日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


読み始めてから1年くらいかかりましたが^^;、ようやく「失われた時を求めて(4) 花咲く乙女たちのかげに II」を読み終えました。

前巻から2年後、"私"は祖母と一緒に、ノルマンディーの保養地バルベックに滞在することになりました。物語はその出発から帰還までの数ヶ月の一夏を、これでもかというくらいに詳細に描いています。(^^;
"私"がバルベックに到着するまでで、50ページくらいかかります。初めて自宅や母から離れて暮らす"私"の詳細な心理描写など、それだけでも十分な読み応えがありました。

ようやくバルベックに到着に到着したものの、"私"は初めてのホテル暮らしになかなか慣れません。その転機となったのは、祖母のヴィルパリジ公爵夫人との出会いでした。さらに夫人の甥のサン=ルー侯爵との出会いによって、"私"はあちこちと出歩くようになります。

しかし何より決定的なのは、サブタイトルにある「花咲く乙女たち」との出会いです。最初は"私"は、彼女たちの姿を遠くから見ることしかできません。何とか彼女たちとお近づきになろうとしますが、なかなか上手くゆきません。
そんな時、"私"は画家のエルスチールと知り合います。エルスチールは、"私"がバルベックの芸術で見落としているものを指摘してくれただけでなく、乙女たちとのつながりを作ってくれました。

こうして"私"は、ようやく乙女たちと知り合うことができました。最初は彼女たちの1人1人を把握できなかった"私"でしたが、やがてそれぞれの個性に魅了されます。中でもアルベルチーヌという娘が"私"の心を引きつけました。"私"はアルベルチーヌとさらにお近づきになろうとしますが、"私"の下心は娘たちに見抜かれているようで上手くゆきません。

そんな中、アルベルチーヌが早朝からパリに出かけるために、"私"の泊まっているホテルに宿泊することになりました。
アルベルチーヌは、かなり思わせぶりな言葉で"私"を誘惑します。しかし、その夜にアルベルチーヌの部屋を訪れた"私"は、あっけなくアルベルチーヌに肘鉄を食らわされてしまいます。(^^;

そんなアルベルチーヌの態度に、"私"はショックを受けますが、ジルベルトへの恋に破れた時のように荒れることもなく、その後も適度に距離を置きつつアルベルチーヌや他の乙女たちとの関係は続きます。

しかし、その時間も永遠に続くわけではありません。滞在を終えた乙女たちは次第にバルベックを離れ、ホテルに残る人たちの姿も少なくなります。そして"私"も、バルベックから帰還する日が来るのでした。

要約すれば、この巻は"私"がバルベックで過ごした一夏の物語です。しかし、それが詳細に650ページほどの分量で詳細に描かれます。風景の描写も多いですが、それ以上に緻密に描かれているのがバルベックに集まる様々な人々の言動や、"私"の心の動きです。

前巻と同じく、細かに章立てされているわけでなく、延々と物語が続いてゆくので、読むのを一区切りするタイミングが決めづらいです。結局、読み疲れたところで止めて、次に読んだ時に内容がつながらなかった時は少し前から読み返して記憶を繋いでゆく方法で読み切ることが出来ました。(^^)
火星の人アンディ・ウィアーさんの「火星の人」を読み終えました。

3回目の有人火星探査が行われていました。火星に無事到着したメンバーでしたが、強烈な砂嵐に襲われて火星からの退去を余儀なくされました。その過程で、折れたアンテナの直撃を受けたマーク・ワトニーは、砂嵐の中に消えました。船長はギリギリまで彼を探しましたが、他のメンバーを守るためにワトニーを残して火星から離脱しました。

すでに死んでいると考えられたワトニーでしたが、彼は奇跡的に生き延びていました。しかし通信機は破壊されており、彼は地球に連絡することさえできません。そんな絶望的な状況にもかかわらず、ワトニーは残された物資を利用して命を繋ぎます。さらにハブの中で、今後不足する食料を得るためにジャガイモを栽培し始めます。

やがて彼が生きていることは、火星の様子を衛星から観察していた地球も知りました。彼らはワトニーを救うために、追加物資を火星に送り届けるミッションをスタートさせます。その間に、パスファインダーから部品を手に入れたワトニーは、地球との交信手段を見つけ出しました。

ミッションを知ったワトニーは、さらに生存のための努力を続けます。しかし、突貫工事で作られたロケットの打ち上げに失敗。さらに脱出準備の作業のミスで、地球との交信手段も失われてしまいました。

たった1人で火星に残されたワトニーの奮闘。彼を救うために、あらゆる努力を惜しまない地球スタッフ。そしてワトニーを残して火星から離れた他のクルーたちの思い。それが上手く融合していて、物語の緊張感を維持しながらサクサク読めました。

最初ワトニーが残している記録の文章が、軽すぎる気がしましたが、最後はこういうメンタルの持ち主だからこそ絶望的な状況に耐えられたのだと納得できました。(^^)
ちょっとピンぼけ (文春文庫)ロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」を読み終えました。

報道写真家としての仕事にあぶれていたキャパは、ある日ヨーロッパで起きている戦争の写真を撮る仕事を得ました。彼が以前に撮った写真が評価されて、この仕事に抜擢されたのです。アメリカから、まずはロンドンに向かうキャパでしたが、ハンガリー系のユダヤ人である彼は、ビザの問題に振り回されることになります。

それをクリアして、キャパはいよいよ戦場に繰り出します。・・・がしかし、写真を撮っているより兵士たちと賭け事をしていたり、お酒ばかり飲んでいるような・・・。(^^;

おまけにロンドンで知り合ったピンキィという女性が気になって、戦いが続く中でロンドンに帰ったり、逆に彼女を記者として戦場まで出向かせようとしたり。その裏では、戦争という殺伐とした出来事が進行中です。でもキャパの文章を読んでいると、どこか牧歌的な雰囲気が感じられます。

そして戦いが終わり、キャパは愛する女性の元へと向かいます。しかし、彼の恋ははかなく敗れます。この本全体の中で、キャパとピンキィの恋に関するところは、なんだか恋愛小説を読んでいるような気分になりました。
詩のなぐさめ池澤夏樹さんの「詩のなぐさめ」を読み終えました。

読む順序が逆になってしまいましたが、「詩のきらめき」より前に発表された「詩のなぐさめ」を読みました。

「詩のきらめき」を読んだ時もそうでしたが、著者くらいの方でも詩はそっけなく、わかりにくいと思うことがあるのを知って、ちょっとだけ安心できました。(^^;

