日々の記録

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湖畔のアトリエ (新潮文庫 赤 1-1)ヘッセの「湖畔のアトリエ」を再読しました。

古本屋で運良く、「湖畔のアトリエ」の新潮文庫版を見つけました。以前、臨川書店の「ヘッセ全集」に収録されていたものは、あまりに翻訳が酷くて残念でしたが、新潮文庫版は高橋健二さんの訳なので安心して読むことができました。(^^)

画家のフェラグートは、湖の畔にあるロスハルデと呼ばれる古い貴族屋敷を買い、それを改修して家族と共に暮らしています。しかし、彼の生活は幸せではありませんでした。フェラグートと妻のアデーレ夫人の関係は、何年も前から冷え込んでいたのでした。2人の間には、アルベルトとピエールという息子がいました。しかし、フェラグートとアルベルトは折り合いが悪く、アルベルトは休暇の時以外は寄宿学校で暮らしているのでした。

フェラグートは、アデーレと離婚することも考えました。しかしピエールの存在が、フェラグートを引きとどめていました。フェラグートは、ピエールは自分の手元で育てたいと思っていました。しかしアデーレは、それを承諾してくれません。それでフェラグートは、今のこの中途半端な生活を続けてきたのでした。

しかしインドに行っていたフェラグートの友人、ブルクハルトがロスハルデを訪れたことで、フェラグートの心に大きな変化が生まれました。ブルクハルトは、芸術家としてのフェラグートを認めていました。そして、このままロスハルデで暮らすことは、フェラグートの芸術活動によい影響を与えないことに気づかせたのです。そのためには、ピエールと別れて暮らすという苦しみに耐えることも必要だと、ブルクハルトは教えたのでした。

ブルクハルトから言われたことは、フェラグート本人もうっすらと感じていたことでした。ブルクハルトと話したことで、ようやくフェラグートは決意を固めたのでした。家族との別れを決意したフェラグートは、それを実行するために行動を開始しました。そんな時、ピエールが体調を崩しました。

最初はたいしたことないと思われたピエールですが、やがて大きな病気を抱えていることが明らかになりました。フェラグートは、自分の絵のことも忘れてピエールの介護に専念します。しかしピエールの容態は悪化して、命を落とすのでした。ピエールを失って初めて、フェラグートは自分が本当の愛情を知ったことに気がつきました。
ピエールの葬儀を終えたフェラグートは、アデーレ夫人とアルベルトと別れて、それぞれの道を進むことになりました。

200ページほどの作品ですが、美しいロスハルデの自然描写、芸術家としてのフェラグートの苦悩、そしてピエールを失ったことで知る愛情と、読み応えのある作品でした。この作品の執筆当時、ヘッセ自身も家庭問題に悩んでいて、それが作品に反映されているそうです。

現在の新潮文庫では、この作品は絶版になっているのが残念です。新潮社は、高橋健二さんのヘッセ全集も絶版のままなのが悔しいです。貴重な翻訳がこのまま埋もれてしまうのは惜しいので、ぜひ復刊して欲しいです。

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