日々の記録

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覇者の戦塵1942 撃滅 北太平洋航空戦 下 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第8作、「撃滅 北太平洋航空戦(下)」を読み終えました。

上巻では、ソ連の強襲に日本軍が電探を活かして、何とか反抗する展開でした。占拠された武蔵基地への爆撃も成功して、ここから巻き返しかと思いきや、意外なことに戦いは膠着状態に陥っていました。前線の兵士は闘志にあふれているのですが、後方からの支援が滞っているのです。海軍の主要部隊は、いずれ実行される作戦のために力を注いでいて、北千島に振り向ける余裕がなさそうです。

そんな中、アリューシャン方面に進出していた伊五三潜水艦は、アメリカからソ連へ物資を移送している艦隊を発見しました。そこに投入されていたのは、なんとアメリカ軍の正規空母でした。輸送している戦力が北千島に投入されたら、再び日本は苦しい状況に追い込まれます。伊五三潜は、敵の移送ルートを想定しつつ行動を開始します。

そして、前巻で起きたアメリカの測量船誤爆事件の真相も明らかになりました。測量船といいながらも、その船は妨害電波を発信し、ソ連軍を支援していたのでした。その船を爆撃したのは、黒崎二飛曹でした。彼は自分の行為の正当性を主張しますが、司令部はそんな彼の言葉を聞き入れませんでした。そんな状況の中、蓮見大佐が司令部に出向いていたのでした。

帰還した蓮見大佐は、不足している航空機の補充してきました。そればかりか、黒崎二飛曹の行った爆撃を、蓮見大佐が行ったことにして、部下をかばっていました。蓮見大佐は、やることはとんでもないですが、こういう男気をみせるのが格好いいですよね。

そして世界情勢は、日本とアメリカの開戦は避けられない方向に動いていました。そして、さらに驚くべき事実が明らかになりました。黒崎二飛曹が爆撃した測量船に、最終的にとどめを刺したのは、ソ連軍の爆撃機だったのです。表向き、その事実は伏せられているようですが、それをきっかけに米ソの親密な関係は崩れようとしています。

そんな中、政界から引退した宇垣大将は、アメリカとの開戦はやむなしと考えていました。しかし、現在の政権では、この危機を乗り越えることができないとも予想していました。そして戦いを止めることはできなくても、戦いをやめる算段ならできると、宇垣は考えていたのでした。

その頃、幌筵島では次の作戦に向けて蓮見大佐が動き出していました。陸上基地で空母への着艦訓練を行った後、前巻にも搭乗した特設運送艦・光陽丸へと移動して、アメリカからソ連への物資輸送を阻止する作戦を計画していたのでした。
そして伊五三潜は、空母を守ろうとする敵駆逐艦との駆け引きを続けつつ、空母の動きを捕らえようとしています。そんな中、敵艦を撃沈した伊五三潜は、その生き残りを捕虜として得ました。

その間に、ソ連の駆逐艦がアメリカ空母との合同を目指して動いていることが明らかになりました。なぜソ連の駆逐艦が、そんなことをするのか。蓮見大佐はその目的が、輸送される航空機のパイロットを送り届けることにあると見抜きました。
米ソの合同を阻止することが、物資の輸送を阻止することにつながるのです。

海兵隊の航空部隊は、それを阻止する作戦を決行しようとします。しかし、ソ連軍も大量の爆撃機を投入して、日本軍の行動を封じ込めようとします。そして北太平洋上で、日本軍とソ連軍の激しい戦いが繰り広げられることになりました。戦いの中、海兵隊の航空部隊を移送する光陽丸も、飛行甲板に爆弾の直撃を受ける被害を出しました。それによって、航空部隊の光陽丸への帰還は一時的に不可能になりました。

戦況が混乱する中、鹵獲したシュルツモビクを利用して、蓮見大佐がとんでもない作戦を考え出しました。黒崎二飛曹をシュルツモビクに搭乗させて、ソ連軍への航空機輸送を阻止しようというのです。しかも、本来陸上への着陸しか考慮されてないシュルツモビクを、修復させた光陽丸の飛行甲板に着艦させて、翌日の攻撃に参加させようというのです。

こんな無茶な作戦を、蓮見大佐と黒崎二飛曹は実現してしまいました。黒崎二飛曹の操るシュルツモビクは、空母の飛行甲板に並んだ艦載機に壊滅的なダメージを与えることに成功したのでした。

この作戦の後、日本軍は北千島に侵攻したソ連軍を完全に押さえ込みました。そんな中、新たな戦いが始まろうとしていました。日本軍が、英米との本格的な戦いに突入したのです。しかも、その初戦で日本軍は大きな被害を出したようです。
その戦いの詳細は、次巻で語られることになりそうです。
覇者の戦塵1942 撃滅 北太平洋航空戦 上 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第8作、「撃滅 北太平洋航空戦(上)」を読み終えました。

占守島に配備された尾辻兵曹は、導入されたばかりの試作十四号電探の異変を知りました。異変の原因は、機器の不良によるものと考えた兵曹でしたが、それはソ連による大規模な北方への侵攻作戦の始まりだったのでした。

攻撃の規模を把握できなかった日本軍は、一気に占守島への上陸部隊と空挺部隊による攻撃にさらされ、島の各所に配置されていた電探施設は次々と破壊されていきました。そればかりか、ソ連の侵攻部隊は占守島の先にある幌筵島にも及んでいました。

その頃、海軍と陸軍の合同による輸送演習が千島海峡で実施されていました。大規模な敵の来襲を知って、海軍と陸軍それぞれの参謀の意見が対立していました。輸送船の安全を第一に考える陸軍は、早期の戦線からの撤退を考えていました。一方、海兵隊の戦闘機を多数搭載する海軍参謀は、ただちに偵察機を派遣して状況を把握しようとしていたのでした。

そして艦攻での電探の調整のために派遣されていた深町少佐は、電探の操作に精通していたことから、艦攻に搭乗してソ連の動きを偵察する任務を与えられることになりました。技術士官でしかない深町少佐にとって、これは思いもかけないことでした。しかし、突如現れた海兵隊の蓮見大佐に押し切られて、深町少佐も偵察に協力することになったのでした。

この海兵隊司令の蓮見大佐は、常人とかけ離れたとんでもない人物でした。(^^;
戦闘機に搭乗するのに、なぜか軍刀持参だったり、後ろでどんと構えていてもよさそうなのに、自ら進んで危地に飛び込んでゆく大胆不敵さ。こんな大佐に指揮される部隊は、当然そんな上官に振り回されることになるのですが、大佐はその驚異的な能力で、あっさりと危険をくぐり抜けてしまいます。

そんな暴れん坊の活躍もあって、日本軍はじょじょに体勢を立て直していきます。もちろん、その裏では大佐にこき使われる深町少佐の苦労があったり、占守島で陸軍に協力して電探を活用した尾辻兵曹の地道な努力もあったりしますが。

そんな物語の合間に、今では首相の座から引退した宇垣大将のところへ、日下部記者が訪れました。海外の新聞にも寄稿し、海外経験も豊富な日下部が出入りすることを、宇垣は黙認していました。そんな2人の会話を通して、この世界の日本が置かれている政治状況が明らかになっていきます。

宇垣の後任として首相になったのは、近衛文麿でした。しかし近衛は陸軍を押さえることができず、政治体制は弱体化していました。そして欧州では、ドイツ軍がソ連へと侵攻して、独ソ戦が始まっていました。こんな時期になぜ、ソ連は北千島に侵攻してきたのか。その意図が、じょじょに見えてきます。

日下部は、今回の背景にはアメリカの思惑が絡んでいると言います。ドイツに西の輸送経路を押さえられたソ連と、北満州油田の開発による日本の急速な工業化を危険視するアメリカ。さらには、陸軍が政府に無断で進めたドイツとの密約。
前作で阻止された三国同盟は、宇垣の知らないところで再び動いていたのです。

アメリカ政府の上層部は、既に日本との戦いを想定していますが、アメリカ国内の世論は、今のところ開戦に消極的です。
しかし日下部は、いずれアメリカは大義名分を用意して、この戦いに参加してくると読んでいました。そんな時、今の内閣では日本を支えきれません。だから日下部は、宇垣が再び政権に返り咲くべきだと考えていたのでした。

2人の会談の間にも、戦いは続いています。蓮見大佐に率いられた艦爆戦隊は、ソ連軍に奪われた幌筵島の武蔵基地への夜間爆撃を敢行します。それと連携して、海兵隊が幌筵島へと上陸する作戦です。占守島にいた尾辻兵曹は、上官と共に幌筵島へ向かい、上陸した海兵隊と合流するはずでした。

ところが、島に上陸はしたものの、そこに海兵隊の姿はありませんでした。海兵隊の作戦遂行中に、同様にソ連軍は松輪島にある海兵隊基地を爆撃していたのでした。さらに敵情の偵察を続ける深町少佐は、アメリカのアリューシャン列島から大規模な編隊が飛んできたことを知りました。ソ連軍が次々と攻撃部隊を送り込んでくる裏には、やはりアメリカの支援があったのでした。

さらに、海上を航行する特設輸送船団にも危機が迫っていました。敵は日本軍が電探を使っていることを察知して、錫箔をまいて妨害工作を行います。しかし、それが逆に深町少佐に敵の存在と位置を知らせることになりました。しかし、少佐の予想外のところから、B-25の編隊が進撃してきていました。

その編隊に、有効な武器を持たない蓮見大佐の艦攻が接近します。捨て身で船団を守ろうとしたのかと思いきや、大佐は敵に肉薄することで敵編隊の行動を乱して、彼らを自滅させたのでした。こんな無茶をしながらも、蓮見大佐は当然のように生き残っているのが凄いですね。(^^;

戦いはいまだ続く中、宇垣の元にある知らせが届きました。北千島に接近していたアメリカの情報収集船を、海兵隊の航空部隊が誤爆していたのです。・・・がしかし、それはアメリカ国内の世論を動かすために仕組まれた謀略に、まんまと日本がはまってしまった結果のようです。

アメリカの参戦も遠くない状況の中、この世界の戦いはどんな方向に向かうのでしょうか。

今回は、蓮見大佐のキャラがとにかく強烈でした!(^^;
覇者の戦塵1939 殲滅 ノモンハン機動戦 下 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第7作、「殲滅ノモンハン機動戦(下)」を読み終えました。

一時的に休止していますが、日満軍とソ蒙軍の戦いは続いています。圧倒的に不利な状況の日満軍でしたが、前巻の終わりに決死の渡河作戦を決行したことで、なんとか戦局を互角の形成にまで持ち込みました。しかし、ソ蒙軍の前線部隊の増強は続いており、これを放置すれば日満軍は決定的な敗北を喫しそうな状況です。

