日々の記録

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幻滅 ― メディア戦記 上 (バルザック「人間喜劇」セレクション <第4巻>)先に読んだ「読んでいない本について堂々と語る方法」で紹介されていた、バルザックの人間喜劇と呼ばれる作品群の1つ、「幻滅 - メディア戦記 - (上)」を読み終えました。

物語はフランスの片田舎、アングレームと呼ばれる町から始まります。アングレームは貴族が住む高台と、平民が住む下町からなっています。その2つは、互いに反目していましたが、アングレームの中心人物であるバルジュトン夫人は、貧しい平民であるリュシアンという青年を寵愛していたのでした。

リュシアンは、美貌と才能に恵まれた青年でした。バルジュトン夫人と関係ができたことを機会に、大物になってやろうという野心もあります。そんなリュシアンの美貌と才能は、田舎で暇をもてあましていたバルジュトン夫人にとって、格好の気晴らしになっていたのでした。

しかし、2人の関係を妬む者がいました。かってパリで名をはせたこともあるデュ・シャトレという男です。デュ・シャトレは表面上はリュシアンやバルジュトン夫人に協力する風を装いつつ、その実は彼らを利用して自分が再び表舞台に返り咲こうとしていたのでした。

そんなデュ・シャトレの企みにはまり、バルジュトン夫人はアングレームに居づらい状況に追い込まれました。ほとぼりを冷ますため、バルジュトン夫人はパリへと向かうことにしました。そしてリュシアンにも、それに同行するように求めたのでした。リュシアンは妹の夫となった友人・ダヴィッドの協力を得て、バルジュトン夫人と共にパリへと赴きます。

そこでリュシアンを待っていたのは、思いもかけない上流階級の底意地の悪さでした。デュ・シャトレの巧みな策略にはまり、リュシアンはパリでバルジュトン夫人に愛想を尽かされて、路頭に迷うことになるのでした。それでも自分の才能を信じるリュシアンは、持参した原稿を出版してもらおうとします。しかし、ここでも厳しい現実がリュシアンを待っていました。

内容的にどんなに優れた本であっても、出版業者は名もなき新人の本を出版する危険を冒そうとはしなかったのです。
追い詰められたリュシアンを救ったのは、貧しいながら高い志を持つセナークルと呼ばれる仲間たちでした。彼らの励ましとアドバイスを受けて、リュシアンは自分の作品と才能にさらに磨きをかけるのでした。

しかし、リュシアンがどれだけ勉強しても、生活の苦労は常につきまといます。そこでリュシアンは、ジャーナリストになって身を立てようとします。セナークルの仲間は、それはリュシアンを堕落させることだと反対しますが、リュシアンは知人のルストーを頼り、新聞に劇評を書くことになったのでした。

今までにない斬新なリュシアンの劇評は、パリで大いに話題になりました。さらに劇に出演している若手女優コラリーの支援もあり、リュシアンはこれまでとは全く異なる、晴れやかな舞台に立つことになるのでした。

その過程でリュシアンは、新聞などのメディアの本質を知ることになりました。彼らは真実を伝えようとしているのではなく、自分たちの思惑を読者に吹き込むだけの存在だったのです。内容的にどれほど素晴らしい本も、彼らの利害と一致しなければ酷評されることになります。逆に彼らの利益のためには、特にみるべき点のない作品も好評で迎えられることになるのでした。

上巻では、アングレームから出てきたリュシアンが、メディアという様々な思惑の渦巻く坩堝に飛び込むまでが描かれました。一癖も二癖もある人たちを相手に、リュシアンは自らの野望を果たすことができるのでしょうか。

読み始めた最初は、現代の小説とは違う文体に少し戸惑いましたが、しばらく読み進めたらバルザック流の語りにも慣れました。
この語り口は、昔どこかで読んだことがあるようなと思ったら、「三銃士」や「モンテクリスト伯」で有名なアレクサンドル・デュマの作品でした。2人の活躍した時期が重なっているようなので、1830年〜1850年くらいのフランスでは、こういった文体が一般的だったのかもしれませんね。












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