日々の記録

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春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)米澤穂信さんの小市民シリーズ(?)の第1弾、「春期限定いちごタルト事件」を読み終えました。

小鳩君と小佐内さんは、高校に入学したのをきっかけに共に小市民を目指しています。そんな2人の関係は、恋愛関係でも依存関係でもなく互恵関係なのだそうです。できるだけ目立たず慎ましい小市民を目指している2人なのですが、なぜか次々と事件に巻き込まれてしまうのでした。
この本は、そんな2人の活躍をまとめた連作短編集でした。

この本には、「羊の着ぐるみ」「For your eyes only」「おいしいココアの作り方」「はらふくるるわざ」「孤狼の心」の5つの短編が収録されています。それにプロローグとエピローグがついて、全体として1つのお話になるようになっています。

最初は、なぜ2人が小市民になろうとしているのか見えず、古典部シリーズと比べると今ひとつだな~と感じていたのですが、最後の「孤狼の心」でそれまでに断片的に語られてきた事件が1つにつながって、ものすごく面白くなりました。それに合わせて、小鳩君と小佐内さんの過去も少しだけ垣間見えて、2人の過去に何があったのか知りたくなりました。

シリーズはまだ続いているようですので、この先のお話で2人の過去が明かされるかもしれませんね。楽しみです。(^^)
インシテミル映画化もされた、米澤穂信さんの「インシテミル」を読み終えました。

時給11万2千円。そんな冗談とも思える求人広告につられて、12人の男女が地下につくられた施設「暗鬼館」へと集まりました。彼らの仕事は、この館の中で7日間観察されること・・・。それだけで、何千万ものお金を手にすることができるおいしい話には、やはり裏がありました。

館の中には、各自に個室が用意されているものの、扉には鍵がかからない。おまけに部屋の中には、これを使って人を殺せとばかりに、それぞれに凶器が用意されていました。誰も最初はそんなものを使うつもりがないはずだったのですが、1人が殺された時から暗鬼館は閉ざされた殺人の館へと姿を変えたのでした。

物語のテンポもよく、なかなか読みやすい作品でした。ただ登場人物が12人と多く、主人公となる結城を始めとして、全員が今ひとつ記号的な感じで、共感できる登場人物が1人もいなかったのは残念でした。
また、閉ざされた館の中での殺人というシチュエーションは面白いのですが、他の推理小説と比べるとファンタジー性にとぼしくて、無機的な感じがしてしまうのも残念でした。
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追想五断章米澤穂信さんの「追想五断章」を読み終えました。

父親が亡くなり学資が途絶えた菅生芳光は、古本屋を営む伯父の家に居候して東京にすがりつくように生きています。そんなある日、1人の女性が古本屋に訪れました。自分の亡くなった父親がかって書いた5つのリドルストーリーを探しているというのです。そのお礼として提示された金額に魅力を感じた芳光は、5つの作品集めに挑むことになるのでした。

最初は推理小説ではなく、古典部シリーズとはちょっと違った苦い大人の世界を描いた小説なのかと思ったら、依頼人の女性の父親が、かってアントワープの銃声と呼ばれた妻の死にまつわる疑惑に関わっていることが明らかになり、だんだん作品が推理小説っぽくなってきました。

最終的に知り得た結末は、けっこう重いものでしたが、メインとなる物語の中にリドルストーリーが組み込まれているという構成、その小説が書かれた意味、アントワープの銃声の真実など、かなり技巧を凝らした推理小説でした。

これまで著者の本を何冊か読んできましたが、明るい青春小説といったものが多かったので、こういった重い作品も描けるのだと驚きを感じました。この作品は内容的には優れた作品だと思います。しかし、もし米澤さんの作品で初めて読んだのがこの作品だとしたら、続けて他の作品を読もうとは思わなかっただろうなあと思わせる重さを持った作品でもありました。
さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)米澤穂信さんの「さよなら妖精」を読み終えました。