そんな中、秋津少佐は奉天製作所の佳木斯(チャムス)分工場で、驚くべき戦車が試作されているのを目撃しました。それは海軍の艦艇で旧式になった砲や、旧世代の飛行機のエンジンを転用して製作された戦車でした。その戦車は水密性にも優れており、なんと陸上だけでなく浅い川であれば水中でも進行できる水陸両用戦車だったのでした。それを知った秋津少佐は、海軍陸戦隊をこの戦いに投入すれば戦局を打破できると考えたのでした。

しかし陸軍、とくに関東軍の内部には、陸での戦いに海軍を投入することに対する反発が根強くありました。秋津少佐を満州に派遣した石原少将からも、海兵隊が今回の戦いに投入されることがないように念押しされていました。それでも秋津少佐は、ノモンハンでの戦いの決め手となるのは、この部隊を戦線に投入できるかにかかっていると確信するのでした。

その頃、ノモンハンでの前線では、ソ蒙軍による本格的な総攻撃が開始されていました。日満軍は連日、大量の砲撃にさらされて圧倒されていました。しかし、室生中尉らを中心に前線の防護陣を堅牢に構築していたおかげで、なんとかその猛攻に日満軍は耐えていたのでした。

戦いが進展する中、乏しい戦力をやり繰りして、室生中尉の率いる砲戦車を中心とする部隊は、反撃に出ました。その作戦は一応の成果を上げましたが、戦いの後で驚くべき情報を室生中尉は入手しました。ソ蒙軍の日満軍に対する北と南からの包囲網は、1つだけでなく、内側の戦線のさらに外側により大きな包囲網が展開していたのでした。

この包囲網が完成すれば、日満州軍は壊滅的な損害を受けることになります。室生中尉は、その情報を司令部へと伝えようとします。ところが、あきれたことに後方で戦いを指揮する関東軍司令部は日曜日だからと羽をのばしており、そのために前線への指示が停滞するという事態に陥っていたのでした。

そんな中、室生中尉の前に秋津少佐が現れました。秋津少佐は、関東軍司令官である永田司令官を動かして、ついに前線への海兵隊投入が決行されることになりました。秋津少佐や海兵隊の小早川少佐が事前に先行して準備を整えておいたこともあり、海兵隊の前線への投入は迅速に行われました。

そして海兵隊の主導による、渡河作戦+南北の部隊を指揮する敵司令部への奇襲攻撃が開始されました。限られた時間の中、夜明け直前に作戦は決行されました。その戦いで、海兵隊の十二試重戦車はその力を発揮しました。重装甲と水陸両用という特徴を活かして、敵司令部を潰走させたのです。とはいえ、さすがの海兵隊も戦車戦の経験は不足しており、室生中尉らの部隊の支援がなければ、部隊が壊滅するところでした。

司令部を失ったソ蒙軍は、大混乱に陥りました。そして戦いは、再び膠着状態に陥りました。ソ蒙軍を率いた将軍は更迭され、戦いの間に密かに進行していた独ソ不可侵条約が結ばれていました。さらに、史実では日本・ドイツ・イタリアの三国で結ばれた三国同盟も、この世界では日本は参加しないという形で決着しました。
この戦いのもう一方では、欧州での戦いが拡大していました。ドイツのポーランド侵攻に応じて、ソ連も東欧や北欧への侵攻をもくろんでいます。

というわけで、今回はさらに史実から離れた展開+架空戦記のお約束^^;新型兵器の投入もあって、物語はさらに史実とは違う方向に動き始めました。この世界がこの先どんな方向に向かうことになるのか、この続きも楽しみです。
覇者の戦塵1939 殲滅 ノモンハン機動戦 上 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第7作、「殲滅ノモンハン機動戦(上)」を読み終えました。

これまで読んできた覇者の戦塵シリーズは、角川から発売されたものの合本版でした。この本から、中央公論社のC-NOVEVLSシリーズとして書き続けられています。

今回は、モンゴル人民共和国と満州国との国境紛争という形で、モンゴルを後押しするソ連と、満州国の関東軍との戦いが繰り広げられることになりました。その背後には、北満州油田の権益を狙うソ連の思惑があります。一方の関東軍は、戦車戦に対する理解のないまま、無謀ともいえる作戦を連発します。

今回メインの語り手となったのは、第4連隊の試製1号砲戦車を指揮する室尾中尉です。欧州での戦いを経験しているソ連は、戦車を用いた作戦に精通しつつありました。そんなソ連軍に、日本軍は大苦戦することになるのでした。

ソ連の戦車の完成度は、独自に戦車戦を研究していた室尾中尉さえも驚くものでした。日本軍の九七式中戦車では、ソ連のBT戦車の装甲を破ることはできませんでした。それだけでなく、戦車の進行方向にピアノ線を利用したワイヤーを張り巡らせ、それに絡まった戦車が行動不能に陥ったところを攻撃する作戦も、日本の戦車部隊に大きな被害を与えていたのでした。

そんな中、唯一の救いは戦車部隊の後方に、段列と呼ばれる支援部隊が同行していることでした。段列による、傷ついた戦車の修理や防護陣地の急造などの支援があるおかげで、なんとか戦車部隊は崩壊を免れていたのでした。ところが、戦車の価値を認めようとしない関東軍の参謀は、時折前線に現れては無茶な命令を強要します。

その参謀・各務中佐だけでなく関東軍の司令部には、いまだに歩兵こそが重要だとする考えが染みついていました。そして戦車や段列などに無駄な機動力を使うなら、火炎瓶を持って戦車に突撃しろとさえ言い出す有様でした。

しかし戦場の実情を知る室尾中尉や、段列を率いる上川大尉には、それは受け入れられる考えではありませんでした。こうして関東軍は、下士官や兵士の能力は高いのに、司令部がそれを活かすすべを知らないために、苦境に陥ることになるのでした。

苦しい状況の中、室尾中尉と上川大尉は戦場に残された敵のBT戦車の鹵獲を目論みます。その作戦も多くの兵士の犠牲を生みましたが、BT戦車を確保したことで室尾中尉たちは今後の作戦方針を立てることができました。
日本軍よりもはるかに強力な砲塔を装備したBT戦車ですが、戦い方を工夫すればそれに対抗できると室尾中尉は気づきました。また試製1号砲戦車の砲撃なら、BT戦車を撃破できる力があることもわかりました。

補給も滞りがちで、部隊のやり繰りにも苦労する中、司令部は歩兵を主体にした反撃作戦を実行します。しかし、その準備の間にソ連側も部隊が補強されており、戦線は膠着状態に陥りました。

そんな状況を変えたのが、国内から戦いの実情調査に赴いていた秋津少佐と、戦力補強のために派遣された段列部隊を指揮する寺岡大佐と陣内大尉でした。彼らの力で、傷ついた戦車の修理と鹵獲した敵戦車の戦力としての利用。さらに歩兵部隊を支援する砲戦部隊を支援するために行われた渡河作戦では、重機を活用してわずかの時間で渡河ポイントを築き上げました。

そのおかげで、日本軍はソ連軍をハルハ河西岸まで後退させることに成功しました。しかし、ソ連はさらなる戦力の増強を続けていて、これで戦いが終わったわけではありません。にもかかわらず、日本側は相変わらず部隊の増強が進んでいません。こんな状況で、日本軍はソ連軍の侵攻を食い止めることができるのでしょうか。

とりあえず上巻だけ読み終えましたが、上巻だけでも独立したお話として楽しめるようになっているのがよかったです。
これまでの戦いも激しかったですが、この巻からはより激しい戦いが繰り広げられています。それなのに、相変わらず独断専行を続ける関東軍と、各務中佐に代表される無能な司令部。敵の戦力は脅威ですが、それ以上に味方の無知と傲慢が、戦いをより苦しいものにしているように思えます。
覇者の戦塵1937 黒竜江陸戦隊 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第6作、「黒竜江陸戦隊」を読み終えました。

C-NOVELSの合本版で読んだので、先に「黒竜江陸戦隊」の状況を生むことになった短編「断章 蹶起」から読みました。
この世界では、史実で起きた二・二六事件が未遂に終わり、起きなかったことが判明します。それが後の歴史に、史実とは違う影響を与えていくことになります。

学生時代に、日本の近代史に興味が持てなかった・・・というか授業でまともに取り上げられなかった^^;こともあり、二・二六事件周辺で起きた事件について知らないことばかりでした。これでは小説との違いを楽しめないと思い、Wikiの情報でざっと概要を調べました。すると小説では相沢中佐に斬りつけられながらも、一命を取り留めた永田軍務局長は、本来の歴史ではこの時に命を落としていたことも知りました。

話が本の内容からそれましたが、続いては「黒竜江陸戦隊」についてです。
前作は謀略がメインで、技術的な話が少なかったですが、今回はこれまでとは異なる設計思想で作られた、新造艦隊にまつわるお話が描かれていました。

柳井大尉は、黒竜江で測量を行う砲艦に同行して、新造艦の航行に伴う問題点を調査していました。ところが、その船は陸軍の移動に利用されることになり、測量隊は船を奪われ足止めされることになりました。それで柳井大尉は、上陸した周辺の整備が進んでいることに驚かされました。それは満州に設立された建設重機会社・奉天製作所の作り上げた数々の重機のおかげでした。そして大尉は、技師の岡崎と知り合うのでした。

そんな柳井大尉に、至急内地に戻るようにという連絡がありました。断章で描かれた歴史の変化によって、日本国内の政治体制に大きな変動があったのです。その結果、これまで意見が入れられることのなかった佐久田中佐の構想が、実現することになったのです。

佐久田中佐が柳井大尉を呼び戻したのは、海防艦の急速造艦演習が行われることになったからです。徹底した構造の簡略化とブロック構造による共通化。それによって中佐は、なんとわずか3ヶ月で1隻の艦艇を建造する目処を立てていました。
また効率化を図る一方で、先の海戦で得られた戦訓を活かし、簡単には沈まない船を建造しようとしていたのでした。

その頃、黒竜江では海軍陸戦隊の指揮官・小早川少佐と特務機関の陣内大尉と合流していました。彼らは、ソ連の後押しで馬軍は密かに戦闘の拠点を構築していたのでした。さらに陸軍の石原大佐とも会合した小早川少佐は、黒竜江の馬軍根拠地を叩くために海軍陸戦隊を投入して欲しいと要請されました。

