日々の記録

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マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)フランス料理店「ビストロ・パ・マル」を舞台としたシリーズの3作目です。

2作目の「ヴァン・ショーをあなたに」の後、新作がないのを残念に思っていたのですが、まさかの新作発売でうれしかったです!(^^)

ビストロ・パ・マルの温かい雰囲気はいつも通りで、そこを訪れるお客さんのちょっとした謎解き、そして登場する料理のおいしそうな描写。近藤史恵さんはサクリファイス・シリーズもいいけれど、こちらも捨てがたい魅力があります。(^^)

今回は、「コウノトリが運ぶもの」「青い果実のタルト」「共犯のピエ・ド・コション」「追憶のブーダン・ノワール」「ムッシュ・パピヨンに伝言を」「マカロンはマカロン」「タルタルステーキの罠」「ヴィンテージワインと友情」の8作の短編が収録されていました。

「コウノトリが運ぶもの」では、乳製品にアレルギーのある女性にまつわるお話。「青い果実のタルト」は、大人の関係にまつわるビターなお話。「共犯のピエ・ド・コション」は、お得意様の女性が久しぶりにお店に訪れるお話。「追憶のブーダン・ノワール」は、常連客の婚約者のお話。「ムッシュ・パピヨンに伝言を」は、イタリアに留学経験のある教授のお話。「マカロンはマカロン」は、三船シェフの知り合いの女性シェフにまつわるお話。「タルタルステーキの罠」は、不思議なオーダーをするお客さんのお話。「ヴィンテージワインと友情」は、二十代の男女の複雑な人間関係のお話。

1つ1つは短いお話ですが、そのどれにも味わいがあって、とても楽しめました。
あまり速いペースでなくてもいいので、このビストロ・パ・マル・シリーズも続くといいなあ。(^^)
昨日の海は近藤史恵さんの「昨日の海は」を読み終えました。

物語の舞台となるのは、四国の磯ノ森と呼ばれる小さな町です。主人公の光介は、そこで両親と一緒に暮らしています。
光介は変化のない田舎の生活に飽きて、漠然と進学する時は都会に行きたいと思っています。しかし、何か具体的な夢があるわけではありません。

そこへ突然、光介の伯母である芹(せり)が娘の双葉を連れて帰ってきました。2人は光介の家の2階で、一緒に生活することになったのでした。これまでほとんど音信もなかった伯母が現れたことで、光介は複雑な心境です。しかし、それを機に光介は隠されていた祖父母の秘密を知ることになるのでした。

光介の祖父母は、写真館を営んでいました。祖父はプロではありませんが、それなりに名の知られた写真家だったのでした。東京の美術館での写真展の開催も決まっていたのですが、それはキャンセルされて、祖父母は借金を抱えることになりました。その後、祖父母は一緒に海で心中したと光介は聞かされていたのでした。

しかし、芹はそれは心中ではなく、どちらか一方が相手を殺害した上で命を絶ったという噂を耳にしていました。そして真相は何だったのか知るために、再びこの町に帰ってきたのでした。それ以外にも、シングルマザーの芹は、まだ小学生の娘の双葉を、自分の目の届くところで育てたいとも思っていました。それには人間関係が希薄な都会よりも、田舎の方がいいという判断もあったのでした。

伯母から祖父母の秘密を聞いた光介は、次第にそのとき何があったのかに興味を持つようになりました。そして独自に、真相を知るために動き始めるのでした。

私自身、田舎に暮らしているので、都会に憧れる光介の心情には共感できるものがありました。そして田舎ゆえの住みにくさ(交通手段や人間関係の煩わしさ)が、ちゃんと描かれているのもよかったです。とはいえ、私は少し都会で暮らしてみて、ここでは絶対に生きていけないと思ってしまいましたが。(^^;

物語は青春小説+軽いミステリーという構成ですが、青春小説としては光介に関わる若者が少なすぎる感じで、ミステリーとしても驚きの結末が待っているわけではありません。でも、ちょっとした登場人物まで存在感が感じられて、読んでいて心地よい作品でした。(^^)
キアズマ近藤史恵さんの「キアズマ」を読み終えました。「サヴァイヴ」までは、プロの自転車ロードレースの世界を舞台にした物語でしたが、この作品では大学生のアマチュア・ロードレースの世界が描かれています。そのため、主人公も今まで登場したチカではなく、フランスからの帰国子女である岸田正樹が主人公です。

