要になります。事細かな描写を読んでいるうちに、戦争とは何と大きな消耗なのだろうかと感じました。

イシター・ロウたちの当面の敵はボートリュート共和国でしたが、ついにその背後に控えていたウス帝国が動き始めました。イシター・ロウたちは、ネプトーダ連邦の首府があるネプトを中心に敵を迎撃する予定でしたが、彼らの戦力はあっけない程簡単にウス帝国に打ち砕かれてしまったのでした。

残された戦力を使って、イシター・ロウたちは自分たちの世界を守る捨て石となるような戦いを強いられることになりました。敵の力は全くの未知数ですが、イシター・ロウたちに少しでも勝ち目はあるのでしょうか!?
そして、最後の戦いを前にイシター・ロウにエスパーとしての力が戻ってきました。
そしてそんなイシター・ロウを励ますかのように聞こえてくるシェーラの声。イシター・ロウは、この苦しい戦いを生き抜くことができるのでしょうか!?
眉村卓さんの「不定期エスパー(4)」を読み終えました。

エレスコブ家から追放されたイシター・ロウは、連邦軍のカイヤツ軍団に入隊しました。
バトワ基地での個兵見習いの訓練を終え、準個兵となったイシター・ロウは、そこに彼以外の不定期エスパーがいることを知りました。その男、セキ・レイから試合を申し込まれたイシター・ロウは、不慣れな超能力を使いこなせずセキ・レイに完敗しました。しかし、それがきっかけとなって、より超能力を使いこなせるようにと工夫を始めるのでした。

連邦軍でのイシター・ロウも、エレスコブ家でそうだったように、与えられた環境で自分にできる最善を尽くしています。護衛員から兵士になってしまったイシター・ロウですが、一兵士といえど習熟しなければならない技能は多数あり、簡単にはいかないようです。
この巻で印象的だったのは、普通の兵士になるのも大変だということです。みんな子供の頃はいろいろな夢を持っていますが、それを現実にできる人間は多くありません。
夢をつかめなかった人間が劣っているのかというと、そうではなくてみんな努力しているのです。そして、普通になるということさえ、意外とたいへんなのです。
この一見忘れがちな、"普通の大変さ"がきちんと描かれているのが魅力的でした。

そんなイシター・ロウの元に、シェーラからの手紙が届きます。恋文のように見えるその手紙を持っていることが重要らしいのですが、一体シェーラはどんな意図があってそんな手紙を出したのでしょうか。
これもまた、イシター・ロウが知らないタイプの超能力なのでしょうか!?

そして、イシター・ロウの所属する部隊に出動の時がやって来ました。そんなある日、部隊長に呼び出されたイシター・ロウは、ネイト・カイヤツでエレスコブ家の警備隊がネイト警察と対立したことを知るのでした。さらに、エレスコブ家がクーデターを起こすという噂もあるようで、イシター・ロウのいない間にネイト・カイヤツやエレスコブ家にも大きな変化が起こっているようです。

この巻から、物語が新たな方向へ向かって動き出しました。ボートリュート共和国やウス帝国との戦争、各地で活動しているらしいデヌイベと同じような超能力者の集団。
次々と変わる事態の中で、イシター・ロウにはどんな運命が待っているのでしょうか!?
眉村卓さんの「不定期エスパー(3)」を読み終えました。3巻ではイシター・ロウが、カイヤツIIIでネイト・ダンコールへと向かうことになりました。ここからイシター・ロウの運命が、大きく変わってゆくことになります。

カイヤツIIIでの航海は、緊張感を孕んだものでした。今回の旅には、エレン以外にも多くのエレスコブ家の内部ファミリーが同行したのですが、その中にイシター・ロウと因縁のあるトリントス・トリントが加わっていたのです。
さらに、カイヤツIII内の酒場には、謎の女ミスナー・ケイも働いていました。シェーラもそうですが、ミスナー・ケイも常にイシター・ロウの近くにいて彼の様子を見守っているようです。

