日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


悪徳学園平井和正さんの「悪徳学園」を読み終えました。

この本には、後に「狼の紋章」へと続く「悪徳学園」、SF作家が実名で登場するシュールな作品「星新一の内的宇宙(インナー・スペース)」、大事故に巻き込まれたはずの少女を描いた「転生」、未来の世界の戦いを描いた「エスパーお蘭」、人類滅亡寸前の世界を描いた「親殺し」の5作が収録されています。

荒削りな「悪徳学園」も面白かったですが、それ以上に面白かったのが「エスパーお蘭」でした。
「エスパーお蘭」には、著者のさまざまなアイディアが盛り込まれていました。8マンを思わせるサイボーグ捜査官が登場したり、幻魔大戦のドクター・タイガーを連想させる少年、人類から迫害されている超能力者集団。それぞれが面白すぎて、タイトルになっているエスパーお蘭の存在が霞んでしまうくらいでした。

長編メインになってからの著者の作品は、面白いけれど脱線や中止、方向転換が唐突すぎて、最初は面白かったのに尻すぼみになってゆく印象が強いですが^^;、短編だときちんと完結した上で今後の展開を想像する余地があるのがいいですね。

今回読んだのはamazonの電子書籍としてでした。Kindle Unlimitedに加入すれば、ウルフガイ・シリーズが読み放題なのはうれしいことです。(^^)
天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)ビブリオバトル部シリーズに登場したアンソロジー集、「天外消失」を読み終えました。

この本には14編の短編が収録されています。
エドガー・ライス・バロウズの「ジャングル探偵ターザン」、ブレッド・ハリデイの「死刑前夜」、ジョルジュ・シムノンの「殺し屋」、エリック・アンブラーの「エメラルド色の空」、フレドリック・ブラウンの「後ろを見るな」、クレイトン・ロースンの「天外消失」、アーサー・ウィリアムズの「この手で人を殺してから」、ジョン・D・マクドナルドの「懐郷病のビュイック」、イーヴリン・ウォーの「ラヴデイ氏の短い休暇」、C・B・ギルフォードの「探偵作家は天国に行ける」、フランク・R・ストックトンの「女か虎か」、アル・ジェイムズの「白いカーペットの上のごほうび」、ポール・アンダースンの「火星のダイヤモンド」、スティーヴン・バーの「最後で最高の密室」です。

今となっては古さを感じさせる作品が多いですが、「後ろを見るな」と「探偵作家は天国に行ける」、「女か虎か」の3作が面白かったです。この中では「女か虎か」は、以前に北村薫さんが紹介されていたので読んだことがありました。
「後ろを見るな」のオチは、古典的ではあるのですが、古典的だからこその面白さがあると思いました。「探偵作家は…」は読んでいる途中で、「天国から来たチャンピオン」という映画を思い出しました。

番外として「白いカーペットの上のごほうび」は、ブラックなコメディみたいな作品で笑えました。
君の知らない方程式 BISビブリオバトル部ビブリオバトル部シリーズ第4弾、「君の知らない方程式」を読み終えました。

今回はネタバレ全開の感想ですので、未読の方はご注意ください!(^^;

前巻のラストで、銀から思いがけない告白を受けた空。そして空と銀は、とりあえずお付き合いを始めました。
空はもちろん、銀も恋の告白は初めてで、2人の最初のデートはちょっとギクシャクした感じです。でも、2人の間には本を読むのが大好きという共通の趣味があります。

かなり前から空のことが気になっていた銀は、ビブリオバトルで空が紹介した本はすべて読んでいました。それを知った空は、今度は銀が好きなラノベが読みたいと返します。本が大好きな2人だけに、相手が読んでいる本を通して、さらに深く相手のことを知ることができるからです。

一方、空と銀が付き合いだしたことを知って、武人の心がざわつきます。これまで空への気持ちを無視してきましたが、それを自覚してきたのです。そんな中、空にとっては辛い事件が起きました。中学時代に彼女をいじめ抜いたくずどもが、空のバイト先のそば屋にやって来たのです。

彼らは露骨に空のことを嘲るだけでなく、わざと空を転ばせたりします。その行動に、銀は怒りました。しかし、相手は大柄で空のためでなかったら、銀は逃げ出したくなるような相手です。そんな中、さらに増長する相手に立ち向かったのは、武人でした。その時に武人は、空のことを自分の彼女だと宣言したのです!

武人と不良グループは、そのままケンカしそうな勢いでした。しかし、それを止めたのは空でした。空にも、いじめの相手への憎しみがありました。けれども、そいつは武人が本気で立ち向かう価値もない人間だと空は断言したのでした。

そしてそば屋の店長も、空の味方です。彼らの所属する学校、空から聞いた彼らの名前を知った店長は、今回の出来事を警察沙汰にして、決して穏便にすませる意志はないことをやつらに伝えたのでした。

こうして空のいじめ問題は、ひとまず決着しました。しかし、もう1つ大きな問題が残っています。武人が空を自分の彼女だと宣言したことで、空と銀、武人の三角関係が表面化したのです。この問題を、空はとても悩みます。しかし、いくら考えても、銀と武人どちらか1人を選ぶことは空には出来ません。

その一方、銀と武人はお互いに話し合って、次のビブリオバトルで空が選んだ本を紹介した方が空と付き合う約束をしました。負けた方は、ビブリオバトル部を去るという条件までついてます。

そしてBISが校内コスプレ大会ウィークに突入する中、ついにビブリオバトルが開始されました。その結果、勝利したのは銀でも武人でもなく、空でした。そして空が出した2人への結論は・・・さすがにネタバレすぎるので、本編をお読みください。(^^;

今回のビブリオバトルでは、部長はおかしなネーミングの商品を紹介した「それどんな商品だよ!」、銀は空をターゲットしたSFの「ウは宇宙ヤバイのウ!」、明日香は「ニセ医学に騙されないために」、武人はニューヨークに実在するモグラびとを扱ったノンフィクション「ティーナ16歳 トンネルの中の青春」、空は映画「レディー・プレイヤーワン」の原作「ゲームウォーズ」、ミーナは「ラノベ部」でした。
世界が終わる前に BISビブリオバトル部ビブリオバトル部シリーズ第3弾、「世界が終わる前に」を読み終えました。

今回は、空がミーナに頼まれて、銀と一緒にコミケに参加することになる短編「空の夏休み」と、表題作「世界が終わる前に」が収録されていました。

「空の夏休み」は、ビブリオバトルはないけれど、コミケの裏側を垣間見ることができたり、特撮ネタが満載で番外編ですが面白かったです。・・・小松左京さんの「さよならジュピター」、むかし小説は読みましたが小説はけっこう面白かったんですけどねえ。(^^;

「世界が終わる前に」は、前からお話の中で言及されていた真鶴高校のミステリー研とBISのビブリオバトル部のビブリオバトルが繰り広げられるお話です。前巻にちょっと顔出しした時から、ミステリー研の早乙女寿美歌は濃いキャラだなあと思っていましたが、今回はそれがさらにパワーアップした感じでした。

