日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


同じ著者の「ライフハック大全」と会わせて読み始めましたが、後から発売されたこちらを先に読み終えました。(^^;

この本では、知的生活のための様々なアイディアや考え方が紹介されています。知的生活というと堅苦しいイメージがありますが、自分が本当に大好きなことを積み重ねて、好きを消費するだけでなく、得たものから新たな価値を発信しようという提案をされています。

そのための考え方や整理方法、発信方法などを説明する中で、ツールやアプリ、サービスなどが紹介されます。著者はこういったツールの導入に積極的で、それぞれは興味深いものでした。ただ、実際にそれを導入するとなると、意外と利用コストがかかりそうです。
また著者が英語に堪能なせいか、日本語化されてないアプリも紹介されていて、それがさらに敷居を高くしている気がしました。(^^;

この本で特に興味深かったのは、知的投資とファイナンスという1章があったことです。知的生活にはストイックなイメージもありますが、知識や情報を得るにはお金もかかります。自分の収入のどれくらいを知的投資と考えればいいのかから始まり、自分が発信した情報から収入を得る方法まで紹介されているのは驚きました。

もちろん、お金を稼ぐことが目的ではありませんが、それが自分のやる気の維持や知的投資のための収入につながるなら、こんないいことはないと思います。
結城浩さんの「数学ガールの秘密ノート 行列が描くもの」を読み終えました。

「数学ガールの秘密ノート」は、読み逃しているものも何冊かありますが^^;、とりあえず最新刊のこの本を読みました。
今回のテーマは、行列です。"僕"とユーリの基本的な話から始まり、テトラちゃんとの会話でさらに複雑な内容へと進み、最後にミルカさんの登場という流れですが、今回は久々にリサが登場して、ミルカさんの話を図として示してくれたので、後半の内容もイメージがつかみやすかったです。

行列は学生時代にきちんと勉強する機会がなかったので、この本のおかげで基本的なところから学ぶことが出来てよかったです。最初は本の内容をなぞって、自分で手を動かして計算して確認しつつ読み進めていましたが、時間的な余裕がなかったので、途中からは概要をつかむだけの読み方になってしまったのが心残りです。(^^;

一度読んで全てを理解できたとは思えないので、またいつか再読したいなあ。
松本健太郎さんの「データサイエンス超入門」を読み終えました。

データサイエンスでは、データをどんな風に扱い、理解して分析しているのか、身近な話題をサンプルに説明している本です。個々の事例の検討はそれなりに興味深かったですが、"超入門"な本なので「ふ〜ん」という感じでした。(^^;

データサイエンスに興味を持ってもらうための本なので、詳しいことは別の本で勉強してねということなのでしょうが、分析するための資料の集め方、分析する手法についてのもう少し突っ込んだ説明が欲しい気がしました。

結局データサイエンスの考え方の流れを、ものすご〜く簡単に説明した第0章が一番「なるほど」と思ったかも。(^^;
マヌーシュ・ゾモロディさんの「退屈すれば脳はひらめく」を読み終えました。

サブタイトルとして、「7つのステップでスマホを手放す」とありますが、スマホ限定でなく、パソコンやタブレットといったデジタル機器全般に通じる内容だと思いました。

著者は育児中の経験から、退屈することの必要性に気がつきました。いっけん無駄と思える退屈している時間が、創造力の源となっていたのです。そこで著者は、自らのPodcastで参加者を募り、一緒に7つのレッスンを毎日こなすことにしました。

1つ目は、自分を観察すること。
2つ目は、移動中はスマホをしまうこと。
3つ目は、写真を撮らずに1日過ごすこと。
4つ目は、時間を奪われるアプリを削除すること。
5つ目は、静かな時間を確保するために休暇をとること。
6つ目は、いつもとは違うものを観察すること。
7つ目は、マインドフルネスとマインドワンダリングの取り入れ。

これらのレッスンを経験した結果、参加者のスマホ使用時間は若干減少しました。しかし利用時間の減少よりも重要なのは、何となくスマホを使うのではなく、自ら自覚してスマホを利用するようになったことです。

サブタイトルを見ると著者がスマホを否定しているように思えますが、彼女は今の時代に全くスマホなしで生活することは無理だと認めています。そして、スマホとの適切な距離感を知ることが大切だと訴えています。

うっかり始めたゲームに夢中になって、せっかくの休日を潰してしまったことや、人と会っている時にもSNSのことが気になってしまったり。実体験に基づく著者の主張には、とても共感できました。

スマホを使えばこんなに便利という情報はあふれていても、スマホとの適切な付き合い方を教えてくれる機会はなかなかありません。自分とスマホの付き合い方を見直したい方に、おすすめしたい本ですね。(^^)
ウィリアム・ゴールドマンの「マラソン・マン」を読み終えました。

コロンビア大学に通う奨学生リーヴィは、歴史学を学びつつマラソン・ランナーとしても一流になることを目指しています。彼の父は、アカ狩りの犠牲となって汚名を着せられ、自殺していました。リーヴィが歴史学を専攻するのは、そんな父の無念を晴らすためでした。

そんなリーヴィの物語と並行して、怪しげな組織に所属する殺し屋らしきシラという男の行動が描かれます。なぜ2つの異なるようにみえる物語が、同時に進行するのか最初は戸惑いました。しかし、第2部の最後で一気に謎が解き明かされて、全てがつながってくるのが爽快でした。

やがてリーヴィも、怪しげな男たちから狙われるようになります。詳しく内容を書くと、ネタバレになってしまうのでこれ以上書けませんが、第3部から物語が大きく動くところも面白かったです。(^^)
月村了衛さんの「ガンルージュ」を読み終えました。