ネイト・ダンコールへは予定通り到着して、その地でエレンは精力的に活動しました。しかし、そこから次の目的地へと旅立とうとした時、ネイト・カイヤツの兵士たちらしき男たちにエレンは狙われたのでした。
それと前後して、イシター・ロウはエスパー化してしまいました。そのおかげで、エレン達は最初の一撃を避けることができたものの、不利な状況での戦いの最中にイシター・ロウの友人ハボニエが命を落としてしまいました。

それが引き金となって、イシター・ロウはエスパーとしての力を爆発させてしまいました。
襲撃してきた男達を撃退したものの、エスパー化した状態で勤務についてはならないという規則を破ったため、イシター・ロウは査問されることになってしまいました。

しかし、査問とは名ばかりで、その背後にはトリントス・トリントの意向が強く働いていました。エレンやパイナン隊長の弁護もむなしく、イシター・ロウは護衛員を解任されて、カイヤツ軍団の兵士として出向させられることになってしまいました。

これまで尽くしてきたエレンから引き離され、これからのイシター・ロウにはどんな運命が待っているのでしょうか。
眉村卓さんの「不定期エスパー(2)」を読み終えました。

エレン・エレスコブの護衛員となったイシター・ロウは、エレンを護衛して第2惑星カイヤツから第3惑星カイヤントへと行くことになりました。その旅でイシター・ロウは、初めての宇宙旅行、初めての惑星を目にすることになるのでした。

カイヤントでのエレンは、各地の植民都市をまわって演説を行いました。一部の有力な家の支配から脱して、カイヤントの植民都市は一致団結してそれに抵抗すべきというエレンの主張は、行く先々の都市で圧倒的な支持を得るのでした。
しかし、有力な家の1つであるサクガイ家は、そんなエレンの行動を阻止しようと、自分たちの都市へのエレンの受け入れを拒否するのでした。

行く手を都市の防衛隊に阻まれた一行でしたが、その背後からもサクガイ家の警備隊らしき一団がやって来ていました。そして、前後を敵に挟まれて、エレンたちは進むことも引くこともできないピンチへと追い込まれてしまいました。
そんなピンチを救ったのは、デヌイベと呼ばれる不思議な一団でした。そして、その中にはかってイシター・ロウの世話係をしていたシェーラもいました。

デヌイベたちは、不思議な詠唱を行うことでエレンたちを守りました。その力は、それまで知られていた超能力の常識を越えて、なんとレーザー光線さえねじ曲げることができたのです。
戦いの中、副隊長のノザー・マイアンが命を落としてしまいましたが、デヌイベたちが時間稼ぎをしてくれたお陰で、エレスコブ家の警備隊が大編隊で駆けつけてイシター・ロウたちは危機を脱することができたのでした。

この巻では、この窮地に陥ったイシター・ロウたちが、死力を尽くして戦い、そして救出されるまでが読み応えがありました。そして、苦境にあっても戦い抜いたエレンたち一行を、警備隊の全員敬礼して迎える場面にはほろっとさせられました。

カイヤントからカイヤツへ戻ってきたエレンたちでしたが、カイヤツでの状況は来るべき戦争に向けて急速に悪化しているようです。警官に目をつけられた不穏分子が、強制的に徴兵されているようです。
そんな中、エレスコブ家は連邦登録定期貨客船を就航させるという大きな計画を発表しました。これまで、カイヤツでも2つの有力な家しか持っていなかった定期貨客船を所持することにより、一気にエレスコブ家も彼らと肩を並べようというのです。

その計画は大衆には、大いに歓迎されましたが、これまでエレスコブ家より上位にあった家からの反発も小さくありませんでした。そして、それが原因でエレンを護衛していたイシター・ロウたちは、護衛員同士の争いに巻き込まれてしまいました。
その戦いの中で、イシター・ロウはこれまでに使ったことのないエスパーとしての力を発揮して、不利な体勢の中エレンを守り抜くことに成功しました。

