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覇者の戦塵1933 謀略熱河戦線 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第5作、「謀略熱河戦線」を読み終えました。

この巻では、先に読んだ「オホーツク海戦」に登場した陣内大尉(この巻では中尉)の視点から、時代を昭和7年へと遡って物語が展開しました。

その当時、陣内中尉は北満での警備任務に就いていました。アメリカで暮らしたこともある陣内中尉は、一般的な日本人とは異なる国際感覚を持っていて、現在の満州政策にも疑問を持っていました。そんな独自の感覚を持つ陣内中尉は、連隊長と対立することも多く、持てあまされたあげく、別の連隊へと転属させられることを繰り返していました。

そんな中、とある村で補給を行おうとしていた武装勢力を補足した中尉は、村からの武装勢力への物資の提供を阻止すると共に、数人の捕虜を得ました。その中にいたのが、「オホーツク海戦」でも顔を見せた趙でした。捕虜となった趙から、中尉はその当時は死んだと考えられていた馬占山将軍が生きているという情報を得ました。

馬将軍は、以前は満州に帰順していたのですが、実権はすべて日本が握っていたため、それに失望して再び抗日勢力としての戦いを再開させていたのでした。中尉は、その情報を上官へと伝えます。そして、この趙を仲立ちにして再び馬将軍と接触して、もう一度馬将軍を帰順させようと考えたのでした。

しかし、上官はその案に関心を示さないばかりか、馬将軍が実は生きているという情報は、隊内で煙たがられている中尉以外は既に知っていることでした。そして部隊の関心は、北満州ではなく、いずれ行われる熱河省への進撃にあったのでした。

そんな中、とある事情で鹵獲した大量の兵器を、部隊が持てあましていることを知りました。中尉はその処理を請け負うという名目で、司令部の知り合いに自分の立てた作戦を進言しよう考えたのでした。こうした部隊を離れた中尉は、新京へと向かいました。そこで中尉は、旧知の仲である綴喜大尉と再会しました。自分の考えを大尉に伝えた中尉は、さらに奉天にまで足を伸ばします。

その目的は、そこに造られたトラクター工場の視察でした。そこで陣内中尉は、「激突上海市街戦」に登場した桑原という男と出会いました。桑原は今は、満鉄の職員として働いていました。この工場には、出向という形で参加していたのです。

そこで中尉は、製造したトラクターで北満州を開拓する計画の実現性について桑原に問いました。しかし、その結果は中尉の期待したものではありませんでした。この時代の満州の製造技術では、まだ中尉の要望を満たすトラクターを量産することは不可能でした。

再び新京に戻った中尉は、いきなり下士官に呼び止められました。彼と極秘に会いたいという者がいるのです。密かに連れ込まれた場所で、中尉は関東軍参謀の宮地中佐と会うことになりました。中尉のプランを知った宮地中佐は、その実行を中尉に任せるというのです。

監視役としての久喜曹長を伴い、密かに中尉は北満州へと帰ります。そこで趙と合流した中尉は、3人で馬将軍との会見を目指して行動を開始しました。ところが、中尉に与えられたこの任務は、宮地中佐の仕組んだ罠でした。中尉が馬将軍との会見を果たした時、久喜曹長は将軍を暗殺するために送り込まれたのです。

さらに中尉たちの後方からは、曹長を支援するための部隊も送り込まれていたのでした。真相に気づいた中尉でしたが、それを曹長に悟られて危機に陥ります。しかし、中尉に惚れ込んだ趙の協力もあり、なんとか中尉は危機を乗り越えたのでした。

そして中尉は、司令部からの呼び出しで、再び新京へと向かうことになりました。新京で再び綴喜大尉と再会した中尉は、そこで石原大佐と上村尽瞑と出会うことになりました。石原大佐は、ジュネーブで行われる国際連盟の討議に参加する途中で、ここに立ち寄ったのでした。さらに、その場にフリー・ジャーナリストの日下部も顔を出しました。このあたりの展開は、旧知の登場人物が次々と不思議な縁でつながっていく感じで面白かったです。

そして陣内中尉は、熱河戦線へと参戦することになりました。とはいえ、中尉が指揮するのは攻撃部隊ではなく、それを補助する段列と呼ばれる支援部隊でした。しかし、悪路ばかりの行軍が続く中、先行する戦車部隊は故障が続発して、中尉の率いる部隊の支援がなければ、かなりの数の部隊が戦線から離脱してしまうところでした。

前進を続ける部隊は、やがて敵の激しい抵抗に遭遇しました。そこには地雷や対戦車銃までが用意され、戦車隊の行く手を遮っていました。そして中尉たちは、これまで内部分裂していた中国国内勢力が協力していることを知るのでした。

その頃、ジュネーブに到着した石原大佐は、そこで密かに外務省欧米局長・東郷と会見していました。そこでは中国の背後でソ連が将来的な利権の獲得を目指して、動いていることが確認されました。その上で東郷は、早急に熱河作戦を終了させる必要があること、関東軍の独断専行を阻止することを石原大佐に求めたのでした。

そのための手段として、石原大佐は日下部を利用することにしました。宮地中佐が中心となって進めている、清朝皇帝溥儀を満州の皇帝にまつりあげるという謀略を教えたのです。この情報をリークすることで、石原大佐は関東軍を弱体化させようと考えていたのでした。

一方、停滞する熱河戦線では陣内中尉らが、防御の手薄な場所から渡河作戦を実行して戦局を動かそうとしていました。
ところがそこに、宮地中佐が現れました。そして中尉らに、関内へ侵攻しろという無茶な作戦を実行するように強制しようとします。石原大佐のリーク情報によって、謀略を主導してきた宮地中佐の立場が微妙になり、中佐は焦っていたのでした。

しかし、陣内中尉らはあくまでも当初の作戦を実行しました。その戦いの中、中尉は再び久喜曹長と出会いました。曹長は中尉たちの作戦を妨害するために、戦場に潜り込んでいたのです。それを撃退した陣内中尉は、自らの手で曹長を銃殺したのでした。

というわけで、今回は熱河戦線の戦いと、その背後にある謀略が描かれました。「オホーツク海戦」では、陣内中尉が唐突に登場した感じでしたが、石原大佐との関わり、信頼できる仲間である趙との出会いなども描かれていて、抜けていたピースがうまく埋められた感じでした。












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