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航空宇宙軍史・完全版一  カリスト-開戦前夜-/タナトス戦闘団 (ハヤカワ文庫JA)今年最初に読み終えたのは、谷甲州さんの「航空宇宙軍史・完全版(1)」の後半に収録されている、「タナトス戦闘団」でした。

「カリスト - 開戦前夜 -」では、カリスト側からの視点だけから物語が描かれているので、相手の動きが読めずに緊張感がありました。「タナトス戦闘団」では、多少は航空宇宙軍側の動きも描かれていました。しかし、ダンテ隊長を中心とする現場の物語になっていて、上層部の動きや考えは想像するしかないところが面白かったです。

物語は、「カリスト - 開戦前夜 -」の最後で描かれたダンテ隊長の月への"出張"から始まります。地球との開戦に先立ち、外惑星連合は地球の後方攪乱のために、月にある工場の襲撃を計画していたのです。その事前調査のために、ダンテ隊長は月にやって来たのでした。ところが、現地で協力してくれるはずの駐在武官・柏崎中佐はなぜかダンテ隊長に非協力的な態度です。

実戦部隊を指揮することではエキスパートのダンテ隊長ですが、諜報に関しては完全にアマチュアです。あっという間にダンテ隊長は、航空宇宙軍の警務隊に拘留されてしまったのでした。自白剤を用いた過酷な尋問が行われましたが、ダンテ隊長はそもそも重要な情報は握っていません。現地での協力者の存在を突き止めたところで、ダンテ隊長は解放されたのでした。

副隊長のランスに救出されたダンテ隊長でしたが、今回の計画があまりに不可解なことに疑問を持ちました。さらに尋問中に、自分たちが本来の目的を隠すための囮として利用されたらしいこともつかんでいました。密かにカリストに帰還したダンテ隊長は、新たな幕僚会議議長に就任したミッチナー将軍が、山下准将の指揮下にある陸戦隊を解散させるために今回の計画を実行したのではないかと気づくのでした。

しかし、やられっぱなしで引き下がるようなダンテ隊長ではありません。わずかな手がかりから、ダンテ隊長の協力者となったシャンティという謎の人物を探し出そうとします。その合間に、柏崎中佐のもとで航空宇宙軍との二重スパイとなった緒方優という女性もお話にからんできて、物語により奥行きが出てきます。

そしてついに、外惑星連合は地球に対して宣戦布告します。それと同時に、外惑星連合の艦隊、そしてダンテ隊長率いるタナトス戦闘団の活動が開始されるのでした。

巻末の解説にもありましたが、この「タナトス戦闘団」は冒険小説的なのりで楽しめる作品でした。政略が中心だった「カリスト - 開戦前夜 -」と比べると、アクションシーンが多いですが、細部の緻密な描写や設定が物語に説得力を与えていると思いました。
続く第2巻では、また別の視点から物語が描かれるようなので、どんな内容なのか楽しみです。(^^)

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