さらに驚いたのは、あの谷川俊太郎さんさえ「詩人のふりをしているが/私は詩人ではない」というフレーズのある詩を書かれていると知ったことです。詩は読む方だけでなく、書く方はさらにたいへんな思いをされていたんですね。

この本を通して詩の世界の入り口を垣間見ただけですが、この世界は本当に奥の深いものなんだなあと思いました。

今回読んでいて印象に残った詩は、髙野ムツオさんの以下の俳句でした。

 みちのくの今年の桜すべて供花
 犇(ひし)めきて花の声なり死者の声
 瓦礫より出でて青空の蠅となる

震災がらみで読まれたものらしいですが、これを読んだ時に絶望的な景色が目の前に広がった気がしました。

この本と「詩のきらめき」を読んだことで、自分の中で詩に対する敷居が少し下がった気がします。岩波文庫には、いろいろな詩集が刊行されていますので、その中から何か心にひっかかる詩集があったら読んでみたいと思いました。(^^)
キトラ・ボックス池澤夏樹さんの「キトラ・ボックス」を読み終えました。この作品は、「アトミック・ボックス」の姉妹編的なお話でした。

物語の中心は、新疆ウイグル自治区から日本に留学している可敦(カトゥン)と、「アトミック・ボックス」で宮本美汐に協力した元恋人の考古学・藤波三次郎です。この2人が協力して、キトラ古墳の埋葬者にまつわる謎を追います。

しかし可敦は、何やら隠された使命を持っているようです。彼女の兄は、ウイグルの独立を目指すグループの中心人物らしいのです。その動きを封じるために、北京から諜報員が派遣されて可敦を狙います。

可敦の危機を知った藤波と、「アトミック・ボックス」で政府を相手に戦った美汐は、そんな可敦に協力して彼女の逃亡を手助けします。しかし、彼らの手をすり抜けるように、再び可敦に危機が迫ります。

危機を乗り越えながら、可敦と藤波は研究中の発掘品から、キトラ古墳の埋葬者を解き明かす鍵を得ます。そして最後に、可敦の隠された使命も明かされます。

また物語本編と平行して、藤波たちが調査している埋葬者の過去も描かれました。そのおかげで、読者は「キトラ・ボックス」の答えを早くから知ることが出来ます。

「アトミック・ボックス」とのつながりはありますが、単独でも楽しめる作品でした。でも内容的な満足度は、「アトミック・ボックス」の方が大きかったです。過去が直接描かれたことで、謎の答えが読者には早くからわかってしまったこと。また新疆ウイグル自治区の問題を取り上げながらも、問題への切り込みの鋭さが欠けている気がしました。
巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)シルヴァン・ヌーヴェルさんの「巨神計画(下)」を読み終えました。

偶発的に起きた事故で、ロボットの存在が世界中に知られ、開発の中心人物も事故に巻き込まれて亡くなりました。
各国の非難が集中する中、ロボットは人の手の届かない深海へと沈められることになりました。

しかし、その一方ですぐにロボットの引き上げ計画が始まり、密かに引き上げられたロボットは各国の共同出資による事業体に管理されています。

そしてロボットを作った、地球外知的生命の存在もおぼろげに見えてきます。彼らが地球に新たなロボットを差し向けそうなことも示唆されつつ、新たに計画の中心となった遺伝子女学者の暴走。そして彼女の手からの、ロボットのパイロットの奪還。

さまざまな伏線らしきものが各所に散りばめられて、物語はここからというところで唐突に終了。なんで!?と思ったら、この作品は1作で完結するのではなく、3部作として構想されていたのでした。

いちおう、物語のラストで驚くべき展開はありましたが、何も解決しないしロボットもろくに活躍しない展開には、かなりがっかりしました。続編の「巨神覚醒」が発売されていますが、盛大に肩すかしを食わされた気分なので、なんとなく続きを読む意欲が沸きません。(^^;
カデナ池澤夏樹さんの「カデナ」を読み終えました。

タイトルからもわかるように、沖縄の嘉手納基地が絡んだ物語です。とはいえ現代が舞台ではなく、ベトナム戦争末期の時代の物語です。物語の語り手となるのは、アメリカ人の父とフィリピン人の母を持つフリーダ=ジェイン、沖縄生まれでサイパンで暮らし終戦と共に帰国した嘉手苅朝栄、沖縄のロックバンドでドラマーをしているタカ。この3人の視点から、物語が語られていきます。

フリーダは准将つきの秘書官をしていていますが、ある日ベトナムにB-52で空爆を行っているパトリックという機長と知り合います。パトリックは精神的なストレスが原因で、性的に不能になっていますが、フリーダと付き合うことになりました。

それはフリーダの母から依頼された、米軍の空爆予定地を知らせるという任務の隠れ蓑として最適でしたが、やがてフリーダは1人の人間としてパトリックを愛するようになっていきます。パトリックは空爆することで、大勢の人を殺している罪の意識に悩まされていました。そんな人間らしさが、2人を結びつけたのです。

サイパンから帰国した朝栄は、しばらくは運送業で利益を上げました。やがて幸子という妻を得て、妻が商売として始めた食堂が軌道に乗り、今では半分以上は趣味で模型と無線のお店を経営しています。ある日、朝栄はサイパン時代に知り合った安南さんという男と再会しました。彼はベトナムの間諜をしていました。無線装置を持っていた朝栄は、そんな安南に協力するのでした。

フリーダと朝栄を結ぶのが、ドラマーのタカでした。フリーダの家の草花の世話をするついでに、タカはフリーダから受け取った情報を朝栄に渡しました。それを朝栄が、あらかじめ決められた暗号でベトナムへと通信していました。

さらにタカは、姉の関わっていた反戦活動から、沖縄の米軍から逃げ出す兵士の援助もすることになりました。素人ばかりの集まりでしたが、計画は何とか成功して彼らは脱走兵をスウェーデンに逃がすことに成功したのでした。しかし、こちらは本土の協力者に逮捕者が出たことで、なんとなく下火になりました。

そして米軍の北爆も下火になり、やがて爆撃そのものが中止されました。しかしその前に、離陸に失敗したB-52に搭乗していたパトリックが命を落としました。彼のB-52は、離陸直前に異常が発生しました。そのまま滑走路を進むと、機は核兵器が保管されている場所に激突する危険がありました。そこでパトリックは、無茶を承知で進路を変えていたのです。

