日々の記録

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エンド・ゲーム―常野物語 (集英社文庫)恩田陸さんの常野物語の3作目、「エンド・ゲーム」を読み終えました。

2作目の「蒲公英草紙」は、「光の帝国」より前の時代のお話でしたが、3作目となる「エンド・ゲーム」は「光の帝国」で描かれた世界のさらに先を描いたものでした。メインとなるのは、裏返す力を持った母娘です。2人には強力な力を持った夫=父がいましたが、数年前に男は失踪して行方知れずになっています。

行方知れずの夫=父を待ちながら、母娘は自分たちにとって脅威である敵との戦いを人知れず続けています。そんな中、仕事の都合で出張した母が出張先で倒れて昏睡状態になってしまいました。なぜ母はこんなことになったのか、娘はその理由がわかりません。そして、残された手がかりを元に娘も謎に挑みます。

その過程で、娘は「洗濯屋」と呼ばる力を持った男と出会いました。母を救おうと、娘は洗濯屋の男と行動を共にすることになるのでした。そして、世界についての真相がじょじょに明らかになっていきます。

2作目は1作目とはかなり方向性が違うお話でしたが、3作目は1作目に近いお話でした。誰が味方で、誰が敵なのかわからない緊張感があって、それなりに楽しく読み終えましたが、その無機質さには今ひとつなじめないものがありました。1作目が好きだった方は、この3作目は楽しめると思います。でも、2作目の「蒲公英草紙」の方が好きな方には、あまりお勧めできない作品だと思いました。
蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)恩田陸さんの「蒲公英草紙 常野物語」を読み終えました。このお話は常野物語の2作目となります。前作の「光の帝国」を読んでいれば、よりお話を理解できますが、この本から読み始めても楽しむことができる作品です。

「光の帝国」は連作短編集でしたが、この「蒲公英草紙」は長編小説でした。
物語の舞台となるのは、明治時代の(おそらく日露戦争の前)とある農村です。その村には槙村という旧家があり、代々の槙村家の尽力により、村は小さいながらも平和な暮らしを営んでいます。その槙村の屋敷の側に、医者の一家が暮らしていました。その家の娘が、物語の語り手となる峰子です。

峰子にとって、槙村の家はただただ憧れの対象でした。立派な旦那様に奥様、美しい息子や娘に、ちょっと乱暴な息子。そして病弱な末娘の聡子。そんな槙村の家に、峰子は深く関わるようになっていきます。病弱な聡子の話し相手になって欲しいと頼まれたのです。最初は恐る恐るお屋敷に出入りしていた峰子でしたが、やがて病弱ではありながら、清々しい聡明さを持った聡子に峰子は惹かれていくのでした。

お屋敷には槙村の家族の他に、多くの人たちが暮らしていました。その多くは、旦那様がめをつけて屋敷に連れてきた人々でした。いつもおかしな発明をしようとしている池端先生。洋行して西洋画を学んできた椎名さん。若いのに優れた仏師として認められている永慶さん。そして書生たち。

そんなお屋敷に新たなお客がやって来ました。それが春田家の人々でした。「光の帝国」を読んだ方なら、春田という名前で常野の一族だとわかります。春田家の人々は、主人も奥さんもお姉さんも弟も、どこか普通の人とはちょっと違っています。彼らは他の人たちとは違い、常野の使命を果たすために生きているのでした。

物語はかすかな悲劇の予感をはらみつつ進行して、終盤でそれが現実になります。この時の切なさ、聡子様の気高さには泣かされました。そんな悲しみに包まれた村を救ってくれたのが、常野でした。悲しみはあるけれど、何か大きなものに抱かれているような安らぎがありました。

この物語を読んでいる時、何度も生きること、そして死ぬことについて考えさせられました。少し前まで、私は死ねば全ては終わりだと考えていました。しかし、この物語を読む少し前に、それは何か違うんじゃないかと思い始めました。そんな時に、この物語と出会いました。そして、何か救われたような気持ちになりました。私たちの一生は短いけれど、時を超えて伝わっていくものがあると思えるようになりました。
光の帝国―常野物語 (集英社文庫)恩田陸さんの「光の帝国 常野物語」を読み終えました。この作品は、特殊な能力を持った常野一族のことを語った連作短編集です。

古来から、常野の人々はその不思議な力を使って、世界がより正しい場所であるように働いてきたようです。しかし、そんな一族がいることは世間の人々は知りません。常野の人たちが使うのは超能力みたいな力です。でも、それをテレパシーや念力などと説明せず、遠くの物事を聞き取る力「遠耳」や遠くの物事を見る力「遠目」、膨大な量の知識を「しまう力」などと表現されているのがよかったです。