ミステリー研が相手ということで、今回はミステリー風味の作品が数多く紹介されていました。それだけでなく、物語の構成も、ちょっとしたミステリー仕立てになっていました。でも作者はミステリーに不慣れなようで、最初の方で仕掛けがわかっちゃいましたけど。(^^;

最初のBISとミステリー研のビブリオバトルでは、第1回目が武人が「戦前の少年犯罪」、流歌が乾くるみの「イシシエーション・ラブ」、銀が時雨沢恵一の「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトの女の子に首を絞められている」^^;、詩歌が詠坂雄二の「電氣人間の虞(でんきにんげんのおそれ)」でした。

そして第2回が、寿美歌がバークリーの「毒入りチョコレート事件」、ミステリー研の小熊が東野圭吾の「超・殺人事件」、空が新井素子の「ひとめあなたに…」、明日香が「本当は間違っている心理学の話」でした。

どの本も面白そうでしたが、私は明日香の紹介した「本当は間違っている心理学の話」が読んでみたくなりました。

さらに物語の後半では、ミステリー研が中心となって行われる図書館でのビブリオバトルに、空も参加することになりました。ここでは詩歌が高木敦史の「"菜々子"の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕」、小熊が辻真先の「仮題・中学殺人事件」、流歌が桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」、寿美歌が芦辺拓の「電送怪人」、そして空が静月遠火の「パララバ」でした。

この中だと桜庭さんの本は私は読んでいるので、それ以外で選ぶと空の紹介した「パララバ」が気になりました。

今回は番外編が収録されたこともあるのでしょうが、「世界が終わる前に」のビブリオバトルが少しあっさりした描かれ方だったのが残念でした。
幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部山本弘さんのビブリオバトル部シリーズ第2弾、「幽霊なんて怖くない」を読み終えました。

今回はビブリオバトル部の夏合宿と、図書館で行われる戦争をテーマにしたビブリオバトルのお話でした。

夏休み中に空たちビブリオバトル部のメンバーは、武人の家に集まっていました。大きな武人の家を利用して、部の夏合宿を行なっていたのです。最初は冗談のような話から始まった合宿話でしたが、家計が厳しい空は本格的な夏合宿に参加できる余裕がありません。そこで武人の家で合宿することになったのです。

夏合宿でのビブリオバトルのテーマは、怖い話でした。空は当然のように、SF本を紹介しました。ジョン・ウィンダムの「時間の種」に収録されている短編「強いものだけ生き残る」です。

ミーナは小野不由美さんの「魔性の子」、部長は「死ぬほど怖い噂100の真相」というコンビニ本、武人は「生活保護ー知られざる恐怖の現場ー」というノンフィクション、銀は「びっくりモンスター大図鑑」、明日香は「七時限目の怪談授業」です。

この中では、私は明日香が紹介した「七時限目の怪談授業」が読んでみたくなりました。

図書館のビブリオバトルでは、戦争をテーマにした本が取り上げられました。
これが今回のメインで、このバトルで空は筒井康隆さんの「馬の首風雲録」を取り上げました。

銀は宗田理さんのぼくらシリーズから、「ぼくらの太平洋戦争」。明日香は「戦場における人殺しの心理学」、部長は「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ」、武人は「戦争を取材する 子どもたちは何を体験したのか」、ミーナは「軍靴のバルツァー」というマンガでした。

この中では、私は部長が紹介した「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ」が気になりました。

今回は戦争がテーマだったこともあり、少し重めでした。でも、フィクションだからこそ伝えられることがある。どんな不謹慎な考えでも、それを抱くのは止めることはできない。この2つが深く心に残りました。
燃えつきた地図 (新潮文庫)安部公房さんの「燃えつきた地図」を読み終えました。

興信所の男が、半年前に失踪した夫の行方を捜して欲しいという依頼を担当することになりました。男はできる限り情報を集めて、調査に乗り出そうとします。しかしなぜか、妻から聞き出せる情報はわずかしかありません。妻は全ては弟に任せてあると言うばかりです。

調査員の男は、これは何かの偽装工作ではないのかと勘ぐりながらも調査を開始します。調査の過程で、妻の弟と出会ったり、夫が関わっていたわずかな手がかりが手に入ります。しかし、一番肝心なことを知る前に、手のひらからすり抜けるように事実を知ることが出来なくなってしまいます。

物語の構成は、いっけん推理小説のようですが、決定的に違うのは事件そのものの謎だけでなく、調査員の男の存在すらも最終的にはあやふやになってしまうことです。その結末もかなり不条理なのですが、読み終えた後に1人の人間の存在とは何なのだろうという疑問が深く心に残りました。
世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法久々に英語の勉強本を読みました。

この本では、以下の6つのステップを重視していました。

1. ブロークンでもいいから、とにかく話すこと。
2. 正しい発音を、まず頭で理解すること。
3. 英文を前から解釈しながら読むこと。
4. 音読とセットで、ひたすら聴くこと。
5. 結論と根拠を明確にして、ロジカルに書くこと。
6. 必ずフルセンテンスで話すこと。

これを踏まえた上で、個人的には3つのことが参考になりました。

1つ目は、「伝えたいこと」を明確にすること。
英語以外の言語で話す時でもそうですが、何を伝えたいかを語り手が明確に知らなければ、それを簡潔で的確に相手に伝えることはできません。逆に聞き手となる場合は、相手が何を伝えたいと思っているのかを聞き取ることが大切です。

2つ目は、英語を聞き取れるようになるには、話せることが大切だということ。
英語には、日本語にはない発音や独特の言葉のつながり(リエゾン)があり、自分が同じように発音できることが理解の助けになります。以前は英語の文章が読めればいいと思っていましたが、最近英語のスピーチも理解したいと思うようになったので、発音の重要性を再認識できました。

3つ目は、結論とその根拠を簡潔に伝えることが重要だということ。
これも英語に限りませんが、最初に結論を示して、それに続く形でその根拠を説明していくと、話の内容がとても理解しやすいと思いました。本書の中では、ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチがたびたび引用されていますが、それはこの原則に従ったスピーチだったからだと納得できました。
結論→根拠→再び結論、これは日本語で文章を書く時にも有効な手法ですね。
バビロニア・ウェーブ (創元SF文庫)堀晃さんの「バビロニア・ウェーブ」を読み終えました。

近未来、宇宙に進出した人類は、バビロニア・ウェーブと呼ばれる直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束の存在を知りました。それを利用することで、人類はほぼ無尽蔵にエネルギーを調達することが出来るようになりました。

バビロニア・ウェーブの活用により、地球のエネルギー問題は解決されたけれど、コロニー生まれの宇宙飛行士・マキタは地上での生活に馴染めません。彼の思いは、常に太陽系の外へ外へと広がっていきます。

そんなマキタは、ダムキナ基地へ向けて輸送船を航行していました。とはいえ、その宇宙船は独自の推進力を持たず、バビロニア・ウェーブから得られたエネルギーを使って、基地から基地へとほぼ全自動で航行することができます。

