日々の記録

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影の中の影機龍警察シリーズ以来、注目している作家の一人である、月村了衛さんの新作「影の中の影」を読み終えました。

フリージャーナリストの仁科曜子は、暴力団や警察の腐敗を描いた著作で世に知られるフリーのジャーナリストです。曜子は現在、ウイグル人の抱える問題に取り組もうとしていました。在日ウイグル人に関わる複数の関係者が、不審な死を遂げていることに疑問を持ったからです。そして曜子と接触しようとした、ウイグル人の有力者が何者かに殺害されました。これをきっかけに、曜子は恐るべき殺戮の世界に足を踏み込むことになります。

そんな中で曜子やウイグル人たちが助けを求めたのが、カーガーと呼ばれる謎の人物でした。曜子はその人物の正体を突き止めようとしますが、カーガーは警察上層部や暴力団の上層部の一部にしか知られていない存在のようです。カーガーの正体を追う曜子は、やがて中国で新型インフルエンザを利用した人体実験がウイグル自治区のある街で行われたことを知りました。

その生き残りを、中国政府は密かに抹殺しようとしていました。彼らはアメリカへと亡命して、中国政府の暴挙を世界に知らそうとします。しかし、アメリカ政府内にも中国政府と関わりの強い勢力があり、その妨害もあって直接アメリカに向かうことができませんでした。そこで生き残ったウイグル人たちは、一時的に日本に潜むことになったのでした。

しかし、ここにも中国政府の放った暗殺者たちが現れます。ようやく出会うことのできたカーガーこと、景村瞬一は元々は日本のエリート警察官でした。しかし、沖縄で起きた米軍がらみの事件が元で、彼は婚約者と共に抹殺されてしまったのです。CIAの友人のおかげで、景村は一命を取り留めました。しかし、彼はもはや表舞台には出て行けない人間になってしまったのでした。

あまりの悲惨な状況に、景村は呆然とした日々を過ごしました。そんな彼を目覚めさせたのは、政府の思惑の裏で抹殺されようとしている人々を救うという困難な任務を実行してからでした。それ以来、彼は裏の世界で伝説的な男として知られる存在になっていったのでした。

景村に曜子、そして曜子の護衛を命じられた暴力団員たちと共に、ウイグル人たちを守る絶望的な戦いが始まりました。中国政府は精鋭部隊を作戦に投入して、彼らを抹殺しようとします。それをロシアで覚えたシステマと呼ばれる武術や、日本古来の剣術を発展させた剣術を武器に、景村は暗殺者たちと死闘を繰り広げます。

そして、景村と共に戦う暴力団員たちも、それぞれに暗い過去を抱えつつも、ウイグル人たちを守るために極道として漢ぶりをみせることになるのでした。そして景村の前には、過去の亡霊のように警備局長が執拗に彼の命を狙います。
一応、その警備局長の正体も途中まで伏せられていましたが、バレバレだったかも。(^^;

かなり血なまぐさい戦いを描きつつ、そこに事件に関わった者たちそれぞれの事情が加わり、エンターテインメント小説としてアクションあり、複雑な国際情勢あり、泣かせどころありと、読み応えがありました。
荒唐無稽な内容ですが、「槐」ほど都合のいい話ではなく、とはいえ読み応えでは機龍警察シリーズを超えるほどではない、とった感じでした。

作品の中で、中国政府が新疆ウイグル自治区で暴虐の限りを尽くしていることが暴かれていきます。作中でも触れられていますが、事故を起こした列車をろくに調査や救助活動もせず埋めてしまったり、周辺諸国の資源を強引に手に入れようとしたり、この物語で描かれているような事件も中国政府なら本当にやりかねない怖さを感じました。

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