フランスで3年間を過ごした後、一浪して正樹は新光大学へと入学しました。しかし、入学して間もないのに、正樹は自転車部の連中から絡まれてしまいました。なんとか彼らを振り切ろうとバイクで逃げた正樹でしたが、自転車部の男たちはしつこく正樹を追ってきます。結局、それが原因で自転車部の男は交通事故を起こして負傷してしまったのでした。

その男のお見舞いに行った正樹は、彼が自動車部の部長を務める村上だと知りました。自転車には全く興味がなかった正樹ですが、部員数が少ないからと村上に頼み込まれて、1年だけという約束で自転車部に入部することになったのでした。

その部にいたのは、事故の日にも正樹に絡んできたヤンキーのような櫻井でした。しかし、この櫻井口は悪いけれど性格は悪くありませんでした。正樹に自転車レースのDVDを貸してくれたりと、意外とあれこれ世話を焼いてくれます。そんな中でも、堀田という先輩は正樹を目の敵にしていました。しかし、正樹がめきめきと実力をつけているのを妬んで嫌がらせしたところを櫻井にたしなめられて、それから堀田は部に来なくなりました。

最初は櫻井の背中を追いかけることさえ難しかった正樹ですが、意外にも自転車の才能に恵まれていたようです。各クラスごとに別れて戦うレースでの優勝を皮切りに、インカレでも優勝をなしとげて他の大学からも注目される選手になったばかりでなく、プロからも気にかけられる選手になりました。

しかし、絶好調だった正樹はとある事情から自転車を辞めようと決意することになるのでした。
正樹には、豊という中学時代の友人がいました。豊は頭も良く運動神経もよかったのですが、中学時代の部活で顧問が無茶な柔道の組み手を続けたせいで負傷して、それが原因で障害者になってしまったのです。
作中でははっきりと書かれていませんが、豊は高次脳機能障害ですね。その障害のせいで、豊は長い間物を覚えておくことが苦手で、動作もゆったりとしてしまっています。これだけの障害を負わせながらも、顧問は部の担当をはずされただけで、のうのうと教師を続けています。

事故の後も、正樹はできる限りこれまでと同じように豊に接してきました。そんな正樹を、豊の両親も頼りにしてくれています。通っている施設で知り合った女の子と付き合うようにもなり、豊の方も順調なように思えました。しかし豊の心には消えない闇があったのでした。

それが原因で自転車から離れようとした正樹でしたが、村上との約束もあって1年は部に残ることになりました。そして正樹は、櫻井の過去を知ることになるのでした。あまりネタバレしてもなんですので、これ以上は書きませんが、これからの正樹や櫻井がどうなっていったのか知りたいと思いました。

物語の展開は単純で、少し読み進むとこの先何が起こるか察せられるところもあります。しかし、主人公の正樹を中心とした人物の描写がうまいので、ついつい物語に引き込まれてしまいます。
アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎近藤史恵さんの「アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎」を読み終えました。近藤さんは、大人向けの小説だけでなく、子供向けの作品も書かれていて驚きでした。

実生女学院と実生中学は元々は同じ学校でした。ところが理事である兄弟が対立したことから、東館は実生中学に、西館は中高一貫のお嬢様学園、実生女学院へと変わったのでした。2つの学園の間には、"実生の壁"と呼ばれる高い壁がそびえ立っています。その壁によって、2つの学校は分断されていたのでした。

小沼智秋は、有名な女優を母親に持つ中学一年生です。友達は、お父さんが有名な科学者の西野あけびと警視総監の父を持つ細川巴です。そんな3人は、ある日実生中学の1年生、中原光紀と桑江時生がカツアゲされている現場に出くわしました。彼女たちに助けられた光紀たちは、いつかこの借りを返そうと決意したのでした。