そしてベトナム戦争は終わりました。情報漏洩に関わったフリーダ、朝栄、タカ、安南は奇跡的に誰も捕まることはありませんでした。その後フリーダは、タカと結婚しますが、子供を生まれるのを機会に母のいるフィリピンに帰国することにしました。しかし、タカはそれを受け入れず、2人は別れて生きることになりました。

物語全体は、本当に淡々としていました。4人の協力関係が生まれるまでだけで、物語の1/3くらいが経過します。
殺伐な描写はありませんが、フリーダの過去から日本軍がかってそこで何をしたのか、朝栄さんからはサイパンの日本人が経験したこと、タカと脱走した米兵マークとの不思議な信頼関係など、様々な思いが読後に残りました。
アトミック・ボックス池澤夏樹さんの「アトミック・ボックス」を読み終えました。

社会学者の宮本美汐は、癌で亡くなった父からある重要な物を託されました。漁師になる以前に、父は「あさぼらけ」と呼ばれる計画に関わり、プログラマとして働いていたのです。しかし、その計画は突然アメリカからの要請で中止に追い込まれました。それ以来、父は工学とは無縁の漁師として生きてきたのです。

国の重要機密に関わった父は、公安の捜査官から常に行動を監視されていました。それは父が、プロジェクトを離れる時に"命を守る保険"としてデータの一部を持ち出していたからでした。それは国が密かに進めていた、国内での原爆作成計画でした。父から託されたデータを持って、美汐は警察から逃げ回ることになりました。

そんな彼女の力になってくれたのは、かって離島の老人の生活状況を調査した時に知り合った人々や、友人たちでした。そして漁師としての父を取材に訪れていた、大和タイムスの記者・竹西も事件の重大さを知って美汐に協力するのでした。

最終的に美汐は、プロジェクトの発案者である大物と対面することになりました。

逃げる美汐と、それを追う公安や警察、美汐の父・耕三の若き日と、さまざまな視点から物語が描かれます。美汐は警察に追われていますが、緊迫感の中にどこかほのぼのとした空気も感じられたのがよかったです。そして詳しい理由も知らされないまま、何年も耕三の監視を命じられた公安警察の行田のいらだちにも共感できるものがありました。
美汐の父・耕三の姿には、工学部出身の著者本人のイメージと重なりました。

この物語はフィクションですが、実際にあってもおかしくない現実感がありました。そして広島・長崎の被爆、3.11後の福島原発のメルトダウン。原子力が人間に制御できない危険性を無視して、進められる原発再稼働などなど、読後にさまざまなことを考えさせられました。
詩のきらめき池澤夏樹さんの「詩のきらめき」を読み終えました。この本の前に、「詩のなぐさめ」という本も刊行されていましたが、知らずにこちらを先に読んでしまいました。(^^;

この本では、古今東西のさまざまな詩について、著者が岩波書店の「図書」という雑誌に発表した文章がまとめられていました。この本を読んだことで、さまざまな詩があることを知ることができました。

本を読むのは好きですが、その中でちょっと苦手だなあと思っていたのが詩集でした。時にハッとする言葉に出会うこともありましたが、なんだかよくわからない^^;という気持ちの方が大きかったからです。

この本を読んでも、やっぱりよくわからない気持ちは残りましたが、今までの自分だったら絶対に目にしなかったような詩を知ることが出来たのは収穫でした。そして、この本を読んだことで、わからないものはわからないままでいいのではないかとも思うようになりました。

この本で紹介されていた詩の中では、山之口貘さんの詩が何となく心に残りました。その中でも爆笑したのは、「博学と無学」という詩でした。それを引用すると・・・

 あれを読んだか
 これを読んだかと
 さんざん無学にされてしまった挙句
 ぼくはその人にいった
 しかしヴァレリーさんでも
 ぼくのなんぞ
 読んでない筈だ

・・・もう笑うしかない感じです。(^^;
スイスのロビンソン 下 (岩波文庫 赤 762-2)「スイスのロビンソン(下)」を読み終えました。

無人島でのロビンソン一家の生活が続いています。下巻では、大蛇と戦ったり、ダチョウを生け捕ったり、イノシシやライオンとも戦い、どれくらいの大きさの島にいるのかわかりませんが、どれだけ豊富に動物がいるんだろう^^;と思ったりしました。

下巻で一番驚いたのは、物語が第10章になったら、いきなり10年が経過していたことです。幼かった子供たちも、その頃には立派な青年になっていました。そして、唐突に新たな遭難者の存在が明らかになります。ミス・ジェニーというイギリス娘が、ロビンソン一家の近くで暮らしていたのです。

長男のフリッツは、父から一人前扱いされて自分の判断で行動することを許されていました。そしてフリッツは、カヤックを使ってミス・ジェニーのところまで出向き、彼女を彼らのところに迎え入れたのです。

さらにロビンソン一家は、近くに船が来ていることを知りました。それは難破船の捜索のために派遣された、イギリスの船でした。その船は、船体が傷ついていました。ロビンソン一家はイギリス船の手助けをすると共に、船に乗っていた病気の機械技師に自分たちの住まいを療養先として提供しました。

そしてロビンソン一家から、長男のフリッツとミス・ジェニー、末っ子のフランツがイギリス船に乗ってヨーロッパへと帰国することになりました。お父さんとお母さん、エルンストとジャック、そして機械技師の家族が島に残ることになりました。

この島を快適な場所へと育て上げてきたお父さんとお母さんには、もう文明社会で暮らしたいという気持ちがなくなっていたのです。そしてロビンソン一家に、新たな未来が開けたところで物語は終了しました。

最後の方は展開が駆け足で、ちょっとあっけにとられましたが^^;、全体としては家族の協力で無人島生活を乗り越えてゆくところが面白かったです。・・・もっとも、これ以上ないくらい必要な物が手に入るサバイバル生活でしたけど。(^^;
刑事コロンボ 13の事件簿―黒衣のリハーサル (論創海外ミステリ)刑事コロンボ・シリーズを生み出した、ウィリアム・リンクが書いた「刑事コロンボ 13の事件簿」を読み終えました。

TVシリーズのコロンボは古き懐かしき作品ですが、この本で著者は現代を舞台にコロンボを活躍させています。コロンボが、携帯電話を持っていたのには驚きました。しかし、時代は現代になったものの、コロンボの捜査スタイルや語り口は昔と同じです。