物語の舞台は、群馬県利根郡のとある小さな町。そこに潜伏していた韓国の次期大統領候補が、彼を狙った韓国軍の特殊部隊に襲われます。町の人たちから、別荘御殿と呼ばれるその場所に、中学1年生の祐太朗と麻衣が居合わせてしまいました。特殊部隊は要人を確保すると共に、祐太朗たちも人質にとって国外へと逃亡しようとしています。

それと戦うのが、元公安の刑事で祐太朗の母の秋来律子と、PTAから目を付けられている体育教師・渋矢美晴のコンビです。律子は、公安でも有能な人材として知られていました。しかし警察内部の腐敗が原因で夫が殺され、今では辞職してこの町でひっそり暮らしていました。そして美晴の元彼も公安関係者でした。

そんな律子と美晴が、コンビを組んで特殊部隊に挑みます。戦いの中、律子は部隊を率いているのは、かって夫を殺したキルだと気づきました。しかも相手は、特殊部隊の中でも最精鋭がそろっています。こんな強敵を相手に、律子と美晴がどう戦うのか。そして祐太朗と麻衣の運命はどうなるのか!?

物語的には、著者の類似作品でおなじみの展開でした。それでも、かっての経験を元に戦う律子と、強運を武器に金属バットで戦う美晴のコンビが楽しかったです。(^^;
口八丁のジョニーと力持ちのサムが活躍するユーモア・ミステリーです。

本の訪問販売をしているジョニーとサムは、とあるホテルに宿泊していましたが、宿泊費を滞納していました。ある日、ジョニーが宿に帰ると、鍵穴にフランス鍵が入れられていて、部屋に入ることが出来ません。支配人は彼が宿泊費を払わなければ、フランス鍵を外してくれそうにありません。

運良く相棒のサムが、間違って渡された隣の部屋の鍵を持っていました。そこでジョニーは、窓伝いに自分たちの部屋に入り、部屋に置いてあった物を持ち出そうとします。ところが、完全な密室になっていたはずの彼らの部屋で、見知らぬ男が殺されていました。男は年代物の金貨を握りしめていました。

男の手から金貨を取ったジョニーは、それが1822年に作られた貴重な金貨だと気づきました。殺されていた男の正体を探り、金貨の謎を調べることで、ジョニーとサムは事件の真相に近づいていきます。

お話的には、ミステリーというよりドタバタ・コメディといった感じでした。
お金もなく警察に追われる身となっても、あえて犯人が利用しないであろう高級ホテルに宿泊するジョニーの機転と口八丁には笑わせられながらも、どこか生き抜くたくましさを感じました。
読み始めてから1年くらいかかりましたが^^;、ようやく「失われた時を求めて(4) 花咲く乙女たちのかげに II」を読み終えました。

前巻から2年後、"私"は祖母と一緒に、ノルマンディーの保養地バルベックに滞在することになりました。物語はその出発から帰還までの数ヶ月の一夏を、これでもかというくらいに詳細に描いています。(^^;
"私"がバルベックに到着するまでで、50ページくらいかかります。初めて自宅や母から離れて暮らす"私"の詳細な心理描写など、それだけでも十分な読み応えがありました。

ようやくバルベックに到着に到着したものの、"私"は初めてのホテル暮らしになかなか慣れません。その転機となったのは、祖母のヴィルパリジ公爵夫人との出会いでした。さらに夫人の甥のサン=ルー侯爵との出会いによって、"私"はあちこちと出歩くようになります。

しかし何より決定的なのは、サブタイトルにある「花咲く乙女たち」との出会いです。最初は"私"は、彼女たちの姿を遠くから見ることしかできません。何とか彼女たちとお近づきになろうとしますが、なかなか上手くゆきません。
そんな時、"私"は画家のエルスチールと知り合います。エルスチールは、"私"がバルベックの芸術で見落としているものを指摘してくれただけでなく、乙女たちとのつながりを作ってくれました。

こうして"私"は、ようやく乙女たちと知り合うことができました。最初は彼女たちの1人1人を把握できなかった"私"でしたが、やがてそれぞれの個性に魅了されます。中でもアルベルチーヌという娘が"私"の心を引きつけました。"私"はアルベルチーヌとさらにお近づきになろうとしますが、"私"の下心は娘たちに見抜かれているようで上手くゆきません。

そんな中、アルベルチーヌが早朝からパリに出かけるために、"私"の泊まっているホテルに宿泊することになりました。
アルベルチーヌは、かなり思わせぶりな言葉で"私"を誘惑します。しかし、その夜にアルベルチーヌの部屋を訪れた"私"は、あっけなくアルベルチーヌに肘鉄を食らわされてしまいます。(^^;

そんなアルベルチーヌの態度に、"私"はショックを受けますが、ジルベルトへの恋に破れた時のように荒れることもなく、その後も適度に距離を置きつつアルベルチーヌや他の乙女たちとの関係は続きます。

しかし、その時間も永遠に続くわけではありません。滞在を終えた乙女たちは次第にバルベックを離れ、ホテルに残る人たちの姿も少なくなります。そして"私"も、バルベックから帰還する日が来るのでした。

要約すれば、この巻は"私"がバルベックで過ごした一夏の物語です。しかし、それが詳細に650ページほどの分量で詳細に描かれます。風景の描写も多いですが、それ以上に緻密に描かれているのがバルベックに集まる様々な人々の言動や、"私"の心の動きです。

前巻と同じく、細かに章立てされているわけでなく、延々と物語が続いてゆくので、読むのを一区切りするタイミングが決めづらいです。結局、読み疲れたところで止めて、次に読んだ時に内容がつながらなかった時は少し前から読み返して記憶を繋いでゆく方法で読み切ることが出来ました。(^^)
火星の人アンディ・ウィアーさんの「火星の人」を読み終えました。

3回目の有人火星探査が行われていました。火星に無事到着したメンバーでしたが、強烈な砂嵐に襲われて火星からの退去を余儀なくされました。その過程で、折れたアンテナの直撃を受けたマーク・ワトニーは、砂嵐の中に消えました。船長はギリギリまで彼を探しましたが、他のメンバーを守るためにワトニーを残して火星から離脱しました。