そんな船にマキタが乗り込んだのは、そこに積載されている積み荷が非常に重要な物だったからです。航海は順調に進んでいましたが、突然ダムキナ基地が機能を停止しました。このままだと、マキタの乗った輸送船はダムキナ基地に激突することになってしまいます。

本部からの指示で、マキタは輸送船から連絡艇で脱出することになりました。そんなマキタを追いかけて、バビロニア・ウェーブの発見者でもあるランドール教授がやって来ました。教授は輸送船に積まれていた、大切なユニットを回収するために自らやって来たのです。

ユニットを回収した教授は、マキタと共にとりあえずダムキナ基地を目指します。そこからさらに2人は、バビロニア・ウェーブの向こう側にある観測基地へと移動します。ダムキナ基地が停止したのは、その基地で行われた実験が原因だったのです。

そしてマキタは、全くの部外者でありながら、バビロニア・ウェーブに関する謎と関わることになっていきます。

かなり地味なハードSFでしたが、楽しく読むことができました。物語が進むと、基地という閉鎖空間を舞台にしたサスペンスな雰囲気も感じられました。読み終えて感じたのは、宇宙空間が舞台でありながら、物語の終盤までは閉塞感があったのが意外でした。宇宙は広いけれど、人間が生存可能なのは本当に限られた場所だけなんだなあと改めて思い知らされました。
BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 下 (創元SF文庫)山本弘さんの「BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女(下)」を読み終えました。

初めてのビブリオバトルは、残念ながら失敗に終わった空。しかし、そのおかげでビブリオバトルの本質をつかむことは出来ました。これがちゃんとクライマックスの伏線になっているのが上手いですね。

そして、双子沢高校・社会学研とのビブリオバトルの日が近づきました。そんな中、思いがけない事実が明らかになりました。対戦相手の部長と副部長がBIS学園を訪れた時に、ミーナを傷つけるような言葉を口にしていたのです。

緊急集会を開いたビブリオバトル部は、その問題について話し合いました。部長の聡たちが調べたところによると、双子沢高校の部長・蟹江は、イケメンで人当たりのよい裏側に、かなり偏った差別思想を持っていました。そんな相手と対戦することを、中止することも検討されました。しかしビブリオバトル部は、あえて彼らに挑戦することにしました。

ビブリオバトル部は、相手が不正な手段を執ることも考慮した上で、作戦を練りました。しかし、空はそんな雰囲気に違和感を持ちました。双子沢との対戦には、部長の聡、副部長の明日香、そして武人が出場する予定でした。しかし3人が選んだ本が硬すぎたことから、聡に代わって空が出場することになったのです。

空の目的は、相手に勝つことでも、屈服させることでもありませんでした。自分とは違った価値観を持つ武人に、自分が紹介した本を読んでみたいと思わせたかったのです。

上巻は面白いんだけど、細かな部分が気になる感じでした。しかし、下巻では細かなことなど吹き飛ぶ面白さでした。
バトルを経験した空の成長、そして武人の微妙な心境の変化など、物語としても面白かったですが、それ以上にそこで語られているテーマや紹介されていた本が気になりました。

特に心に残ったのは、根拠のない情報を真実だと思い込む怖さ。どんな反吐が出そうな思想でも、それを発表する自由は保障されなくてはいけない。そしてそんな思想に反論する自由もあること。そしてコードギアスのルルーシュのセリフを思わせる、「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」でした。
悪魔の見習い修道士―修道士カドフェルシリーズ〈8〉 (光文社文庫)修道士カドフェル・シリーズ第8作、「悪魔の見習い修道士」を読み終えました。

近在の荘園主の次男メリエットが、修道士になることを望んでやって来ました。彼はなぜか、一刻も早く正式な修道士になろうと焦っています。そこには何らかの事情があるとカドフェルは考えますが、メリエットは心を開こうとはしません。

そんなある日、ちょっとした事故でケガをした修道士を見たメリエットは、異常なほどうろたえました。さらに、その夜には何かにうなされたメリエットは、恐ろしいうなり声をあげました。そんなメリエットは、いつしか仲間内から"悪魔の見習い修道士"と呼ばれるようになったのでした。

彼が何らかの事件に巻き込まれていると気づいたカドフェルは、彼の家へと訪れて真相を知ろうとします。そしてカドフェルは、メリエットには周りが誇りに思うような兄がいること。その兄が近くの荘園の美しい娘と、近々結婚式を挙げることを知りました。カドフェルは、メリエットが実らぬ恋の痛みから逃れるために修道士になろうとしたのかと考えます。しかし、それではメリエットの異常なうなり声の説明がつきません。

そんな中、ヘンリー司教の使者としてメリエットの実家を訪れた男性が、その途中で行方不明になっていることがわかりました。ヒューは、さっそく使者の行方を捜しますが、なかなか使者を見つけ出すことができません。やがて使者は、思わぬ場所から、思わぬ形で発見されました。

なぜ、そんなところで使者が殺されたのか。そして使者の死とメリエットの間にどんな関わりがあったのか、カドフェルはそれを解き明かそうとします。

今回はちょっと珍しく、お話の中盤くらいまで殺された使者が発見されません。その分、メリエットの抱える複雑な状況と心情の謎が物語を引っ張ってゆく感じでした。最終的な結末はあっけない気がしましたが、全てが収まるべきところにおさまった感じでした。あ、でもメリエットがお世話になった、施療院の修道士マークとのその後がちょっと気になりますね。
BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上 (創元SF文庫)山本弘さんの「BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女(上)」を読み終えました。

BIS学園に通う高校生・埋火武人は、ふとした偶然から同級生の伏木空が、かなりのSF好きだと知りました。普段は口数が少なく、目立たない存在の空ですが、ことSFのことになると話が止まらなくなってしまいます。

空がSF好きだと知るのが自分だけだと、武人が空と付き合っていると周囲から誤解される上に、常に空から武人の興味のないSFの話を聞かされることになってしまいます。

そこで武人は、空を自分が所属するビブリオバトル部へと勧誘しました。そこで空は、個性的なビブリオバトル部のメンバーが繰り広げる、自分の知らないジャンルの本についての戦いを知りました。ノンフィクション、科学、お笑いネタ、腐女子ネタ、不思議な生物。それぞれのお勧め本を、部員たちが熱く語りかけます。

その面白さを知った空は、こうしてビブリオバトル部へと入部しました。武人の計画はひとまず成功しましたが、武人も空もそれぞれに心の傷を抱えていました。さらに、ビブリオバトル部にイベントへの協力が他校からありましたが、こちらもなんだか裏がありそうです。

登場人物のキラキラネームにはちょっと引きましたが^^;、自分のお気に入りの本をみんなの前で紹介して戦う、ビブリオバトルの様子は面白いと思いました。
幻詩狩り (創元SF文庫)川又千秋さんの「幻詩狩り」を読み終えました。

川又さんの作品は、架空戦記ものは何冊も読みましたが、それ以外の作品は読んだことがありませんでした。amazonのKindleストアをのぞいていたら、たまたま川又さんの「幻詩狩り」を見つけたので、この機会にと読んでみました。