タイトルにもあるように、この本にはコロンボの13の事件が収録されています。コロンボといえば、倒叙形式のミステリーの代表ですが、あえて著者は倒叙形式以外の方法でもコロンボを描いています。最初にそれを読んだ時は戸惑いましたが、形式が変わってもコロンボはやっぱりコロンボで安心しました。

どの作品も、登場人物の描写が上手いと思いました。コロンボと交わす言葉を通して、1人1人に存在感がありました。
収録された作品の中では、「黒衣のリハーサル」「暗殺者のレクイエム」「写真の告白」の3作が特に面白かったです。

その代わりに(?)、逮捕の決め手となる部分が弱い作品が多い気がしました。でも、コロンボと犯人とのやり取りが面白いので、個人的には謎解き的な部分はあまり気になりませんでしたが。

この本を読んだら、もう一度TV版の刑事コロンボを視聴してみたくなりました。(^^)
Papa told me Cocohana Ver.6 ~星へ続く階段~ (マーガレットコミックス)榛野なな恵さんの「Papa told me Cocohana Ver.6 ~星へ続く階段~」を読み終えました。

5巻を購入した時も、読み終えるまでに時間がかかりましたが、今回はなんと発売日に購入したのに、読み終えるのに半年近くかかってしまいました。(^^; 前向きに、7巻が発売される前に読み終えられてよかったと思おう。(笑)

今回は10作のお話と、連載30周年記念として巻末に榛野なな恵さんへのインタビューが収録されていました。ヤングユーコミック時代から読んでいる作品ですが、もうそんなに時間が経っていたんですね。しみじみ。

30周年記念ということで(?)、2017年4月のココハナに掲載された時は、ヤングユー時代の第1巻の単行本と同じ衣装で、知世ちゃんとお父さんを描かれたりしている遊び心もいいなあと思いました。でも単行本では、せっかくのカラーページがモノクロだったのが残念でした。多少価格が上がっても、その回だけはカラーで収録して欲しかったなあ。

そうそう。30周年に合わせるように、電子書籍としてヤングユー時代のものから最新版まで刊行されたようです。それはそれでいいなあと思いますが、個人的にはこのシリーズはずっと紙の本で読み続けたいですね。

今回収録されていたお話の中では、「アンバースデイ パーティー」「ディア ダッド」「ロング クルージング」「オールド ブック」「シルバー ベル」の5作が特に心に残りました。
福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)大倉崇裕さんの福家警部補シリーズ第2作、「福家警部補の再訪」を読み終えました。

今回は4つの事件を福家警部補が解決します。「マックス号事件」は、人気の客船で警備会社の社長が起こした事件です。
「失われた灯」は、大人気の脚本家が自作自演の誘拐事件を仕組み、不可能と思える状況で殺人を行います。「相棒」は、落ち目の漫才コンビの解消にまつわる事件。「プロジェクトブルー」は、フィギュアの世界を舞台にしたお話でした。

前作と同じく、1つ1つのお話はけっこう面白かったです。ただやはり、前作と同じく主人公の福家警部補に対する違和感が消えませんでした。1作目を読んだ時は、それがなぜか分かりませんでしたが、2作目まで読んで福家警部補に、あまりにも現実感がないからだと気づきました。

毎回のように警察バッヂをなくすのはご愛敬ですが、犯人や関係者から情報を集める時の話しぶりに、特に嘘くささを感じました。福家警部補が、女性でなければいけない必然性も感じられないのも残念ポイントですね。男性捜査員が気づかない、女性ゆえに視点をもっと活用してもいい気がしました。

このシリーズ、第5作まで刊行されているようですが、この続きはどうしようかなあ。(^^;
終わりと始まり 2.0
終わりと始まり 2.0池澤夏樹さんの「終わりと始まり2.0」を読み終えました。

2013年4月から2017年12月まで、月1回朝日新聞に掲載されたコラムをまとめた本です。この本を読んだことで、2011年からの日本が、本当にたいへんな状況だったことに改めて気づかされました。

安全だと言われた原発事故後も、誰も責任を取らない国や電力会社に怒りを感じます。そればかりか、過去に学ばず原発再稼働の強行。安全性よりも、国の体面や電力会社の利益の方が優先されました。

そして日米関係では、いまだに戦後が続いています。沖縄の米軍基地問題では、「本土に住む皆さんも第2の加害者」という発言に、返す言葉もありません。驚いたのは、米軍側から沖縄外の場所の提案があったのに、日本政府がそれを潰したことです。政府はこの問題を、あくまでも沖縄の中だけにとどめておきたいようです。

世界に目を向ければ、難民問題が痛ましいです。本書で指摘されて気づきましたが、「あなたは何としてでも国を出なければならない事態を想像できるか!?」という問いかけの重さです。いろいろと不満や不安はあっても、今の日本で「国を出なければ危険」とまで思うことはまずありません。しかし難民となった人たちは、そう判断して国を出たのです。

その他にもいろいろと心に刺さる内容が多かったですが、その中でも上記の3つ、原発問題、沖縄米軍基地問題、難民問題が読後に重く残りました。
福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)大倉崇裕さんの「福家警部補の挨拶」を読み終えました。

ミステリー作品としては珍しく、この作品では最初に犯人が事件を実行するところから始まります。読者は犯人をわかった上で、それを主人公の福家警部補がどう立証するのかを楽しむ作品でした。
この手の作品だと、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などが有名ですね。

この本には、4つの作品が収録されています。「最後の1冊」は、経営が苦しい図書館にまつわるお話。「オッカムの剃刀」は、復顔術のエキスパートと福家警部補が対決するお話。「愛情のシナリオ」は、女優の争いのお話。「月の雫」は、酒造会社が舞台のお話。

4作の中では、犯人が福家警部補と対等に戦える存在だったこと、そして犯人の偽装の周到さに驚いた、「オッカムの剃刀」が一番面白かったです。

ただ、物語自体は面白いのですが、福家警部補のキャラ設定に違和感があり続けました。就職活動中の女学生にも見える福家警部補に現実感が薄くて、せっかく緻密に作り上げられた物語の世界観を壊しているような気がしました。
シリーズの続編も出ているようなので、それも読んでみようと思いますが、この違和感が消えるといいなあ。
巨神計画 上 〈巨神計画〉シリーズ (創元SF文庫)シルヴァン・ヌーヴェルさんの「巨神計画(上)」を読み終えました。

アメリカの片田舎で、6000年前に作られたらしい巨大ロボットの手が発見されました。発見者の少女ローズは、成長して物理学者となった時、再びこのロボットと関わることになりました。