とある雨の日、守屋路行と太刀洗万智は学校帰りに雨宿りしている外国人の少女をみかけます。彼女に話しかけた2人は、彼女がユーゴスラヴィアからやって来たことを知るのでした。そして2ヶ月の滞在の後、その少女マーヤは自分の国へと帰ってきました。

物語はマーヤの帰国後、守屋と白河がマーヤが今どこにいるかを知ろうとするところから始まります。物語の舞台となっている1990年代、ユーゴスラヴィアは1つの国から分裂して複数の国へと変わってゆく過渡期だったのです。その分裂した国のどこにマーヤがいるのか、それを知るために守屋と白河は過去の記録をもう一度調べ直すのでした。

お話のメインは、そんな守屋たちがマーヤと過ごした2ヶ月間の様子です。米澤穂信さんの作品らしく、日常の中にちょっとした謎も仕込まれていました。そしてマーヤの言動は、普段当たり前のように思っている自分の生活も、海外からやって来た人たちには驚かれることもあるのだと、ありふれた日常も見方を変えれば驚きに満ちたものなのだと思いました。

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)最後はちょっと切なかったりもしますが、ミステリーというよりは青春小説といった感じで楽しめる作品でした。
この作品で登場したユーゴスラヴィアで思い出すのは、坂口尚さんの傑作マンガ「石の花」です。このマンガを読んでいたおかげで、ユーゴスラヴィアという国に親しみを持つことができました。
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)米澤穂信さんの新作、「折れた竜骨」を読み終えました。

このところ滅多に単行本は購入しないのですが、この本だけはお知らせを見た時からとても楽しみで、図書館に入荷するのを待てずに買ってしまいました。それは、この作品の舞台が12世紀末のイギリス近辺を舞台としていたからです。十字軍にロビンフッド、そして修道士カドフェルと、ワクワクする要素がいっぱいなんですよね。

作品の舞台となるのは、イギリスの東に浮かぶソロン島という小さな島です。その領主は、来るべき呪われたデーン人との戦いに備えて、傭兵を集めていました。そんな島に、東方からやって来た騎士・ファルク・フィッツジョンと従者のニコラがやって来ました。彼らは魔術を使う暗殺騎士が、領主の命を狙っていることを知らせにやって来たのです。

しかし、彼らの警告もむなしく、領主は魔術に操られて走狗となった者に殺害されてしまいました。走狗にされて領主を殺したのは何者なのか、フィッツジョンとニコラは領主の娘・アミーナの命を受けて、推理と論理の力で犯人を探し出そうとするのでした。

魔術が登場するということで、もう少しファンタジー色の濃い作品かと思いましたが、魔術の比率は小さくて、12世紀を舞台にした歴史小説的な味わいがある作品でした。魔術があるなら、どんな不可能でも可能になりそうですが、魔術には魔術なりの制限があります。それを踏まえて、最終的に犯人が指摘されるのが、どんでん返しもあって、とっても面白かったです。

そしてこの作品の面白さは、それだけでなく、ソロン島を狙ってやって来た呪われたデーン人と島を守ろうとする騎士や傭兵の戦いも読み応えがありました。そうしたアクション要素も加えた上で、きちんと推理小説として成立しているのが本当に凄いと思います。

ということで、推理小説好きな方、ファンタージ好きな方、歴史小説好きな方などにお勧めできる本だと思います。(^^)
遠まわりする雛米澤穂信さんの古典部シリーズ第4弾、「遠まわりする雛」を読み終えました。

これまで長編ばかりだった古典部シリーズですが、第4弾は奉太郎が古典部に入部してから2先生になるまでの1年間に起きた事件をまとめた短編集でした。
収録されているのは、「やるべきことなら手短に」「大罪を犯す」「正体見たり」「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」の7作です。
7作の中では、教頭先生のちょっとした校内放送から事件を推理する「心あたりのある者は」が一番面白かったです。