何かと反目する海軍と陸軍が、連携して作戦を遂行することは難しいと小早川少佐は考えますが、日本国内の政治体制の変化によって、それが一気に実現することになりました。対中国政策を転換しようとする宇垣大将が、首相に任命されることになったからです。それによって中国との関係を改善すると共に、対ソ連に向けての体制を整えたいと石原大佐は考えていたのでした。

その頃、陣内大尉と趙を中心とした部隊は、馬軍の根拠地を探し出そうとしていました。かって捕虜にしたアメリカ人、シャオ・フーの姿もその中にありました。シャオ・フーはかって仲間であった劉氷烈に見捨てられて、口封じのために殺されかけたところを運良く生き延びて、それ以後は陣内たちの協力者になっていたのでした。

途中、劉に部隊の動きを知られて危機に陥りましたが、それを何とか切り抜けて陣内たちは根拠地の情報を得ました。
さらに陣内は、北安の町で満州軍小校の嘉門寺から、馬軍の情報を得ようとしました。しかし、嘉門寺は簡単には自分の手の内をみせません。その間に、再び南満州で日中両軍が激突していました。

戦線が拡大する中、石原大佐の元に武藤大佐が現れました。黒竜江の馬軍が動いたという知らせが届いたのです。武藤大佐は、増援部隊の派遣を求めますが、石原大佐はそれをそのまま受け入れるつもりはありませんでした。部隊は派遣するが、それは陸軍の部隊ではなく、海軍を派遣するように申し入れろと言うのです。

こうして小早川少佐の率いる、海軍陸戦隊が陣内大尉の部隊と協力して作戦を遂行することになりました。戦いに投入された新造艦・禄剛の支援もあり、彼らは根拠地の破壊に成功しました。ところが、小河子島で作戦行動中の陸軍部隊から、支援要請が入りました。馬軍の攻撃を受けて、出撃した部隊が孤立してしまったというのです。

陸軍との関係を考慮すると、小早川少佐らにこの要請を断るという選択肢はありませんでした。こうして1つの戦いを終えたばかりの小早川少佐たちは、続けて新たな作戦を実行することになりました。戦いはかなり苦しい状況になりそうでしたが、馬軍とそれを支援するソ連との無線連絡をシャオ・フーが傍受したことから、敵部隊の兵員輸送に利用されている汽船を利用して、敵の懐に飛び込みました。こうして小早川少佐らは、孤立した陸軍部隊の救出に成功したのでした。

こうして1つの戦いは終わりましたが、すべての戦いが終わったわけではありません。物語の終了間際、廬溝橋で戦闘が発生したようです。それが次の戦いに、どう影響してくるのでしょうか。
バウドリーノ(下) (岩波文庫)ウンベルト・エーコの「バウドリーノ(下)」を読み終えました。

上巻でたびたび言及された、司祭ヨハネの王国。下巻ではついに、バウドリーノがその幻の王国を目指して旅立つことになります。それに先立ち、バウドリーノは実の父の死を見守ることになりました。その父が残した粗末な椀、それをバウドリーノは司祭ヨハネに献上するグラダーレにしたのでした。

そして養父であるフリードリヒと共に、バウドリーノは十字軍に加わり東方を目指して旅立ちました。その度の最中、フリードリヒは不思議な城で命を落とすことになりました。完全な密室だった部屋で、フリードリヒは謎の死を遂げたのです。

その真相もわからぬまま、その意思を受け継いだバウドリーノは12名の仲間と共に司祭ヨハネの王国を目指します。そこへ彼らを案内するはずだったゾシモスは、フリードリヒの死と時を同じくして、どこかに姿をくらましました。それと同時に、ヨハネの元に持参するはずだったグラダーレも消えてしまいました。

バウドリーノたちは、ゾシモスがフリードリヒを殺してグラダーレを持ち去ったと考え、ゾシモスが向かったであろう東方への旅を急ぐのでした。そして、このあたりから物語の雰囲気が一変します。それまでは実在する場所も踏まえた内容だったのが、バウドリーノたちの前に現れる不思議な土地や住人の登場で、一気にファンタジー小説のような不思議な世界が描かれます。

そしてプンダペッツィムに到着したバウドリーノたちは白フン族との戦いに備えたり、一角獣を連れた美しい女性ヒュパティアとバウドリーノとの出会いがありました。バウドリーノとヒュパティアには愛情が芽生え、2人の子供をヒュパティアは身ごもります。しかし、白フン族との戦いが本格的にはじまり、バウドリーノとヒュパティアは別れ別れになってしまうのでした。

そしてバウドリーノは、白フン族との戦いで混乱するプンダペッツィムから、元の世界を目指して帰還することになりました。ところが、その度の途中で彼らは犬頭人の捕虜となり、その地で奴隷として強制労働させられることになってしまいました。

そんな生活が長く続きましたが、バウドリーノたちは監視の隙を突いて、そこから脱出することに成功しました。そしてバウドリーノは、彼の話の聞き手であるニケタスのいるコンスタンティノープルへと到着したのでした。しかし、その時コンスタンティノープルは攻め滅ぼされようとしていました。

偽の聖遺物を作り上げて資金を得たバウドリーノたちは、混乱するコンスタンティノープルからの脱出を計画します。しかし、それが実行される前にバウドリーノの前に消えたグラダーレとフリードリヒの死の真相という問題が現れます。
その結果、バウドリーノはある人物を殺めることになるのでした。そして、そんなバウドリーノがニケタスを救ったのは、その事件が終わった後のことでした。

こうしてバウドリーノの長い物語は、ようやく語り手のニケタスのいる時代へとつながりました。ここで物語は、もう一転するのですが、これ以上はネタバレになるので書かずにおきます。(^^;

というわけで、バウドリーノの物語も完結です。読み始めた当初は、これだけ内容の濃そうな本を最後まで読み通せるか不安もありましたが、読み始めてみたらその内容の面白さに引き込まれました。バウドリーノの語った物語には、ほら話も数多く含まれているのですが、現実と嘘が交錯する不思議な世界が展開しているのも魅力的でした。
神の時空 ―京の天命― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ第8巻、「神の時空 京の大命」を読み終えました。

長らく続いたこの物語も、ついにこの巻で完結しました!
今回は、今までになく積極的に高村皇が動きました。その結果、日本三景の松島、天橋立、宮島の3カ所で同時に異変が起きました。それと同時に、摩季を蘇らせるための死反術(まかるがえしのじゅつ)を行える期限もあと1日となりました。

各地の異変を知った彩音たちでしたが、広い範囲で同時に事件が起きているために対応しきれません。そこで今回は、これまでの事件を通じて出会った女性たちが、各地で異変を鎮めるために動きます。

天橋立は樒祈美子(しきみ・きみこ)と加藤裕香が、嚴島神社は観音崎栞、熱田神宮は涙川紗也、神田明神は彩音と巳雨、そして鹽竈神社は四宮雛子の知り合いで初登場の象潟京(きさかた・みやこ)と傀儡師の佐助が日本全土に起きようとしている災厄を防ごうとします。

そして事の発端には、辻曲家の彩音たちの両親、ぬりかべである福来陽一の両親、京の父、加藤裕香の兄と祈美子の父などが巻き込まれた、学会では異端視されていた國學院大學の潮田誠教授のバスツアーに参加して、全員がバスの転落事故で命を落としていたのでした。

日本三景と事件の背後に何があるのか、それを知るために陽一は地縛霊の火地の元へと向かいます。いつもなら、火地に仕事の邪魔をするなと怒られる陽一ですが、今回はこんな危機が迫っているのにどうしてもっと早く来ないのかと言われてしまいます。

火地の指摘で、彩音たちはようやく高村皇の真の狙いを知りました。それは日本三景だけでなく、日本列島の上に大きな三角を描くことになる結界がありました。それを破壊されることで、それまで活動を休止していた富士山をはじめとする山々が噴火して、日本列島を大災害が襲うことになります。

それを防ぐために、彩音は磯笛や高村皇と直接戦うことになりました。しかし、各地での女性たちのがんばりによって、高村皇が壊そうとした結界は、ギリギリのところで崩壊を免れました。それを悟った高村皇は、再び現れることを予告して、彩音たちの前から去ったのでした。

そして、ついに摩季の復活の儀式が行われました。各地から多くの神宝が集められましたが、それでも摩季を蘇らせるには数が足りませんでした。そんな中、四宮雛子はたった1つだけ摩季を救う方法があると言います。しかし、それは誰かの命を犠牲にすることでした。

その犠牲者に志願したのは、実は摩季の実の兄であった陽一でした。陽一の力を加えたことで、ようやく摩季はこの世に蘇ったのでした。

というわけで、物語は完結しました。でも今回は、これまでになく内容が詰め込まれていた感じで、毎回恒例となっている(?)殺人事件の犯人は明らかになりませんでしたし、バスツアーに参加した陽一の父が最期に残した「潮田…殺され…」という謎のメッセージの答えも明かされませんでした。(^^;

そのあたりを考えると、著者としてはもっとシリーズを続けたかったけれど、大人の事情でシリーズが打ち切られたのかもと思ってしまいました。

そうそう。最後にこの巻では、これまでずっと気むずかしかった火地が、喫茶店のおばさん幽霊を相手にちょっとだけデレる場面があったのが微笑ましかったです。(^^;
覇者の戦塵1933 謀略熱河戦線 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第5作、「謀略熱河戦線」を読み終えました。

この巻では、先に読んだ「オホーツク海戦」に登場した陣内大尉(この巻では中尉)の視点から、時代を昭和7年へと遡って物語が展開しました。

その当時、陣内中尉は北満での警備任務に就いていました。アメリカで暮らしたこともある陣内中尉は、一般的な日本人とは異なる国際感覚を持っていて、現在の満州政策にも疑問を持っていました。そんな独自の感覚を持つ陣内中尉は、連隊長と対立することも多く、持てあまされたあげく、別の連隊へと転属させられることを繰り返していました。

そんな中、とある村で補給を行おうとしていた武装勢力を補足した中尉は、村からの武装勢力への物資の提供を阻止すると共に、数人の捕虜を得ました。その中にいたのが、「オホーツク海戦」でも顔を見せた趙でした。捕虜となった趙から、中尉はその当時は死んだと考えられていた馬占山将軍が生きているという情報を得ました。

馬将軍は、以前は満州に帰順していたのですが、実権はすべて日本が握っていたため、それに失望して再び抗日勢力としての戦いを再開させていたのでした。中尉は、その情報を上官へと伝えます。そして、この趙を仲立ちにして再び馬将軍と接触して、もう一度馬将軍を帰順させようと考えたのでした。

