日々の記録

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宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF)小平桂一さんの「宇宙の果てまで」を読み終えました。

この本は、日本がハワイのマウナケア山に設置した「すばる」望遠鏡プロジェクトの20年に渡る歴史を描いたノンフィクションです。計画がスタートしたのは、1970年代にまで遡ります。日本が高度経済成長を遂げる中、大望遠鏡を建造したいという話が研究者の中から生まれます。巨額の予算も必要ですが、それ以上にどこに天文台を建設するかも大きな問題でした。

著者たちは様々な調査によって、国内よりも国外に建造することが望ましいと考えました。しかし何百億円もの費用がかかる天文台を、どうやったら国外に作ることができるのか。ここから著者たちの苦闘が始まります。事前に詳細な調査を行うための予算1つとっても、それを獲得するまでの苦労がありました。そして望遠鏡の建造にまつわる技術的な問題、予算獲得のための交渉、現地の設置先との交渉、法制度の問題などなど、様々な問題が次々と生まれて著者たちはその対応に忙殺されます。

そんな著者たちのがんばりには、本当に驚かされます。しかも、建造計画の推進しながら本業である天文学者としての研究も行っています。もしもこのプロジェクトを進めず、本来の研究に専念したら、著者は天文学の分野で大きな成果を残したかもしれません。でもそれは望遠鏡の完成後の後進に託して、日本だけにとどまらず、世界中の天文学者に利用できる施設の建設に、著者たちは情熱を注ぎ込みます。

望遠鏡完成までの間には、世界情勢も大きく変動し、著者らの身辺にも様々な変動がありました。本書のメインは、望遠鏡建造の物語ですが、その裏側で進行する様々な動きも記録されていることが、本の内容により深みを与えていると思いました。

また本書のあちこちに見られる、さまざまな自然描写も印象的でした。著者は星空の観察者としてだけでなく、世界の観察者としても優れた目を持っていると感じました。

そして1999年の1月29日に、ついに「すばる」が取得した天文画像が公開されました。この場面は、読んでいて本当にうれしかったです。しかし、これで終わりではありません。苦労の果てに作り上げた「すばる」を、どう活用していくかがより重要です。

この本を読んでいる間、いろいろなことを考えさせられました。
実現が難しいからと最初から諦めていたら、何も達成できないこと。
人が宇宙を見上げる時、人種や国や思想の違いが、いかにちっぽけなものにすぎないかということ。
優れた先人の背中を見てきたからこそ、後に続く優れた者が生まれてくるのだということ。

この本は、どんな年代の人達の心にも響く内容を持っていますが、その中でもやはり若い人にぜひ読んで欲しいと思いました。(^^)












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