上巻では、世界各地に隠されたロボットのパーツが集められていく経過が、インタビューアーと呼ばれる謎の人物と登場人物の対話という形で描かれました。ロボットの存在も謎ですが、大統領補佐官とも対等に話し合えるインタビューアーの正体も気になりました。

パーツを集めるのと平行して、ロボットの素材などの調査、操縦者の訓練、操作方法の調査なども行われています。またロボットのパーツが世界各地にあることから、アメリカとロシア、中国との政治的な問題も発生しています。

そしてパーツが全てそろい、操縦の目処も立ってきたところで大きな事故が起きます。そして事故に伴い、これまで世間には公表されていなかったロボットの存在が明らかになってしまいました。

それを踏まえて、下巻ではどんな物語が展開していくことになるのか気になります。
十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)綾辻行人さんの「十角館の殺人(新装改訂版)」を読み終えました。

館シリーズの始まりとなる「十角館の殺人」を再読しました。この作品は、改定前に何度か読み返しています。犯人もトリックも覚えていますが、それでも十分に面白い作品ですね。

九州の孤島・角島にある十角館。それは天才的な建築家・中村青司が作った屋敷です。半年前に、青司はその島で妻や使用人と共に焼死しています。その事件の真相は、いまだに明らかになっていません。
そんな島に、大学のミステリー研究会のメンバーがやって来ました。外部と連絡を絶たれたその島で、彼らは1人ずつ殺されていきます。

今回改訂版を読んで、あれ!?と思いました。物語を覚えていたせいなのか、学生たちが互いをニックネームで呼び合っていたことから生まれる驚きが、以前のように感じられなかったのです。これは私が物語の内容を覚えていたせいなのか、それとも改訂による変更が原因なのか、旧版を読んで確かめたくなりました。(^^;
わたしたちの英語 ―地球市民のコミュニケーション力 ―地球市民のコミュニケーション力というサブタイトルに惹かれて読んでみました。

前半の「世界共通語としての英語」の話が面白かったです。多くの国で多くの人が理解できる言葉が英語という話から始まり、しかしそれが英米を中心の英語ではなく、非ネイティブな人たちの英語が世界共通語になりつつあることを知ったのは、とても有益でした。

中盤以降は、日本語や日本人のコミュニケーションが中心で、今ひとつ面白さに欠けました。しかし、誰にでもわかりやすい「やさしい日本語」を意識して話すという考え方には共感できました。日本人だけで見ても、各自の言葉の理解力には差があります。外国人にもわかりやすい日本語=誰でも理解しやすい日本語を使うことは、多くの人にメリットがあることだと思いました。

後半で一番違和感があったのは、社会と世間という話題でした。日本には仲間内としての世間と、それ以外の世界という社会があるという点には納得しますが、世界のどんな人たちでも大なり小なり、同胞の安否や安全、活躍を優先的に知りたい気持ちはあるのではないでしょうか!?

最後に、せっかく英米を中心とする英語とは違う世界共通語としての英語に着目されたのですから、これをもっと深く掘り下げて欲しかったです。
冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)ビブリオバトル部シリーズを読んだ影響で、「冷たい方程式」を読みました。

この本は、以前に早川文庫で発売されていた「冷たい方程式」とは、収録作品が異なるそうです。
収録作品は「冷たい方程式」の他は、「徘徊許可証」「ランデブー」「ふるさと遠く」「信念」「みにくい妹」「オッディとイド」「危険!幼児逃亡中」「ハウ=2」です。

この手のアンソロジーだと、普通は何作かは好みじゃなかったり、外れがあったりしますが、この本はそれぞれに面白さがあって楽しかったです。中でも「徘徊許可証」は、しばらく地球との交流が途絶えていた植民惑星のドタバタを描いたお話で面白かったです。

でも一番良かったのは、やはり表題作の「冷たい方程式」でした。有名な作品なので、ストーリーの流れは前から知っているのに、実際に読んでみると読み終えた後に心に残るものがありました。
ラストの一文、「わたしは死ぬようなことはしていないわ——死ぬようなことはなんにも——」が忘れられません。
はじめてのGTD ストレスフリーの整理術GTDのやり方を紹介した「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」を読み終えました。

このところ公私ともに用事が増えて、なにかいい管理法がないかなあと思っていた時に、この本と出会いました。
GTDでは、まず最初に気になっていること、やらなければならないことを収集します。この時に収集対象の制限はせず、仕事のこともプライベートなのことも、すべて1カ所に集めます。自分自身では、必要なことの分類をしているつもりでも、頭の中ではそれは1つのこととして扱われているからだそうです。

こうして集めた全てのことを、次のステップで順番に処理していきます。その1つが2分以内で出来ることなら、その場で処理してしまいます。すぐに出来ないことは、「いつかやる/やるべきことリスト」に入れたり、保管する必要があるものは資料としてまとめます。必要でないことは、ゴミ箱に捨ててしまいます。

そしてやるべきことを、次の具体的な1つの次の行動としてまとめます。やることの規模が大きい時は、それをプロジェクトにして、それを実現するために最初にやらなければならない行動は何かを明らかにします。漠然とした行動ではなく、誰かに電話をかける、お店で何かを買うなど、具体的な1つの行動に落とし込むことが必要です。

行動の内容によっては、自分で行うだけでなく、誰かに何かを依頼することもあります。依頼したことは、連絡待ちというリストを作って管理します。特定の日付、特定の場所で実行することは、それぞれ参照できるようにまとめます。

こうして行動を続けていき、1週間に1度はそれぞれのリストの内容を検討して、処理が済んでないこと、必要だと思ったけれど不要になったことなどを見直します。この流れが、GTDの1つの軸になります。

もう1つの軸は、長期的な視点です。一番上は、自分の人生の目的。2つめは、3〜5年先の構想。3つめは、1〜2年先の目標。4つめは、責任を負っていること。5つめは、現在のプロジェクト。6つめが、現在の行動です。

GTDで面白いと思ったのは、これを一番上の人生の目的から決めるのではなく、目の前の行動を1つ上のステップから眺めることで、下から積み上げるように一番上の目的を探っていくことでした。

いきなり人生の目的は何かと言われても、答えに困ってしまいますが、自分が今やっていることは将来のこういう目標のため。それを目標にしているのは、自分の人生をこんな風にしたいからと、現在の自分の行動から人生の意味に近づいていくことが出来るところでした。