物語は、幻詩と呼ばれる文章を取り締まるための取締官の活動の様子から始まります。そして、なぜ幻詩が生まれたのか、その歴史が語られていきます。その過程で、シュールレアリスムに関わる人たちが次々と登場します。その提唱者であるアントレ・ブルトンが、フー・メイと名乗る謎の少年と出会ったことから全てが始まっていたのでした。

フー・メイが書いた詩には、不思議な力がありました。それを読んだ人間が、覚醒剤を使ったかのように現実から遊離されたような感覚を味わったのです。そして彼の最後の作品である「時の黄金」を読んだ者は、仮死状態のような状況に陥り、そのまま命を落としてしまうのです。

その詩の危険性が知られるようになったのは、日本の零細出版社である麒麟社がとある偶然からブレトンの遺品を手に入れたことからでした。その詩を翻訳する中で、それに関わった多くの人たちが呪術的な詩の力に取り憑かれて命を落としました。それがやがて、幻詩を専門に取り扱う取締官の誕生へとつながるのでした。

この本を読んでいて、言葉の持つ力について考えさせられました。SF作品では、つい海外の作家に目を向けてしまうことが多いのですが、国内の作家の作品にもあらためて目を向けようと思わせてくれた作品でした。(^^)
手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法憧れは感じるけれど、ちっとも実践できない^^;ミニマリスト生活の参考になればと思って読みました。

この本で一番驚いたのは、著者が一日に一度しか食事をしないことでした!
食事の準備をする手間、食後の片付けの手間を考えると、これなら確かに手間を減らせそうとは思いますが、おいしい物を食べるのが好きな私には、かなりハードルが高そうです。(^^;

でも一点豪華主義で、お金をかけるべきところと、そうでないところを切り分けるのは実践したいと思いました。
著者の場合は、スマホやデジカメ、パソコン、モバイル通信環境にはお金をかけていますが、それ以外は定番の物を必要最低限だけ持つというスタイルでした。

私はコンピュータは好きだし、仕事にもなっているので、これは削れないですが、大量にためこんだ本やCD、DVDを何とかしたいなあと思いつつ、いざ処分しようとするともったいない気がして^^;、処分できなくなっちゃう感じです。

自分の中でルール作りが出来てないせいだと思うので、自分が本当に欲しいもの、手元に常に置いておきたいものをしっかり考えようと思います。(^^;
清水亮さんの「最速の仕事術はプログラマーが知っている」を読み終えました。

プログラマー的な視点から、仕事の方法の見直し方を紹介している本でした。前半はそれなりに参考になりましたし、すでに自分が実行していることもありましたが、後半の組織管理やビジネス設計の部分にはあまり面白さを感じませんでした。

その中で特に気になったトピックは、タイピングの見直しでした。ローマ字入力よりも、かな入力や親指シフト入力が自然という考えは理解できますが、私の場合ローマ字入力に慣れきっているので、今更それを変更するのは学習コストが高すぎると思いました。

常に自分専用のマシンだけを使えばいいなら思い切った切り替えもできますが、自分以外のマシンを使う機会も多いと、結局ローマ字入力も覚えている必要があるので、他の人のマシンも触る機会が多い人には向いてないと思いました。
それよりは、最近かなり賢くなってきた音声入力やボイスメモを活用する方が、私にとっては現実的な気がしました。
キマイラ13 堕天使変 (朝日ノベルズ)夢枕獏さんのキマイラ・シリーズ第13巻、「キマイラ 13 堕天使変」を読み終えました。

前巻が、久鬼麗一と九十九三蔵の過去話で今ひとつでしたが、今回はそれなりに面白かったです。
久鬼麗一のキマイラ化発動の経緯を描きつつ、トランシルヴァニア症候群に冒されいた黄奈志たちは、さらにその背後にいる者に操られていました。とはいえ、この事件は乱蔵が介入してきて、あっという間に解決しました。

そして次に、ルシフェル教団の成り立ちが語られました。これも唐突な気がしましたが、あまり話が長くならなくてよかったです。続いて、そんな教団に囚われている、菊池と美雪のことに話が移ります。菊池はグリフィンと戦った末に、海へと逃れようとします。しかしそれは、アレクサンドルの放った鬼頸によって阻止されました。

美雪が教団に囚われていることを九十九も知り、彼は何もできない自分に苦悩します。そんな九十九のところに、亜室健之に保護されながらも、美雪の危機を知ってそこから抜け出した大鳳吼が連絡してきました。着の身着のままで逃げ出した大鳳は、渋谷の路上生活者・よっちゃんを頼ってお金を借りて、円空山へと連絡してきたのです。

大鳳からの連絡を受けて、九十九は彼と共に美雪を取り戻すために戦う覚悟を決めました。大鳳に会う前に、九十九はもうず〜〜〜〜っと前に^^;雲斎から割ってみろと言われた多石を、ついに砕きました。ここに来るまでにかなり引っ張りましたが、結局最後は力尽くで割っちゃいました。(^^; 長年の懸念が晴れたのはうれしいですが、もう少し石を割るまでの過程をしっかり描いて欲しかった気もします。

龍王院弘から情報を得た九十九は、ようやく大鳳と再会しました。この2人が再会するまでにも、本当に長い時間がかかりましたね。2人は、無事に美雪をすく出すことができるのでしょうか!?

大鳳と九十九が再会して、ようやく物語の大風呂敷が閉じられそうな展開になってきました。初期の頃のキマイラ・シリーズと比べると、やはりパワーダウンは隠せませんが、物語にけじめを付けようとしていることは感じられました。

そうそう。今更ですが、押井守監督がキマイラをアニメ化するようですね。
この作品は小説だからこそ想像する余地があって面白いと思っているので、下手に映像化しない方がいいような気がします。(^^;
本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術小飼弾さんが、自分の経験を元に読書することの意義を語っている本でした。

多くの生徒を対象にする学校での勉強よりも、1人でじっくり本を読む学習法が著者には向いていたという話から始まり、読書好きな人なら同意できる指摘が多い本でした。下手な読書術は持つなと言いつつ、著者の語っている内容が思いっきり読書術だったり^^;、同じ内容の繰り返しや、自画自賛が鼻につく部分もありましたが、全体としては面白かったです。

特に、立ち直る力を作るために本を読む。でも本自体は、読んだ人間を救ってくれないという指摘が心に残りました。
本を読むことで知恵をつけて、自分が困った時に自分を救える力をつけるのは、たしかに大切だと思いました。
Unix考古学 Truth of the LegendUnixの歴史について語られている本です。

タイトルに何となく覚えがあると思ったら、今はなき「UNIX USER」に連載されていたものに、新たに手を加えて出版された本でした。この手のコンピュータの歴史にまつわる話は、読んでいてワクワクします。(^^)

UnixとMulticsとの関わりから始まり、当時のAT&Tの事情によるソースコードの配布状況、ユーザーコミュニティの形成、BSDの始まりとARPANETの歴史、ライセンスをめぐる泥沼を、各所から集めた資料を元に著者の推察も交えてUnixの歴史が語られています。

