日々の記録

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パロマーの巨人望遠鏡〈下〉 (岩波文庫 青 942-2)「パロマーの巨人望遠鏡」の下巻を読み終えました。

上巻では、天体物理学の発展に大いに寄与したヘールの功績、200インチという巨大な鏡を作り上げる苦労が描かれていました。しかし、それで全てが終わったわけではありません。この巨大な計画は、その後も多くの難題を解決することで、ようやく達成されたのです。

200インチの大きなガラスの輸送にまつわる問題、そしてそれを磨き上げて凹面鏡に仕上げる上での苦労。巨大な鏡を支えることのできる望遠鏡の本体と、自動的に目的の星を追い続ける装置の開発。鏡の表面に施されたアルミ鍍金技術の開発。様々な資材をパロマー山上へと運ぶための、道路の整備。

しかし、そうした困難を乗り越えることは、単に望遠鏡の製作に役立つだけではありませんでした。その過程で生み出された技術は、別の方面でも活用されました。さらに、こうした巨大プロジェクトの存在が、今まで不可能だと思われたものに多くの人を立ち向かわせる原動力となりました。

下巻で特に印象的だったのは、鏡を磨く技術者であるブラウンの物語でした。彼は養鶏農家の家に生まれましたが、最初に望遠鏡と関わることになったのは、技師ではなくトラックの運転手としてでした。しかし、元々何かを作り出すことに興味があったブラウンは、独学で鏡の加工技術について学び、ついに200インチの鏡を任される責任者となりました。

本当に何か心から打ち込めるものがあれば、人はその道で認められるほどの存在になれる。そして前人未踏のことを実現させようとする時、その答えは自らの手で探し出さなければなりません。

何かを新しく学ぼうとする時、私たちは本やネットに安易に頼ることがあります。でも、本当に新しいことを始めた時、その答えは自分で見つけ出す以外にありません。情報機器が発達して、手軽に様々な情報にアクセスできる時代だからこそ、自分自身の力で考えて答えにたどり着くことが大切なのだと痛感しました。

そして、ヘールをはじめとして計画に関わっていた人物の何人かは、その完成を見ること亡くなくなりました。しかし、彼らは後に続く者たちをきちんと育てていました。彼らの思いは、次の世代へと受け継がれました。こうしてついに、パロマーの巨人望遠鏡は完成したのでした。

日本人として少し悲しかったのは、第二次世界大戦の勃発によって、このパロマーの巨人望遠鏡計画も停止してしまったことです。そのため戦後の1948年になって、ようやく天文台が稼働することができました。もし戦争がなければ、もっと早く偉業が達成されていたかと思うと悔しいです。戦争は数多くの破壊をもたらしますが、人類の進歩という未来も奪うものなんですね。

それから本書の後半にあった、このような巨大な望遠鏡を作ることが、何の役に立つのかという問いも重いものだと思いました。建造にかかる費用を飢えに苦しむ人々にまわせば、多くの命を救うこともできるからです。しかし、それでもなお人は学び続け、無知という闇に消されないように、知恵という光を守り続けなければならないと思います。

最後に、「すばる望遠鏡」の建造にあたり、その関係者にこの本の旧訳が配布されたことを知ったことが、この本を読むきっかけとなりました。幸い「すばる」に関わった成相恭二さんの手によって、文章が現代表記に改訂されていたので、とても読みやすかったです。
本の中で描かれた時代から、かなりの時が経過していますが、そこに描かれている開拓者精神は、現代の読者の心にも響くものがあると思います。(^^)












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