すでに死んでいると考えられたワトニーでしたが、彼は奇跡的に生き延びていました。しかし通信機は破壊されており、彼は地球に連絡することさえできません。そんな絶望的な状況にもかかわらず、ワトニーは残された物資を利用して命を繋ぎます。さらにハブの中で、今後不足する食料を得るためにジャガイモを栽培し始めます。

やがて彼が生きていることは、火星の様子を衛星から観察していた地球も知りました。彼らはワトニーを救うために、追加物資を火星に送り届けるミッションをスタートさせます。その間に、パスファインダーから部品を手に入れたワトニーは、地球との交信手段を見つけ出しました。

ミッションを知ったワトニーは、さらに生存のための努力を続けます。しかし、突貫工事で作られたロケットの打ち上げに失敗。さらに脱出準備の作業のミスで、地球との交信手段も失われてしまいました。

たった1人で火星に残されたワトニーの奮闘。彼を救うために、あらゆる努力を惜しまない地球スタッフ。そしてワトニーを残して火星から離れた他のクルーたちの思い。それが上手く融合していて、物語の緊張感を維持しながらサクサク読めました。

最初ワトニーが残している記録の文章が、軽すぎる気がしましたが、最後はこういうメンタルの持ち主だからこそ絶望的な状況に耐えられたのだと納得できました。(^^)
ちょっとピンぼけ (文春文庫)ロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」を読み終えました。

報道写真家としての仕事にあぶれていたキャパは、ある日ヨーロッパで起きている戦争の写真を撮る仕事を得ました。彼が以前に撮った写真が評価されて、この仕事に抜擢されたのです。アメリカから、まずはロンドンに向かうキャパでしたが、ハンガリー系のユダヤ人である彼は、ビザの問題に振り回されることになります。

それをクリアして、キャパはいよいよ戦場に繰り出します。・・・がしかし、写真を撮っているより兵士たちと賭け事をしていたり、お酒ばかり飲んでいるような・・・。(^^;

おまけにロンドンで知り合ったピンキィという女性が気になって、戦いが続く中でロンドンに帰ったり、逆に彼女を記者として戦場まで出向かせようとしたり。その裏では、戦争という殺伐とした出来事が進行中です。でもキャパの文章を読んでいると、どこか牧歌的な雰囲気が感じられます。

そして戦いが終わり、キャパは愛する女性の元へと向かいます。しかし、彼の恋ははかなく敗れます。この本全体の中で、キャパとピンキィの恋に関するところは、なんだか恋愛小説を読んでいるような気分になりました。
詩のなぐさめ池澤夏樹さんの「詩のなぐさめ」を読み終えました。

読む順序が逆になってしまいましたが、「詩のきらめき」より前に発表された「詩のなぐさめ」を読みました。

「詩のきらめき」を読んだ時もそうでしたが、著者くらいの方でも詩はそっけなく、わかりにくいと思うことがあるのを知って、ちょっとだけ安心できました。(^^;

さらに驚いたのは、あの谷川俊太郎さんさえ「詩人のふりをしているが/私は詩人ではない」というフレーズのある詩を書かれていると知ったことです。詩は読む方だけでなく、書く方はさらにたいへんな思いをされていたんですね。

この本を通して詩の世界の入り口を垣間見ただけですが、この世界は本当に奥の深いものなんだなあと思いました。

今回読んでいて印象に残った詩は、髙野ムツオさんの以下の俳句でした。

 みちのくの今年の桜すべて供花
 犇(ひし)めきて花の声なり死者の声
 瓦礫より出でて青空の蠅となる

震災がらみで読まれたものらしいですが、これを読んだ時に絶望的な景色が目の前に広がった気がしました。

この本と「詩のきらめき」を読んだことで、自分の中で詩に対する敷居が少し下がった気がします。岩波文庫には、いろいろな詩集が刊行されていますので、その中から何か心にひっかかる詩集があったら読んでみたいと思いました。(^^)
キトラ・ボックス池澤夏樹さんの「キトラ・ボックス」を読み終えました。この作品は、「アトミック・ボックス」の姉妹編的なお話でした。

物語の中心は、新疆ウイグル自治区から日本に留学している可敦(カトゥン)と、「アトミック・ボックス」で宮本美汐に協力した元恋人の考古学・藤波三次郎です。この2人が協力して、キトラ古墳の埋葬者にまつわる謎を追います。

しかし可敦は、何やら隠された使命を持っているようです。彼女の兄は、ウイグルの独立を目指すグループの中心人物らしいのです。その動きを封じるために、北京から諜報員が派遣されて可敦を狙います。

可敦の危機を知った藤波と、「アトミック・ボックス」で政府を相手に戦った美汐は、そんな可敦に協力して彼女の逃亡を手助けします。しかし、彼らの手をすり抜けるように、再び可敦に危機が迫ります。

危機を乗り越えながら、可敦と藤波は研究中の発掘品から、キトラ古墳の埋葬者を解き明かす鍵を得ます。そして最後に、可敦の隠された使命も明かされます。

また物語本編と平行して、藤波たちが調査している埋葬者の過去も描かれました。そのおかげで、読者は「キトラ・ボックス」の答えを早くから知ることが出来ます。

「アトミック・ボックス」とのつながりはありますが、単独でも楽しめる作品でした。でも内容的な満足度は、「アトミック・ボックス」の方が大きかったです。過去が直接描かれたことで、謎の答えが読者には早くからわかってしまったこと。また新疆ウイグル自治区の問題を取り上げながらも、問題への切り込みの鋭さが欠けている気がしました。
巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)シルヴァン・ヌーヴェルさんの「巨神計画(下)」を読み終えました。