これまでのお話は、どこから読んでも面白かったですが、この短編集は今までの事情を知った上で読んだ方が楽しい作品だと思いました。「氷菓」から「クドリャフカの順番」までに登場したキャラが、ところどころに顔を見せてくれるのも楽しかったですしね。

ここまで古典部シリーズを読んできて気になるのは、奉太郎と千反田の関係です。恋愛下手そうな奉太郎と、ちょっと天然な千反田では、なかなか恋愛にまで発展するのは難しそうですが、お互いに相手のことを憎からず思い、信頼していますよね。この恋話になりそうでならない、奉太郎と千反田の微妙な距離感は嫌いじゃないです。

それから、恋と言えば里志と摩耶花の関係もなかなか複雑ですね。これまで里志はどうして摩耶花と付き合わないんだろうと思っていたのですが、そんな里志の心情が描かれた「手作りチョコレート事件」を読んで、ようやく気持ちを理解できました。
氷菓 (角川スニーカー文庫)米澤穂信さんの古典部シリーズ第1弾、「氷菓」をようやく読み終えました。後の作品でも度々登場する、古典部の文集「氷菓」の名前の由来がやっとわかりました。

神山高校に入学した折木奉太郎は、その省エネ的性格から「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとしていました。そんな彼は、最初は部活に所属する気はありませんでしたが、姉の供恵からの手紙で脅されて、廃部寸前だった古典部に入部することになってしまいました。

その時点での古典部の部員はゼロ。奉太郎が入部しなければ、部は自然消滅のはずだったのですが、なんと部室に顔を出すと、奉太郎以外の入部希望者がいたのでした。それが神山市でも有数の名家・千反田家のお嬢様、千反田えるでした。お話の中盤まで明らかになりませんが、千反田もまた大きな目的を持って古典部に入部してきたのでした。

そんな古典部では、学内で起きる様々な謎を奉太郎が解き明かすことになりました。そうこうする間に、古典部にはいつしか奉太郎の友人の・福部里志、そして里志のことが好きな伊原摩耶花の1年生4人が部員として定着していたのでした。

今回メインとなったのは、古典部の文集「氷菓」という名前でした。その文集が「氷菓」と名付けられたのには、千反田の伯父・関谷純が関わっていたのでした。関谷は33年前に古典部に所属して、とある事件が原因で学内では英雄と祭り上げられることになりました。
いったい33年前に何が起きたのか!? 古典部の部員それぞれが資料を集めて、やがて1つの悲しい真実が明らかになったのでした。

この作品は、作者のデビュー作ということもあってか、その後の作品と比べると拙く見える部分も多いです。でも、第1作から古典部の面々のキャラがきちんと立っていたのは、とてもよかったです。他のシリーズと同様、推理物ですが、殺人など凄惨な事件は起きないので、安心して読める作品ですね。(^^)
クドリャフカの順番―「十文字」事件米澤穂信さんの古典部シリーズ第3弾、「クドリャフカの順番」を読み終えました。

神山高校では文化祭が開催されようとしていました。しかし、古典部は大きな問題を抱えていました。
文化祭で販売する冊子「氷菓」を発注ミスで、30部注文したはずが200部という大量の在庫を持つことになってしまったのです。これを完売するべく、古典部の面々はそれぞれに力を尽くそうとするのでした。

そんな中、出店している各クラブから何者かがささいな物を盗み出すという事件が発生しました。その犯人は大胆にも、犯行現場に犯行声明のカードと文化祭のしおりを残していました。果たして犯人は誰なのか、そして何の目的でこんなことをしているのか。生徒たちの中に野次馬的に探偵きどりまで現れて、文化祭は変な方向にも盛り上がることになったのでした。