この本は一読で終わることなく、何度も読み返していきたい本ですね。(^^)
悪徳学園平井和正さんの「悪徳学園」を読み終えました。

この本には、後に「狼の紋章」へと続く「悪徳学園」、SF作家が実名で登場するシュールな作品「星新一の内的宇宙(インナー・スペース)」、大事故に巻き込まれたはずの少女を描いた「転生」、未来の世界の戦いを描いた「エスパーお蘭」、人類滅亡寸前の世界を描いた「親殺し」の5作が収録されています。

荒削りな「悪徳学園」も面白かったですが、それ以上に面白かったのが「エスパーお蘭」でした。
「エスパーお蘭」には、著者のさまざまなアイディアが盛り込まれていました。8マンを思わせるサイボーグ捜査官が登場したり、幻魔大戦のドクター・タイガーを連想させる少年、人類から迫害されている超能力者集団。それぞれが面白すぎて、タイトルになっているエスパーお蘭の存在が霞んでしまうくらいでした。

長編メインになってからの著者の作品は、面白いけれど脱線や中止、方向転換が唐突すぎて、最初は面白かったのに尻すぼみになってゆく印象が強いですが^^;、短編だときちんと完結した上で今後の展開を想像する余地があるのがいいですね。

今回読んだのはamazonの電子書籍としてでした。Kindle Unlimitedに加入すれば、ウルフガイ・シリーズが読み放題なのはうれしいことです。(^^)
天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)ビブリオバトル部シリーズに登場したアンソロジー集、「天外消失」を読み終えました。

この本には14編の短編が収録されています。
エドガー・ライス・バロウズの「ジャングル探偵ターザン」、ブレッド・ハリデイの「死刑前夜」、ジョルジュ・シムノンの「殺し屋」、エリック・アンブラーの「エメラルド色の空」、フレドリック・ブラウンの「後ろを見るな」、クレイトン・ロースンの「天外消失」、アーサー・ウィリアムズの「この手で人を殺してから」、ジョン・D・マクドナルドの「懐郷病のビュイック」、イーヴリン・ウォーの「ラヴデイ氏の短い休暇」、C・B・ギルフォードの「探偵作家は天国に行ける」、フランク・R・ストックトンの「女か虎か」、アル・ジェイムズの「白いカーペットの上のごほうび」、ポール・アンダースンの「火星のダイヤモンド」、スティーヴン・バーの「最後で最高の密室」です。

今となっては古さを感じさせる作品が多いですが、「後ろを見るな」と「探偵作家は天国に行ける」、「女か虎か」の3作が面白かったです。この中では「女か虎か」は、以前に北村薫さんが紹介されていたので読んだことがありました。
「後ろを見るな」のオチは、古典的ではあるのですが、古典的だからこその面白さがあると思いました。「探偵作家は…」は読んでいる途中で、「天国から来たチャンピオン」という映画を思い出しました。

番外として「白いカーペットの上のごほうび」は、ブラックなコメディみたいな作品で笑えました。
君の知らない方程式 BISビブリオバトル部ビブリオバトル部シリーズ第4弾、「君の知らない方程式」を読み終えました。

今回はネタバレ全開の感想ですので、未読の方はご注意ください!(^^;

前巻のラストで、銀から思いがけない告白を受けた空。そして空と銀は、とりあえずお付き合いを始めました。
空はもちろん、銀も恋の告白は初めてで、2人の最初のデートはちょっとギクシャクした感じです。でも、2人の間には本を読むのが大好きという共通の趣味があります。

かなり前から空のことが気になっていた銀は、ビブリオバトルで空が紹介した本はすべて読んでいました。それを知った空は、今度は銀が好きなラノベが読みたいと返します。本が大好きな2人だけに、相手が読んでいる本を通して、さらに深く相手のことを知ることができるからです。

一方、空と銀が付き合いだしたことを知って、武人の心がざわつきます。これまで空への気持ちを無視してきましたが、それを自覚してきたのです。そんな中、空にとっては辛い事件が起きました。中学時代に彼女をいじめ抜いたくずどもが、空のバイト先のそば屋にやって来たのです。

彼らは露骨に空のことを嘲るだけでなく、わざと空を転ばせたりします。その行動に、銀は怒りました。しかし、相手は大柄で空のためでなかったら、銀は逃げ出したくなるような相手です。そんな中、さらに増長する相手に立ち向かったのは、武人でした。その時に武人は、空のことを自分の彼女だと宣言したのです!

武人と不良グループは、そのままケンカしそうな勢いでした。しかし、それを止めたのは空でした。空にも、いじめの相手への憎しみがありました。けれども、そいつは武人が本気で立ち向かう価値もない人間だと空は断言したのでした。

そしてそば屋の店長も、空の味方です。彼らの所属する学校、空から聞いた彼らの名前を知った店長は、今回の出来事を警察沙汰にして、決して穏便にすませる意志はないことをやつらに伝えたのでした。

こうして空のいじめ問題は、ひとまず決着しました。しかし、もう1つ大きな問題が残っています。武人が空を自分の彼女だと宣言したことで、空と銀、武人の三角関係が表面化したのです。この問題を、空はとても悩みます。しかし、いくら考えても、銀と武人どちらか1人を選ぶことは空には出来ません。

その一方、銀と武人はお互いに話し合って、次のビブリオバトルで空が選んだ本を紹介した方が空と付き合う約束をしました。負けた方は、ビブリオバトル部を去るという条件までついてます。

そしてBISが校内コスプレ大会ウィークに突入する中、ついにビブリオバトルが開始されました。その結果、勝利したのは銀でも武人でもなく、空でした。そして空が出した2人への結論は・・・さすがにネタバレすぎるので、本編をお読みください。(^^;

今回のビブリオバトルでは、部長はおかしなネーミングの商品を紹介した「それどんな商品だよ!」、銀は空をターゲットしたSFの「ウは宇宙ヤバイのウ!」、明日香は「ニセ医学に騙されないために」、武人はニューヨークに実在するモグラびとを扱ったノンフィクション「ティーナ16歳 トンネルの中の青春」、空は映画「レディー・プレイヤーワン」の原作「ゲームウォーズ」、ミーナは「ラノベ部」でした。
世界が終わる前に BISビブリオバトル部ビブリオバトル部シリーズ第3弾、「世界が終わる前に」を読み終えました。

今回は、空がミーナに頼まれて、銀と一緒にコミケに参加することになる短編「空の夏休み」と、表題作「世界が終わる前に」が収録されていました。

「空の夏休み」は、ビブリオバトルはないけれど、コミケの裏側を垣間見ることができたり、特撮ネタが満載で番外編ですが面白かったです。・・・小松左京さんの「さよならジュピター」、むかし小説は読みましたが小説はけっこう面白かったんですけどねえ。(^^;