偶発的に起きた事故で、ロボットの存在が世界中に知られ、開発の中心人物も事故に巻き込まれて亡くなりました。
各国の非難が集中する中、ロボットは人の手の届かない深海へと沈められることになりました。

しかし、その一方ですぐにロボットの引き上げ計画が始まり、密かに引き上げられたロボットは各国の共同出資による事業体に管理されています。

そしてロボットを作った、地球外知的生命の存在もおぼろげに見えてきます。彼らが地球に新たなロボットを差し向けそうなことも示唆されつつ、新たに計画の中心となった遺伝子女学者の暴走。そして彼女の手からの、ロボットのパイロットの奪還。

さまざまな伏線らしきものが各所に散りばめられて、物語はここからというところで唐突に終了。なんで!?と思ったら、この作品は1作で完結するのではなく、3部作として構想されていたのでした。

いちおう、物語のラストで驚くべき展開はありましたが、何も解決しないしロボットもろくに活躍しない展開には、かなりがっかりしました。続編の「巨神覚醒」が発売されていますが、盛大に肩すかしを食わされた気分なので、なんとなく続きを読む意欲が沸きません。(^^;
カデナ池澤夏樹さんの「カデナ」を読み終えました。

タイトルからもわかるように、沖縄の嘉手納基地が絡んだ物語です。とはいえ現代が舞台ではなく、ベトナム戦争末期の時代の物語です。物語の語り手となるのは、アメリカ人の父とフィリピン人の母を持つフリーダ=ジェイン、沖縄生まれでサイパンで暮らし終戦と共に帰国した嘉手苅朝栄、沖縄のロックバンドでドラマーをしているタカ。この3人の視点から、物語が語られていきます。

フリーダは准将つきの秘書官をしていていますが、ある日ベトナムにB-52で空爆を行っているパトリックという機長と知り合います。パトリックは精神的なストレスが原因で、性的に不能になっていますが、フリーダと付き合うことになりました。

それはフリーダの母から依頼された、米軍の空爆予定地を知らせるという任務の隠れ蓑として最適でしたが、やがてフリーダは1人の人間としてパトリックを愛するようになっていきます。パトリックは空爆することで、大勢の人を殺している罪の意識に悩まされていました。そんな人間らしさが、2人を結びつけたのです。

サイパンから帰国した朝栄は、しばらくは運送業で利益を上げました。やがて幸子という妻を得て、妻が商売として始めた食堂が軌道に乗り、今では半分以上は趣味で模型と無線のお店を経営しています。ある日、朝栄はサイパン時代に知り合った安南さんという男と再会しました。彼はベトナムの間諜をしていました。無線装置を持っていた朝栄は、そんな安南に協力するのでした。

フリーダと朝栄を結ぶのが、ドラマーのタカでした。フリーダの家の草花の世話をするついでに、タカはフリーダから受け取った情報を朝栄に渡しました。それを朝栄が、あらかじめ決められた暗号でベトナムへと通信していました。

さらにタカは、姉の関わっていた反戦活動から、沖縄の米軍から逃げ出す兵士の援助もすることになりました。素人ばかりの集まりでしたが、計画は何とか成功して彼らは脱走兵をスウェーデンに逃がすことに成功したのでした。しかし、こちらは本土の協力者に逮捕者が出たことで、なんとなく下火になりました。

そして米軍の北爆も下火になり、やがて爆撃そのものが中止されました。しかしその前に、離陸に失敗したB-52に搭乗していたパトリックが命を落としました。彼のB-52は、離陸直前に異常が発生しました。そのまま滑走路を進むと、機は核兵器が保管されている場所に激突する危険がありました。そこでパトリックは、無茶を承知で進路を変えていたのです。

そしてベトナム戦争は終わりました。情報漏洩に関わったフリーダ、朝栄、タカ、安南は奇跡的に誰も捕まることはありませんでした。その後フリーダは、タカと結婚しますが、子供を生まれるのを機会に母のいるフィリピンに帰国することにしました。しかし、タカはそれを受け入れず、2人は別れて生きることになりました。

物語全体は、本当に淡々としていました。4人の協力関係が生まれるまでだけで、物語の1/3くらいが経過します。
殺伐な描写はありませんが、フリーダの過去から日本軍がかってそこで何をしたのか、朝栄さんからはサイパンの日本人が経験したこと、タカと脱走した米兵マークとの不思議な信頼関係など、様々な思いが読後に残りました。
アトミック・ボックス池澤夏樹さんの「アトミック・ボックス」を読み終えました。

社会学者の宮本美汐は、癌で亡くなった父からある重要な物を託されました。漁師になる以前に、父は「あさぼらけ」と呼ばれる計画に関わり、プログラマとして働いていたのです。しかし、その計画は突然アメリカからの要請で中止に追い込まれました。それ以来、父は工学とは無縁の漁師として生きてきたのです。

国の重要機密に関わった父は、公安の捜査官から常に行動を監視されていました。それは父が、プロジェクトを離れる時に"命を守る保険"としてデータの一部を持ち出していたからでした。それは国が密かに進めていた、国内での原爆作成計画でした。父から託されたデータを持って、美汐は警察から逃げ回ることになりました。

そんな彼女の力になってくれたのは、かって離島の老人の生活状況を調査した時に知り合った人々や、友人たちでした。そして漁師としての父を取材に訪れていた、大和タイムスの記者・竹西も事件の重大さを知って美汐に協力するのでした。

最終的に美汐は、プロジェクトの発案者である大物と対面することになりました。

逃げる美汐と、それを追う公安や警察、美汐の父・耕三の若き日と、さまざまな視点から物語が描かれます。美汐は警察に追われていますが、緊迫感の中にどこかほのぼのとした空気も感じられたのがよかったです。そして詳しい理由も知らされないまま、何年も耕三の監視を命じられた公安警察の行田のいらだちにも共感できるものがありました。
美汐の父・耕三の姿には、工学部出身の著者本人のイメージと重なりました。