今とは違う、ほのぼのとした雰囲気もありつつ、オーブンソースや強力なコミュニティなど、今なおその歴史の上に築かれていることを再認識させられました。

私自身がどうしてUNIXに興味を持たかは忘れてしまいましたが、インターネットが普及する以前に、限られた書籍の情報を手がかりに、UNIXについて知れば知るほど"シンプルで美しい"と感じたことが、UNIXについてももっと知りたい、自宅でUNIXを使いたいにつながっていきました。

今はMacをメインに使っていますが、ターミナルは常に使っていますし、ちょっとした操作はコマンドラインで済ませることが多いです。プログラムを書くのも、いまだにvimとかemacsですしね。(^^;

そのベースとなっている知識は、20年以上前に覚えたものですが、それが今でも十分役に立つ。変化の激しいコンピュータの世界で、これは凄いことじゃないかと思います。
文盲 アゴタ・クリストフ自伝アゴタ・クリストフさんの自伝的な作品、「文盲」を読み終えました。

ハンガリーの村に生まれた著者は、自分の意志によってではなく、外部から強制される形でドイツ語、ロシア語、フランス語を学ばなければならない状況に置かれました。自伝とはいいながらも、その時々の思いが著者自身の小説のような文体で語られていきます。

幼い頃から、本を読むことが好き、文章を書くことが好きだったのに、何度も言葉を奪われる状況が淡々と語られています。抑えられた文体だからこそ伝わってくる、言語を奪われた著者の苦しみと、生きるために新しい言語を覚えざるを得ない状況。そしてその苦しみは、当事者でなければわからないものだということ。それがとても深く心に残りました。

また「悪童日記」で描かれたいくつかのエピソードは、実際に著者とその兄との間で実際に行われたことだったのも驚きでした。90ページほどの作品ですが、読み終えた後に深く心に残るものがありました。
Kindle Unlimitedを使い始めたので、久々にC++がらみの本を読んでみました。プログラミング学習者向けのサイトを運営する著者が、Cは知っているけどC++は使ってない人を対象に書いた電子書籍です。

CとC++の基本的な違いから始まり、C++を使うとCよりも安全で簡潔なコードが書けますよという内容です。Cの良さを活かしつつ、C++の便利なところは積極的に使ってみましょうというスタンスなので、C++の全ての機能について解説されているわけではありません。

そのおかげで、C++の迷宮に迷い込むことなく^^;、なんとか最後まで読み終えました。著者の主張には一理あると思いつつも、それじゃあ現実的に自分が普段プログラムを書くときにC++を使うかと聞かれたら、たぶん使わないと答えると思います。

この本を読んだおかげで、自分はCのシンプルさが好きなんだと改めて気づきました。その代償として、ちょっと面倒だったり、安全なコードを書くのに注意が必要だったりしますが、そういう部分も含めて自分はCが好きなんだと気づきました。

とはいえ、オブジェクト指向言語に興味がないわけではありません。実際、ちょっとした処理にRubyを使うことで、それなりに勉強はしています。その時に思ったのは、最初からオブジェクト指向を前提として設計された言語を使う方が、Cに後付けでオブジェクト指向を加えたC++を使うよりも、素直にその考え方になじむことができる気がしました。

私が利用する範囲では、基本的な部分をRubyなどで作り、処理速度が必要になる部分だけCを使う方が、使い勝手が良さそうな気もしました。というわけで、C++の迷宮に踏み込みかけて、改めてCが好きだと気づいたのでした。(^^;
老人と海 (光文社古典新訳文庫)ヘミングウェイのノーベル賞受賞作、「老人と海」を読み終えました。今回読んだのは、ジュンパ・ラヒリで作品で馴染みがある、小川高義さんの翻訳されたものでした。

120ページ程の、取っつきやすい作品です。ストーリーも、不良続きの老漁師が、ようやく大物カジキと巡り会い、3日間に渡る格闘を繰り広げたあげく、港に帰る途中で鮫に襲われ、せっかくのカジキは骨だけになってしまうという、とてもシンプルなものです。

しかし、ひとたび読み始めたら、老漁師サンチャゴと彼を慕う少年マノーリンとの関係、カジキと格闘しながら独り言をつぶやき続けるサンチャゴの圧倒的な存在感。時にはサンチャゴは釣り上げようとしているカジキに話しかけたりもしますが、その内容が狂気じみているような、それでいて深い哲学的な問題を語っているようにも思える不思議さ。

そして一緒に漁に出ていないのに、サンチャゴが何度も少年はいないのだと何度も思い出すのも、サンチャゴのマノーリンに対する愛情が感じられました。そして漁に出かける前後の、サンチャゴへのマノーリンの献身ぶりからは、彼がサンチャゴを英雄として尊敬していることが伝わってきます。

ヘミングウェイの作品を読むのはこれが初めてでしたが、老いながらも孤独に闘い続けるサンチャゴの姿には著者自身の姿が重なっているように思いました。どんな強風や荒波にも崩れない、厳然とした巨大岩のような人間が描かれた物語だと思いました。またこの作品では、直接言葉として書かれていないのに、多くのことが伝わってくることにも驚かされました。
一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF―シェリー・タークルさんの「一緒にいてもスマホ」を読み終えました。タイトルだけ見ると、スマホを否定するような本に見えますが、原題を見ると「会話を取り戻そう」という内容の本ですね。

作中に「森の生活」で有名なソローの言葉が引用されていたりするので、先に「森の生活」を読んでいると著者の考えを理解する助けになると思います。全編通して語られているのは、顔を合わせて会話することの大切さです。オンラインでのコミュニケーションが普及したことから、親子や上司と部下、顧客と会社の間で直接顔を合わせることなく物事が進むことも珍しくなくなりました。

その結果、子供たちの共感能力や実際に顔を合わせて会話する力が損なわれていると著者は指摘します。スマホなどを使った文章でのやり取りでは、言葉の微妙なニュアンスやそれを伝えた相手の表情などは伝わりません。それがトラブルの原因となったり、相手とのつながりの不確かさにつながっていることを著者は繰り返し主張しています。

全6章の大作ですが、第2章から第5章の途中までは、その実例をさまざまなケースとして紹介しています。多様な事例を知ることに意味はあると思いますが、すべてに目を通すのはたいへんだと思われる方は、途中をとばして第5章の「時の刻む一瞬」からを読んでもいいと思いました。

その中の、スマホの持つ予想以上の影響力を忘れない、自分自身との対話に時間をかける、創造性と静かな時間との関係、邪魔されずに会話できる場所の大切さ、一度に複数のことをせず1つのことに集中できる時間の必要性、自分と異なる意見を持つ人と会話する、便利なツールが必ずしも適切なツールとは限らない、ソーシャルメディアを完全に否定するのではなく関わり方を見直してみる必要性、などが参考になりました。

最後にこの本を読んで一番心に残ったのは、介護などにロボットが導入されるのはそれがベストだからではなく、人手不足などに対応するために、ロボットに頼らざるをえないという視点でした。そして、衰えた身体機能を補助する部分では、それは上手く機能するかもしれませんが、話し相手になって感情を理解したり共感したりできるのは、同じ人間同士だからこそと思えました。
ゲームウォーズ(下) (SB文庫)「ゲームウォーズ」の下巻を読み終えました。