「世界が終わる前に」は、前からお話の中で言及されていた真鶴高校のミステリー研とBISのビブリオバトル部のビブリオバトルが繰り広げられるお話です。前巻にちょっと顔出しした時から、ミステリー研の早乙女寿美歌は濃いキャラだなあと思っていましたが、今回はそれがさらにパワーアップした感じでした。

ミステリー研が相手ということで、今回はミステリー風味の作品が数多く紹介されていました。それだけでなく、物語の構成も、ちょっとしたミステリー仕立てになっていました。でも作者はミステリーに不慣れなようで、最初の方で仕掛けがわかっちゃいましたけど。(^^;

最初のBISとミステリー研のビブリオバトルでは、第1回目が武人が「戦前の少年犯罪」、流歌が乾くるみの「イシシエーション・ラブ」、銀が時雨沢恵一の「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトの女の子に首を絞められている」^^;、詩歌が詠坂雄二の「電氣人間の虞(でんきにんげんのおそれ)」でした。

そして第2回が、寿美歌がバークリーの「毒入りチョコレート事件」、ミステリー研の小熊が東野圭吾の「超・殺人事件」、空が新井素子の「ひとめあなたに…」、明日香が「本当は間違っている心理学の話」でした。

どの本も面白そうでしたが、私は明日香の紹介した「本当は間違っている心理学の話」が読んでみたくなりました。

さらに物語の後半では、ミステリー研が中心となって行われる図書館でのビブリオバトルに、空も参加することになりました。ここでは詩歌が高木敦史の「"菜々子"の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕」、小熊が辻真先の「仮題・中学殺人事件」、流歌が桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」、寿美歌が芦辺拓の「電送怪人」、そして空が静月遠火の「パララバ」でした。

この中だと桜庭さんの本は私は読んでいるので、それ以外で選ぶと空の紹介した「パララバ」が気になりました。

今回は番外編が収録されたこともあるのでしょうが、「世界が終わる前に」のビブリオバトルが少しあっさりした描かれ方だったのが残念でした。
幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部山本弘さんのビブリオバトル部シリーズ第2弾、「幽霊なんて怖くない」を読み終えました。

今回はビブリオバトル部の夏合宿と、図書館で行われる戦争をテーマにしたビブリオバトルのお話でした。

夏休み中に空たちビブリオバトル部のメンバーは、武人の家に集まっていました。大きな武人の家を利用して、部の夏合宿を行なっていたのです。最初は冗談のような話から始まった合宿話でしたが、家計が厳しい空は本格的な夏合宿に参加できる余裕がありません。そこで武人の家で合宿することになったのです。

夏合宿でのビブリオバトルのテーマは、怖い話でした。空は当然のように、SF本を紹介しました。ジョン・ウィンダムの「時間の種」に収録されている短編「強いものだけ生き残る」です。

ミーナは小野不由美さんの「魔性の子」、部長は「死ぬほど怖い噂100の真相」というコンビニ本、武人は「生活保護ー知られざる恐怖の現場ー」というノンフィクション、銀は「びっくりモンスター大図鑑」、明日香は「七時限目の怪談授業」です。

この中では、私は明日香が紹介した「七時限目の怪談授業」が読んでみたくなりました。

図書館のビブリオバトルでは、戦争をテーマにした本が取り上げられました。
これが今回のメインで、このバトルで空は筒井康隆さんの「馬の首風雲録」を取り上げました。

銀は宗田理さんのぼくらシリーズから、「ぼくらの太平洋戦争」。明日香は「戦場における人殺しの心理学」、部長は「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ」、武人は「戦争を取材する 子どもたちは何を体験したのか」、ミーナは「軍靴のバルツァー」というマンガでした。

この中では、私は部長が紹介した「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ」が気になりました。

今回は戦争がテーマだったこともあり、少し重めでした。でも、フィクションだからこそ伝えられることがある。どんな不謹慎な考えでも、それを抱くのは止めることはできない。この2つが深く心に残りました。
燃えつきた地図 (新潮文庫)安部公房さんの「燃えつきた地図」を読み終えました。

興信所の男が、半年前に失踪した夫の行方を捜して欲しいという依頼を担当することになりました。男はできる限り情報を集めて、調査に乗り出そうとします。しかしなぜか、妻から聞き出せる情報はわずかしかありません。妻は全ては弟に任せてあると言うばかりです。

調査員の男は、これは何かの偽装工作ではないのかと勘ぐりながらも調査を開始します。調査の過程で、妻の弟と出会ったり、夫が関わっていたわずかな手がかりが手に入ります。しかし、一番肝心なことを知る前に、手のひらからすり抜けるように事実を知ることが出来なくなってしまいます。

物語の構成は、いっけん推理小説のようですが、決定的に違うのは事件そのものの謎だけでなく、調査員の男の存在すらも最終的にはあやふやになってしまうことです。その結末もかなり不条理なのですが、読み終えた後に1人の人間の存在とは何なのだろうという疑問が深く心に残りました。
世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法久々に英語の勉強本を読みました。

この本では、以下の6つのステップを重視していました。

1. ブロークンでもいいから、とにかく話すこと。
2. 正しい発音を、まず頭で理解すること。
3. 英文を前から解釈しながら読むこと。
4. 音読とセットで、ひたすら聴くこと。
5. 結論と根拠を明確にして、ロジカルに書くこと。
6. 必ずフルセンテンスで話すこと。

これを踏まえた上で、個人的には3つのことが参考になりました。

1つ目は、「伝えたいこと」を明確にすること。
英語以外の言語で話す時でもそうですが、何を伝えたいかを語り手が明確に知らなければ、それを簡潔で的確に相手に伝えることはできません。逆に聞き手となる場合は、相手が何を伝えたいと思っているのかを聞き取ることが大切です。

2つ目は、英語を聞き取れるようになるには、話せることが大切だということ。
英語には、日本語にはない発音や独特の言葉のつながり(リエゾン)があり、自分が同じように発音できることが理解の助けになります。以前は英語の文章が読めればいいと思っていましたが、最近英語のスピーチも理解したいと思うようになったので、発音の重要性を再認識できました。