この物語はフィクションですが、実際にあってもおかしくない現実感がありました。そして広島・長崎の被爆、3.11後の福島原発のメルトダウン。原子力が人間に制御できない危険性を無視して、進められる原発再稼働などなど、読後にさまざまなことを考えさせられました。
詩のきらめき池澤夏樹さんの「詩のきらめき」を読み終えました。この本の前に、「詩のなぐさめ」という本も刊行されていましたが、知らずにこちらを先に読んでしまいました。(^^;

この本では、古今東西のさまざまな詩について、著者が岩波書店の「図書」という雑誌に発表した文章がまとめられていました。この本を読んだことで、さまざまな詩があることを知ることができました。

本を読むのは好きですが、その中でちょっと苦手だなあと思っていたのが詩集でした。時にハッとする言葉に出会うこともありましたが、なんだかよくわからない^^;という気持ちの方が大きかったからです。

この本を読んでも、やっぱりよくわからない気持ちは残りましたが、今までの自分だったら絶対に目にしなかったような詩を知ることが出来たのは収穫でした。そして、この本を読んだことで、わからないものはわからないままでいいのではないかとも思うようになりました。

この本で紹介されていた詩の中では、山之口貘さんの詩が何となく心に残りました。その中でも爆笑したのは、「博学と無学」という詩でした。それを引用すると・・・

 あれを読んだか
 これを読んだかと
 さんざん無学にされてしまった挙句
 ぼくはその人にいった
 しかしヴァレリーさんでも
 ぼくのなんぞ
 読んでない筈だ

・・・もう笑うしかない感じです。(^^;
スイスのロビンソン 下 (岩波文庫 赤 762-2)「スイスのロビンソン(下)」を読み終えました。

無人島でのロビンソン一家の生活が続いています。下巻では、大蛇と戦ったり、ダチョウを生け捕ったり、イノシシやライオンとも戦い、どれくらいの大きさの島にいるのかわかりませんが、どれだけ豊富に動物がいるんだろう^^;と思ったりしました。

下巻で一番驚いたのは、物語が第10章になったら、いきなり10年が経過していたことです。幼かった子供たちも、その頃には立派な青年になっていました。そして、唐突に新たな遭難者の存在が明らかになります。ミス・ジェニーというイギリス娘が、ロビンソン一家の近くで暮らしていたのです。

長男のフリッツは、父から一人前扱いされて自分の判断で行動することを許されていました。そしてフリッツは、カヤックを使ってミス・ジェニーのところまで出向き、彼女を彼らのところに迎え入れたのです。

さらにロビンソン一家は、近くに船が来ていることを知りました。それは難破船の捜索のために派遣された、イギリスの船でした。その船は、船体が傷ついていました。ロビンソン一家はイギリス船の手助けをすると共に、船に乗っていた病気の機械技師に自分たちの住まいを療養先として提供しました。

そしてロビンソン一家から、長男のフリッツとミス・ジェニー、末っ子のフランツがイギリス船に乗ってヨーロッパへと帰国することになりました。お父さんとお母さん、エルンストとジャック、そして機械技師の家族が島に残ることになりました。

この島を快適な場所へと育て上げてきたお父さんとお母さんには、もう文明社会で暮らしたいという気持ちがなくなっていたのです。そしてロビンソン一家に、新たな未来が開けたところで物語は終了しました。

最後の方は展開が駆け足で、ちょっとあっけにとられましたが^^;、全体としては家族の協力で無人島生活を乗り越えてゆくところが面白かったです。・・・もっとも、これ以上ないくらい必要な物が手に入るサバイバル生活でしたけど。(^^;
刑事コロンボ 13の事件簿―黒衣のリハーサル (論創海外ミステリ)刑事コロンボ・シリーズを生み出した、ウィリアム・リンクが書いた「刑事コロンボ 13の事件簿」を読み終えました。

TVシリーズのコロンボは古き懐かしき作品ですが、この本で著者は現代を舞台にコロンボを活躍させています。コロンボが、携帯電話を持っていたのには驚きました。しかし、時代は現代になったものの、コロンボの捜査スタイルや語り口は昔と同じです。

タイトルにもあるように、この本にはコロンボの13の事件が収録されています。コロンボといえば、倒叙形式のミステリーの代表ですが、あえて著者は倒叙形式以外の方法でもコロンボを描いています。最初にそれを読んだ時は戸惑いましたが、形式が変わってもコロンボはやっぱりコロンボで安心しました。

どの作品も、登場人物の描写が上手いと思いました。コロンボと交わす言葉を通して、1人1人に存在感がありました。
収録された作品の中では、「黒衣のリハーサル」「暗殺者のレクイエム」「写真の告白」の3作が特に面白かったです。

その代わりに(?)、逮捕の決め手となる部分が弱い作品が多い気がしました。でも、コロンボと犯人とのやり取りが面白いので、個人的には謎解き的な部分はあまり気になりませんでしたが。

この本を読んだら、もう一度TV版の刑事コロンボを視聴してみたくなりました。(^^)
Papa told me Cocohana Ver.6 ~星へ続く階段~ (マーガレットコミックス)榛野なな恵さんの「Papa told me Cocohana Ver.6 ~星へ続く階段~」を読み終えました。

5巻を購入した時も、読み終えるまでに時間がかかりましたが、今回はなんと発売日に購入したのに、読み終えるのに半年近くかかってしまいました。(^^; 前向きに、7巻が発売される前に読み終えられてよかったと思おう。(笑)

今回は10作のお話と、連載30周年記念として巻末に榛野なな恵さんへのインタビューが収録されていました。ヤングユーコミック時代から読んでいる作品ですが、もうそんなに時間が経っていたんですね。しみじみ。