そんな時、謎の女に智秋が誘拐されそうになる事件が発生しました。あけびと巴の機転で危機を切り抜けましたが、そのしばらく後で光紀たちは怪しげな女が香港に出かける智秋たちに何か企んでいることを知ってしまいました。智秋を助けるため、智秋の母親の撮影に出かけるカメラマンの叔父さんと一緒に、光紀たちも香港に乗り込むのでした。

子供向けの作品だけあって、これまでの近藤さんの作品とは少しトーンが違った軽い作品でした。でも食べ物の描写が妙においしそうだったり、お話が進むテンポがいいのは、近藤史恵さんの作品らしいと思いました。
ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)近藤史恵さんの「ヴァン・ショーをあなたに」を読み終えました。この作品は、先に読み終えた「タルト・タタンの夢」の続編です。

フレンチレストラン、ビストロ・パ・マルを舞台に、今回もシェフの三船さんがさまざまな謎を解決します。そこに登場する料理も、相変わらずおいしそうです。今回は「錆びないスキレット」、「憂さばらしのピストゥ」、「ブラン・ジュリーのメロンパン」、「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」、「氷姫」、「天空の泉」、「ヴァン・ショーをあなたに」の7作が収録されていました。

「氷姫」は、珍しくビストロ・パ・マルの高築君の視点からではなく、初登場の問題を抱えたキャラが語り手をつとめています。そして「天空の泉」と「ヴァン・ショーをあなたに」では、フランスで修行中の三船シェフが探偵役として登場する少し趣向の変わったお話です。

「氷姫」や「天空の泉」、「ヴァン・ショーをあなたに」のような物語も面白いですが、やはり私はいつものビストロ・パ・マルのスタッフのやり取りを楽しみつつ物語を読みたいなあと思いました。この店のスタッフの様子を見ていると、なんだか自分がその店に訪れているような気分になれるからです。
タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」を読み終えました。

ビストロ・パ・マルは、下町にある小さなフレンチ・レストランです。店員はオーナー・シェフの三船さん、料理人の志村さん、ソムリエの金子さん、ギャルソンの高築君の4人だけです。本格的なフランス料理というよりは、家庭的なフランス料理を味あわせてくれるこのお店には、時々ちょっとした謎が持ち込まれます。いつもそれを見事に解決するのは、シェフの三船さんなのでした。

連作短編という形式の本ですが、物語同士の間につながりはほとんどないので、どの作品からでも読んでいくことができます。この本には、表題作「タルト・タタンの夢」、「ロニョン・ド・ヴォーの決意」、「ガレット・デ・ロワの秘密」、「オッソ・イラティをめぐる不和」、「理不尽な酔っぱらい」、「ぬけがらのカスレ」、「割り切れないチョコレート」の7作が収録されています。

どの謎も大がかりなものではなく、日常系のちょっとした謎です。でも、個人的にはこの作品は謎解きの物語というよりは、おいしそうな物語だと思いました。(^^;
フランス料理店が舞台ということで、毎回いろいろな料理が出てくるのですが、どれもそれがおいしそうなんですよね。この本を読んでいたら、何度もフランス料理食べた〜いと思ってしまいました。
サヴァイヴ近藤史恵さんの「サヴァイヴ」を読み終えました。この作品は、「サクリファイス」「エデン」と続いてきた作品の3作目です。

「サクリファイス」と「エデン」は白石誓を主人公とした長編作品でしたが、この「サヴァイヴ」は物語の視点が誓だけでなく、伊庭や赤城の視点から描かれた物語も収録されています。前2作とは変わり、今回は6本の短編を集めた作品集になっているのも異なります。

収録されている作品は、誓を主人公とした「老ビプネンの腹の中」、「トウラーダ」、伊庭を主人公にした「スピードの果て」、赤城を主人公にした「プロトンの中の孤独」、「レミング」、「ゴールよりももっと遠く」です。
これまでの誓だけを主人公とした作品より、視点が広がった分だけ物語が広がった気がします。また、物語で描かれるエピソードも、「サクリファイス」や「エデン」の過去だったり未来だったりしてバリエーションに飛んでいました。