しかし、上官はその案に関心を示さないばかりか、馬将軍が実は生きているという情報は、隊内で煙たがられている中尉以外は既に知っていることでした。そして部隊の関心は、北満州ではなく、いずれ行われる熱河省への進撃にあったのでした。

そんな中、とある事情で鹵獲した大量の兵器を、部隊が持てあましていることを知りました。中尉はその処理を請け負うという名目で、司令部の知り合いに自分の立てた作戦を進言しよう考えたのでした。こうした部隊を離れた中尉は、新京へと向かいました。そこで中尉は、旧知の仲である綴喜大尉と再会しました。自分の考えを大尉に伝えた中尉は、さらに奉天にまで足を伸ばします。

その目的は、そこに造られたトラクター工場の視察でした。そこで陣内中尉は、「激突上海市街戦」に登場した桑原という男と出会いました。桑原は今は、満鉄の職員として働いていました。この工場には、出向という形で参加していたのです。

そこで中尉は、製造したトラクターで北満州を開拓する計画の実現性について桑原に問いました。しかし、その結果は中尉の期待したものではありませんでした。この時代の満州の製造技術では、まだ中尉の要望を満たすトラクターを量産することは不可能でした。

再び新京に戻った中尉は、いきなり下士官に呼び止められました。彼と極秘に会いたいという者がいるのです。密かに連れ込まれた場所で、中尉は関東軍参謀の宮地中佐と会うことになりました。中尉のプランを知った宮地中佐は、その実行を中尉に任せるというのです。

監視役としての久喜曹長を伴い、密かに中尉は北満州へと帰ります。そこで趙と合流した中尉は、3人で馬将軍との会見を目指して行動を開始しました。ところが、中尉に与えられたこの任務は、宮地中佐の仕組んだ罠でした。中尉が馬将軍との会見を果たした時、久喜曹長は将軍を暗殺するために送り込まれたのです。

さらに中尉たちの後方からは、曹長を支援するための部隊も送り込まれていたのでした。真相に気づいた中尉でしたが、それを曹長に悟られて危機に陥ります。しかし、中尉に惚れ込んだ趙の協力もあり、なんとか中尉は危機を乗り越えたのでした。

そして中尉は、司令部からの呼び出しで、再び新京へと向かうことになりました。新京で再び綴喜大尉と再会した中尉は、そこで石原大佐と上村尽瞑と出会うことになりました。石原大佐は、ジュネーブで行われる国際連盟の討議に参加する途中で、ここに立ち寄ったのでした。さらに、その場にフリー・ジャーナリストの日下部も顔を出しました。このあたりの展開は、旧知の登場人物が次々と不思議な縁でつながっていく感じで面白かったです。

そして陣内中尉は、熱河戦線へと参戦することになりました。とはいえ、中尉が指揮するのは攻撃部隊ではなく、それを補助する段列と呼ばれる支援部隊でした。しかし、悪路ばかりの行軍が続く中、先行する戦車部隊は故障が続発して、中尉の率いる部隊の支援がなければ、かなりの数の部隊が戦線から離脱してしまうところでした。

前進を続ける部隊は、やがて敵の激しい抵抗に遭遇しました。そこには地雷や対戦車銃までが用意され、戦車隊の行く手を遮っていました。そして中尉たちは、これまで内部分裂していた中国国内勢力が協力していることを知るのでした。

その頃、ジュネーブに到着した石原大佐は、そこで密かに外務省欧米局長・東郷と会見していました。そこでは中国の背後でソ連が将来的な利権の獲得を目指して、動いていることが確認されました。その上で東郷は、早急に熱河作戦を終了させる必要があること、関東軍の独断専行を阻止することを石原大佐に求めたのでした。

そのための手段として、石原大佐は日下部を利用することにしました。宮地中佐が中心となって進めている、清朝皇帝溥儀を満州の皇帝にまつりあげるという謀略を教えたのです。この情報をリークすることで、石原大佐は関東軍を弱体化させようと考えていたのでした。

一方、停滞する熱河戦線では陣内中尉らが、防御の手薄な場所から渡河作戦を実行して戦局を動かそうとしていました。
ところがそこに、宮地中佐が現れました。そして中尉らに、関内へ侵攻しろという無茶な作戦を実行するように強制しようとします。石原大佐のリーク情報によって、謀略を主導してきた宮地中佐の立場が微妙になり、中佐は焦っていたのでした。

しかし、陣内中尉らはあくまでも当初の作戦を実行しました。その戦いの中、中尉は再び久喜曹長と出会いました。曹長は中尉たちの作戦を妨害するために、戦場に潜り込んでいたのです。それを撃退した陣内中尉は、自らの手で曹長を銃殺したのでした。

というわけで、今回は熱河戦線の戦いと、その背後にある謀略が描かれました。「オホーツク海戦」では、陣内中尉が唐突に登場した感じでしたが、石原大佐との関わり、信頼できる仲間である趙との出会いなども描かれていて、抜けていたピースがうまく埋められた感じでした。
覇者の戦塵1936 第二次オホーツク海戦 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第4作、「第二次オホーツク海戦」を読み終えました。

前作において、敵の目的を阻止して、戦略的な勝利を手にした日本軍。しかし、それで戦いは終わりではありません。ソ連の次なる作戦が、日本軍の意表を突いた形で進行していたのでした。

巡洋艦・鳥海から発進した水偵に乗り込んだ塚田大尉は、何度目かになるペトロパブロフスクへの偵察を遂行していました。その途中で大尉は、流氷面に残された謎の痕跡を目にしました。そればかりか、氷に閉ざされて動けない艦隊を偵察する途中で、謎の航空機の攻撃を受けたのでした。

なんとか敵機を振り切り、母艦へと帰還した塚田大尉は、撮影した写真に思わぬものが写っていたことを知らされました。
日本軍の哨戒網をかいくぐって、ソ連は砕氷船をペトロパブロフスクへと派遣していたのです。そして港に釘付けにしたはずの艦隊が、本来の目的地であるニコライエフスクを目指して移動を開始しようとしていることを察知したのでした。

時を同じくして、幌筵海峡に進出していた日本海軍は、密かに潜行した特殊部隊と潜水艦隊の攻撃を受けて、大きなダメージを受けていました。輸送船団の移動を支援するために、多面的な戦略が展開されていたのでした。残り少ない艦艇を集めて、日本海軍の必死の輸送阻止作戦が始まります。

その頃、海軍陸戦隊の配備を進めていた小早川大尉は、陸戦隊の訓練を行っていました。ところが上記の影響を受けて、行おうとしていた訓練を中止して、大尉らが乗った船は急遽大湊へと寄港することになりました。そこで装備を調えた上で、再び出港することになるのです。

準備が整うまでの間、思わぬ時間を得た小早川大尉は、そこで陸軍の寺岡大佐と出会いました。寺岡大佐は有能な指揮官でしたが、小河子島での敗戦の責任を負わされ、予備役へと回されていたのでした。その原因となったのは、関東軍から派遣されてきた参謀のごり押しで、無茶な作戦を遂行させられたからでした。その参謀というのが、第1作にも登場した困ったちゃん^^;各務大尉でした。

陸軍の指揮官を、海軍の指揮官として迎え入れることは異例のことでしたが、小早川大尉は寺岡大佐の手腕を高く評価していました。そして、せっかくの人材を陸軍が活用しないならと、寺岡大佐を陸戦隊の顧問として迎え入れたのでした。

後半の2章では、オホーツク海での戦いが描かれました。その中でも、駆逐艦・沼風の戦いぶりが詳細に描かれます。
今回の戦いでは、ソ連の極東艦隊との戦いも重要ですが、それ以上に凍結や流氷との戦いでもありました。激しい戦いの中、戦線から離脱したソ連艦艇は流氷に閉じ込められたことが原因で行動不能に陥りました。

そして味方の転進によって孤立した沼風もまた、流氷に自由を奪われて危機に陥ります。しかも、その側には戦闘力は失っているとはいえ、ソ連の輸送船と駆逐艦がいます。さらに追い打ちをかけるように、2隻の駆逐艦が沼風に迫ります。
そこでやむなく、艦長は沼風に残された最後の魚雷を使って、輸送船の撃破を命じました。輸送船が撃沈されたことで、救援に向かっていた駆逐艦は引き返したのでした。

ということで、第二次オホーツク海戦に日本海軍は勝利しました。しかし、多数の被害を出したものの、輸送船の半分を撃沈しただけにとどまりました。今回の戦訓を活かして、さらなる装備の強化と戦略の見直し、まだ試作段階でしかないレーダーの実用化など、克服すべき問題は山のようにありそうです。
オホーツク海戦―覇者の戦塵 (C・NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第3作、「オホーツク海戦」を読み終えました。

これまでの物語では、満州を中心に話が動きましたが、「オホーツク海戦」では米ソの動きも活発化してきます。その発端となったのは、駆逐艦・島風が遭遇した不審な船でした。座礁したその船は、島風の接近をしると強引に逃走を図ろうとします。そして、それが不可能だと知った時、その船は自沈したのでした。

表向きはノルウェー船籍のその船は、実はソ連の船でした。その積み荷は、アメリカから輸送される大量の武器弾薬だったのです。米ソは表面的には満州の動向を見守りつつ、背後では黒竜江省軍を援助していたのです。そして物語が進むにつれて、アメリカの援助は物資だけでなく、遊撃戦を指導する人材にも及んでいました。

海軍陸戦隊の小早川大尉は、黒竜江での戦いで敵対する馬占山軍の背後にソ連がいることを知りました。ソ連は民間人の捕虜を、精鋭部隊で奪還しようとします。しかし、それは小早川大尉らの活躍で阻止されました。その捕虜こそが、アメリカが送り込んだ工作員だったのでした。

戦いの後、小早川大尉は日本国内へと帰還しました。これまでの戦いで強襲揚陸艦の必要性を痛感した小早川大尉は、舞鶴へと立ち寄り、そこで改装されている艦艇を視察させてもらうことにしました。そこで小早川は、新たな艦艇の設計者である佐久田少佐と出会うのでした。

佐久田少佐は、これまでの日本海軍の方針とは違う、全く別の考えを持っていました。それは1つ1つの艦艇を研ぎ澄ませるのではなく、極力部品の共通化や工作の用意さに主眼を置いた設計でした。どんな艦艇も、いざ戦いに出れば損傷を免れません。また戦況が長引けば、未熟な工員が作業に加わることになります。だからこそ、補修・改修が容易で、熟練者でなくても作ることができる船が必要だと、佐久田少佐は考えたのでした。