ハリデーの残した遺産の最初の鍵を手に入れたのは、ウェイドでした。しかし2つめの鍵では、ウェイドは恋するアルテミスに先を越されることになってしまいました。それに続くのは、貴重なアイテムを駆使したシクサーズでした。焦るウェイドでしたが、なかなか謎解きは進みません。

そんな彼にアドバイスしてくれたのは、最初の鍵を見つけた時に貸しがあったエイチでした。そのおかげで、ウェイドも第2の謎を解くことが出来ました。しかし、それ以上にシクサーズは先行していました。なんと3つめの最後の鍵を最初に見つけたのは、シクサーズだったのです。

その上、シクサーズは莫大な財力と人材を駆使して、3つめの鍵となる惑星を封鎖してしまいました。その封鎖は完璧で、ガンターたちが何度挑んでも、その防御を突破することができません。そんな中、ウェイドは思い切った作戦で、シクサーズ内部の情報を手にすることができました。

これ以上書くと、これからこの本を読もうとしている人の興味を削いでしまうので、この続きは興味を持った方がご自分で確認されるのがいいと思います。

上下巻を通しての感想は、近未来を舞台にしながらも作品の重要なキーワードとなるのが80年代のサブカルチャーということもあり、大人が読むと懐かしさを感じながら読むことができる作品だと思いました。下巻の展開は、ちょっと都合が良すぎると思えるところもありましたが、全体的にはとても満足できる内容の作品でした。(^^)
人生にゆとりを生み出す 知の整理術同じ著者の「しないことリスト」が興味深かったので、最新作の「人生にゆとりを生み出す 知の整理術」も読んでみました。

読み始めて最初に目にとまったのは、マザー・テレサの言葉の引用でした。
「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
 習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
 性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」

普段のちょっとした考えが、将来の自分の運命にまでつながっている。ある意味当たり前のことですが、普段、それを深く意識することはないと思います。これを読んで、よく考えることが、よく生きることにつながるんだなあと、しみじみと思いました。

そして知識のインプット、そしてそのアウトプット、モチベーションの維持について著者が実践していることが紹介されます。その中で参考になったのは、アウトプットについてでした。著者はアウトプットを、軽いものと重いものに分けて考えています。

その中でも、アウトプットする時の工程をきちんと分けるというのが、自分にとって大きな気づきでした。
最初に徹底的にアイディアを出す、次に構成を考える、最後にそれを実装するという流れです。私が何かする場合、最初のアイディア出しの作業時間が少ないため、先の工程に入ってからアイディアを追加したりしていました。時にはほぼ実装が終わりかけた時、アイディアの追加を思いつくこともあり、結果的にそれが作業時間の延長につながっていたことに気づきました。

また、最初から完璧なものを作ろうとせず、最初は65%くらいを目指して1つの形に仕上げて、後からそれを何度も見直すことで完成度を高めていくことの重要性も再認識しました。最初に大ざっぱでも全体を作り上げないと、全体が見えませんので、後の修正を前提として作業を進めることは大切ですね。

それに合わせて、スケジュールも前期で全体を作り上げ、中期でそれを見直し、後期で磨きをかける、という流れで進めることができて、自分が今どのフェーズにいるのか確認できていいなあと思いました。

他にも紹介されている手法がありましたが、ポモドーロテクニックなど別のライフハック系の本ですでに知っていることでしたので、上記のアウトプットの手法が個人的には一番有益でした。(^^)
ゲームウォーズ(上) (SB文庫)この春に公開される映画「レディ・プレイヤー1」の原作の上巻です。

物語の舞台は、2040年代の近未来です。この時代、世界はOASIS(オアシス)と呼ばれる仮想現実ネットワークでつながっています。仮想とはいえ、日常的な活動の多くを人々はOASISで満たすことができます。その一方で、世界は深刻なエネルギー危機に見舞われていて、貧富の差も拡大していました。

両親を早くに亡くし、叔母に引き取られたウェイドは現実の世界では、機械いじりは得意だけれど、周囲とのコミュニケーションが苦手なギークでした。そんなウェイドも、OASISという仮想世界では現実以上にうまく過ごすことができます。

ウェイドはある出来事をきっかけに、無名の少年から世界中から注目される存在になりました。OASISの創設者であるジェームズ・ハリデーは、その死と共に世界中に向けた遺書を残しました。そこで彼は、膨大な資産を彼が仕掛けたゲームの謎を解き明かした者に全て渡すと宣言したのです。

それをきっかけに、全世界のOASISプレーヤーがハリデーの遺産探しに熱中することになりました。しかし、謎を解く手がかりは、ハリデーが好きだった80年代のサブカルチャーの中にあり、誰も簡単に見つけることができません。謎を解くためには、3つの鍵が必要になるのですが、ウェイドがその最初の鍵を見つけた初めての人物となったのです。

ウェイド以外にも、ガンターと呼ばれるプレーヤーが遺産を求めて知識の収集や試行錯誤を繰り返しています。またガンターからは徹底的に嫌われている、IOIというOASISにインフラを提供する大企業にもシクサーズと呼ばれる遺産探し専門のチームが存在します。

ウェイドはそんなライバルたちを出し抜いて、一番最初に第1の謎を解き明かしたのです。それは彼を一躍有名にしました。しかし同時に、それはウェイドがライバルたちから狙われる存在になったということでもありました。シクサーズは、ウェイドを自分たちの陣営に引き込もうとします。しかし、それが不可能だとわかると、ウェイドを抹殺しようとします。

またウェイドは、謎解きの一方でずっと憧れの存在だったアルテミスと呼ばれる女の子とも知り合いました。ウェイドは本気で彼女を愛するようになりますが、今のところそれは彼の一方通行です。

上巻では、どん底の暮らしをしていたウェイドが、注目を浴びる存在となり危険と恋に揺れながらも、ハリデーの遺産を探し求めていく様子が描かれました。上巻では、第2と第3の謎は解き明かされていません。下巻でこのゲームが、どんな結末を迎えるのか気になります。

この本を読んでいて気づいたのは、80年代のパソコン黎明期のゲームやテレビ番組、音楽がキーワードとして次々と登場することです。私はその全てを直接知っているわけではありませんが、名前くらいは目にしたことがあるキーワードも多くて、これも本を読む楽しみの1つになっていると思いました。(^^)
ふたつの人生 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション)ウィリアム・トレヴァーの「ふたつの人生」を読み終えました。この本には、2人の女性を主人公とした物語が収録されています。

一作目は「ツルゲーネフを読む声」という作品です。これはメアリー・ルイーズという女性の、痛ましい半生が描かれて作品です。物語は、現在と過去が交互に語られていきます。最初はそのつながりがはっきり見えませんが、カメラのピントが合うように、次第にそれがメアリー・ルイーズの異なる時間を描いていることがわかってきます。

