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覇者の戦塵1939 殲滅 ノモンハン機動戦 上 (C★NOVELS)谷甲州さんの覇者の戦塵シリーズ第7作、「殲滅ノモンハン機動戦(上)」を読み終えました。

これまで読んできた覇者の戦塵シリーズは、角川から発売されたものの合本版でした。この本から、中央公論社のC-NOVEVLSシリーズとして書き続けられています。

今回は、モンゴル人民共和国と満州国との国境紛争という形で、モンゴルを後押しするソ連と、満州国の関東軍との戦いが繰り広げられることになりました。その背後には、北満州油田の権益を狙うソ連の思惑があります。一方の関東軍は、戦車戦に対する理解のないまま、無謀ともいえる作戦を連発します。

今回メインの語り手となったのは、第4連隊の試製1号砲戦車を指揮する室尾中尉です。欧州での戦いを経験しているソ連は、戦車を用いた作戦に精通しつつありました。そんなソ連軍に、日本軍は大苦戦することになるのでした。

ソ連の戦車の完成度は、独自に戦車戦を研究していた室尾中尉さえも驚くものでした。日本軍の九七式中戦車では、ソ連のBT戦車の装甲を破ることはできませんでした。それだけでなく、戦車の進行方向にピアノ線を利用したワイヤーを張り巡らせ、それに絡まった戦車が行動不能に陥ったところを攻撃する作戦も、日本の戦車部隊に大きな被害を与えていたのでした。

そんな中、唯一の救いは戦車部隊の後方に、段列と呼ばれる支援部隊が同行していることでした。段列による、傷ついた戦車の修理や防護陣地の急造などの支援があるおかげで、なんとか戦車部隊は崩壊を免れていたのでした。ところが、戦車の価値を認めようとしない関東軍の参謀は、時折前線に現れては無茶な命令を強要します。

その参謀・各務中佐だけでなく関東軍の司令部には、いまだに歩兵こそが重要だとする考えが染みついていました。そして戦車や段列などに無駄な機動力を使うなら、火炎瓶を持って戦車に突撃しろとさえ言い出す有様でした。

しかし戦場の実情を知る室尾中尉や、段列を率いる上川大尉には、それは受け入れられる考えではありませんでした。こうして関東軍は、下士官や兵士の能力は高いのに、司令部がそれを活かすすべを知らないために、苦境に陥ることになるのでした。

苦しい状況の中、室尾中尉と上川大尉は戦場に残された敵のBT戦車の鹵獲を目論みます。その作戦も多くの兵士の犠牲を生みましたが、BT戦車を確保したことで室尾中尉たちは今後の作戦方針を立てることができました。
日本軍よりもはるかに強力な砲塔を装備したBT戦車ですが、戦い方を工夫すればそれに対抗できると室尾中尉は気づきました。また試製1号砲戦車の砲撃なら、BT戦車を撃破できる力があることもわかりました。

補給も滞りがちで、部隊のやり繰りにも苦労する中、司令部は歩兵を主体にした反撃作戦を実行します。しかし、その準備の間にソ連側も部隊が補強されており、戦線は膠着状態に陥りました。

そんな状況を変えたのが、国内から戦いの実情調査に赴いていた秋津少佐と、戦力補強のために派遣された段列部隊を指揮する寺岡大佐と陣内大尉でした。彼らの力で、傷ついた戦車の修理と鹵獲した敵戦車の戦力としての利用。さらに歩兵部隊を支援する砲戦部隊を支援するために行われた渡河作戦では、重機を活用してわずかの時間で渡河ポイントを築き上げました。

そのおかげで、日本軍はソ連軍をハルハ河西岸まで後退させることに成功しました。しかし、ソ連はさらなる戦力の増強を続けていて、これで戦いが終わったわけではありません。にもかかわらず、日本側は相変わらず部隊の増強が進んでいません。こんな状況で、日本軍はソ連軍の侵攻を食い止めることができるのでしょうか。

とりあえず上巻だけ読み終えましたが、上巻だけでも独立したお話として楽しめるようになっているのがよかったです。
これまでの戦いも激しかったですが、この巻からはより激しい戦いが繰り広げられています。それなのに、相変わらず独断専行を続ける関東軍と、各務中佐に代表される無能な司令部。敵の戦力は脅威ですが、それ以上に味方の無知と傲慢が、戦いをより苦しいものにしているように思えます。

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