とはいえ、佐久田少佐も元々今のような考えをしていたのではなく、作中にありながら本来の歴史を知っているのではないかと思われる、上村尽瞑との出会いから今の基本構想を持つようになったのでした。今はまだ小さな動きでしかありませんが、小早川や佐久田のような人間の登場が、これからの未来に大きく影響してきそうですね。

小早川と同じく、満州にいた石原大佐も国内へと帰ってきていました。そこで石原大佐は、陸軍の永田軍務局長の力を借りて海軍を動かして、満州に干渉しようとする米ソの動きを牽制しようとしていました。なんと石原大佐は、陣内機関と呼ばれる独自の諜報網を作り上げていました。

陣内大尉を中心としたその部隊は、独自に満州で工作活動を行っているグループを追跡していました。長い追跡の末、陣内らは工作員の1人を確保しますが、敵は工作員の口をふさごうと動きます。敵に情報を与えぬために、自らの命が危機にさらされていることを知った工作員は、陣内たちへの協力を約束するのでした。

物語の終盤は、オホーツク海での戦いでした。アメリカから武器を輸送してくる船団を護衛するために、ソ連の極東艦隊が動きました。それに応じて、日本海軍もオホーツク海に戦力を投入します。ところが、運悪く襲った台風のために、艦隊は大きな被害を受けてしまいます。そして戦いは、ソ連の巡洋艦と日本の駆逐艦との戦いへと突入します。双方に少なくない被害を出した戦いでしたが、日本海軍は物資の輸送船をペトロパブロフスに追い込み、戦略的な勝利を手にしたのでした。

とはいえ、これは前哨戦にすぎません。これからの戦いは、どのように推移することになるのでしょうか。

また同時収録の短編「昭和十年十一月 東京」では、これからの戦いの土壌を作り上げる密会が進行していました。井上大佐と共に、外交官の東郷局長と会った佐久田は、期限切れが間近に迫った軍縮条約を延長させると共に、大艦巨砲主義の海軍上層部を押さえて、将来の航空戦を念頭に置いた防空巡洋艦を構想を推進しようとしています。

こういった動きが、どんな方向に歴史を動かしていくことになるのか気になります。
覇者の戦塵1932 激突上海市街戦 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第2作、「激突上海市街戦」を読み終えました。今回読んだのは、前作の「北満州油田」と合本になったものでしたので、本編に加えて追加の短編「断章 廟行鎮の敵の陣」もあわせて読みました。

前作では、実際に歴史にはない、北満州油田の発見が描かれました。それを受けて、前作にも登場した満鉄の技術員・南部は、石原中佐の計画を聞いて満州に日本独自のトラクター生産施設の建造に向けて考えをまとめていました。ところが、石原中佐と再会した南部は、当面満州で建造するトラクターは国産品ではなく、アメリカの代理店を通して工場を誘致する方向で進めるように指示されます。

独自に日本国内へともどり、日本の現在のトラクターの開発上を自らの目で見てきた南部は、今はエンジンに問題があるが開発に当たっている工員には活気があり、将来的には有望だとの感触を得ていたのです。それだけに、突然の石原の方針転換に南部は戸惑います。しかし石原に押し切られた南部は、アメリカからの購入の話を進めるために、代理店のある上海へと向かうことになるのでした。

上海には、前作にも登場した新聞記者の日下部がいました。前作では新聞社の社員であった日下部でしたが、今では会社を辞めて、独自の調査で得た情報を日本だけにとどまらない、海外の新聞社などにも提供しているのでした。上海で日下部は、謎の僧侶・上村尽瞑の後を追っていました。その頃の上海では、日貨排斥という形での抗日運動が激しくなっていました。尽瞑に関わったことで、日下部は実際の歴史では起きていた事件が、"起きなかったことを目撃"することになるのでした。

日中の緊張が高まる中、ついに日本と中国の戦いが始まろうとしていました。国内が混乱している中国を、日本軍の上層部は軽く見ていました。しかし、彼らの読みは完全に外れました。幾多の戦いをくぐり抜けてきた十九路軍が日本軍の前に立ちはだかったのです。

中国軍は装備や補給で日本軍に劣るものの、近代的な陸戦の経験と士気は高いものがありました。そして戦端が開かれたものの、日本軍は巧みに地形を活かして縦に深く守る十九路軍に苦戦することになるのでした。それが結果的に、国際連盟が今回の日本軍の満州から始まった行動を承認しない動きへとつながります。

というわけで、「北満州油田」の時とは異なり、今回は物語の前半は南部が、中盤以降は日下部が物語の目撃者として設定されていました。日下部の登場が増えたことで、前作よりも謀略ものの色合いが濃くなっていました。上海での日下部の行動は、スパイ小説を読んでいるような気がしました。

「断章 廟行鎮の敵の陣」では、中国に投入された日本陸軍の苦戦ぶりが、工兵の視点から描かれました。敵を侮り、日々進化する戦い方の研究を怠ったことが、現場の兵士たちの苦闘につながっていることがわかる重いエピソードでした。
バウドリーノ(上) (岩波文庫)ウンベルト・エーコの「バウドリーノ(上)」を読み終えました。

ウンベルト・エーコの作品は「薔薇の名前」の頃から興味があったのですが、これまで読む機会がありませんでした。
それが今回、初めてエーコの作品に手を出せたのは、文庫という形で発売されていたからです。文庫サイズだと、気軽に持ち歩いて、ちょっとした空き時間に読むことができるのがいいですね。(^^)

物語は主人公のバウドリーノが、手に入れた羊皮紙に書かれていた文字を削って、自らの記録を残そうとしているところから始まります。それが彼独自の言葉で書かれた、彼自身の物語でした。ところが、その物語を彼は失ってしまうことになります。

そして舞台は、いきなり13世紀のコンスタンティノープル陥落へと飛びます。既に壮年になっていたバウドリーノは、そこでビザンツ帝国の書記官長をつとめた、ニケタス・コニアテスという人物を救いました。コンスタンティノープルで略奪が行われる中、バウドリーノの用意した隠れ家に潜んだニケタスに、バウドリーノは自分の奇妙な生涯を聞き、記録して欲しいと頼みます。

こうして物語は、バウドリーノの過去が語られつつ、時折それが語られている時代へと帰りを繰り返しながら進んでいきます。ここで面白いと思ったのは、バウドリーノがニケタスに状況を語るうちにも、彼らを取り巻く状況が刻々と変化している様子も描かれていることです。上巻の最初は、隠れ家に潜伏しているバウドリーノとニケタスでしたが、状況の変化によって、街からの脱出計画も進んでいるのです。

そしてバウドリーノは、ニケタスに自分の生い立ちから話し始めます。バウドリーノは、元々はイタリアの貧しい農民の息子でした。そんなバウドリーノの運命は、神聖ローマ皇帝フリードリヒと出会ったことで大きく変わります。フリードリヒはバウドリーノを気に入って、彼を自分の養子として迎え入れたのです。

そこからのバウドリーノの人生は、波瀾万丈です。イタリアの都市国家をすべて自分の支配下に置こうとするフリードリヒの戦いを目撃し、フリードリヒの新たな妻として迎えられたベアトリスに恋心を抱くようになり、その思いを振り切るようにパリに学びに出かけ、個性的な友人たちと知り合い、フリードリヒの権力を強化する後ろ盾として、はるか東方にある司祭ヨハネの王国をでっち上げます。

でっち上げた王国は、すぐには役に立ちませんでしたが、後年それが思いもかけない形でバウドリーノの運命に関わってくることになります。そして、その幻の王国への地図を持っていると言う修道士ゾシモスの裏切りと再会。そしてゾシモスの口車に乗せられて、バウドリーノたちは幻の王国への旅を計画します。

というところまでが、上巻での展開でした。史実とフィクションが交錯して、その上にバウドリーノの過去とコンスタンティノープルでの物語もあり、とても込み入った構成の物語です。しかし、小さなエピソードの1つ1つが面白くて、どんどん続きを読みたくなるような物語です。

このように複雑に織り上げられた物語が、最終的にどんな形を見せてくれるのか、とても楽しみです!(^^)
覇者の戦塵1931 北満州油田占領 (C★NOVELS)一時期は、書店の新書棚を埋めるほどの作品が発売されていた、架空戦記とかif戦記と呼ばれるジャンルの作品。個人的にも、荒巻義雄さんや川又千秋さんの作品を読みあさっていた時期もありましたが、いつの間にかブームが去って本屋で見かける作品数も減っていきました。

ところが最近、「航空宇宙軍史」の谷甲州さんが書かれた「覇者の戦塵」というシリーズが、今も続いていることを知りました。シリーズ最初の作品が発売されたのが1991年(!)で、その後も間隔を開けながらもシリーズは継続して、36巻に渡って作品が継続されていたのでした!

ブームに乗って刊行された作品の中には、未完に終わった作品も少なくないと思いますが、まさか今も現役で続いているシリーズがあることに、そしてそれを書いているのが谷甲州さんだったことに、2つの意味で驚きました。

谷甲州さんの作品は、早川文庫で発売された「航空宇宙軍史・完全版」を買いそろえて、じっくり楽しんでいる途中なのですが、この「覇者の戦塵」シリーズもなんだかとっても気になります。とはいえ、シリーズがスタートしたのが90年代なので、過去の作品はすでに絶版になっています。電子書籍としては発売されているようですが、やっぱり紙の本で読みたいな〜と思ったので、今回は図書館のお世話になりました。

借りた本では、過去に別々の本として発売された作品が、1つにまとめられて短編を追加したものでした。元々は独立した作品だったということで、今回は「北満州油田」を読み終えたところで感想を書きます。

物語の舞台となるのは、昭和6年の満州です。このあたりの歴史には疎いのですが、満州事変が起きた年らしいです。
そこで物語の語り手となる技術者・南部は、関東軍の参謀・石原莞爾から、ある仕事を依頼されていました。それは北満州に存在するらしい大油田の調査でした。後年、この油田は発見されることになるのですが、それは実際の歴史では30年も先の話になります。

それがもし、第二次世界大戦前に日本によって発見されていたら・・・というのが、このシリーズで展開されてゆく架空の歴史です。

油田探索がメインということもあり、架空の新兵器が登場するわけではありませんが、世界恐慌後の各国のそれぞれの事情と思惑、作中でその後の実際の歴史を知っているかのように語る、上村尽瞑という不思議な存在。数々の戦いをくぐり抜けてきた秋津中尉と、陸軍大学出身のエリートで頑迷な各務大尉の意見の対立。などなど、さまざまな要素が組み合わされて、いっけん地味そうな内容を面白く読むことができました。