貧しい農家の次女として生まれたメアリー・ルイーズは、街に出て働くことを夢見ていました。しかし、彼女にそのチャンスは訪れません。ところが、ある日彼女は、街の有力な服地商人であるエルマーという中年男性に見初められます。最初はそれに戸惑いながらも、彼女は最終的にエルマーとの結婚を承諾します。

しかし2人の結婚生活は、うまくいきませんでした。エルマーは、彼女と性交渉することもなく、次第にお酒に溺れていきます。また、エルマーの2人の姉、マティルダとローズは、元々この結婚に反対だったこともあり、何かにつけてメアリー・ルイーズを非難します。

そんな中、彼女の救いとなったのは、幼い頃に恋心を抱いたこともあるいとこのロバートでした。彼は病弱で、学校に通い続けることもできませんでしたが、本を読むことで自らの世界を広げていました。

ある日、ロバートの元を訪れた彼女は、彼も幼い時から彼女を好きだったことを知りました。2人がようやくお互いの気持ちを知った夜、ロバートは心臓発作で亡くなってしまいました。

それを契機に、メアリー・ルイーズの言動もおかしくなっていきます。そして彼女は、ロバートの遺品を手に、精神病患者を収容する施設で暮らすことになったのです。

やがて時は流れ、精神病の患者も出来る限り自宅で暮らすべきという時代が訪れます。
その頃には、商人としては没落していたエルマーでしたが、彼女を引き取ることに同意します。でもその時には既に、彼女の心はロバートが読んでくれたツルゲーネフの小説を通して、ロバートの心と結びついていたのでした。

訳者の解説を読むと、この作品のバックグラウンドとして、それまでアイルランドの支配階級だったプロテスタントが衰退して、カトリックが力を増していく時代背景が重ね合わされているそうです。
しかし、個人的には、そういったバックグラウンド抜きでも十分に楽しめる、読みごたえのある作品だと思いました。

二作目の「ウンブリアのわたしの家」は、ミセス・デラハンティが巻き込まれた列車爆発事件をきっかけに、その犠牲者たちの間に不思議なつながりが生まれる様子が描かれた作品です。

今ではロマンス小説家として知られるミセス・デラハンティですが、その生い立ちは恵まれたものではありませんでした。旅芸人の両親は、生まれたばかりの彼女を、子供を欲しがっていた人に売り渡してしまいました。成長したミセス・デラハンティはその事実を知ります。その後も波瀾万丈な前半生を送ったミセス・デラハンティですが、今ではイタリアのウンブリア地方の屋敷を買い取り、近所のホテルに空きがない時に観光客を宿泊させたりして暮らしています。

そんなミセス・デラハンティは、列車で買い物に出かけた時に爆発事件の被害者になってしまいました。同じ客車に乗っていた乗客も数多く亡くなりましたが、奇跡的に生き延びた者がミセス・デラハンティの他にも3人いました。

1人は、イギリス人の元将軍で、娘とその婿と一緒に旅をしていました。ドイツ人の青年は、恋人と一緒に旅をしていました。アメリカ人の女の子は、家族と一緒に旅をしていて彼女だけが生き残りました。

爆発事件の真相は不明のまま、時が流れていきます。そんな中、ある程度ケガが回復したミセス・デラハンティは、生き延びた人たちを自分の屋敷に招いて、そこで一緒に暮らすことを思いつきました。こうして、爆発事件の犠牲者というつながりのある人たちが、彼女の屋敷で生活することになりました。

彼女たちの生活は、次第に落ち着いたものになっていきます。ところが、アメリカ人の女の子・エイミーの伯父が、彼女を引き取るためにアメリカからやって来ました。ミセス・デラハンティは、エイミーは自分たちと一緒に暮らし続ける方が、心穏やかに暮らせると考えます。エイミーの母とその兄である伯父は、伯父の再婚をきっかけに絶縁状態でした。それもあって、ミセス・デラハンティはエイミーを手元に残すことを希望しますが、その希望はかないませんでした。

この作品も、「ツルゲーネフを読む声」と同じく単純に物語が語られるわけではありません。ミセス・デラハンティの過去や小説の中の出来事、彼女が直感的に見抜いたことが物語の中に複雑に織り込まれています。物語はミセス・デラハンティの視点からしか語られないので、彼女が見抜いたと信じたことを事実なのか、それとも彼女の妄想にすぎないのか。それは最後までわかりません。

というわけで、どちらも一筋縄ではいかない作品ですが、不思議と読み始めると引き込まれてしまいました。どちらの物語も、登場人物の1人1人に存在感があるのも魅力的でしたし、人生の苦さと深みが感じられました。
スイスのロビンソン (上) (岩波文庫)アニメ「ふしぎな島のフローネ」の原作、「スイスのロビンソン(上)」を読み終えました。

「ふしぎな島のフローネ」の原作ですが、原作にはフローネは登場せず、ロビンソン一家は男兄弟ばかりです。(^^;
兄弟は、上からフリッツ、エルンスト、ジャック、フランツです。エルンストはアニメだと、お父さんの名前になってるようですね。一番年下のフランツは、アニメには登場しません。一番上のフリッツと名前が似ていて紛らわしいから削られたのかな!?(実際、本を読んでいる時に2人の名前が出てくると一瞬どっちだっけ!?と思いましたし^^;)

オーストラリアに向かって航海していた船が難破して、ロビンソン一家だけが船に取り残されてしまいました。船が座礁した側にある島で、ロビンソン一家は暮らしていくことになりました。普通なら、かなりサバイバルな状況になりますが、この作品ではロビンソン一家にとって都合のいい環境が整っています。

座礁した船にあった大量の日用品や武器、火薬などが利用できた上に、上陸した島にはジャガイモはあるわ、椰子の木はあるわ、ゴムの木、大量の岩塩など、生活に必要になりそうなものがそろっています。船に積まれていた鶏や豚、ロバなどの他に、忠実な犬たち、そして猿や鷲など次々と一家の仲間が増えていきます。

ロビンソン一家は家族で協力して、島での生活を快適に過ごすために働き知恵をしぼります。物語のメインは、その様子が克明に描かれていくことです。この本を読んでいるだけで、南の島での暮らしを垣間見ているような気がして、とても楽しむことができます。(^^)

ただ1つ気になるのは、本文に旧字体が多用されていることです。現在の漢字と似ている字は、すぐに読むことができますが、「昼」が「晝」だったり読んでいて戸惑う字も多かったです。作品の内容的が子供も楽しめるものだけに、旧字体ではなく、現在の漢字を使って再刊して欲しかったところです。

とはいえ、わkらない旧字体を漢和辞典で調べながら読み進めるのも、暗号を解読して宝探しをしているようで楽しかったですが。(^^;
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)神林長平さんの「戦闘妖精・雪風(改)」を再読しました。

この作品、これで3〜4回は再読しているのですが、その度にいろいろと発見があって引き込まれます。(^^)
最初に作品が発表されたのが、1984年。その後で内容を修正した(改)が出たのが、2002年。それでも10年以上前の作品なのに、全く古さを感じさせないのが凄いです!

