綾辻行人さんの「霧越邸殺人事件」を読み終えました。綾辻さんの作品は、館シリーズの「十角館の殺人」など何冊か読みましたが、このところ遠ざかっていました。そんなわけで、久しぶりの綾辻作品でしたが、とっても面白かったです。
信州の山の中で、劇団「暗色天幕」のメンバーは吹雪に巻き込まれてしまいました。そこで偶然にたどり着いたのが、霧深い湖の側にたたずむ豪邸・霧越邸でした。そこには彼らより一足早く、近隣の医師が吹雪を避けてお客として迎えられていました。
屋敷の主人や使用人たちは冷たく無愛想で、さらにそれ以外にも客人たちの前には姿を見せない謎の人物も屋敷の中に潜んでいる様子です。吹雪に閉ざされて外界から孤立して、電話などの通信手段も絶たれた中、劇団のメンバーは屋敷に置かれている物の中に自分たちの名前が暗示されていることに気がつきました。
そして名前が暗示された物が壊れるごとに、1人また1人と屋敷に招かれた人間が殺されてゆきます。そして殺された遺体の側には、北原白秋の詩「雨」を彷彿させる品物が残されていました。一体誰が何の目的で、このような連続殺人を企てているのか。
劇団の主宰者の槍中という青年と、脚本家である鈴藤は、犯人を突き止めるべく推理を巡らせるのでした。
最終的に明かされた犯人とその動機、トリックも面白かったですが、それ以上に霧越邸という幻想的な雰囲気さえただよう舞台設定が見事な作品でした。屋敷の間取りだけでなく、そこに飾られている装飾品、書籍など、小物の1つ1つにまで作者の細心の注意が感じられて、この作品を読んでいる間、私自身が霧越邸の中にいるような気持ちになりました。
郁の両親が、郁の職場見学にやって来るお話でした。前回の稲嶺司令官拉致事件は、雑誌で大きく取り上げられました。その記事の中に、郁の姿が写った写真もありました。そんな中、郁は両親がやって来ることが気になって仕事もろくに手につかないようです。
柴崎の話では、夜中に寝汗をかくほどうなされていたようですし、果たしてどんな両親がやって来るのでしょうか。(^^;
両親に警備などしているところを見せるわけにはいかないので、今回は勤務のシフトを変えてもらって、図書館業務をしているところを見てもらうことにしたようです。
しかし、やって来た両親を前に、いきなり郁は緊張しまくってます。館内だけでなく、防衛施設も見学させて欲しいという両親に、郁は1人だけで案内しきる自信がなく、食事を奢ることを条件に柴崎に同行してもらうことになりました。
ようやく見学が無事に終わったところに、玄田が顔を出しました。玄田はいきなり先日の郁の活躍を話し出して、郁が防衛部で働いていることがばれそうなピンチです。堂上教官がフォローに入ってくれましたが、それがきっかけで両親は郁たちが住んでいる寮に泊まることになってしまいました。
翌日は、両親は郁の図書館員としての働きぶりを観察しています。しかし、雑誌コーナーに先日の郁の活躍を取り上げた雑誌が置いてあって、いきなり郁は窮地に立たされます。
郁はコーナーから雑誌を取り上げたいと思いますが、堂上教官からは図書館法を盾にその申し出は却下されてしまいました。やむなく郁は、自力で母親の注意を逸らすことになりました。
さらに、郁の試練は続きます。今度は、お父さんが時事問題に関する本を読みたいと言い出しました。早速、端末で検索して該当する書籍を探し出した郁でしたが、それはお父さんが読みたい今年の時事問題の本ではなく、昨年のものでした。
やむなく今回も堂上教官の助けを得ることになりましたが、なんとお父さんは同じ質問を郁と同期の手塚にもしていたのでした。同期同士を比べることで、郁がどれくらい仕事ができるのか試されたようです。
ここで手塚に惨敗してへこむ郁でしたが、そんな時に図書を盗み出そうとしている男が現れました。郁は咄嗟に持ち前の足を生かして、あっさりとその男を逮捕してみせたのでした。
しかし、それが原因で心配性の母親をさらに心配させることになってしまいました。
両親が帰郷する前に、母親は再び郁に仕事を変わった方がいいと迫ります。しかし、そんな母親を思いとどまらせたのはお父さんでした。そして、郁は初めて両親にどうして図書館で働きたいと思ったかを話すことになりました。王子様のような図書隊員に憧れて、自分もあの人のように本を守りたいと思った。そう聞いて、ようやく少しだけ両親は安心してくれたようです。
お父さんは郁が防衛隊員として働いていることに気がついているようですが、浮ついた気持ちで郁が図書館で働いているのではないと知って、堂上教官に郁を託していきました。
ともあれ、これでようやく郁は大きな試練をくぐり抜けたのでした。(^^;