物語は、北満州の油田の開発が始まったところで終わりますが、この発見によってこれからの歴史がどう変わってゆくのか気になります。
中国なんて二度と行くかボケ!! ・・・・・・でもまた行きたいかも。 (幻冬舎文庫)さくら剛さんの「中国なんて二度と行くかボケ!……でもまた行きたいかも。」を読み終えました。

アフリカから始まった著者の旅も、いよいよこの中国で最後です。例によって、あふれるトイレ描写、襲いかかる腹痛、そして今回はそれに加えて、謎のねちょねちょ〜んとも著者は遭遇することになります。(^^;

今回凄いな〜と思ったのは、著者が香港を訪れた時、たった1人でディズニーランドに遊びに行ったことです。普通の人なら、もうそれだけで心が折れそうですが^^;、なんと著者はそれに加えてディズニーランドのキャラたちと2ショット写真を撮るというミッションまで自分に課すのでした。

正直、なにがここまで著者を駆り立てるのかはよくわかりませんが^^;、作中では著者は自分のことを軟弱だと言っていますが、ここまでやってしまう人が軟弱だとは思えません。アフリカからの長い旅が、ここまで著者を育てたのでしょうか。
それとも、ネタのためなら体を張ることも辞さない、著者の変態性ゆえのことなのでしょうか。(^^;

そして、ついに北京で著者の旅は終わりを迎えます。普通の本だと、本のラストで著者が中国を目指すことになった女性と再会することになりそうですが、この本では一切そういったことはありませんでした。(^^; そこがまたリアルというか、笑うしかないと言うか・・・。
宇宙を創る実験 (集英社新書)村山斉さん他12人による、ILCの必要性と、それを実現するために必要となる技術などが紹介されている本でした。

村山斉さんは既に他の本でも書かれている、望遠鏡で知ることのできない宇宙創世時の様子を調べる方法として、加速器が必要となることや、それによって何を知ることができるのか、コンパクトにわかりやすく解説されています。

その他の寄稿者は、ヒッグス粒子発見したCERN関係者からの寄稿や、日本に建造されることが予定されているILCと呼ばれる装置の利点と目的。そして、それを実現するために必要となる技術について紹介されています。

個人的に特に興味深かったのは、それぞれの専門家が一般向けに簡単に、ILCを実現するためにはどんな技術が必要になるのか、そしてそれを作る過程で生まれる技術は単に実験だけにとどまらず、これから多くの人たちに利益をもたらす可能性があることが紹介されています。

これまでに読んだ本では新しい加速器を使うと、こんなことがわかりますと説明されることはあっても、その詳細までは踏み込んでいませんでした。この本を読んだことで、それを実現するためには様々な技術的な課題をクリアすることが必要なのだと知ることができて、とても有意義でした。

この本が出版されたのが2014年末で、それから既に2年以上が経過していますが、ILCの建造計画がどうなっているのか、そして最先端の研究がどれほど進んだのか、もっと知りたくなりました。(^^)
必要十分生活~少ないモノで気分爽快に生きるコツ~お部屋掃除のモチベーションを保つために、隙間時間を使って断捨離系の本を読んでいます。この本も、その中の1冊です。

先に読んだ本との違いは、仕事、日常生活、情報、趣味嗜好という分類で、著者の実践している方法を紹介していることでした。仕事や日常生活の部分では、あまり参考になることがありませんでしたが、情報の取捨選択という点では考えさせられるところがありました。

毎日のように、こうやってブログを更新しつつ、RSSリーダーやニュースサイトなどの情報に目を通しています。しかし、その中のどれが不要かはあまり考えることがなかったので、この機会に情報の整理についても考え直してみようと思いました。またネット以外にも、テレビ番組の視聴について書かれているところが参考になりました。

個人的にはamazonプライム・ビデオを利用するようになり、見たい番組を録画して視聴するという方法は、無駄と手間が多いと思うようになりました。録画して視聴する場合、番組予約→CMをスキップしつつ視聴^^;という流れですが、プライム・ビデオだと予約不要でCMスキップの必要もありません。1日に1度、15秒程度のCMが視聴前に流れますが、この程度なら許容範囲内です。

amazonの他にも、Netflixやhuluなど、様々な配信サービスがありますし、配信会社がスポンサーとなって独自に制作している番組もあります。私は試したことがありませんが、スマホで視聴していた番組の続きを、自宅のPCで見ることもできるらしいです。こうなると好きな番組を見るのは、別にテレビでなくてもいいやと思えてきます。

話が本の内容から大幅に脱線しましたが^^;、この本の中ではこの情報編の内容が一番なるほどと思いました。
とはいえ、本の内容全体からみると、著者の考え方に共感できる部分は少なかったように思います。個々の内容はそれなりに興味深く読みましたが、現在の私の実情や価値観と一致しない部分が多かったからだと思います。
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -このところ部屋の本が増殖中なので、それを整理するモチベーションを得たくて、この本を手に取りました。(^^;

著者は出版社勤務の編集者で、かってはモノが満ちあふれた部屋で暮らしていました。それがミニマリストという考え方を知って、少しずつ部屋にあふれていたものを処分。そして今では、かなり少ない持ち物でも、満足して暮らしている方です。

本の中盤までは、モノを捨てるときの心理的な抵抗や捨て方についてのアドバイスが多かったので、自分もこのところ読まないけれど持っている本や、いつか読もうと思って積ん読してある本の一部を処分しようと思わせられました。

残念なのは、本の後半ではモノを手放すことによる幸福感や感謝の気持ちといった、なんとなく宗教っぽい雰囲気が漂いだしてしまったことです。現時点では、モノを減らそうとは思っても、著者ほど少ないモノで生活する気は全くないので^^;、モノを減らすという手段が目的になってしまっている違和感がありました。

でも、とりあえずこの本と出会ったことで、手近なところから少しずつでもモノを減らしていこうとは思えました。愛着のある作家さんの本とか、DVDでしか見られない作品を手放すことはできないかもしれませんが、なんとなく買ってしまった物を処分するきっかけにはなりそうです。(^^)
東南アジアなんて二度と行くかボケッ! (幻冬舎文庫)さくら剛さんの「東南アジアなんて二度と行くかボケッ!……でもまた行きたいかも。」を読み終えました。

中国を目指す旅も、インドを越えて東南アジアまで来ました。今回は冒頭からいきなり、著者が体を張ってました。(^^;
これまでの苦しい旅から一転、マレーシアのクアラルンプールにやって来た著者は、物が豊富で快適な生活を送ることになりました。そこで、だらけきった生活をしていた著者のお腹は、満月のようにまん丸くなってしまいました。

これではいけないと、著者はジャングルの奥地にあるタマンヌガラ国立公園まで出向きました。そこには著者を挑発するかのように、動物観察小屋に宿泊するプランが・・・。そこで著者は、何を血迷ったのか、その小屋に2泊することを決意してしまったのでした!!!

実際に現地まで行ってみると、そこは小屋とはいいながらも電気だけでなく、壁もないような場所でした!(^^;
夜になれば猛獣の声におびえ、蚊や虫の襲撃されて、案の定著者はさんざんな思いをすることになるのでした。翌日、小屋を出た著者は迎えのボートを頼むために、近くの村を目指します。でも、その途中で白人カップルと出会った著者は、無理矢理に洞窟探検に付き合わされることになってしまいました。

そんな苦労を乗り越えて、ようやく村まで到着したものの、既に夕暮れが迫っていて再びボートで動物観察小屋に逆戻りすることに・・・。結局、そこで著者は予定通り2泊することになったのでした。(^^;

過酷な宿泊体験を終えた著者は、いったんクアラルンプールに戻った後、タイへと向かいます。そこでなぜか、タイのムエタイ道場で修行することになったり、なぜか嵐のショーと間違えられて女子高生にモテモテになったり、宿で1日マンガを読み続ける堕落生活を送ったりした後、今度はカンボジアへと向かいます。

カンボジアでアンコールワット遺跡を見学していた著者は、そこで衝撃的な出会いを経験することになります。
この本の著者もかなり不幸体質だと思いますが^^;、なんとそれを上回る不幸体質の「野ぎくちゃん」と出会ったのです。

彼女は、みんなで食事に行けばなぜか彼女の頼んだものだけが品切れだったり、現地で買ったお土産をすぐになくしたり、夜行バスの後ろの席に座った人からゲロを浴びせかけられたりと、とにかくありとあらゆる不幸が野ぎくちゃんに集中して起きるのです。

著者自身の旅行記も、かなり笑えるものですが、野ぎくちゃんパワーはそれを越える笑いを提供してくれました。(^^;

というわけで、今回は著者もかなり体を張ってがんばっていましたが、一番インパクトがあったのは野ぎくちゃんでした!
著者の旅は中国へと続きますが、そこでも野ぎくちゃんが登場してくれないかな〜とちょっと期待してしまいます。
インドなんてもう絶対に行くかボケ! ……なんでまた行っちゃったんだろう。 (幻冬舎文庫)さくら剛さんの「インドなんてもう絶対に行くか!ボケ!……なんでまた行っちゃったんだろう。」を読み終えました。

前にインド旅行をした時に酷い目にあったのに、アフリカから陸路で中国を目指す旅の途中で、著者は再びインドを訪れることになってしまいました。

前作とは違い、今度はパキスタンの旅の途中から始まります。それも、引きこもり系のはずの著者が、なぜか氷河を見るために登山をしています。しかし、途中で筋肉痛になるわ、おまけに時期が早すぎて危険がいっぱいだわ、例によって著者の旅は悲惨なことだらけです。(^^;

そして著者は、再びインドへと踏み込みました。前の旅でインドでさんざんな目に遭ったので、今回はその経験を生かせるのかと思いきや、やっぱりどこまでいっても著者は著者でした。最初は前回とは違い、北インドではなく、産業が発達している南インドを目指すはずでしたが、途中のちょっとした手違いから、やけくそになった著者は自らデリーへと飛び込みます。

デリーも少しは変化しているかと思いきや、やっぱりデリーはデリーでした。(^^;
最初の約束以上の料金をぼったくろうとするリキシャ、そしてリキシャと連携している旅行業者やホテル、土産物ショップ。単にちょっとでかけるだけで、ののしり合いが始まり、それだけで精神的なエネルギーを削られそうです。