今回とくに注目したのが、ジャムとの戦いのための兵器開発を、コンピュータがシミュレーションしながら行っているというところでした。最近テレビなどでも、AIや機械学習のことが話題になりますが、この作品はそれをはるかに先駆けて描いていたんだなあと感激しました。

激しくなるジャムとの戦いの中、次第に戦いに人間は不要であり、パイロットとして人間が搭乗することが、機体が持つ本来の性能を制限される状況が生まれてきます。コンピュータが極限まで進化した時、人間に必要とされる役割は何なのだろうと考えさせられました。
神の時空 前紀 ―女神の功罪― (講談社ノベルス)高田崇史さんの神の時空シリーズ、「神の時空 前紀 -女神の功罪-」を読み終えました。

この本では、先に完結した神の時空シリーズで詳細が語られなかった、潮田教授が主催したバスツアー事故へとつながるエピソードが語られました。物語の中心となるのは、高村皇に仕える磯笛と、潮田教授のもとで助手をしている永田遼子です。

ある日、高村皇に呼び出された磯笛は、とある使命を受けました。それは学会でも異端児として知られる、潮田教授に関するものでした。理由は磯笛には明かされませんでしたが、高村皇は教授のことを疎ましく思っていたのです。

潮田教授は、國學院大學に研究室を持っていました。永田遼子は、そこで働く助手の1人でした。ある日、遼子が研究室に顔を出すと、たいへんな事件が起きていました。彼女が所属する研究室の同僚である、広田が獣に襲われて殺されたというのです。

そんな中、遼子は潮田教授宛に届いた手紙の中に、神功皇后に手を出すなという脅迫状があったことを思い出しました。そして遼子はまだ恋人未満の加藤範夫と共に、神功皇后について調査を開始したのでした。そんな2人に、女子高生の姿をした磯笛が近づきます。

そして第2の事件が起きました。遼子と同じく、潮田教授のところで助手をしていた藤本由起子が、広田と同じように獣にのど笛を食い破られて殺害されたのです。同じ研究室の助手が、立て続けに獣に殺害される確率の低さを考えて、遼子は事件の裏に何かがあると考えるのでした。

神功皇后の調査を進めていた遼子と範夫は、ある日これまでのシリーズにも登場した猫柳珈琲店へとやって来ました。
もともと霊感に優れていた遼子は、そこで頑固な作家の地縛霊・火地と出会うのでした。そして遼子は、火地から神功皇后に関する解釈を聞かされました。それは遼子にとって、容易に受け入れられるものではありませんでしたが、火地の主張を否定するだけの主張も彼女は持っていません。

さらなる調査を進めようとする遼子の前に、再び磯笛が現れました。ここから先は、ネタバレになるので詳しく書きませんが、遼子や範夫に磯笛が接触していたことが、やがてバスツアーでの事故に繋がっていきます。そして、ついに事故が起きることになります。

この本の存在を知った時、てっきりツアーに参加した参加者視点で物語が語られているのかと期待したのですが、そういう方向性の作品ではありませんでした。いつものシリーズと違い、遼子という研究者の視点からの描写が多かったことで、QEDシリーズに近い雰囲気が"途中まで"はありました。
しかし通して読み終えてみると、神の時空シリーズの前日談としても今ひとつでしたし、歴史ミステリーとしても消化不良な気がしました。
自省録 (岩波文庫)昨年末からちょこちょこ読んでいた、マルクス・アウレーリウスの「自省録」を読み終えました。

この本は、ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスが、書きとめた短文をまとめたものです。いちおう、本編は12巻構成になっていますが、書かれた時期もバラバラで、原書も失われているためこれが本来の形かさえ定かではないらしいです。

2000年近く前に書かれ、その当時の皇帝という強大な権力を手にしているにも関わらず、この本を読んでいると現代にも通じる気づきがたくさんありました。特に心ひかれたのは、著者が徹底的に自己を律して、己の欲のためではなく、公益のために尽くそうとしたことです。

そして、自分の意志で何とかならないものは、それをただ受け入れ、自分の意志で何とか出来ることについては、徹底的に理性的に判断して行動しようとする姿勢に共感できるものがありました。

また他人に対する怒りや不満などへの対処が書かれているのを見ると、今も昔も人間の心は大きく異なるわけではないのだと感じました。もちろん、今の時代には合わない記述もありますが、それを差し引いてもさまざまな時代の人間の心に訴えかける内容を持った本だと思います。

この先も、繰り返し読み返していきたい本ですね。(^^)
国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)ヤマザキマリさんの「国境のない生き方 私を作った本と旅」を読み終えました。

図書館で借りた本なのですが、読み始めるまで著者が「テルマエ・ロマエ」の作者さんだと気がつきませんでした。(^^;
著者のマンガも1冊も読んだことがないのですが、それとは関係なくこの本の内容は楽しめました。特に面白いのが、第1章〜第5章の著者の幼少期やイタリア留学しての赤貧生活時代でした。

著者の母親もかなり凄い人で、深窓のお嬢様育ちだったのが、著者と妹を出産した後に夫を亡くして、一人で子供たちを育てていました。交響楽団でヴィオラ奏者の仕事をしていたので、時に演奏旅行にも出かけて幼かった著者と妹は他の家に預けられたりしていたそうです。

そんな母親の影響を強く受けて、著者も自分のやりたいことを突き詰める生き方をしていくようになります。凄いなあと思ったのが、わずか14歳で欧州を一人旅していることです。一人で行ってしまう著者も凄いですが、それを送り出せる母親も相当なものだと思いました。

この時の旅行がきっかけとなり、著者は絵を描きたいと思うようになります。そして美術を学ぶならイタリアだと、旅先で出会った老人に言われて、本当に著者はイタリア留学してしまったのでした。この老人の言った、「人生は一度きりだから、無駄にできる時間はこれっぽっちもない」という言葉が著者を突き動かしたのです。

さらに留学前にお母さんは、「フランダースの犬」を例にあげて、絵描きになるということは貧乏で早死にすることになるけれど、それでもいいのかと問い詰めます。そうなることさえ受け入れた上で、著者はイタリア留学の道に踏み出したのでした。

そしてイタリア時代は、超極貧生活を送ることになります。しかし、ここで「ガレリア・ウプパ」のメンバーとの出会いがありました。そのおかげで著者は、今まで読まなかった本を読むようになり、教養を高める貴重な機会を得たのでした。
さらに著者は、そこで息子を出産することにもなりました。

息子は生まれたけれど、著者の生活は厳しい状況が続いています。そこで生きるために、日本の出版社にマンガを描いて投稿したのでした。それが後に著者が漫画家となることへとつながります。

ここまでは本当に面白くて、読んでいて何度も自分には著者のような覚悟がなかったと頭を殴られたような思いをしました。でも第6章から、著者の交流関係やその後の漫画家としての成功が語られるようになったら、ここからは別人が書いたのかと思えたほど面白さが薄れてしまいました。

というわけで、本の後半は今ひとつでしたが、前半で描かれた著者のヒリヒリとした生き方には惹かれるものがありました。この前半を読むためだけにも、この本は読む価値があると思いました。