しかし、ネプトーダ連邦には大きな戦争が近づいている様子ですし、有力な家はそれを口実にしてネイト内での自分たちの支配力を拡大しようとしています。不穏な空気が広がる中、不定期エスパーという特別な体質を持ったイシター・ロウの運命はどうなるのでしょうか。
司政官シリーズの短編集2冊目「長い暁」です。この本では、3編の作品が収録されています。

「照り返しの丘」は、司政官制度がスタートして連邦軍の駐留部隊から司政官へ権限が移されたばかりの時代を舞台にした作品でした。司政官の黎明期で、どうやって植民惑星を統治してゆくのか試行錯誤があったようです。
この星の原住民は、星を支配していた種族が滅んでしまった後に残ったロボットたちです。司政官としての意欲に溢れた主人公が乗り込んできてロボットたちと交流を開始するのですが、ロボットたちは司政官のサポート役のロボット官僚を仲間として認識してしまいます。おまけにロボットたちが守っている場所を調査するためには何段階かのステップが必要で、それは今の司政官の任期中には明かされそうもないという皮肉な結末でした。

「扉がひらくとき」は、司政官制度がようやく軌道に乗り始めた時期のお話です。
惑星ゼクテンでは、2年おきに原住民の大移動が起こります。この原住民の描写も興味深いのですが、このお話では司政官の恋愛感情について触れられているのが驚きでした。

機械のように感情をコントロールする訓練を受けてきた司政官でも恋をすることがあったんだ~と素朴な驚きを感じました。それでも徹底して自己制御しようとする司政官の姿は、何となくストイックな求道者のようですね。

この本のタイトルともなっている「長い暁」は、3編の中では1番長いお話でした。
司政官制度がスタートしたばかりで、司政庁はまだなく連邦軍の駐留部隊の中に司政官は間借りしている状態です。ロボット官僚も充実しておらず、他の作品でSQ1と呼ばれるロボットも、この作品では単にSQと呼ばれています。

司政官制度が始まったばかりで、連邦軍とは違った司政官独自のやり方を推し進めたくても、それに必要な機材が不足しているばかりか、まだ司政官の有効性が連邦内でも疑問視されているようです。

これまでの司政官の物語と違い、原住民の情報がほとんど得られていない状況でした。
司政官たちの視点から、この星の人々の慣習を読者も学んでゆく形式の物語でしたので、これまでの原住民を扱った物語の中では一番読みやすかったです。
特に原住民の中へと赴いた司政官たちの一行が、原住民たちの戦争に巻き込まれて危機に陥った時、それを救ったのがSQの機知だったのが面白かったです。
このところ眉村卓さんの作品を読み続けています。今回読み終えたのは、「不定期エスパー(1)」です。

この作品は、以前に2度ほど読んだことがあるので、通して読むのは3回目になります。眉村さんの作品の中では最も長くボリュームがありますが、主人公のイシター・ロウの考え深い性格がとても気に入っています。

主人公のイシター・ロウは、ネプトーダ連邦のネイト=カイヤツ育ちの青年です。ネイトというのは、連邦を構成する主権体の1つです。ネプトーダ連邦のは14のネイトによって構成されています。
ネイトはさらに、家と呼ばれる有力な財閥のような集団が寄り集まって構成されています。
技術者志望だったイシター・ロウですが、不定期にエスパー能力を発揮する体質だったことが災いして技術者への道を閉ざされてしまいました。さらに事故で両親が他界してしまったことから、ファイター訓練専門学校と呼ばれる官費で学ぶことができる学校へ入学することになりました。

物語は、その訓練専門学校での公開卒業戦闘から始まります。そこで、ネイト=カイヤツの家の1つであるエレスコブ家の令嬢エレンの目にとまったイシター・ロウは、エレスコブ家の警備員として採用されて、エレンの護衛員に任命されるのでした。
エレンに随行して護衛員としての任務をこなす中、イシター・ロウはさまざまな人間や世界と出会い、この世界に対する見方を深めてゆくのでした。