30周年記念ということで(?)、2017年4月のココハナに掲載された時は、ヤングユー時代の第1巻の単行本と同じ衣装で、知世ちゃんとお父さんを描かれたりしている遊び心もいいなあと思いました。でも単行本では、せっかくのカラーページがモノクロだったのが残念でした。多少価格が上がっても、その回だけはカラーで収録して欲しかったなあ。

そうそう。30周年に合わせるように、電子書籍としてヤングユー時代のものから最新版まで刊行されたようです。それはそれでいいなあと思いますが、個人的にはこのシリーズはずっと紙の本で読み続けたいですね。

今回収録されていたお話の中では、「アンバースデイ パーティー」「ディア ダッド」「ロング クルージング」「オールド ブック」「シルバー ベル」の5作が特に心に残りました。
福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)大倉崇裕さんの福家警部補シリーズ第2作、「福家警部補の再訪」を読み終えました。

今回は4つの事件を福家警部補が解決します。「マックス号事件」は、人気の客船で警備会社の社長が起こした事件です。
「失われた灯」は、大人気の脚本家が自作自演の誘拐事件を仕組み、不可能と思える状況で殺人を行います。「相棒」は、落ち目の漫才コンビの解消にまつわる事件。「プロジェクトブルー」は、フィギュアの世界を舞台にしたお話でした。

前作と同じく、1つ1つのお話はけっこう面白かったです。ただやはり、前作と同じく主人公の福家警部補に対する違和感が消えませんでした。1作目を読んだ時は、それがなぜか分かりませんでしたが、2作目まで読んで福家警部補に、あまりにも現実感がないからだと気づきました。

毎回のように警察バッヂをなくすのはご愛敬ですが、犯人や関係者から情報を集める時の話しぶりに、特に嘘くささを感じました。福家警部補が、女性でなければいけない必然性も感じられないのも残念ポイントですね。男性捜査員が気づかない、女性ゆえに視点をもっと活用してもいい気がしました。

このシリーズ、第5作まで刊行されているようですが、この続きはどうしようかなあ。(^^;
終わりと始まり 2.0
終わりと始まり 2.0池澤夏樹さんの「終わりと始まり2.0」を読み終えました。

2013年4月から2017年12月まで、月1回朝日新聞に掲載されたコラムをまとめた本です。この本を読んだことで、2011年からの日本が、本当にたいへんな状況だったことに改めて気づかされました。

安全だと言われた原発事故後も、誰も責任を取らない国や電力会社に怒りを感じます。そればかりか、過去に学ばず原発再稼働の強行。安全性よりも、国の体面や電力会社の利益の方が優先されました。

そして日米関係では、いまだに戦後が続いています。沖縄の米軍基地問題では、「本土に住む皆さんも第2の加害者」という発言に、返す言葉もありません。驚いたのは、米軍側から沖縄外の場所の提案があったのに、日本政府がそれを潰したことです。政府はこの問題を、あくまでも沖縄の中だけにとどめておきたいようです。

世界に目を向ければ、難民問題が痛ましいです。本書で指摘されて気づきましたが、「あなたは何としてでも国を出なければならない事態を想像できるか!?」という問いかけの重さです。いろいろと不満や不安はあっても、今の日本で「国を出なければ危険」とまで思うことはまずありません。しかし難民となった人たちは、そう判断して国を出たのです。

その他にもいろいろと心に刺さる内容が多かったですが、その中でも上記の3つ、原発問題、沖縄米軍基地問題、難民問題が読後に重く残りました。
福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)大倉崇裕さんの「福家警部補の挨拶」を読み終えました。

ミステリー作品としては珍しく、この作品では最初に犯人が事件を実行するところから始まります。読者は犯人をわかった上で、それを主人公の福家警部補がどう立証するのかを楽しむ作品でした。
この手の作品だと、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などが有名ですね。

この本には、4つの作品が収録されています。「最後の1冊」は、経営が苦しい図書館にまつわるお話。「オッカムの剃刀」は、復顔術のエキスパートと福家警部補が対決するお話。「愛情のシナリオ」は、女優の争いのお話。「月の雫」は、酒造会社が舞台のお話。

4作の中では、犯人が福家警部補と対等に戦える存在だったこと、そして犯人の偽装の周到さに驚いた、「オッカムの剃刀」が一番面白かったです。

ただ、物語自体は面白いのですが、福家警部補のキャラ設定に違和感があり続けました。就職活動中の女学生にも見える福家警部補に現実感が薄くて、せっかく緻密に作り上げられた物語の世界観を壊しているような気がしました。
シリーズの続編も出ているようなので、それも読んでみようと思いますが、この違和感が消えるといいなあ。
巨神計画 上 〈巨神計画〉シリーズ (創元SF文庫)シルヴァン・ヌーヴェルさんの「巨神計画(上)」を読み終えました。

アメリカの片田舎で、6000年前に作られたらしい巨大ロボットの手が発見されました。発見者の少女ローズは、成長して物理学者となった時、再びこのロボットと関わることになりました。

上巻では、世界各地に隠されたロボットのパーツが集められていく経過が、インタビューアーと呼ばれる謎の人物と登場人物の対話という形で描かれました。ロボットの存在も謎ですが、大統領補佐官とも対等に話し合えるインタビューアーの正体も気になりました。

パーツを集めるのと平行して、ロボットの素材などの調査、操縦者の訓練、操作方法の調査なども行われています。またロボットのパーツが世界各地にあることから、アメリカとロシア、中国との政治的な問題も発生しています。

そしてパーツが全てそろい、操縦の目処も立ってきたところで大きな事故が起きます。そして事故に伴い、これまで世間には公表されていなかったロボットの存在が明らかになってしまいました。

それを踏まえて、下巻ではどんな物語が展開していくことになるのか気になります。
十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)綾辻行人さんの「十角館の殺人(新装改訂版)」を読み終えました。

