日々の記録

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覇者の戦塵1942 激突 シベリア戦線 上 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第11作、「覇者の戦塵 激突 シベリア戦線(上)」を読み終えました。

前巻では技術的な視点が少ないのが不満でしたが、今回は陸軍の電探と本土防空体制を中心に、技術者の出番が多くなりました。

アメリカと開戦した日本ですが、ノモンハンで戦った後、日本とソ連はいまだに中途半端なにらみ合いを続けていました。
公式的には宣戦布告していないので、日ソ間は戦争状態にはないという不思議な状況が続いています。そんな中、ソ連方面から予期せぬ攻撃を日本は受けることになりました。アメリカ軍の爆撃部隊がソ連を経由して、日本本土に爆撃攻撃を仕掛けてきたのです。

これを受けて、本土の防空体制を強化すべきなのですが、海軍はミッドウェイ方面にかかりきりで、本土防空のための戦力を派遣しません。やむなく海上での飛行に不慣れな、陸軍の航空部隊が敵編隊の防空を担当することになりました。しかし、海軍とは違い陸軍では航空機に搭載されている武装が劣るものでした。さらに各所に敵の来襲を検知するための電探が配備されてはいましたが、その扱いに熟達した者がいませんでした。

結果的に、それなりの防備は整えていたのに、それをうまく連携して活用できないために、米軍の東京爆撃を阻止することに失敗したのでした。陸軍の技術士官である多知川少佐は、その現状を調査しますが、その報告は上層部に届くことはありませんでした。この当時、技術者は用兵に口を出すことは許されず、要求された装備の開発に専念していればいいという風潮があったのです。

多知川少佐の上司である漆原少将は、彼の指摘をきちんと理解していました。しかし同時に、その危険性も認識していたのです。そして多知川少佐は、漆原少将のすすめで海軍の技術研究所を訪れることになりました。そこで多知川少佐は、深町少佐と出会ったのでした。陸軍とは別に、海軍の技術開発も様々な問題を抱えていました。民間に委託する形で技術開発を進める陸軍とは対照的に、海軍では独自の研究機関で技術開発を進めていました。

日米の戦いが長期化する兆しをみせる中、陸海どちらの方式にも問題点があることを深町少佐は指摘しました。そして深町少佐は、それを改善するために民間の技術力の向上が必要なことを多知川少佐に訴えたのでした。

そして多知川少佐は、民間の技術指導を行うと共に、本土防空の要となる迎撃部隊の装備の改善に取り組みます。それがやがて、海軍機には既に導入されている電探を搭載した機体の投入へとつながっていくことになります。

深町少佐らとは別に、陸軍参謀本部に所属する秋津中佐も、技術に理解がなく無謀な作戦を連発する参謀本部で孤立していました。しかし、参謀本部の中にも秋津中佐に功績に注目している人物がいました。姫川大佐はノモンハンでの秋津中佐の行動を知って、関東軍の中に不穏な動きがあることを教えます。

ノモンハンであれだけ苦労したにも関わらず、積極的にソ連領に侵攻してシベリア鉄道を寸断する作戦が計画されていたのでした。その背後にいるのは、辻中佐でした。辻中佐はノモンハンで大失態を演じながら、積極さのみが評価される陸軍の風潮から、厳しく責任を問われることはありませんでした。そればかりか、形ばかり参加したマレー作戦が成功したことから、再び参謀本部に返り咲いていたのでした。

辻中佐の勢力は、秋津中佐を参謀本部から追いやろうとしていました。秋津中佐は、あえてその作戦に乗りました。それは辻中佐が密かにドイツに行くことになったからです。辻中佐がドイツにいる間に、秋津中佐はソ連との関係を修復して、辻中佐の行動を無意味なものにすると共に、辻中佐に対抗できる派閥を築き上げようと考えたのです。

そんな秋津中佐の作戦は、うまく成功するのでしょうか。そして、陸海ともに内部体制にかなりの問題を抱えた日本軍は、これからの戦いをどう戦っていくのでしょうか。