今回の作品では、古典部の奉太郎、千反田、里志、摩耶花、それぞれの視点から物語が語られてゆくのが目新しかったです。そのせいか、肝心の十文字事件の謎解きは今ひとつでしたが^^;、在庫を処理するための千反田の奮闘、クラスメートの谷君と里志の文化祭イベント対決、漫研での摩耶花のトラブルと、メインとなるストーリー以外の部分が予想外に楽しかったです。
その中でも特に印象的だったのは、漫研での摩耶花のエピソードでした。このエピソード1つでも、1つの作品になりそうだと思いました。
愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)米澤穂信さんの古典部シリーズ第2弾、「愚者のエンドロール」を読み終えました。

古典部のシリーズとしては、この作品の前に第1弾となる「氷菓」が出ているのですが、図書館で借りられなかったので、第2弾から先に読むことになってしまいました。作中に若干最初の事件に触れる部分はありましたが、第1作を知らなくても楽しく読むことができました。(^^)

古典部1年生の折木奉太郎は、同じく1年生で部長の千反田えるに誘われて、2年F組が文化祭に出典するという自主制作映画を観ることになりました。ところが、その映画はまだ完成しておらず、映画内で事件が起こったところで撮影が止まってしまっているのでした。脚本を担当していた女生徒が病気で倒れて、この先の展開を誰も知らないのだそうです。
折木たち4人の古典部員は、2年F組の入須冬実先輩に頼まれて、この事件の結末を推理することになってしまうのでした。

推理にあたって、折木たちは撮影に参加した先輩の推理を聞かされました。しかし、そのどれもが折木たちを納得させるものではありませんでした。しかし、文化祭に出展するまでの残り時間はあとわずかです。最初は乗り気ではなかった折木でしたが、さまざまな事実を結びつけて1つの結論を出すのでした。

ライトな雰囲気な作品ですが、推理部分もしっかりしていて、あっという間に読み終えたほど楽しい作品でした。
特に、事件が解決したと思ってからの二転三転が面白かったです。(^^)
ふたりの距離の概算米澤穂信さんの「ふたりの距離の概算」を読み終えました。

神山高校では星ヶ谷杯と呼ばれるマラソン大会が毎年開催されます。古典部の2年生・折木奉太郎は、その20kmの距離を走る中で、1つの問題を解決しようとしていました。新歓の時期に仮入部してくれた1年生・大日向友子が、本入部を前に突然入部をやめると言い出したのです。その原因は、同じく2年生の部長・千反田えるとの間に何かがあったらしいのですが・・・。

読み始めた最初は、恩田陸さんの「夜のピクニック」を思い出しました。しかし、読み進んでゆくと、もっと推理色が強いお話だとわかってきました。その推理が北村薫さんの作品のように、日常の中のささやかな謎を解き明かすタイプで、ドロドロしたものではなかったので、かなり読みやすい作品でした。

物語は、折木が20kmを走りながら、その途中でこれまでの状況を思い出しつつ、さまざまな小さな謎解きが紹介されます。大きな流れとしては大日向の退部の原因を探るがあるのですが、そのサイドストーリー的な形で、弱小な製菓部が新歓の時に大きなテーブルを使っている理由は!?とか、新しくオープンすることになった喫茶店の名前は何か!?、などが挿入されていて、長編ではあるけれど短編集的な楽しみ方もできるというお得な作品でした。

物語も楽しいですが、主な登場人物である古典部の面々がなかなか個性的なのも楽しかったです。その中でも一番のお気に入りは、折木と同級生の伊原摩耶花でした。ちょっととげとげしい物言いが、なんとなくツンデレキャラを思わせるんですよね。私の脳内では、摩耶花の声は戸松遥さんあたりの声で再生されていました。(^^;
あと、部長の千反田えるの声は、花澤香菜さんあたりかな~と。・・・本当にこういうキャストでアニメ化してくれないですかねえ。(笑)

米澤さんの作品を読むのは初めてだったのですが、この作品は古典部をメインとしたシリーズの1作だったようです。そのせいか、それぞれのキャラは立っているのに、ちょっとキャラの説明が不足しているように感じたのは、そのせいなのかもしれません。