館シリーズの始まりとなる「十角館の殺人」を再読しました。この作品は、改定前に何度か読み返しています。犯人もトリックも覚えていますが、それでも十分に面白い作品ですね。

九州の孤島・角島にある十角館。それは天才的な建築家・中村青司が作った屋敷です。半年前に、青司はその島で妻や使用人と共に焼死しています。その事件の真相は、いまだに明らかになっていません。
そんな島に、大学のミステリー研究会のメンバーがやって来ました。外部と連絡を絶たれたその島で、彼らは1人ずつ殺されていきます。

今回改訂版を読んで、あれ!?と思いました。物語を覚えていたせいなのか、学生たちが互いをニックネームで呼び合っていたことから生まれる驚きが、以前のように感じられなかったのです。これは私が物語の内容を覚えていたせいなのか、それとも改訂による変更が原因なのか、旧版を読んで確かめたくなりました。(^^;
わたしたちの英語 ―地球市民のコミュニケーション力 ―地球市民のコミュニケーション力というサブタイトルに惹かれて読んでみました。

前半の「世界共通語としての英語」の話が面白かったです。多くの国で多くの人が理解できる言葉が英語という話から始まり、しかしそれが英米を中心の英語ではなく、非ネイティブな人たちの英語が世界共通語になりつつあることを知ったのは、とても有益でした。

中盤以降は、日本語や日本人のコミュニケーションが中心で、今ひとつ面白さに欠けました。しかし、誰にでもわかりやすい「やさしい日本語」を意識して話すという考え方には共感できました。日本人だけで見ても、各自の言葉の理解力には差があります。外国人にもわかりやすい日本語=誰でも理解しやすい日本語を使うことは、多くの人にメリットがあることだと思いました。

後半で一番違和感があったのは、社会と世間という話題でした。日本には仲間内としての世間と、それ以外の世界という社会があるという点には納得しますが、世界のどんな人たちでも大なり小なり、同胞の安否や安全、活躍を優先的に知りたい気持ちはあるのではないでしょうか!?

最後に、せっかく英米を中心とする英語とは違う世界共通語としての英語に着目されたのですから、これをもっと深く掘り下げて欲しかったです。
冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)ビブリオバトル部シリーズを読んだ影響で、「冷たい方程式」を読みました。

この本は、以前に早川文庫で発売されていた「冷たい方程式」とは、収録作品が異なるそうです。
収録作品は「冷たい方程式」の他は、「徘徊許可証」「ランデブー」「ふるさと遠く」「信念」「みにくい妹」「オッディとイド」「危険!幼児逃亡中」「ハウ=2」です。

この手のアンソロジーだと、普通は何作かは好みじゃなかったり、外れがあったりしますが、この本はそれぞれに面白さがあって楽しかったです。中でも「徘徊許可証」は、しばらく地球との交流が途絶えていた植民惑星のドタバタを描いたお話で面白かったです。

でも一番良かったのは、やはり表題作の「冷たい方程式」でした。有名な作品なので、ストーリーの流れは前から知っているのに、実際に読んでみると読み終えた後に心に残るものがありました。
ラストの一文、「わたしは死ぬようなことはしていないわ——死ぬようなことはなんにも——」が忘れられません。
はじめてのGTD ストレスフリーの整理術GTDのやり方を紹介した「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」を読み終えました。

このところ公私ともに用事が増えて、なにかいい管理法がないかなあと思っていた時に、この本と出会いました。
GTDでは、まず最初に気になっていること、やらなければならないことを収集します。この時に収集対象の制限はせず、仕事のこともプライベートなのことも、すべて1カ所に集めます。自分自身では、必要なことの分類をしているつもりでも、頭の中ではそれは1つのこととして扱われているからだそうです。

こうして集めた全てのことを、次のステップで順番に処理していきます。その1つが2分以内で出来ることなら、その場で処理してしまいます。すぐに出来ないことは、「いつかやる/やるべきことリスト」に入れたり、保管する必要があるものは資料としてまとめます。必要でないことは、ゴミ箱に捨ててしまいます。

そしてやるべきことを、次の具体的な1つの次の行動としてまとめます。やることの規模が大きい時は、それをプロジェクトにして、それを実現するために最初にやらなければならない行動は何かを明らかにします。漠然とした行動ではなく、誰かに電話をかける、お店で何かを買うなど、具体的な1つの行動に落とし込むことが必要です。

行動の内容によっては、自分で行うだけでなく、誰かに何かを依頼することもあります。依頼したことは、連絡待ちというリストを作って管理します。特定の日付、特定の場所で実行することは、それぞれ参照できるようにまとめます。

こうして行動を続けていき、1週間に1度はそれぞれのリストの内容を検討して、処理が済んでないこと、必要だと思ったけれど不要になったことなどを見直します。この流れが、GTDの1つの軸になります。

もう1つの軸は、長期的な視点です。一番上は、自分の人生の目的。2つめは、3〜5年先の構想。3つめは、1〜2年先の目標。4つめは、責任を負っていること。5つめは、現在のプロジェクト。6つめが、現在の行動です。

GTDで面白いと思ったのは、これを一番上の人生の目的から決めるのではなく、目の前の行動を1つ上のステップから眺めることで、下から積み上げるように一番上の目的を探っていくことでした。

いきなり人生の目的は何かと言われても、答えに困ってしまいますが、自分が今やっていることは将来のこういう目標のため。それを目標にしているのは、自分の人生をこんな風にしたいからと、現在の自分の行動から人生の意味に近づいていくことが出来るところでした。

この本は一読で終わることなく、何度も読み返していきたい本ですね。(^^)
悪徳学園平井和正さんの「悪徳学園」を読み終えました。

この本には、後に「狼の紋章」へと続く「悪徳学園」、SF作家が実名で登場するシュールな作品「星新一の内的宇宙(インナー・スペース)」、大事故に巻き込まれたはずの少女を描いた「転生」、未来の世界の戦いを描いた「エスパーお蘭」、人類滅亡寸前の世界を描いた「親殺し」の5作が収録されています。

