日々の記録

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覇者の戦塵1932 激突上海市街戦 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第2作、「激突上海市街戦」を読み終えました。今回読んだのは、前作の「北満州油田」と合本になったものでしたので、本編に加えて追加の短編「断章 廟行鎮の敵の陣」もあわせて読みました。

前作では、実際に歴史にはない、北満州油田の発見が描かれました。それを受けて、前作にも登場した満鉄の技術員・南部は、石原中佐の計画を聞いて満州に日本独自のトラクター生産施設の建造に向けて考えをまとめていました。ところが、石原中佐と再会した南部は、当面満州で建造するトラクターは国産品ではなく、アメリカの代理店を通して工場を誘致する方向で進めるように指示されます。

独自に日本国内へともどり、日本の現在のトラクターの開発上を自らの目で見てきた南部は、今はエンジンに問題があるが開発に当たっている工員には活気があり、将来的には有望だとの感触を得ていたのです。それだけに、突然の石原の方針転換に南部は戸惑います。しかし石原に押し切られた南部は、アメリカからの購入の話を進めるために、代理店のある上海へと向かうことになるのでした。

上海には、前作にも登場した新聞記者の日下部がいました。前作では新聞社の社員であった日下部でしたが、今では会社を辞めて、独自の調査で得た情報を日本だけにとどまらない、海外の新聞社などにも提供しているのでした。上海で日下部は、謎の僧侶・上村尽瞑の後を追っていました。その頃の上海では、日貨排斥という形での抗日運動が激しくなっていました。尽瞑に関わったことで、日下部は実際の歴史では起きていた事件が、"起きなかったことを目撃"することになるのでした。

日中の緊張が高まる中、ついに日本と中国の戦いが始まろうとしていました。国内が混乱している中国を、日本軍の上層部は軽く見ていました。しかし、彼らの読みは完全に外れました。幾多の戦いをくぐり抜けてきた十九路軍が日本軍の前に立ちはだかったのです。

中国軍は装備や補給で日本軍に劣るものの、近代的な陸戦の経験と士気は高いものがありました。そして戦端が開かれたものの、日本軍は巧みに地形を活かして縦に深く守る十九路軍に苦戦することになるのでした。それが結果的に、国際連盟が今回の日本軍の満州から始まった行動を承認しない動きへとつながります。

というわけで、「北満州油田」の時とは異なり、今回は物語の前半は南部が、中盤以降は日下部が物語の目撃者として設定されていました。日下部の登場が増えたことで、前作よりも謀略ものの色合いが濃くなっていました。上海での日下部の行動は、スパイ小説を読んでいるような気がしました。

「断章 廟行鎮の敵の陣」では、中国に投入された日本陸軍の苦戦ぶりが、工兵の視点から描かれました。敵を侮り、日々進化する戦い方の研究を怠ったことが、現場の兵士たちの苦闘につながっていることがわかる重いエピソードでした。












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