普通この手のSF小説では、主人公は有力者であったり、卓越した力を持ったアウトローだったりしますが、この作品では要人警護に当たる護衛員の1人でしかありません。
この設定が、とても眉村さんの作品らしいなあと思いました。

主人公であるにも関わらず、イシター・ロウはエレンが何の目的で行動しているのかさえ知らされていません。彼の任務は、あくまでエレンを護衛することだからです。しかし、元々考え深い性格の彼は、自分が見聞きした情報から、これまで自分が知っていたのとは違う、今の世界のあり方を推察するようになるのでした。

1巻では、イシター・ロウが護衛員になるまでと、護衛員としての日常が中心に描かれていて物語は大きく動いていませんが、ネプトーダ連邦をとりまく他の勢力との争いが匂わされ、イシター・ロウの周りにもシェーラと呼ばれる不思議な女性が登場して、この先に壮大な物語が待っていることを予感させます。
司政官眉村卓さんのシリーズものとして、今でも根強い人気のある司政官シリーズの1作目を読んでみました。

学生の頃に挑戦したことがあるのですが、その時は原住民と呼ばれる植民された惑星に存在する知的生命体の描写になじめず、途中で挫折してしまいました。司政官と呼ばれる役名の人間は登場しますが、各物語の主人公は1人ではありませんので、それも戸惑いの原因だったような気がします。
今回も原住民がメインになったお話は今ひとつ面白さを感じませんでしたが、連邦という組織の中での司政官制度の変遷がメインになってきた3作目あたりから面白くなってきました。

この本には、4作の短編が収録されています。
「炎と花びら」は、移動能力や知性を持った植物が登場するお話です。「遙かなる真昼」では、入植した人類からはブタガエルと呼ばれている水棲人タイプの原住民が登場します。
この2編では、原住民の描写に力が入れられているのですが、感情移入がしにくいのが読みづらさの原因になっているような気がしました。

「遺跡の風」では、惑星の描写よりも司政官の政策をチェックするために巡察官という制度が取り入れられた時代を舞台にしたお話です。「炎と花びら」が連邦軍とは別に司政官制度が立ち上がった時期のお話、「遙かなる真昼」がそれが軌道に乗った時期、そしてこのお話では、連邦の力が強まり司政官の権力が低下する時代が舞台になっているようです。

司政官制度が変わってゆく中で、司政官と司政官候補生である待命司政官との対立、巡察官制度がより連邦の息のかかった物へと変質してゆく様子がうかがえたのは面白かったです。
ただ、物語に登場する幽霊事件の真相は不明なままですし、主人公の司政官と懇意らしい女性とのやり取りも中途半端で、お話の途中で物語が終わってしまった感じでした。

そして4編の中でも一番長い「限界のヤヌス」は、司政官制度が終焉を迎える時代のお話でした。原住民と植民者、それぞれが力をつけて拡大して、ついに植民者側から司政官からの独立を求める要求が出ます。
その植民者側のリーダーとなっているのが、元司政官という設定が面白かったです。そして司政官と元司政官が争う事態になってしまった時、巡察官の要請によって連邦軍が投入され、ついに司政官制度は終わりを迎えるのでした。
眉村卓さんの「産業士官候補生」を読み終えました。

これは9篇の短編を収録した作品集です。いずれも未来社会で働く人を主人公に据えて、会社優先、利益優先の殺伐さが感じられる未来社会を舞台にした物語です。SFというオブラートにくるまれていますが、この中の作品が抱える問題は今現実に私達の側にある問題になっているような気がします。

収録されている作品のうち、「工事中止命令」「最後の手段」「虹は消えた」の3篇には、パイオニア・サービス会社と呼ばれる万能奉仕屋の無任所要員・杉岡勉が登場することで、シリーズとしての繋がりがあるようです。

