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銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)田中芳樹さんの「銀河英雄伝説」、本伝の完結編である第10巻を読み終えました。

最終巻となる10巻では、ラインハルトとヒルダの結婚式から始まりました。しかし、挙式の途中で再び惑星ハイネセンで反乱が勃発しました。皇子を身ごもっているヒルダをフェザーンに残し、ラインハルトは自らも再び出征を決意しました。

当面、惑星ハイネセンはワーレンが治安の任をつとめていました。そんな中、帝国内ではイゼルローン要塞に民主共和主義者が存在することが、すべての反乱の引き金になっているという意見がありました。イゼルローン要塞をつぶすことで、民主共和主義者たちの拠り所を奪うべきとする強硬論があったのです。

一方、イゼルローン要塞の司令官であるユリアンの下には、反乱を企てたものの決定的な力を持たない旧同盟領からの救援要請が届いていました。イゼルローンを出て数少ない戦力で帝国軍と戦うことは、イゼルローン軍にとって戦略的な重要度は高くありません。しかし、先にロイエンタールの反乱にあたり、イゼルローンがメックリンガー艦隊の回廊通過を認めたことで、民主共和主義者の中からイゼルローン要塞は自らの保身だけを考えているのではという声も出始めていたのでした。

こうして戦略的な意義は薄くとも、政治的な配慮からユリアンは帝国軍と戦うことを決意しました。戦いに先立ち、ユリアンには1つの作戦がありました。数において劣るイゼルローン軍が、帝国軍と対等に戦おうとすればイゼルローン回廊にワーレンの率いる艦隊を誘い込む必要がありました。いっけん難題と思えるこの課題を、ユリアンはヤン譲りの知略で実現しました。

それはイゼルローン艦隊を、旧同盟領方面に進出させるのではなく、旧帝国領へと進出させることで実現されました。ユリアンの動きを知ったワーレンは、旧帝国領の帝国軍と連携して、イゼルローン艦隊を挟撃するためにイゼルローン回廊へと踏み込みます。ここでユリアンは、巧みに艦隊を指揮して、敵軍をイゼルローン要塞の雷神のハンマーの射程圏へと引き込みます。これに対して帝国軍は、イゼルローン艦隊を平行追撃することで雷神のハンマーを無力化しようとしますが、わずかにユリアンの指示の的確さが敵を上回りました。

それが、この戦いを決することになりました。イゼルローン軍は、旧帝国領から引き込んだ艦隊を撤退に追い込み、それを救援しようとしたワーレンの艦隊にも手痛いダメージを与えることに成功したのでした。ワーレンの敗北を知った時、ラインハルトは病に倒れていました。以前から続いていた原因不明の発熱が、ラインハルトの体を蝕んでいたのでした。

そのためハイネセンへのラインハルトの親征は中止されましたが、その代わりに軍務尚書のオーベルシュタインが皇帝の代理人として派遣されることになりました。オーベルシュタインを補佐する艦隊指揮官としては、ビッテンフェルトとミュラーが派遣されることになりました。日頃からオーベルシュタインとそりの合わないビッテンフェルトは、軍務尚書への反発を隠そうとはしません。

ハイネセンへと赴任したオーベルシュタインは、驚くべき施策を実行しました。なんとかっての同盟で重要な地位にいた者を、大量に強制的に連行したのです。その上でオーベルシュタインは、彼らを人質としてイゼルローン軍に要塞の明け渡しを要求するつもりでした。戦場で雌雄を決するのではなく、政略によって敵を屈しようとするやり方に、ビッテンフェルトは激怒しました。そしてオーベルシュタインに殴りかかろうとしたビッテンフェルトは、そのまま拘留されることになったのでした。

そしてユリアンの下には、オーベルシュタインからの通信が届きました。拘留した捕囚を解放してほしければ、イゼルローン軍の代表者がハイネセンへと出頭しろというのです。難しい立場に立たされたユリアンとフレデリカでしたが、状況を打開するために交渉に挑むことを決めました。

そんな中、ハイネセンは思わぬ事件が発生していました。強制連行された多くの人々が収監されているラグプール刑務所で、大規模な暴動が発生したのです。囚人たちと憲兵隊は激しく激突することになり、共に多くの犠牲を出しました。しかし、ワーレンの的確な指揮のおかげで、事態はようやく終息したのでした。

この時ラインハルトは、病を得ながらもハイネセンへの途上にありました。そこにオーベルシュタインからの報告が届きます。これまで行方不明だった、フェザーンの元領主ルビンスキーが逮捕されていました。ルビンスキーの体は、脳腫瘍に冒されて、余命はあと1年と言われていました。

