日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆


航空宇宙軍史・完全版一  カリスト-開戦前夜-/タナトス戦闘団 (ハヤカワ文庫JA)昔読みたいと思いつつ、今まで読まずに来てしまった谷甲州さんの「航空宇宙軍史」が、大幅な加筆修正されて発売されたと知り、ようやく読むことができました。

今回の刊行では、従来2冊の本として発売されたものが1冊になって発売されました。そのため1冊の単価が1,000円を越ているのが、ちょっとお財布に辛いものがありました。(^^; でも、1冊の中に2冊分の内容が収録されているので、2冊の本を買ったと思えばいいかと割り切りました。(笑)

本来なら、1冊読み通したところで感想を書くのですが、2冊分の内容が収録されていることもあり、1冊読み終えるごとに感想を書こうかと思います。

物語の舞台は、2100年間近の太陽系です。その時代、人類は資源を得るために太陽系の外惑星まで進出していました。
開発が進んだ結果、外惑星はそれぞれに自治権を主張して、外惑星を支配下に置きたい地球・月連合との溝が深まっています。そんな中、外惑星は同盟を結び、経済的・軍事的にはまだ大きな差がある地球・月連合に対抗しています。

特に戦力の点では、外惑星は地球からのさまざまな規制により、大規模な宇宙船を建造することを許されていませんでした。航空宇宙軍が本気で外惑星を攻略してくれば、外惑星には勝ち目はありません。しかし、地球や航空宇宙軍からの締め付けが厳しくなる中、外惑星は密かに航空宇宙軍に対抗するための準備を進めていたのでした。

「カリスト -開戦前夜-」では、外惑星連合と地球・月連合との戦いが始まる直前の様子が描かれました。カリスト警備隊のダンテ隊長は、怪しげな取引をした男を宇宙港で追い詰めました。自殺を図ろうとした男の所持品から、外惑星連合の戦力に関する機密情報が発見されました。そこには、上層部の者しか知り得ない情報が含まれていました。

外惑星連合としてまとまっていても、それぞれの地球や航空宇宙軍に対する対応には温度差がありました。経済的に大きな力を持ちつつあるカリストやガニメデでは開戦派が主流となっていましたが、まだ開発途上で力の弱い土星のタイタンやレアは消極的な態度を取っています。

そんな中、航空宇宙軍のフリゲート艦がカリストを査察すると称してやって来ました。強大な武力を背景に、航空宇宙軍は外惑星連合の力を削ごうと目論んでいるようです。しかし、独立した自治権を持つ外惑星に航空宇宙軍がこのような査察を行うことは主権を侵されることになります。フリゲート艦が近づく中、外惑星連合はこれにどう対応するか、決断を迫られることになるのでした。

上層部を代表する登場人物として、エリクセン准将を中心に物語が描かれます。戦略情報部の代表であるエリクセン准将は、カリストでは数少ない開戦反対派でした。今の状況で外惑星連合が航空宇宙軍と戦っても、勝算はないとエリクセン准将は考えていました。しかし主流派の状況は、開戦に向かって動いていきます。それを回避するために、エリクセン准将は政府上層部に対するクーデターを計画していたのでした。

最初のクーデターは、航空宇宙軍の予想外の方針転換によって中止されました。エリクセン准将が提案した、地球・月連合への重水素の供給制限が予想外に地球経済に大きな動揺を与えたからです。地球側は、外惑星連合がこれまでに要求した9項目の要求のうち2項目を受け入れ、さらに他の項目についても話し合う余地があると通知してきたのです。

これによって、状況は大きく変わるかと思いきや、地球・月連合が提示した話し合いは、いつまでたっても開始されるめどが立ちません。会議のための日程さえ決まらないのです。今回このような提案をしたのは、地球・月連合が自分たちの経済を立て直すための時間稼ぎにすぎなかったのです。

それを察知した外惑星連合は、再び開戦に向けて動き始めます。そんな中、それでもエリクセン准将は、あくまでも戦うことを回避しようとします。そしてついに、クーデターを決行してしまうのでした。准将の率いる部隊は小規模ながら、ポイントを押さえた作戦で、政権の奪取に成功したかに見えました。しかし、状況は准将の思い描いたようには動きませんでした。

クーデターの実行で、幕僚会議議長であるダグラス将軍が殺害されたことで、見方に引き込んだはずの政治家の支持を、思った以上に得ることができなかったのです。自らの敗北を悟ったエリクセン准将は、カリスト防衛軍の今後を友人の山下准将に託して、自ら命を絶ったのでした。

クーデターの失敗により、前政権が復活すると共に、ダグラス将軍よりも好戦的なミッチナー将軍が幕僚会議議長の座に就くことになりました。その結果、外惑星連合は開戦へと向かって動き始めることになります。

というわけで、最初の1作を読み終えました。その感想は、もっと早く読んでおけばよかった!・・・でした。(^^;
近未来が舞台ということもあってか、作中のディティールが細やかで説得力が感じられました。個人的にツボだったのは、輸送船を仮装巡洋艦へと改装する計画の詳細が描かれていたこと、重水素禁輸という作戦を実行する前にそれが相手にどの程度の経済的な影響を与えるかをシミュレーションしていることなどです。

作戦の実施面をダンテ隊長の視点から描き、上層部の動きをエリクセン准将から描いていくという構成も、物語のスケールの大きさが感じられました。今回の完全版では、これまでに発表された作品ができる限り作中の年代に沿った形で刊行されるということですので、この先も楽しみです!(^^)













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://ylupin.blog57.fc2.com/tb.php/9963-67f9cb47