これらの作品を読んでいて感じたのは、作者のロードレースに対する愛情です。日本ではマイナーな競技であるロードレースの裏側や人間関係などを、これだけ描いている作品は他には思いつきません。この作品と出会ったことで、ロードレースを始めてみよう、自転車を始めてみようと思った方もいるかもしれませんね。
エデン近藤史恵さんの「エデン」を読み終えました。この作品は単独の作品としても楽しめますが、前作である「サクリファイス」を読んでからの方が、より楽しめる作品です。

前作でスペインのチームで走るチャンスを得た白石誓=チカは、今ではフランスのチームで走っています。チームのエースとなるのは、フィンランド人のミッコです。ミッコは今年こそツール・ド・フランスで勝つと勢い込んでいます。そんな中、チカに衝撃的な知らせが届きました。なんとチームのスポンサーが手を引くことになり、チカの所属するチームは今年で解散することになりそうなのです。

ここで日本に帰れば、もうヨーロッパで走ることはできないかもしれない。そんな不安を抱えながらも、チカはツールに挑みます。このツールで話題となっていたのは、フランスの若き新星ニコラでした。童顔で人なつっこいニコラと、チカはいつの間にか親しく話す間柄になっていたのでした。

その間にも、3週間にわたる過酷なレースは続きます。ニコラは新人賞を獲得しただけでなく、なんと序盤でマイヨ・ジョーヌを着ることになり、一気に他のチームから警戒される存在となりました。そんな中、チカもまた幸運から1日だけとはいえ山岳賞であるマイヨ・グランペールを着ることができたのでした。

何人かの日本人がツールを走っていますが、まだマイヨ・グランペールを獲得した選手はいないはずです。ヨーロッパから見たら東の果ての島国からやって来た人間が栄誉あるジャージを手に入れる。いつか実際にそんな日が訪れるのを見てみたいものだと思いました。

物語の中盤以降は、「サクリファイス」に続いてドーピングの影がさします。ニコラがドーピングしているという噂が流れますが、チカはそれを信じられません。そしてレースがアルプスでの決戦を迎えた時、思わぬ事件がチカたちに知らされるのでした。

前作はミステリー要素が大きかったですが、今作ではそれは薄まっています。しかし、その分自転車競技にかけるチカたちの思いが伝わってきて、優れた青春小説として楽しむことができました。
サクリファイス近藤史恵さんの「サクリファイス」を読み終えました。

自転車のロードレースの世界を舞台にした小説があると、この本のことは以前から気になっていました。曽田正人さんのマンガ「シャカリキ! 」も好きでしたし、時折テレビで放映されるツール・ド・フランスを見るのも好きでした。
運動神経が悪くて、乗りこなすところまでいきませんでしたが、ロードバイクへの憧れがつのって、とうとう購入してしまったのも今ではいい思い出です。そんな私にとって、この小説はとても楽しめるものでした。

主人公の白石誓は、陸上競技で好成績を出していたにも関わらず、ある日偶然に見たツール・ド・フランスの映像に影響されて、陸上を捨てて自転車競技に挑むようになりました。社会人となった今では、その時の実績を買われて今ではチーム・オッジという自転車メーカーが出資しているチームで走っています。

学生時代の陸上では、とにかく勝利することを求められましたが、自転車競技ではチームのエースを助けるアシストも重要な役割です。誓は性格的に、自分が勝利するよりも、自分が力を尽くすことで誰かを勝利させる方が性に合っているようです。

そんなチーム・オッジの現在のエースは石尾です。ところが誓は、ある日同じチームで石尾とエースの座を張り合っていた袴田という選手が事故で下半身が動かなくなったことを知りました。そして、それを石尾はわざとやったのではないかと疑われていたのでした。

物語は日本国内でのレースから、海外遠征を行いベルギーのレースへと飛びます。そこで思わぬ事故が起きることになるのでした。物語の冒頭から、それは予告されていたのですが、実際にその場面を読んだ時は衝撃を受けました。そして、なぜその事故が起きたか。それが明かされていきますが、その答えが二転三転するのも面白かったです。

この本には続編もあるらしいので、それも読んでみたいですね。