荒削りな「悪徳学園」も面白かったですが、それ以上に面白かったのが「エスパーお蘭」でした。
「エスパーお蘭」には、著者のさまざまなアイディアが盛り込まれていました。8マンを思わせるサイボーグ捜査官が登場したり、幻魔大戦のドクター・タイガーを連想させる少年、人類から迫害されている超能力者集団。それぞれが面白すぎて、タイトルになっているエスパーお蘭の存在が霞んでしまうくらいでした。

長編メインになってからの著者の作品は、面白いけれど脱線や中止、方向転換が唐突すぎて、最初は面白かったのに尻すぼみになってゆく印象が強いですが^^;、短編だときちんと完結した上で今後の展開を想像する余地があるのがいいですね。

今回読んだのはamazonの電子書籍としてでした。Kindle Unlimitedに加入すれば、ウルフガイ・シリーズが読み放題なのはうれしいことです。(^^)
天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)ビブリオバトル部シリーズに登場したアンソロジー集、「天外消失」を読み終えました。

この本には14編の短編が収録されています。
エドガー・ライス・バロウズの「ジャングル探偵ターザン」、ブレッド・ハリデイの「死刑前夜」、ジョルジュ・シムノンの「殺し屋」、エリック・アンブラーの「エメラルド色の空」、フレドリック・ブラウンの「後ろを見るな」、クレイトン・ロースンの「天外消失」、アーサー・ウィリアムズの「この手で人を殺してから」、ジョン・D・マクドナルドの「懐郷病のビュイック」、イーヴリン・ウォーの「ラヴデイ氏の短い休暇」、C・B・ギルフォードの「探偵作家は天国に行ける」、フランク・R・ストックトンの「女か虎か」、アル・ジェイムズの「白いカーペットの上のごほうび」、ポール・アンダースンの「火星のダイヤモンド」、スティーヴン・バーの「最後で最高の密室」です。

今となっては古さを感じさせる作品が多いですが、「後ろを見るな」と「探偵作家は天国に行ける」、「女か虎か」の3作が面白かったです。この中では「女か虎か」は、以前に北村薫さんが紹介されていたので読んだことがありました。
「後ろを見るな」のオチは、古典的ではあるのですが、古典的だからこその面白さがあると思いました。「探偵作家は…」は読んでいる途中で、「天国から来たチャンピオン」という映画を思い出しました。

番外として「白いカーペットの上のごほうび」は、ブラックなコメディみたいな作品で笑えました。
君の知らない方程式 BISビブリオバトル部ビブリオバトル部シリーズ第4弾、「君の知らない方程式」を読み終えました。

今回はネタバレ全開の感想ですので、未読の方はご注意ください!(^^;

前巻のラストで、銀から思いがけない告白を受けた空。そして空と銀は、とりあえずお付き合いを始めました。
空はもちろん、銀も恋の告白は初めてで、2人の最初のデートはちょっとギクシャクした感じです。でも、2人の間には本を読むのが大好きという共通の趣味があります。

かなり前から空のことが気になっていた銀は、ビブリオバトルで空が紹介した本はすべて読んでいました。それを知った空は、今度は銀が好きなラノベが読みたいと返します。本が大好きな2人だけに、相手が読んでいる本を通して、さらに深く相手のことを知ることができるからです。

一方、空と銀が付き合いだしたことを知って、武人の心がざわつきます。これまで空への気持ちを無視してきましたが、それを自覚してきたのです。そんな中、空にとっては辛い事件が起きました。中学時代に彼女をいじめ抜いたくずどもが、空のバイト先のそば屋にやって来たのです。

彼らは露骨に空のことを嘲るだけでなく、わざと空を転ばせたりします。その行動に、銀は怒りました。しかし、相手は大柄で空のためでなかったら、銀は逃げ出したくなるような相手です。そんな中、さらに増長する相手に立ち向かったのは、武人でした。その時に武人は、空のことを自分の彼女だと宣言したのです!

武人と不良グループは、そのままケンカしそうな勢いでした。しかし、それを止めたのは空でした。空にも、いじめの相手への憎しみがありました。けれども、そいつは武人が本気で立ち向かう価値もない人間だと空は断言したのでした。

そしてそば屋の店長も、空の味方です。彼らの所属する学校、空から聞いた彼らの名前を知った店長は、今回の出来事を警察沙汰にして、決して穏便にすませる意志はないことをやつらに伝えたのでした。

こうして空のいじめ問題は、ひとまず決着しました。しかし、もう1つ大きな問題が残っています。武人が空を自分の彼女だと宣言したことで、空と銀、武人の三角関係が表面化したのです。この問題を、空はとても悩みます。しかし、いくら考えても、銀と武人どちらか1人を選ぶことは空には出来ません。

その一方、銀と武人はお互いに話し合って、次のビブリオバトルで空が選んだ本を紹介した方が空と付き合う約束をしました。負けた方は、ビブリオバトル部を去るという条件までついてます。

そしてBISが校内コスプレ大会ウィークに突入する中、ついにビブリオバトルが開始されました。その結果、勝利したのは銀でも武人でもなく、空でした。そして空が出した2人への結論は・・・さすがにネタバレすぎるので、本編をお読みください。(^^;

今回のビブリオバトルでは、部長はおかしなネーミングの商品を紹介した「それどんな商品だよ!」、銀は空をターゲットしたSFの「ウは宇宙ヤバイのウ!」、明日香は「ニセ医学に騙されないために」、武人はニューヨークに実在するモグラびとを扱ったノンフィクション「ティーナ16歳 トンネルの中の青春」、空は映画「レディー・プレイヤーワン」の原作「ゲームウォーズ」、ミーナは「ラノベ部」でした。