迷宮物語「工事中止命令」は、「迷宮物語」というオムニバス形式の映画の1本としてアニメ化されていますので、ご覧になった方もあるかもしれません。

表題となっている「産業士官候補生」は、産業界のエリートを養成するために、優秀な人間が秘密の施設に集められ、徹底した非人間的なスパルタ教育を受けるお話です。
この施設で教育されたエリートたちが働くようになったら、どんなに冷酷な社会ができあがるのか恐ろしさを感じました。

眉村さんのサラリーマンを主人公にした小説は、学生時代にはあまり積極的に読む気になれませんでしたが、社会人になった後で読むと、主人公たちの生き方に共感できるものがありました。
その中でも特に印象的だったのは、会社で仕事をしている時は会社という後ろ盾が、その人に力を与えていることを指摘する部分です。これは一度でも転職・退職などされた方には、思い当たる節があるのではないでしょうか。
「天才はつくられる」に続いて、「つくられた明日」も読み返してみました。

新聞部の部長をしている永山誠一は、副部長の杉森あかねが読んでいた「未来予告」という占い本を知りました。それは従来の占い本よりもきめ細かく各自のパラメータを計算して、自分にあった1冊を260種類ほどある分類から選び出すという不思議な本でした。
あかねに無理矢理押しつけられて、自分に該当する本に目を通した誠一でしたが、その中に書かれている内容が、ぼかされている部分もあるものの、ほとんど的中していることに驚きました。
さらに彼を驚かせたのは、なぜか占い本の11月1日以降が空白になっていたのです。それは、その日以降彼がこの世に存在しなくなってしまうことを意味しているのでしょうか!?

その本を手に入れて以来、彼の元へは不思議な電話がかかってきたり、怪しげなサファリ・ルックの男女が現れたりします。そして、いつの間にか彼は時間流同士の戦いの中に巻き込まれてゆくことになるのでした。

以前読み直した「とらえられたスクールバス」と同じく、この本でも複数の時間流が平行して存在しているという考え方が、作品の重要な要素となっています。
200ページほどの作品ですが、物語のテンポがよくて、誠一に関わる状況が次々と変わってゆく部分に緊張感があって今読み直しても楽しい作品でした。
学生時代に大好きだった眉村卓さんの「天才はつくられる」を、久しぶりに読み返してみました。

図書委員をしている松山史郎は、間違って納入された「学習教程」という超能力の入門書を読んで超能力が使えるようになりました。しかし、その時から彼は同じ図書委員の橋本敬子、図書担当の坂村先生と共に、超能力を使って人々の優位に立とうとする天才グループに狙われることになったのでした。
天才グループは、史郎も仲間に引き込もうとしますが、彼はあくまでもそれに抵抗して、ついに命を狙われるようになってしまいます。
絶望的な状況の中で、史郎たちと天才グループの戦いが始まるのでした。

この作品、後半の天才グループと機動隊の戦いは少し大味ですが、物語の前半で普通の学生だった史郎たちが、超能力を悪用しようとするグループの陰謀に巻き込まれてゆく部分がとても面白いです。
特に印象的なのが、史郎が超能力の本を読むのにきちんとメモを取りながら読んでいる几帳面さや^^;、テニス大会でエスパー相手に試合をすることになった敬子があくまでも実力で戦ってすがすがしく負ける場面です。

最初にこの作品を読んだ時、主人公たちと同じく中学生だったのですが、今この作品を読み返しているとその時代の空気までもが再現されているような気分を味わいました。

同時収録されているのは、「ぼくは呼ばない」という学園SFサスペンスです。
突如として、地味な運動部員だった主人公が、女性にもてまくるようになってしまうお話です。
とはいってもハーレム状態ではなく、目をぎらつかせたストーカーの集団に狙われているような恐怖を感じるお話です。(^^;
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈後編〉アギノの逃亡の旅に巻き込まれた生徒たちと先生の時間旅行も、いよいよこれで完結です。

当時、角川文庫で発売されていたのを、ずっと買い続けていたのですが、どんな事情があったのか前編・中編はあまり間隔を置かずに発売されたのに、後編だけがなかなか発売されずにやきもきしたことを思い出しました。