ハイネセンへと到着したラインハルトは、再びイゼルローン軍へと通告を行いました。ハイネセンで勃発した動乱のために、オーベルシュタインが用意した交渉は流れていました。ラインハルトの通告にイゼルローンが従えばよし、さもなければ再び戦争が始まります。

ラインハルトの留守中、フェザーンでも動きがありました。地球教の残党が、皇妃ヒルダと生まれてくる子供を狙ってテロを企てたのです。その試みは、警護を任されたケスラーの活躍と、我が身をかえりみずヒルダをかばったアンネローゼの働きによって、阻止されました。その襲撃で産気づいたヒルダは、そのまま病院へと搬送されて、そこでラインハルトの後継者となる皇子を出産しました。

ラインハルトとユリアンの会見が迫る中、不幸な偶然から帝国軍とイゼルローン軍は戦闘へと突入してしまいました。それを知ったラインハルトは、自ら先頭に立ってイゼルローン軍と雌雄を決しようとするのでした。しかしラインハルトの体は、想像以上に病に冒されていました。そのため帝国軍の戦いは精彩を欠き、ユリアンたちに突き入る隙を与えました。

戦力的に圧倒的に劣るイゼルローン軍は、少数の精鋭部隊を編成してラインハルトの旗艦であるブリュンヒルトに強襲攻撃を仕掛けたのです。そしてユリアンは、ついに血路を開いてラインハルトの前へとたどり着きました。ラインハルトを前に、ユリアンはローエングラム朝が衰えた時に、それを治癒する方法を教える提案しました。ラインハルトがそれを受け入れて、ついに帝国軍とイゼルローン軍の戦いは終わったのでした。

しかし、ここまでに払った代償は小さなものではありませんでした。ユリアンと共にブリュンヒルトに突入した、カリンの父でもあるシェーンコップの戦死、ヤンに客将として迎えられたメルカッツ提督の死。その他にも、多くの犠牲がありました。そんな中でも、いつ死んでもおかしくないような状況にありながら、イゼルローン軍の撃墜王ポプランが生き延びたのは、いかにもポプランらしいと思いました。(^^;

そしてラインハルトとの会見の結果、ユリアンたちはイゼルローン要塞を明け渡す代わりに、惑星ハイネセンを含むバーラト星系を与えられることになりました。それと共にユリアンは、ラインハルトに専制政治ではなく君主をおきつつ議会を持つ立憲君主制を提示しました。

その間にも、ハイネセンでは事件が起きていました。余命幾ばくもないルビンスキーは、自らの死と共にハイネセン各所に配置された爆薬が爆発するように仕組んでいたのでした。しかし、それはラインハルトの命を奪うことはなく、ルビンスキーの最後の悪あがきといった感じでした。

そしてラインハルトは、フェザーンへと帰還しました。それにはユリアンたちも同行することになりました。ラインハルトは、残された時間を使い、自分の死後のことを淡々と決定していました。そしてラインハルトの死が間近となった時、再び地球教の残党が最後の戦いを挑んできました。しかし、それはワーレンを中心とした各提督の的確な行動と、その場に居合わせたユリアンたちの働きで阻止されました。

そしてついに、ラインハルトはその短い生涯を終えました。ここで物語の時間は凍結されたので、その後の帝国やユリアンたちがどうなったかは、読者の想像に任されることになりました。

今回、あらためて作品を再読してみて、気づいたことがいくつかありました。初めて読んだ時は、その華麗な文章にただただ圧倒されましたが、今読むと著者の若さゆえの青さが垣間見えるところもありました。
それだけ自分が年を取ったということでもあるので、複雑な心境ではありますが・・・。(^^;

それから物語の盛り上がりは、第5巻くらいまでがピークでしたね。特に個人的に一番好きなキャラであるヤンが退場した後は、今ふたつくらい物語の魅力が薄れてしまった気がしました。田中芳樹さんの他の作品でもそうですが、物語の序盤から中盤くらいは面白くても、終盤が今ひとつなことが多い気がします。先日まさかの^^;完結をした「タイタニア」もそうでしたしね。

最後に「銀英伝」を読み終えて痛感したのは、何をやろうがやらなかろうが、"後世の歴史家"は間違いなく好き勝手なことを言うでしょうから^^;、その時代を生きる人はただ自分の信じる道を迷わず進めばいいということです。

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