さらに著者は、ジャイプル、バラナシと著者の旅は続きます。そして、著者は最初の旅で遭遇したいんちき占い師とその客引きと再会することになりました。でも、著者は相手を覚えていても、毎日大勢の客をカモにしようとしている彼らは、運良く(?)著者の顔を覚えていません。そこで著者は、初めて会ったようなふりをして、2人をおちょくるのでした。(^^;

そして、さくら剛といえば忘れてはいけないのが下痢です。(^^;
今回はそれが少ないな〜と思ったら、超絶凄まじい下痢が著者を待っていました。おまけに下痢が治ったと思ったら、その後で屈辱的な癖になりそうな(?)惨事が著者を待っていました。

最後に仏陀が悟りを開いたとされるブッダガヤを巡って、ようやく著者の2度目のインドの旅は終わります。
前作もそうでしたが、こういう著者の体験を読んでいると、本当にインドには絶対に行きたくなくなりますね。(^^;
あらゆる手段で、旅行者からお金を手に入れようとする人々。そんな光景がインドから消えるのは、この国がもっと豊かになった時なんでしょうね。
キマイラ12 曼陀羅変 (朝日ノベルズ)夢枕獏さんのキマイラ・シリーズ第12巻、「キマイラ 12 曼陀羅変」を読み終えました。

パワーダウンが著しいキマイラ・シリーズですが、やはり新作が出ると気になるので読んでしまいます。(^^;

物語は、九十九三蔵と久鬼麗一が西城学園に入学したばかりの頃のお話です。この頃、既に久鬼麗一は自分の本当の父が玄造ではないこと、自分の母が心を病んで鎌倉で療養生活をしていること、後の大鳳吼となる弟がいることなどを知っていました。凄まじい美貌の持ち主でクールだけれど、唯一心を開いてみせるのは九十九三蔵だけ。でも、大鳳と初めて出会った時のような凄みはまだ感じられません。

この巻で2人以外にスポットが当たったのが、やがて空手部の主将になる阿久津でした。後の阿久津は、腹の据わった人物という印象ですが、この時は体は大きいけれど気の弱い少年で、中学時代には同級生から嫌がらせを受けたりもしていました。そんな阿久津が、西城学園に入学して空手部に入部したことで変わっていきます。

そんな中、西城学園には「もののかい」と呼ばれる謎の組織があるらしいことがわかってきます。その組織の思惑によって、柔道部や剣道部、相撲部は廃部となり、残ったのは空手部だけです。そんな空手部を支配するのが、3年で主将の黒堂、青柴とマネージャー的な役割の赤城と黄奈志、やがて阿久津が慕うようになる2年の白井と、五行思想を思わせるような登場人物たち。

久鬼麗一と九十九三蔵は、そんな空手部とは無関係の存在でした。ところが、夏休みに2人が箱根にある久鬼の別荘を訪れたことが原因で、同じく箱根で合宿を行っていた空手部の問題に関わることになってしまいました。

空手部の合宿は、普通では考えられない異常なものでした。単に練習が厳しいのではなく、わざとメンバーの中から脱落者を出して、"狩り"と称してそのメンバーを他の者が捕まえるのです。捕まった者がその後どうなったのか、阿久津たちには知らされません。そして、毎日この狩りが繰り返されるのです。

中学時代に阿久津をいじめていた竹村という少年は、粗暴な性格から最初は狩りを楽しむ側にまわります。しかし、状況のあまりの異常さに、阿久津を仲間に引き込んで、黒堂たちから空手部の支配権を奪い取ろうと目論みます。

しかし黒堂は、そんな竹村の目論見を遙かに超えた恐るべき存在でした。逃げ出した竹村は、久鬼の別荘の存在を知ってやって来ます。また、空手部の異常な状況を知った九十九は独自に合宿先を調べようとします。

そして自分の強さに自信を持ち始めた阿久津は、真相を知るために行動を開始しました。しかし、事態は阿久津の想像を超えたものでした。事件の背後にいるのは、どうやら吸血鬼の一団のようです。真相に触れた阿久津は、彼らの仲間に加えられそうになりますが、駆けつけた白井に救われました。

しかし、逃げようとする彼ら2人の前には、黒堂が立ちふさがります。白井が黒堂に痛めつけられる中、黄奈志に招かれた久鬼と竹村、安室由魅が合宿所に到着します。そして九十九もまた、そこに姿を現しました。九十九は黒堂と戦う気満々ですが、なんとその激闘は12巻では描かれませんでした。(;_;)

というわけで、今回はどこまで物語が進むのかと思いきや、いきなり時間をさかのぼって、久鬼麗一と九十九三蔵の過去が描かれました。2人の過去はそれなりに興味はありますが、外伝的な内容だったことにがっかりしました。
現在も継続的に作品は書き続けられているようですが、シリーズの迷走ぶりに悲しくなりました。
人生の段階 (新潮クレスト・ブックス)新潮クレストの新刊、ジュリアン・バーンズの「人生の階段」を読み終えました。

この本は、まず表紙の真っ赤な気球が目にとまりました。カバーの紹介を読むと、愛する奥さんを亡くした作家の回想録らしいです。

ところが、第1部の「高さの罪」を読み始めると、そこで描かれているのは気球の歴史と気球から撮影された神瞰図のような写真についてでした。不思議に思いながら読み進めると、第2部の「地表で」は、第1部に登場した軍人バーナビーと女優ベルナールの恋物語が描かれます。第1部が歴史的な出来事を描いたものだったので、第2部も本当にあったことなのかと思ったら、こちらはバーンズの空想による小説だと「あとがき」を読んでようやく理解しました。

そして第3部「深さの喪失」で、バーンズの亡き妻への思いと、妻を失った後の様々な思索が語られていきます。
この3部を読んで、ようやく第1部と第2部とのつながりが見えてきました。妻と過ごした日々は、気球で天に昇っていたような幸福に包まれています。それがある日、妻の死という出来事により地上へと墜落してしまいます。

どのパートも、1つのまとまったストーリーというより、大きなストーリーの中から慎重に抜き取られたストーリーの断片で構成されている感じです。そのため人物の視点や時代、場所を自由に飛び回ります。読み始めた最初は、この構成に戸惑いましたが、読み進めるにつれて、こういった手法も面白いと思うようになりました。
さまよえる湖〈上〉 (岩波文庫)ヘディンの「さまよえる湖(上)」を読み終えました。

ヘディンの名前は、タクラマカン砂漠の探検記を子供の頃に読んで知りました。そこで紹介されていた、"さまよえる湖"という言葉がずっと印象に残っていました。それ以来ヘディンことはずっと忘れていたのですが、先日たまたま岩波文庫にヘディンの「さまよえる湖」が上下2分冊で刊行されていることを知り、読んでみたくなりました。

ヘディンは自ら提唱した「さまよえる湖説」を立証するために、中国奥地へと赴きました。この本では、その探検の様子が克明に記録されています。旅の準備から始まり、調査を進めつつヘディンたちは前進します。ヘディンの文章だけでも、読んでいて想像力をかき立てられますが、それ加えてこの本にはヘディンの描いた多くのスケッチや写真が収録されていて、自分もその場にいて一緒に探検しているような気分を味わえました。(^^)

探検の途中で、ヘディンたちは遺跡の発掘も行います。手厚く葬られた王女の亡骸を発掘したヘディンは、彼女がどんな生涯を送ったのか思いをはせたり、長き時を経て亡骸が星空に照らされる様子を描写したりします。冷静沈着に目的に向かいながらも、ロマンチストな一面も併せ持つヘディンの人柄の深さが感じられました。

上巻は、ヘディンたちが幻の湖ロプ・ノールへと続く水路を探す旅がメインでしたが、下巻ではどんな発見が待っているのか、続きを読むのが楽しみです。
青空文庫に収録されている、富田倫生さんの「パソコン創世記」を読み終えました。

この本では、トランジスタの誕生から始まり、メーカーが模索しながらのマイコン・キットの販売、さらに自分で組み立てて使うマシンから、あらかじめ完成されたパソコンとしての販売の歴史が語られています。この本の最大のポイントは、日本でのパソコン普及の歴史に絞り込んで、その歴史が記録されていることです。

最初はマニアのおもちゃとしか見なされなかったマイコンが、やがてビジネスの道具として認識されるようになっていく過程が、とても興味深くて面白かったです。IBM PC互換機という路線で拡大するアメリカに対して、日本では日本語処理の問題から、PC98という独自の進化を遂げたマシンが普及していきます。

そしてシステムの根幹も、BASICを基本としたものから、CP/MやMS-DOS、そしてMacintoshやWindowsといったGUI主体のシステムへと発展していく流れ。それにまつわる様々なエピソードが、本当に面白かったです。

私自身は、MS-DOSの時代から本格的にパソコンに触れるようになりましたが、その当時は何かトラブルがあってもネットで簡単に検索というわけにはいかなかったので、問題を解決するまでに本当に苦労しました。(^^;
でも、いろいろと苦労や失敗をしたおかげで、様々なことを学ぶことができました。そして、何日間も悩んだトラブルが、試行錯誤の結果きちんと動くようになった時は、本当にうれしかったです。

思えば、この試行錯誤してうまくいった時の喜びを知ったこと。それが、私がパソコンにのめり込むきっかけになったのだと思います。

本の感想から脱線してしまいましたが、この本を読んだことで自分の原点を再確認できた気がしました。(^^)
現場のプロが本気で教える HTML/CSSデザイン講義 (Design & IDEA)「現場のプロが本気で教える HTML/CSSデザイン講義」を実習してみました。

お仕事がらみでHTML&CSSに触れることがあるのですが、古いサイトの改修をしようとCSSファイルをのぞいたら、修正に合わせて場当たり的に対処してきたらしく、CSSが複雑怪奇な迷路のようになっていて頭を抱えました。(^^;

なんとかもう少し把握しやすくできないかと思っていた時、偶然この本と出会いました。そのおかげで、CSS設計について自分なりに整理することができました。

この本では、実際に手を動かしてHTMLやCSSを作成しながら、サイト設計の基本を学んでいきます。その過程で大きな役割を果たすのが、SassとGulpです。Sassは前に少しだけ触ったことがありましたが、Gulpは名前だけは知っていたものの、これまで触れる機会がありませんでした。

Gulpを起動しておけば、ファイルを修正すると同時に必要なファイルが作成されて、ブラウザがリロードされて修正内容が確認できるのは便利ですね!(^^)

Node.jsは、前にjavascriptのコード補完をemacsでしたくて、ternというツールを導入した時にインストールしていました。その後、javascriptを触る機会も減り、そのまま使わなくなっていました。(^^;