常には世間から目立たず、ひっそりと暮らしている常野一族ですが、世の中が軍国主義へと突入した時には、その力を戦争に利用されそうにもなりました。その時の戦いで、多くの仲間が犠牲になったりもしましたが、それでもまだ常野はどこかにいて、今日も人知れず私たちを守ってくれています。

連作短編なので、特定の主人公はいませんが、何度も作品の中に登場する人もいます。その中でも一番印象的なのは、いったい何歳なのかわからないくらい長く生きているツル先生です。どの時代でも見た目があまり変わらないということは、もしかしたらツル先生は人の歴史の最初からそれを見届けているのでしょうか。
こういう設定どこかであったな〜と思ったら、梶尾真治さんの「おもいでエマノン」でした。もっともこっちは、1人の人間じゃなくて母娘に累々とその記憶が受け継いでいかれるお話ですが。(^^;

夜のピクニック」を読んだ時からそう思っていましたが、やっぱり恩田陸さんの作品は凄いです!
今回は短編集でしたので、1つ1つの作品の出来にはばらつきがあります。しかし、どれも水準以上の作品で、それが1つにまとまった時により輝きを増して見えてきます。
この作品、これで終わりかと思ったら、続編も出ているようです。それもいずれ読んでみようと思います。
チョコレートコスモスこれは恩田陸版の「ガラスの仮面」だ!
読み始めて最初に感じたのが、それでした。

恩田さんの作品は、「夜のピクニック」で満足してしまったようなところがあって、それ以来他の本には手を出していませんでした。ところが偶然、本屋でこの「チョコレートコスモス」をべた褒めしている、店員さんが手書きで書かれた推薦文を見かけました。それで何となく、この本を読み始めたのですが、「ガラスの仮面」を読んでいた時のわくわく感が蘇ってくる面白さでした。

主人公の佐々木飛鳥は、代々空手道場を営む家に生まれました。そこで生まれた時から当然のように空手をしてきたのですが、ある時ちょっとした壁に突き当たります。そんな彼女が出会ったのが、演劇でした。本人にもよくわからない、演劇の不思議な魅力に引き寄せられるかのように、飛鳥はとある学生の劇団へと入団します。それをきっかけに、彼女の運命が大きく動き始めるのでした。

そんな彼女のライバルともいえるのが、一族みんな芸能人という演劇会のサラブレッド・東響子です。
この設定でおわかりの方もいると思いますが、彼女こそが「ガラスの仮面」での亜弓さんのポジションのキャラなのです。環境にも恵まれ、本人も努力して演劇会での地位を固めてきた響子ですが、心の奥では何か満たされないものがあります。それを追い求める響子が、お話のもう1つの軸になっています。

面白くて一気に読んでしまった本は数多くありますが、この本はそんな中でも特別でした。最初からワクワクするほど面白くて、一気に読んでしまうのがもったいない。そう思わせてくれる作品は久しぶりでした。
それでも、お話の山場となるオーディションの場面では、一気に物語の世界に引き込まれてしまいました。気がついたら、あっという間に物語を読み終えていました。

恩田さんが凄い作家だと知っているつもりでしたが、ここまで凄いとは思いませんでした。この作品は「ガラスの仮面」を踏まえて、ある意味その弱点を上手く回避してきれいにまとめ上げた作品ともいえると思います。
「ガラスの仮面」にはまられた方にはぜひ、そしてそうでない方にもぜひ一読していただき、その熱気を感じてもらいたい作品です!
夜のピクニック最近書店でよく名前を見かけるので気になっている作家の一人でした。今回初めてその作品を読みましたが、本屋さんの平棚に本が置かれるのももっともだと思いました。

このお話は、ある高校の夜間歩行を舞台に歩いている生徒たちの様々な思惑を描いたものです。設定だけみると、なんて地味な話なんだろうと思いましたが、読んでびっくりおもしろくてあっという間に読み終えてしまいました。

中心になって描かれているのは、高校三年生の男女です。恋あり嫉妬あり、憧れ、自己嫌悪、秘密、謎、友情、愛情、いろんな思いが作品の中にこれでもかとばかりに交錯しています。それがとっても心地いい。自分も昔こんなことあったなあとか、こんな経験してみたかったとか、こういう目には遭いたくないなとか、読んでいていろいろな思いも浮かんできます。

私も学生時代に、夜間ではありませんが長距離歩行させられたことがありました。その時は苦しくて、なぜこんなことしなきゃいけないの?と決行を決めた人間を恨めしく思ったりもしましたが、今にして思うといい思い出だなあと思います。
もちろん、思い出すのは楽しいことばかりでなく、つらいこと、悲しいこと、苦しいこともあるんですが、今となってはその全てが懐かしく思えるのが不思議です。

このところ、今までに読んだことのない作家の作品を読もうを目標にいろいろと本を読んでいるのですが、この著者を知ることが出来て本当に良かったと思います。