今回あらためて読み返して驚いたのは、時間の流れが無限に分岐するというアイディアや平野兵助の行動が原因で、それまでの主流時間流と潜在時間流が入れ替わってしまったという、かなり本格的な時間旅行の理論の説明があったことです。
主人公たちの活躍で、時間流の流れは本来の流れへと戻るわけですが、それでも全く同一になったわけではなく、AがAダッシュに微妙に変化したという部分にはうならされました。

物語の結末については詳しく書きませんが、タイムトラベルものの名作の1つとして、時代を超えて読み継がれていって欲しい魅力を持った作品だと思います。

Wikipediaの情報を見たら、2007年3月から実写版の撮影が開始されているようです!
それがいつ公開されるのかわかりませんが、それをきっかけにこの作品の面白さを知る人がもっと増えてくれたらうれしいです。(^^)
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈中編〉時間航行管理局員のクタジマに執拗な追跡を受けながらも、戦国時代を目指しての6人の旅は続いています。

この中編では、6人はとうとう関ヶ原の戦いの終了直後へとやって来ました。しかし、そこで6人の乗ったバスは落ち武者を狙う武士たちから追い回されることになったのでした。
そんな時、彼らは今は百姓をしていますが、かっては武士だったという平野兵助という男と出会います。
兵助は6人がこの世の人間ではないことを見破り、新しい土地で再起を図るために自分も過去の時代へ行きたいと言い出すのでした。

兵助を加え、7人になった一行がたどり着いたのは、本能寺の変が起こる直前の世界でした。その時代に到着して早々に兵助はバスを降りてしまいました。
再び6人になった一行は、その時代に常駐している時間管理局員と出会い、彼らの保護を受けることになりました。そんな時、平野兵助が信長に明智光秀の謀反を知らせたとの連絡が入りました。
このままでは、歴史の流れが大きく変わってしまいます。常駐局員から協力を頼まれた6人は、歴史の改変を防ぐことができるのでしょうか!?

大昔に一度は読んだことがある作品なのですが、いい具合に細かなストーリーは完全に忘れていて^^;、初めて読む作品のように楽しむことができました。
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈前編〉学生時代に大好きだった眉村卓さんの作品を古本屋の安売りコーナーで見つけて、思わず購入してしまいました。(^^;

「時空の旅人」と改題されて、アニメ映画としても公開されましたが、私は最初に読んだ時の「とらえられたスクールバス」というタイトルに愛着がありますね。
アニメのキャラデザは萩尾望都さんが担当されましたが、原作の地味な学生といった雰囲気が感じられない、派手なキャラデザだったのは残念でした。他の眉村さんの子供向け作品でもそうですが、地味な優等生タイプの少年少女が活躍するところに面白さがあると思いますので。

原作の前編では、学校と駅とを往復するスクールバスに乗っていた生徒と先生が、未来からやって来たアギノという少年に巻き込まれて、強制的に時間旅行に出かけることになってしまいます。前編では、彼らは終戦直後の日本、空襲中の日本、戦前の日本、そして黒船が来港した後の日本と旅を続けます。
最初は対立していたアギトと少年少女たちでしたが、冷酷で傲慢な時間航行管理局から逃げるために、互いに力を合わせて協力するようになってゆきます。

1970年代に書かれた作品なので、古さを感じさせる部分もありますが、ストーリー展開は面白いですし、今でも十分に楽しめる作品だと思います。
普通の子供たちと先生、それに途中から旅に加わることになった特高に目をつけられている教授が、自分たちの手持ちの物と智恵で危機を乗り越えてゆく様子がしっかりした描写で語られていて、あっという間に物語に引き込まれてしまいました。

眉村さんの作品は、今では書店であまり見かけなくなってしまいましたが、良質な作品を数多く書かれていますので、今後も読み継がれてゆくように、ぜひ絶版になった作品を復活させて欲しいです。