3つ目は、結論とその根拠を簡潔に伝えることが重要だということ。
これも英語に限りませんが、最初に結論を示して、それに続く形でその根拠を説明していくと、話の内容がとても理解しやすいと思いました。本書の中では、ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチがたびたび引用されていますが、それはこの原則に従ったスピーチだったからだと納得できました。
結論→根拠→再び結論、これは日本語で文章を書く時にも有効な手法ですね。
バビロニア・ウェーブ (創元SF文庫)堀晃さんの「バビロニア・ウェーブ」を読み終えました。

近未来、宇宙に進出した人類は、バビロニア・ウェーブと呼ばれる直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束の存在を知りました。それを利用することで、人類はほぼ無尽蔵にエネルギーを調達することが出来るようになりました。

バビロニア・ウェーブの活用により、地球のエネルギー問題は解決されたけれど、コロニー生まれの宇宙飛行士・マキタは地上での生活に馴染めません。彼の思いは、常に太陽系の外へ外へと広がっていきます。

そんなマキタは、ダムキナ基地へ向けて輸送船を航行していました。とはいえ、その宇宙船は独自の推進力を持たず、バビロニア・ウェーブから得られたエネルギーを使って、基地から基地へとほぼ全自動で航行することができます。

そんな船にマキタが乗り込んだのは、そこに積載されている積み荷が非常に重要な物だったからです。航海は順調に進んでいましたが、突然ダムキナ基地が機能を停止しました。このままだと、マキタの乗った輸送船はダムキナ基地に激突することになってしまいます。

本部からの指示で、マキタは輸送船から連絡艇で脱出することになりました。そんなマキタを追いかけて、バビロニア・ウェーブの発見者でもあるランドール教授がやって来ました。教授は輸送船に積まれていた、大切なユニットを回収するために自らやって来たのです。

ユニットを回収した教授は、マキタと共にとりあえずダムキナ基地を目指します。そこからさらに2人は、バビロニア・ウェーブの向こう側にある観測基地へと移動します。ダムキナ基地が停止したのは、その基地で行われた実験が原因だったのです。

そしてマキタは、全くの部外者でありながら、バビロニア・ウェーブに関する謎と関わることになっていきます。

かなり地味なハードSFでしたが、楽しく読むことができました。物語が進むと、基地という閉鎖空間を舞台にしたサスペンスな雰囲気も感じられました。読み終えて感じたのは、宇宙空間が舞台でありながら、物語の終盤までは閉塞感があったのが意外でした。宇宙は広いけれど、人間が生存可能なのは本当に限られた場所だけなんだなあと改めて思い知らされました。
BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 下 (創元SF文庫)山本弘さんの「BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女(下)」を読み終えました。

初めてのビブリオバトルは、残念ながら失敗に終わった空。しかし、そのおかげでビブリオバトルの本質をつかむことは出来ました。これがちゃんとクライマックスの伏線になっているのが上手いですね。

そして、双子沢高校・社会学研とのビブリオバトルの日が近づきました。そんな中、思いがけない事実が明らかになりました。対戦相手の部長と副部長がBIS学園を訪れた時に、ミーナを傷つけるような言葉を口にしていたのです。

緊急集会を開いたビブリオバトル部は、その問題について話し合いました。部長の聡たちが調べたところによると、双子沢高校の部長・蟹江は、イケメンで人当たりのよい裏側に、かなり偏った差別思想を持っていました。そんな相手と対戦することを、中止することも検討されました。しかしビブリオバトル部は、あえて彼らに挑戦することにしました。

ビブリオバトル部は、相手が不正な手段を執ることも考慮した上で、作戦を練りました。しかし、空はそんな雰囲気に違和感を持ちました。双子沢との対戦には、部長の聡、副部長の明日香、そして武人が出場する予定でした。しかし3人が選んだ本が硬すぎたことから、聡に代わって空が出場することになったのです。

空の目的は、相手に勝つことでも、屈服させることでもありませんでした。自分とは違った価値観を持つ武人に、自分が紹介した本を読んでみたいと思わせたかったのです。

上巻は面白いんだけど、細かな部分が気になる感じでした。しかし、下巻では細かなことなど吹き飛ぶ面白さでした。
バトルを経験した空の成長、そして武人の微妙な心境の変化など、物語としても面白かったですが、それ以上にそこで語られているテーマや紹介されていた本が気になりました。

特に心に残ったのは、根拠のない情報を真実だと思い込む怖さ。どんな反吐が出そうな思想でも、それを発表する自由は保障されなくてはいけない。そしてそんな思想に反論する自由もあること。そしてコードギアスのルルーシュのセリフを思わせる、「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」でした。
悪魔の見習い修道士―修道士カドフェルシリーズ〈8〉 (光文社文庫)修道士カドフェル・シリーズ第8作、「悪魔の見習い修道士」を読み終えました。

近在の荘園主の次男メリエットが、修道士になることを望んでやって来ました。彼はなぜか、一刻も早く正式な修道士になろうと焦っています。そこには何らかの事情があるとカドフェルは考えますが、メリエットは心を開こうとはしません。

そんなある日、ちょっとした事故でケガをした修道士を見たメリエットは、異常なほどうろたえました。さらに、その夜には何かにうなされたメリエットは、恐ろしいうなり声をあげました。そんなメリエットは、いつしか仲間内から"悪魔の見習い修道士"と呼ばれるようになったのでした。

彼が何らかの事件に巻き込まれていると気づいたカドフェルは、彼の家へと訪れて真相を知ろうとします。そしてカドフェルは、メリエットには周りが誇りに思うような兄がいること。その兄が近くの荘園の美しい娘と、近々結婚式を挙げることを知りました。カドフェルは、メリエットが実らぬ恋の痛みから逃れるために修道士になろうとしたのかと考えます。しかし、それではメリエットの異常なうなり声の説明がつきません。

そんな中、ヘンリー司教の使者としてメリエットの実家を訪れた男性が、その途中で行方不明になっていることがわかりました。ヒューは、さっそく使者の行方を捜しますが、なかなか使者を見つけ出すことができません。やがて使者は、思わぬ場所から、思わぬ形で発見されました。

なぜ、そんなところで使者が殺されたのか。そして使者の死とメリエットの間にどんな関わりがあったのか、カドフェルはそれを解き明かそうとします。

今回はちょっと珍しく、お話の中盤くらいまで殺された使者が発見されません。その分、メリエットの抱える複雑な状況と心情の謎が物語を引っ張ってゆく感じでした。最終的な結末はあっけない気がしましたが、全てが収まるべきところにおさまった感じでした。あ、でもメリエットがお世話になった、施療院の修道士マークとのその後がちょっと気になりますね。