本の対象は、全くの初心者向けではなく、ある程度HTMLやCSSを理解している人です。実習では、従来のfloatを使ったレイアウトではなく、CSS3から導入されたFlex boxを使ってレイアウトを組み上げていきます。ブラウザの対応状況は大丈夫なのかと心配になりましたが、最近のPCやスマホに搭載されているブラウザなら、ほぼ問題なく利用することができるようですね。古いブラウザのサポートが不要なら、積極的に使ってみるのもいいかもしれませんね。

それほど難しい内容ではなかったので、1週間ほどで実習を完了しました。実習を終えての感想は、伝えようとしている内容はとてもいいのに、実習内容の記述に誤りが多いのが残念でした。
テキスト通りにサイトが表示されなかった時、自分の誤入力が原因でうまくいかないのか、本の記述が間違っているのか、それを確認するのに一番時間を取られました。

この部分で大きく損をしていますが、それでもこの本を読んだおかげで、作業を効率化する方法を以前よりも検討するようになりました。この本のメインはCSS設計の効率化でしたが、HTML作成の効率化のために、テンプレートエンジンのslimというツールを試してみたのは、思わぬ収穫でした。(^^)
インドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかも (アルファポリス文庫)さくら剛さんの「インドなんて二度と行くか!ボケ!!…でもまた行きたいかも」を読み終えました。

先に「アフリカなんて…」を読みましたが、その中でも言及されている最初のインド旅行のことが気になって、この本を読みました。

著者が同じなので当たり前ですが、ノリは「アフリカなんて…」と同じですね。でも「アフリカなんて…」と比べると、この本の方が文体に初々しさを感じました。(^^;

この本で描かれる、インドの真実(?)が凄まじいです。野良犬や野良猫でなく、当たり前のように野良牛がいたり^^;、旅行者と見るや、あの手この手で物を売りつけようとしたり、少しでも高く料金を請求しようとしたり・・・。
それに対して著者が怒りまくってしまうのに共感しつつ、あらゆる手段を使わなければ生き延びることさえ困難な、インドの貧困の現実が心に残りました。日本に暮らしている私たちは、なんと恵まれているのかと痛感しました。

それにしても、さんざんな思いをしたはずなのに、そのあと再びインドを訪れる著者も凄いですね。(^^;
Papa told me Cocohana Ver.5 ~いつも旅行中~ (マーガレットコミックス)榛野なな恵さんの「Papa told me Cocohana ver.5 〜いつも旅行中〜」を読み終えました。

2月末の発売日に購入したのに、気に入ったところを読み返しつつ読んでいたら、読み終えるまでに1ヶ月以上かかってました。(^^;
今回も11作の短編が収録されていました。その中では、「ポエティックライセンス」「サマーホームワーク」「フォギーデイ」「サンタステーション」の4作が特に心に残りました。

特に心ひかれたのが、1人で生きようと心に決めている女性を描いた「ポエティックライセンス」でした。職場の同僚たちが結婚相手探しに夢中な中、主人公の女性は誰にも邪魔されない、1人だけの生き方を選んでいます。しかし、周囲にはそれを理解できる人はいません。

ドールハウス用の小さな小さな本に書かれていた、アレキサンダー・ポープの詩に彼女は深く共感します。
その部分を引用すると・・・

 「夜はぐっすりとよく眠ろう
  優しく心地よく
  学びそしてくつろぎ
  さまざまな思いにひたる
  無邪気な時
  それが何よりの喜びだ」

 「こんな風にひとりで生きたいんだ
  誰の目にも触れず 誰に知られることも無く
  そして誰にも悲しまれること無く死にたい
  世界からこっそりと消え去りたい
  眠る場所を告げる石だって要りはしないさ」

 この詩の内容に、私も深く共感しました。ポープの他の詩も読んでみたいなあと思ったら、なんとポープの詩集は日本語訳された本が入手できない状況でした。(;_;)
 英語版なら、Kindle本として無料で手に入れることができますが、私の英語力ではおおざっぱな意味を把握するのが精一杯で、とても榛野さんが翻訳されたような素敵な言葉として味わうことはできませんでした。(涙)

「サマーホームワーク」は、いつの間にか父親と疎遠になってしまった女性が、自分から一歩父親の方に歩み寄ってみようと思うまでの物語です。誰かと分かり合おうとするなら、自分がまず相手を理解しようと思うことが第一歩だと気づかせてくれるお話でした。

「フォギーデー」は、若くして無名のまま亡くなった画家にまつわるファンタジックなお話です。貧しい画家の青年の元に、とある黒猫がやって来ます。その黒猫が語る、ちょっと悲しくて不思議なお話でした。

「サンタステーション」は、両親が離婚して今はすぐに再婚したお父さんの家族と一緒に暮らしている女子中学生の物語です。女の子はお母さんのことが大好きなのに、周囲はみんなお母さんの悪口を言います。そんな悲しみを抱えた女の子に、クリスマスにサンタからのちょっとしたプレゼントが。世界中のささやかな幸福を願う最後の余韻が、とても素敵なお話でした。(^^)
グラフィックデザイン基礎講座-プロの現場のノウハウが全て学べるデザインの基礎を復習するために、読んでみました。

大きく6つに分かれた構成で、Part1でデザインの要素、Part2でデザインの構造と効果、Part3で構成の演習、Part4で文字を使った演習、Part5で図形と配色、Part6で実習例の紹介がされています。

Part1とPart2は、デザインの基本の確認といった感じでした。Part3〜Part5の演習例が個人的にはとても参考になりました。仕事で何か作る時、情報のグループ化がマンネリになりがちだと感じていたので、この本で紹介された例を見て、こういう方法もあるのかと勉強になりました。

Part6の実習例は、パンフレットやラベル、雑誌や書籍の制作工程が紹介されていました。制作の工程は参考になりましたが、例として紹介されたほどのものは作成していないので^^;、今の私には今ひとつぴんときませんでした。

本の内容としては、既に知っていることも多かったですが、知っているのと実践できるのはまた別だなあと痛感しました。
第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)アゴタ・クリストフさんの「ふたりの証拠」の続編、「第三の嘘」を読み終えました。この3作目で、「悪童日記」から始まるシリーズが一応完結します。

前2作と同様、何が真実で何が偽りなのか、不安定に揺らめきながら物語は進みます。そして、最終的にすべての真相らしきものが明らかになります。・・・でも、この結末はちょっと不満かも。(^^;

ネタバレになるので作品の詳細には触れませんが、「ふたりの証拠」がリュカの物語なら、「第三の嘘」はクラウスの物語といえます。第1部と第2部の間に、ちょっとした仕掛けがあってその部分は面白かったのですが、最終的に明かされた真相が意外とありきたりで、ちょっと期待外れな感じでした。

この作品でも、現実と夢が交錯するような不思議な雰囲気は健在ですが、下手に種明かしをせず、どこまでも不思議な物語であって欲しかった気がしました。
ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)アゴタ・クリストフさんの「悪童日記」の続編、「ふたりの証拠」を読み終えました。

「悪童日記」のラストで、それまで常に一緒にいた"ぼくら"は、1人は小さな町に残り、もう1人は町を出て外の世界へと向かいました。前作では、登場人物の名前は不明でしたが、この作品では"ぼくら"の名前も明らかになります。

小さな町に残ったのは、リュカという少年です。1人になっても、リュカは祖母の家で今までと同様の暮らしを続けます。しかし、やがてそこにも変化が訪れます。実の父の子供をはらんでしまったヤスミーヌとの出会い。そして、ヤスミーヌの子供で障害のあるマティアスとの共同生活。しかしヤスミーヌは、やがてマティアスを残して、大きな町へと行ってしまいます。

そしてリュカは、小さな町にある図書館の司書クララとの出会います。彼女は発禁処分される本を密かに自宅に持ち帰り、読んでいます。クララにまとわりついたリュカは、やがてクララと関係を持つようになります。そしてクララの夫が、無実の罪で殺されたことを知ります。

前作でも"ぼくら"がノートや鉛筆を買いに出かけた本屋のヴィクトールは、リュカにお店を売って1冊の本を書き上げるために、故郷の姉と一緒に暮らし始めます。しかし、本を書くのに没頭できるはずのヴィクトールは、やがて破滅的な死を迎えることになります。

本屋に住むようになったリュカは、マティアスを学校へと通わせます。しかし学校では、マティアスは障害による醜さから、他の子供たちのいじめの対象となります。しかし、どんなに痛めつけられても、マティアスは学校に行くことをやめようとはしません。ところが、リュカの前に美しい少年が現れた時、リュカの心がその子に奪われたと思い込んだマティアスは自ら死を選びます。

そして、ここで唐突に物語の視点が変わります。小さな町から出て行ったもう1人の少年、クラウスが町に帰ってきたのです。しかし、クラウスが帰ってきた時、そこにリュカの姿はありませんでした。そればかりか、リュカが本当に実在したのか、本当はクラウスこそがリュカなのではないかという疑問が生まれます。

前作にも驚かされましたが、この作品にはさらに驚かされました。前作とは違い、この作品では、"ぼくら"に名前が与えられました。しかし、最後まで読み進むと、本当にリュカが存在したのか、リュカは実はクラウスの作り出した幻ではないかという疑問が生まれます。そして1人の人間が確かに実在するとはどういうことか、深く考えさせられました。
大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法気が散るものが多い中、どうやって生産性を高める方法を紹介した本です。

まず著者は仕事を、深い集中力を必要とするディープ・ワークと、注意力を必要としない補助的な仕事シャロー・ワークに分類しています。その上で、第1部では本当に生産的な仕事はディープ・ワークをしなければできないことを説明していきます。

第2部からは、その実践テクニックが紹介されます。個人的に興味深かったのは・・・

・ディープ・ワークに入る時間や場所を限定して、儀式化してリズムを作り出すこと。
・SNSは、それが本当に自分にとって有益なのか、貴重な時間を奪っていないか常に意識する。
・1日の予定をブロック単位でノートにまとめ、ディープ・ワークの時間を確保する。
・全ての活動の優先度を考慮する。
・ディープ・ワーク中の集中を乱されないために、連絡の取りにくい人になる。

・・・などでした。

この本を読んでいて気づいたのは、現在仕事で使っている自作ツールのほとんどが、あらかじめ予定を決めてプログラミングに取り組んでいた時期に作られたものだということでした。諸般の事情で、このところその時間が確保できていないのですが、新しいプログラミング言語に挑戦しては中途半端で学習を投げ出し、自分の生産性を向上させるツール作りができていないことに愕然としました。(^^;

この本を参考にしつつ、限られた自分の時間をもっと有意義に使えるように、改善していきたいと思いました。